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二人の結末1

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 豪奢な部屋の中。扉を叩く音がした。
 返事をすれば、きまりの悪そうな顔の王子が現れた。
「何年振りだろうね、メティが突然僕を訪ねて来るなんて」
 その声は淡々として、どこか冷たいものだった。
 王子が向かいの椅子へも腰掛ける。スッと上げた瞳には、些かの苛立ちがあった。
「見てたよ」
「そうですか」
「キスしようとしてたね」
「……してません」
 ふざけているような言葉だが、当の本人は真面目に言っているようだった。
「でも、腰は抱いていた」
「まぁ、ダンスですから」
「見つめ合ってたね」
「……それもダンスですから」
「こっち見て?」
 私は知らず知らずに王子から目を逸らしていた。最初は向き合っているはずだったのに。
「…………嫌です」
 我ながら大変醜い声が出た。
 幼い頃、姉と喧嘩して謝りなさいと親に言わされた時のようだ。
「ダンス中は彼と散々見つめあってたのに?」
「……」
「全く君は困った子だ……」
 王子は息を吐いて、立ち上がる。私の隣に座ろうとした。
「こっ、来ないでください」
「えっ……」
 王子の表情が途端に固まった。身動きも綺麗に止まる。
 まるで深刻そうに眉を寄せていた。
「…………何故?」
 か細く問われた言葉に、小さく口を開いた。
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