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赤点の危機

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次の日、私が教室の自分の席に着くと同時くらいに、龍央が私の席に近づいてきた。
「おはよ。」
「ッおはよ…。」

相変わらずお互いぎこちない挨拶を済ませると、龍央が口を開いた。
「あれからノートだけでも疑問とか残らなかった?」
「うん、どうにk「超…分かんないところだらけ!」」

この少し低い声は、やっぱりみゆきで、振り向くと不満そうな顔を前面に出していた。
「あれ、公式の成り立ちは細かかったけど使い方書いてなかったじゃん。」
「そうか…。そうだよね…使い方か…。」

ってみゆきがこんなに勉強にこだわるなんて以外…。それにそこまで細かく教わるなら数学の先生に聞いたほうがいいと思うんだけど…。
私はこのみゆきの反応に、首を傾げてると美幸がふとこちらを見てにんまりと口角を上げた。

…これ、何か企んでる顔だ…。
「というわけで、私たちは放課後先生に聞いてくるから。莢菜!!きもおうによく教わるんだよ?」
「え、ちょ「じゃ、放課後は別行動ということで!!きもおう、頼んだよ!!」えぇ~…。」

みゆきは自分で一度決めると、すぐに行動に出る。そして言うだけ言って逃げていく。マジ『善は急げ』体質…。
サトは聞かされていなかったのか、『生クリームぅううう!』と叫びながらみゆきに抱えられ無理矢理に席につかされていた。

「あの…」
そうだった、龍央はこのこと聞かされていないんだよね?
「ごめんね?みゆきったら勝手に。」
「いえいえ、きっと気を回してもらっちゃったね。」

「へ?」
「せっかくの機会だし、二人で勉強会頑張ろう。…僕も分かりやすく説明できる用意するから。」
その微笑みに、半分安心したけど…半分は、スパルタにされないか不安でもあった。

「よ、よろしく。」

…。

放課後、二人に手を振ってから私は空き教室に向かった。
というのも…

ガラッ
「ッ…早いね。」
「先生が教える意欲を見せなきゃよくないからね。」
「普通先生って生徒の後にくるもんじゃないの?」

「…僕は早く二人っきりになりたかったから。」
「ッ…あっそ。」
不意打ちはずるいと思う…。

「分からないところ…教えてくれるんだよね?」
「もちろん。」
私がつい強気に出ても、龍央は嬉しそうに笑顔を見せた。
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