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一章 使命と転生者
1話 平穏が乱れる日
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僕の名前はガル。ただのガルだ。浄化の神殿の神父様に拾われ、信仰心とちょっと剣の使い方が上手かった事から神殿の騎士になれた運の良い孤児だ。
騎士と言っても、そこまで誰かが襲ってくるわけではない。何故ならゴッズステイは今、安定の時代に突入したからだ。
食料は充実し、争いも存在しない。故に盗みなどを働こうなどと思う不埒な者は存在しないんだ。だから、僕は神殿の前に突っ立っているだけである。
「ガル!おはよ~!」
「おはようみんな。今日も良い天気だね。気をつけていってらっしゃい」
「「は~い!」」
学び屋に足を運ぶ子供達に挨拶する毎日。退屈この上ないけれども、幸せな毎日だ。しかし、もう1人の神殿門番はそうは思っていないようだ。
「チッ、なんだよつまんねぇ。暇な生活から解放されたいから騎士団に入ったのに全然かわらねぇじゃねぇか。もっと刺激的な生活を送れるかと思ったぜ」
「あはは・・・刺激的な生活っていうのはどういうの?」
「え?そりゃあ勿論、神殿に眠るお宝を狙う盗賊団とか?」
前述した通り、ゴッズステイは安定している為、盗賊が生まれる事はない。
「他国が攻めてきたり!」
浄化の神殿は広大なゴッズステイの真ん中に位置しているので、そんなに攻めてはこない。そもそも、ゴッズステイの神々が侵入を許さない。
「なんだよ否定ばっかりだな。じゃあ、魔物とかはどうだ?」
「魔物ね・・・190年前に滅びた生物が現れるわけないでしょう?」
魔物とは、瘴気を浴びた生物が変異した姿。もちろん、瘴気が無い今の時代には無縁の存在だ。
・・・目の前の地面が割れ、灰色の霧が発生するまでは。
「な、なんだあれ!?」
「地面から噴出してきた灰色の霧・・まさか瘴気!?お、俺が変な事言ったからなのか?」
「たまたまだよ多分!」
吹き出す瘴気は量を増やしていき、どんどんこちらへと向かってきている。そんなどうすれば良いかわからない中、同僚は瘴気が発生する穴に向かって走っていってしまった。
「あ!待って!」
「俺が止めなきゃ!責任取らなきゃ!」
発言よタイミングが悪かったんだろう。自責の念にかられた同僚は瘴気に向かって走っていった。僕は声を荒らげて彼を制止したが、止める事は出来ず。
彼は瘴気に体を一瞬で蝕まれ、悲鳴を上げる事もできないまま、死んでいってしまった。
「ああ、そんな・・・!!」
たった数秒で死んでしまった。ついさっきまで話していたのに、たった数秒でただの肉塊になってしまった。
僕はどうすれば良いのかわからず、近くにいた子供達を抱えて神殿の中へと逃げていった。
騎士と言っても、そこまで誰かが襲ってくるわけではない。何故ならゴッズステイは今、安定の時代に突入したからだ。
食料は充実し、争いも存在しない。故に盗みなどを働こうなどと思う不埒な者は存在しないんだ。だから、僕は神殿の前に突っ立っているだけである。
「ガル!おはよ~!」
「おはようみんな。今日も良い天気だね。気をつけていってらっしゃい」
「「は~い!」」
学び屋に足を運ぶ子供達に挨拶する毎日。退屈この上ないけれども、幸せな毎日だ。しかし、もう1人の神殿門番はそうは思っていないようだ。
「チッ、なんだよつまんねぇ。暇な生活から解放されたいから騎士団に入ったのに全然かわらねぇじゃねぇか。もっと刺激的な生活を送れるかと思ったぜ」
「あはは・・・刺激的な生活っていうのはどういうの?」
「え?そりゃあ勿論、神殿に眠るお宝を狙う盗賊団とか?」
前述した通り、ゴッズステイは安定している為、盗賊が生まれる事はない。
「他国が攻めてきたり!」
浄化の神殿は広大なゴッズステイの真ん中に位置しているので、そんなに攻めてはこない。そもそも、ゴッズステイの神々が侵入を許さない。
「なんだよ否定ばっかりだな。じゃあ、魔物とかはどうだ?」
「魔物ね・・・190年前に滅びた生物が現れるわけないでしょう?」
魔物とは、瘴気を浴びた生物が変異した姿。もちろん、瘴気が無い今の時代には無縁の存在だ。
・・・目の前の地面が割れ、灰色の霧が発生するまでは。
「な、なんだあれ!?」
「地面から噴出してきた灰色の霧・・まさか瘴気!?お、俺が変な事言ったからなのか?」
「たまたまだよ多分!」
吹き出す瘴気は量を増やしていき、どんどんこちらへと向かってきている。そんなどうすれば良いかわからない中、同僚は瘴気が発生する穴に向かって走っていってしまった。
「あ!待って!」
「俺が止めなきゃ!責任取らなきゃ!」
発言よタイミングが悪かったんだろう。自責の念にかられた同僚は瘴気に向かって走っていった。僕は声を荒らげて彼を制止したが、止める事は出来ず。
彼は瘴気に体を一瞬で蝕まれ、悲鳴を上げる事もできないまま、死んでいってしまった。
「ああ、そんな・・・!!」
たった数秒で死んでしまった。ついさっきまで話していたのに、たった数秒でただの肉塊になってしまった。
僕はどうすれば良いのかわからず、近くにいた子供達を抱えて神殿の中へと逃げていった。
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