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一章 使命と転生者
12話 土に埋まっていた少女
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「ここ、どこ?」
「えっと・・・森の中。詳しい場所とかは分からないんだ。僕も実は道に迷ってて」
「貴方、誰?」
「浄化の騎士団所属のガルって言うんだ」
「ここで何してるの?」
「瘴気を抑えにきたんだ」
「瘴気って?」
「人を殺しちゃう悪い霧だよ」
随分と質問が多い。それに質問の仕方も随分と幼い。もしかしたら迷子かもしれない。ゴッズステイじゃよくある事だ。土に埋まっている事以外は。
「次は僕から質問しても良いかな?」
「うん」
「君はどうして土に埋まっていたのかな?」
「・・・分からない」
「お父さんかお母さんは?」
「分からない」
「えっと・・・名前は?」
「トキ・・・多分」
良かった。名前すら憶えていなかったらゼロから探らなければいけないけれども、名前と顔さえわかれば迷子として知らせを出す事が出来る。だけども、残念ながら今いる場所は迷子届が出せる所ではない。
この先に魔物がいる事を考えるとかなり危険だが、仕方ない。
「連れていくか・・・トキちゃん、ここはとっても危ない場所だから一緒について来てくれないかな?」
「うん、ついていく・・・」
声に元気がない。お腹が空いているんだろうか。よく見たら手足が小枝のようにガリガリだ。このままでは集落を見つける前に餓死してしまう。非常食を上げるか?いやいや、あんな硬いお肉を衰弱しきった子が食べれるのか?ここは一旦水でお腹を膨らませてから・・・。
看病に頭を抱えているとボトリと僕の足元に重たい物が落ちてきた。魔物・・・ではないみたいだ。恐る恐る近づいてみるとそれは果実だった。
丁度良く熟しきっているが、腐ってはいない丁度いい塩梅の柔らかさの果実だった。
「丁度良いや。これをお食べ」
「ありがとう・・・」
トキちゃんは小さな口を一生懸命動かしながら果実を食べ始めた。僕も食べた事のある果実なので毒とかは問題ないだろう。ただ、一体どこの木から落ちてきたのだろうか。一番近くの大木には何も生えていない。周りにある木にも生えていない。
もしかしたら最後の一個だったのかもしれない。
「神々のお恵みかも・・・」
何処からか見ているであろう神々に感謝を述べる。すると、真後ろから小さな寝息が聞こえてきた。トキちゃんの寝息の音だった。
「・・・僕も寝るとしようか。おやすみ」
かなりの時間土に埋まっていたからか、トキちゃんからは土の臭いが嫌という程したが、問題なく眠る事が出来た。僕が起きた時にはまだトキちゃんは眠っていたので、おんぶしてエルフの集落を目指す事にした。
「えっと・・・森の中。詳しい場所とかは分からないんだ。僕も実は道に迷ってて」
「貴方、誰?」
「浄化の騎士団所属のガルって言うんだ」
「ここで何してるの?」
「瘴気を抑えにきたんだ」
「瘴気って?」
「人を殺しちゃう悪い霧だよ」
随分と質問が多い。それに質問の仕方も随分と幼い。もしかしたら迷子かもしれない。ゴッズステイじゃよくある事だ。土に埋まっている事以外は。
「次は僕から質問しても良いかな?」
「うん」
「君はどうして土に埋まっていたのかな?」
「・・・分からない」
「お父さんかお母さんは?」
「分からない」
「えっと・・・名前は?」
「トキ・・・多分」
良かった。名前すら憶えていなかったらゼロから探らなければいけないけれども、名前と顔さえわかれば迷子として知らせを出す事が出来る。だけども、残念ながら今いる場所は迷子届が出せる所ではない。
この先に魔物がいる事を考えるとかなり危険だが、仕方ない。
「連れていくか・・・トキちゃん、ここはとっても危ない場所だから一緒について来てくれないかな?」
「うん、ついていく・・・」
声に元気がない。お腹が空いているんだろうか。よく見たら手足が小枝のようにガリガリだ。このままでは集落を見つける前に餓死してしまう。非常食を上げるか?いやいや、あんな硬いお肉を衰弱しきった子が食べれるのか?ここは一旦水でお腹を膨らませてから・・・。
看病に頭を抱えているとボトリと僕の足元に重たい物が落ちてきた。魔物・・・ではないみたいだ。恐る恐る近づいてみるとそれは果実だった。
丁度良く熟しきっているが、腐ってはいない丁度いい塩梅の柔らかさの果実だった。
「丁度良いや。これをお食べ」
「ありがとう・・・」
トキちゃんは小さな口を一生懸命動かしながら果実を食べ始めた。僕も食べた事のある果実なので毒とかは問題ないだろう。ただ、一体どこの木から落ちてきたのだろうか。一番近くの大木には何も生えていない。周りにある木にも生えていない。
もしかしたら最後の一個だったのかもしれない。
「神々のお恵みかも・・・」
何処からか見ているであろう神々に感謝を述べる。すると、真後ろから小さな寝息が聞こえてきた。トキちゃんの寝息の音だった。
「・・・僕も寝るとしようか。おやすみ」
かなりの時間土に埋まっていたからか、トキちゃんからは土の臭いが嫌という程したが、問題なく眠る事が出来た。僕が起きた時にはまだトキちゃんは眠っていたので、おんぶしてエルフの集落を目指す事にした。
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