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一章 使命と転生者
7話 嫉妬とプレゼント
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まず、最初にやってきたのはリリィ団長・・・ではなく、オルタ副団長だった。
鼻息を荒くしながらやってきた彼は、鋭い爪で僕を捉えると、鍛え上げた腕力で僕の体を持ち上げた。
「何故だ!何故貴様なんだ!俺の方が優れた戦士だ!優れた騎士だ!それなのに何故・・・」
リリィ団長曰く、オルタ副団長は僕如きに嫉妬しているらしい。彼は、敬虔な浄化の女神の信仰者だ。若造である僕の目の色が自分よりも強い事が我慢ならないんだろう。
しかし、それを指摘したら彼は更に怒ってしまう。だからそれ以外の事実を伝えておこう。
「その通りです。僕よりもオルタ副団長の方が騎士として優れている。けど、これは誰が優れているかどうかなんて関係ないんです。僕だってこの力を譲渡できるなら、僕よりも強い人に譲りたいです。けど、それはできません。だから僕が行くしかないんです」
「そうだな、そうだよな・・・お前は生まれてからずっと特別だもんな」
まずい。別の地雷を踏んでしまったみたいだ。オルタ副団長の爪が鋭い光を放つ。怒りで若干我を失ってしまっている。何とかしなければ・・・。
「オルタ副団長、何をしているの?」
胸倉を掴み、今にも刺そうとしているオルタを止めたのは、リリィ団長だった。リリィ団長もまた、今にも人を殺してしまいそうな表情でオルタ副団長に圧をかけている。
「その手を離しなさい。彼は何もしていないはずよ」
「・・・失礼しました。つい感情に任せて動いてしまった事をここで謝罪します」
「処分は後で神父様との相談の後下す。それまで待っていなさい」
「了解・・・」
オルタ副団長は僕を睨みつけながら立ち去っていった。ほっと息をついていると、顔に柔らかい感触が伝わってくる。それは、リリィ団長の胸だった。
僕は今、リリィ団長に抱きしめられていた。
「ガル、ごめんね。怖かったでしょ?後でお姉ちゃんが叱っておくから安心してね」
「ええ、ありがとうございますリリィ団長」
「冷たいなぁ・・・確かに血は繋がってないけど、同じ神父様に育てられた仲じゃない。誰もいない時くらいは甘えたって良いんじゃない?」
「いえ、もうそういう関係性ではないんで控えさせてもらいます。とにかく、助けていただきありがとうございます」
「・・・そっか、ガルは真面目だね。だから神父様のお願いも聞いちゃったわけだ」
「もう皆知っているんですね」
「うん。それでねガル。お願いがあるんだけどいいかな?」
「僕ができる範疇であれば」
「わたしを旅に連れていってくれないかな?」
「それはできません。だって貴女は皆をまとめる浄化の騎士団の団長です。それに、瘴気は僕じゃなければ耐えられない。だから僕1人で行きます」
「そっか・・・それならこれを持っていって」
リリィ団長が渡してきたのは、子供くらいの高さがあるタワーシールドだった。傷もついていない事から新品と思える。
「これ、ガルにプレゼントするつもりだったの。受け取って」
タワーシールドほ確かに重かったが、確かな安心感があった。
鼻息を荒くしながらやってきた彼は、鋭い爪で僕を捉えると、鍛え上げた腕力で僕の体を持ち上げた。
「何故だ!何故貴様なんだ!俺の方が優れた戦士だ!優れた騎士だ!それなのに何故・・・」
リリィ団長曰く、オルタ副団長は僕如きに嫉妬しているらしい。彼は、敬虔な浄化の女神の信仰者だ。若造である僕の目の色が自分よりも強い事が我慢ならないんだろう。
しかし、それを指摘したら彼は更に怒ってしまう。だからそれ以外の事実を伝えておこう。
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まずい。別の地雷を踏んでしまったみたいだ。オルタ副団長の爪が鋭い光を放つ。怒りで若干我を失ってしまっている。何とかしなければ・・・。
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「その手を離しなさい。彼は何もしていないはずよ」
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「処分は後で神父様との相談の後下す。それまで待っていなさい」
「了解・・・」
オルタ副団長は僕を睨みつけながら立ち去っていった。ほっと息をついていると、顔に柔らかい感触が伝わってくる。それは、リリィ団長の胸だった。
僕は今、リリィ団長に抱きしめられていた。
「ガル、ごめんね。怖かったでしょ?後でお姉ちゃんが叱っておくから安心してね」
「ええ、ありがとうございますリリィ団長」
「冷たいなぁ・・・確かに血は繋がってないけど、同じ神父様に育てられた仲じゃない。誰もいない時くらいは甘えたって良いんじゃない?」
「いえ、もうそういう関係性ではないんで控えさせてもらいます。とにかく、助けていただきありがとうございます」
「・・・そっか、ガルは真面目だね。だから神父様のお願いも聞いちゃったわけだ」
「もう皆知っているんですね」
「うん。それでねガル。お願いがあるんだけどいいかな?」
「僕ができる範疇であれば」
「わたしを旅に連れていってくれないかな?」
「それはできません。だって貴女は皆をまとめる浄化の騎士団の団長です。それに、瘴気は僕じゃなければ耐えられない。だから僕1人で行きます」
「そっか・・・それならこれを持っていって」
リリィ団長が渡してきたのは、子供くらいの高さがあるタワーシールドだった。傷もついていない事から新品と思える。
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