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一章 使命と転生者
3話 魔物化現象
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「ッッ・・・こ、これは魔物化現象!?」
「うわぁ!このガキ魔物を持っていやがる!!離れろ皆!」
少女の周りから人がいなくなる。ただ1人、ガルを除いて。
瘴気は生命にとって猛毒である。少しでも吸ってしまえば助かる余地がなく、他界してしまうと言われているが、それよりも最悪な事がそれなりの確率で発生するとあう。
それこそが『魔物化現象』。その名の通り、瘴気を吸収した生命が魔の生物として生まれ変わってしまう現象だ。
「キェエエエエエエアァァァァァァァァ!」
悲鳴を上げる魔物化した根菜。人面と人間のような手足がある事からマンドラコラと考えられる。
悲鳴を聞けば最悪死の可能性もあるという知識がなければ高確率で死亡する魔物だ。図鑑を読んでおいてよかった。
しかし、周りは知っているとは限らない。知らなかった人々はどんどんバタリバタリと倒れていく。僕はマンドラコラと理解した瞬間、おやつの豆菓子を耳に詰めたので助かった。
マンドラコラを持っている少女の両耳からは血が出ている事から既に鼓膜は破けてしまっているんだろう。どちらにせよ、マンドラコラをこれ以上神聖なる神殿の中に入れているわけにはいかない。
「ごめんね、お嬢ちゃん」
「あ!何するの!?」
心苦しいが、少女からマンドラコラを奪い、外に向かって投げた。神殿からマンドラコラの悲鳴が聞こえなくなった。
しかし、これでまだ終わりではない。マンドラコラには足がある。そして、今投げた事で僕を敵と認識したはずだ。神殿内に入ってくる前に自分から出て戦わなければならない。
アタシのお野菜がぁ・・・!!」
少女の泣く声を聞きながら僕は神殿を出た。
浄化の女神様のご加護のおかげで瘴気は神殿の手前で止まってくれている。しかし、町には既に広がってしまっているみたいだ。
「キェエエエエエ!キェエエエエエ!!」
マンドラコラの声が聞こえる。灰色の瘴気から聞こえてくる。僕の事は見えているんだろうけども、姿は表してこない。瘴気が猛毒だと認識しているみたいだ。
「クソ!どうしたら良いんだ・・・!」
このまま倒さなくては避難した人達が危険に晒される。何か策は無いのか。
「ガル!何やってるの!?」
「ガル!貴様団長の言う事が聞けないのか!?」
「リリィ団長と、オルタ副団長!聞いてください魔物が!!うわぁ!!」
全身に灰色の霧がかかる。間違いない瘴気だ。マンドラコラが瘴気内で吸って僕に向かって吹き出したんだ。
「ガル!!」
突然の事だったので、息を止める事が出来ずに思い切り瘴気を吸ってしまったのか。しまった、このままだと死んでしまう。
突然の死の予告にガルは絶望し、ゆっくりと目を閉じる。しかし──────。
「あれ?」
体は死ぬどころか、変色すらしていなかった。
「うわぁ!このガキ魔物を持っていやがる!!離れろ皆!」
少女の周りから人がいなくなる。ただ1人、ガルを除いて。
瘴気は生命にとって猛毒である。少しでも吸ってしまえば助かる余地がなく、他界してしまうと言われているが、それよりも最悪な事がそれなりの確率で発生するとあう。
それこそが『魔物化現象』。その名の通り、瘴気を吸収した生命が魔の生物として生まれ変わってしまう現象だ。
「キェエエエエエエアァァァァァァァァ!」
悲鳴を上げる魔物化した根菜。人面と人間のような手足がある事からマンドラコラと考えられる。
悲鳴を聞けば最悪死の可能性もあるという知識がなければ高確率で死亡する魔物だ。図鑑を読んでおいてよかった。
しかし、周りは知っているとは限らない。知らなかった人々はどんどんバタリバタリと倒れていく。僕はマンドラコラと理解した瞬間、おやつの豆菓子を耳に詰めたので助かった。
マンドラコラを持っている少女の両耳からは血が出ている事から既に鼓膜は破けてしまっているんだろう。どちらにせよ、マンドラコラをこれ以上神聖なる神殿の中に入れているわけにはいかない。
「ごめんね、お嬢ちゃん」
「あ!何するの!?」
心苦しいが、少女からマンドラコラを奪い、外に向かって投げた。神殿からマンドラコラの悲鳴が聞こえなくなった。
しかし、これでまだ終わりではない。マンドラコラには足がある。そして、今投げた事で僕を敵と認識したはずだ。神殿内に入ってくる前に自分から出て戦わなければならない。
アタシのお野菜がぁ・・・!!」
少女の泣く声を聞きながら僕は神殿を出た。
浄化の女神様のご加護のおかげで瘴気は神殿の手前で止まってくれている。しかし、町には既に広がってしまっているみたいだ。
「キェエエエエエ!キェエエエエエ!!」
マンドラコラの声が聞こえる。灰色の瘴気から聞こえてくる。僕の事は見えているんだろうけども、姿は表してこない。瘴気が猛毒だと認識しているみたいだ。
「クソ!どうしたら良いんだ・・・!」
このまま倒さなくては避難した人達が危険に晒される。何か策は無いのか。
「ガル!何やってるの!?」
「ガル!貴様団長の言う事が聞けないのか!?」
「リリィ団長と、オルタ副団長!聞いてください魔物が!!うわぁ!!」
全身に灰色の霧がかかる。間違いない瘴気だ。マンドラコラが瘴気内で吸って僕に向かって吹き出したんだ。
「ガル!!」
突然の事だったので、息を止める事が出来ずに思い切り瘴気を吸ってしまったのか。しまった、このままだと死んでしまう。
突然の死の予告にガルは絶望し、ゆっくりと目を閉じる。しかし──────。
「あれ?」
体は死ぬどころか、変色すらしていなかった。
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