婚約破棄にて前世を思い出す。

3 殿下への想い

私はお腹を凹ませて魔法を使いながらなぜ殿下達が私を領主に任命したかを考えていました。

逃げ帰ってくるのを期待してるのか、嘲笑いたいのか、魔物や盗賊などによって死んでほしいのか、誰かの提案なのか、あ、単に遠ざけたいからっていう可能性もあるのかもしれないわね……

でも…………

開拓は過酷だと聞きます。
魔物に盗賊、食料問題など問題が多々あると。
そんなところに学校を卒業していない14歳の女子を行かせるなんて、頭がおかしいんじゃないかと思いますわ。

まぁ……
みんなに悪いことをしたと今の私は自覚しています。

しかし、正直ここまでする必要はないと思いました。
貴族令嬢として終わっているから……

まぁこんなことはしないでしょうけど、今の私がやられていたら我慢できずオークタックルを噛ましていましたね。
鈍重だから当たるかわかりませんけどね。

あっははは……

ふぅ、やられた側は許してくれないだろうけど謝罪の手紙を送っておきましょう。
巻き込んでしまった子にも手紙を送っておこう。


眠り続けた一週間の間にアルスタ殿下への想いは今は無いに等しいわ。

一日中泣き続ける程好きだったのよ。
でも、よくよく思い返してみたら、殿下は今はオーク令嬢になってしまったけれど、婚約者がいるにも関わらず、入学してからある令嬢と仲良くしていたのよね。

まだオーク令嬢になる前の私がいたにも関わらず、よ！
そう浮気なのよっ！
注意しても殿下に鬱陶しがられましたがなにかっ？

その後、色々あってこうなりましたけど……

あんな浮気野郎なんてこっちから願い下げだっ！と私俺の方が叫んでいたわ。

それにデートもしたこともありません。
二人っきりになったこともありません。

前世の私俺の世界なら富裕層達なら高級料理店でディナーとか高級ホテルの最上階とかで二人っきりなんてありそうだと勝手な妄想はある。
王族だからじゃないかと私俺が言いますけど、ある令嬢と二人っきりの状況を多々見たことがありますのよね。

注意したら殿下には鬱陶しがられ、令嬢は泣いて、殿下に虐めるなっ！と怒鳴られました……

好きとも可愛いとか綺麗とも言われたことがありません。
あの頃の私は言ったことがありますわよ。
好き格好良い幸せですって言ってましたわ。

婚約者になって支えられるように勉学、魔法も武術にも費やしたのに……
何も言ってくれなかったわね。
私は私がまだまだだからと思い、さらにそれらに時間を使いましたわ。

自分で言うのもあれですけど、顔は結構良い方だと思いますのよ。
文武両道で超優良物件だ！と私俺が言います。
私もそう思いますわ。

今はオーク令嬢ですけど……

殿下が私の変化に気が付き、支えてくれたらこんな風にはならなかったかもしれませんね。
実際どうだかわかりませんけど……

まぁ殿下のためにやったことは無駄ではありません。
これから領地の為に使いますわ。

逃がした魚は大きいと私俺が小さく呟きました。

自分と話し合っていたら綺麗さっぱり殿下への想いは無くなりましたわ。
あと専属侍女のことにも気がつきました。

そして、今は新たな魔法や訓練方法などに興味が湧きまくりですわよ！