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一章 使命と転生者
18話 エルフの長老
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「見てください長老様!ワタシ達の湖がこんなにも汚染・・・されていない?」
先程のエルフが先陣を切って歩いてきた。案の定、元通りになった湖を見て驚いている。そして、次に僕らを睨みつけてきた。
「そこのヒューム!貴方、一体何をしたの?」
「・・・こちらのエルフの方にこちらの湖を紹介してもらって、僕の仲間を水浴びさせていただいただけですが」
「ふむ、そこにいるのは我が娘だな・・・本当にお前が案内したのか?」
中年のエルフが前に出てくる。隣のエルフさんを娘と呼んでいる事から彼がこの森のエルフの集落の長老で間違いないだろう。見た目はとんでもなく若いが。
「そうよ、この人達は毒蛇に噛まれた私を助けてくれたの。そして、皆の事も助けに来てくれたの」
「我々を?助けなんて要請していないし、求めてなんかいないぞ・・・いや、その方の瞳。もしかしなくても、浄化の女神様の眷属ですね?」
「そうです。浄化の騎士団所属ガルです」
「聞いて皆!この子凄いんだよ!瘴気の影響を受けない上に瘴気を浄化できるんだって!」
「それは・・・凄いですな」
反応が薄い。自分で言うのも何だけど、瘴気を浄化できるっていうのは凄いし、驚かれるものだ。エルフの価値観の違いが垣間見える。
その反応から察するに隣の彼女の言う通り、瘴気を浄化する事には興味はないみたいだ。なので、お願いしてみる。
「皆さん、僕に瘴気の浄化をさせてはもらえないでしょうか?このまま瘴気を漏れさせていたら、森の植物達は魔物と化し、人々を襲いかねないのです」
「確かにそうですね。我々としてはどうでも良い事ですが、他の種族の方に迷惑をかけるのは些か嫌な気分です」
「では、浄化を許可してくれるのですか?」
「ええ、良いですよ。では、一旦集落へと向かいましょう。娘のお客様を無碍にはできませんからね」
「ありがとうございます」
「感謝されるほどのことではありません。そちらの後ろに隠れている方もどうぞ?」
「っっ・・・!」
自分の存在がバレていた事に驚いているみたいだ。無表情だが、感情がないと言うわけではないみたいだ。
「長老、本当なんですって!本当に湖が見たこともない色に染まっていたんですって!」
「ですが、我らの湖は元の色でしょう?きっと瘴気が原因でそう見えていただけですよ」
「貴女もそう見えていたよね?ね?」
「う~ん、いや?私から見たらいきなり悲鳴あげて走って逃げたようにしか見えなかったけど」
「そ、そんな・・・」
ああ、我が主よ。何の罪のない善人を騙すような真似をした事をどうかお許し下さい。
僕らは集落へと案内された。
先程のエルフが先陣を切って歩いてきた。案の定、元通りになった湖を見て驚いている。そして、次に僕らを睨みつけてきた。
「そこのヒューム!貴方、一体何をしたの?」
「・・・こちらのエルフの方にこちらの湖を紹介してもらって、僕の仲間を水浴びさせていただいただけですが」
「ふむ、そこにいるのは我が娘だな・・・本当にお前が案内したのか?」
中年のエルフが前に出てくる。隣のエルフさんを娘と呼んでいる事から彼がこの森のエルフの集落の長老で間違いないだろう。見た目はとんでもなく若いが。
「そうよ、この人達は毒蛇に噛まれた私を助けてくれたの。そして、皆の事も助けに来てくれたの」
「我々を?助けなんて要請していないし、求めてなんかいないぞ・・・いや、その方の瞳。もしかしなくても、浄化の女神様の眷属ですね?」
「そうです。浄化の騎士団所属ガルです」
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「それは・・・凄いですな」
反応が薄い。自分で言うのも何だけど、瘴気を浄化できるっていうのは凄いし、驚かれるものだ。エルフの価値観の違いが垣間見える。
その反応から察するに隣の彼女の言う通り、瘴気を浄化する事には興味はないみたいだ。なので、お願いしてみる。
「皆さん、僕に瘴気の浄化をさせてはもらえないでしょうか?このまま瘴気を漏れさせていたら、森の植物達は魔物と化し、人々を襲いかねないのです」
「確かにそうですね。我々としてはどうでも良い事ですが、他の種族の方に迷惑をかけるのは些か嫌な気分です」
「では、浄化を許可してくれるのですか?」
「ええ、良いですよ。では、一旦集落へと向かいましょう。娘のお客様を無碍にはできませんからね」
「ありがとうございます」
「感謝されるほどのことではありません。そちらの後ろに隠れている方もどうぞ?」
「っっ・・・!」
自分の存在がバレていた事に驚いているみたいだ。無表情だが、感情がないと言うわけではないみたいだ。
「長老、本当なんですって!本当に湖が見たこともない色に染まっていたんですって!」
「ですが、我らの湖は元の色でしょう?きっと瘴気が原因でそう見えていただけですよ」
「貴女もそう見えていたよね?ね?」
「う~ん、いや?私から見たらいきなり悲鳴あげて走って逃げたようにしか見えなかったけど」
「そ、そんな・・・」
ああ、我が主よ。何の罪のない善人を騙すような真似をした事をどうかお許し下さい。
僕らは集落へと案内された。
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