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誘拐
応急処置3
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「……ぅ。うぅ」
あれ……。なんかまだ苦しそう……?
「あ、あの……、本当にこれで大丈夫なんですよね? ふざけてる訳じゃなく……」
この恥辱には本当に意味が……?
「まだ心配?」
「……はい。だって、まだ……」
目を向けたマルコルの身体は、苦しげに喘いでいた。
「苦しそうです……」
言えば王子は「ん――、そっか」と悩ましげな声を。それから、続けて。
「じゃあ、念のためにもう少し吸い取っておこうね」
「……え」
次の瞬間には、再び濃厚な口付けが始まっていた。私と王子の艶かしい口付け。
自分には想像もできないような情熱と、メチャクチャにどうにかしてやろうという強い意志。
時折自分と王子から漏れ出す声に、耳がおかしくなりそうで。自分の声なのかすら分からなくなってくる。
「……ん」
「……うぅ」
甘美な声たち……。
頭がジンジンと痺れていく。
止めようとするも、更に力は入らなくなっていて。
恥ずかしいとかそういうのは、すっぽりどこかへ飛んでいた。
「んぅ」
「……んっ」
尚も止まらない。声を出すまいとしたけれど、お腹をパンチされてグエッ! って声が出ちゃうほどに無理だった。
それどころかなにやら動きが激しくなっている気さえして。
流石にもう無理。王子の身体を押し返そうとする。ユルユルと腕を動かした――その時だった。
王子の手が艶かしく動き出したのを見た。その手は、自分――私の身体をゆったりとなぞっていて。
光景としては、私が私の身体を弄っている……。
え……、は……?
モゾモゾモゾモゾ、モニュモニュモニュモニュと胸とか腰の辺りを往復していた。
冷える思考。と同時に、謎の力が湧いてくる。
私は、いつかの正拳突きよろしく、思いっきり王子を押し返した。
「……ん?」
王子が怪訝な顔をして、ちょっと離れていった。
二人の間に艶やかな細い糸が伝っている。
羞恥で視界がブワッと滲んでいって。
「な! なにしてるんですかぁ! 自分の身体に!」
叫べば王子は爽やかに。
「中身は君だからね。僕は、中身を重視する派なんだ」と。
「わ……、私の身体も触ってた癖に!」
言い返せば、王子は小さく舌を出す。
「バレちゃった」
バレちゃったじゃないわ!
その姿が自分だからか余計にイラっとして。私は、二度と唇を奪われないよう、両手でガードした。
「も、もう好きにはさせません――よお⁉︎」
しかし、すぐに弱々しい腕など開かれて。
恍惚な笑みと共に、王子はわけわからないことを口走る。
「ジル、ちゃんととってあるよね」
とる……? 眉を顰めた瞬間。
「まだ余裕がありそうだね。それなら――」
王子が私の胸元のボタンに手を掛ける。
空いた隙間から手を入れた。
「んなっ……なにを⁉︎」
冷たい手がソワソワと肌に触れていく。
問えば、王子は舌舐めずりをしてから。
「折角入れ替わってるんだから、僕のことよく知っておいてね。今後のために」
そんなことを言ったのだった。
私といえば、もうなにがなんだか分からなくなってきて――
「…………む、むり……」
過度の疲労と刺激により、意識を放り投げることになったのだった。
その後――元に戻った私は王子をキツく問いただした。すると、その返事といえば。
「あはは、嘘だよ。魂が器に耐えきれないっていうのは本当だけど、流石に壊れるなんてことはないね」と。
普通に笑ってそう言われた。
やっぱり騙されてた!
あれ……。なんかまだ苦しそう……?
「あ、あの……、本当にこれで大丈夫なんですよね? ふざけてる訳じゃなく……」
この恥辱には本当に意味が……?
「まだ心配?」
「……はい。だって、まだ……」
目を向けたマルコルの身体は、苦しげに喘いでいた。
「苦しそうです……」
言えば王子は「ん――、そっか」と悩ましげな声を。それから、続けて。
「じゃあ、念のためにもう少し吸い取っておこうね」
「……え」
次の瞬間には、再び濃厚な口付けが始まっていた。私と王子の艶かしい口付け。
自分には想像もできないような情熱と、メチャクチャにどうにかしてやろうという強い意志。
時折自分と王子から漏れ出す声に、耳がおかしくなりそうで。自分の声なのかすら分からなくなってくる。
「……ん」
「……うぅ」
甘美な声たち……。
頭がジンジンと痺れていく。
止めようとするも、更に力は入らなくなっていて。
恥ずかしいとかそういうのは、すっぽりどこかへ飛んでいた。
「んぅ」
「……んっ」
尚も止まらない。声を出すまいとしたけれど、お腹をパンチされてグエッ! って声が出ちゃうほどに無理だった。
それどころかなにやら動きが激しくなっている気さえして。
流石にもう無理。王子の身体を押し返そうとする。ユルユルと腕を動かした――その時だった。
王子の手が艶かしく動き出したのを見た。その手は、自分――私の身体をゆったりとなぞっていて。
光景としては、私が私の身体を弄っている……。
え……、は……?
モゾモゾモゾモゾ、モニュモニュモニュモニュと胸とか腰の辺りを往復していた。
冷える思考。と同時に、謎の力が湧いてくる。
私は、いつかの正拳突きよろしく、思いっきり王子を押し返した。
「……ん?」
王子が怪訝な顔をして、ちょっと離れていった。
二人の間に艶やかな細い糸が伝っている。
羞恥で視界がブワッと滲んでいって。
「な! なにしてるんですかぁ! 自分の身体に!」
叫べば王子は爽やかに。
「中身は君だからね。僕は、中身を重視する派なんだ」と。
「わ……、私の身体も触ってた癖に!」
言い返せば、王子は小さく舌を出す。
「バレちゃった」
バレちゃったじゃないわ!
その姿が自分だからか余計にイラっとして。私は、二度と唇を奪われないよう、両手でガードした。
「も、もう好きにはさせません――よお⁉︎」
しかし、すぐに弱々しい腕など開かれて。
恍惚な笑みと共に、王子はわけわからないことを口走る。
「ジル、ちゃんととってあるよね」
とる……? 眉を顰めた瞬間。
「まだ余裕がありそうだね。それなら――」
王子が私の胸元のボタンに手を掛ける。
空いた隙間から手を入れた。
「んなっ……なにを⁉︎」
冷たい手がソワソワと肌に触れていく。
問えば、王子は舌舐めずりをしてから。
「折角入れ替わってるんだから、僕のことよく知っておいてね。今後のために」
そんなことを言ったのだった。
私といえば、もうなにがなんだか分からなくなってきて――
「…………む、むり……」
過度の疲労と刺激により、意識を放り投げることになったのだった。
その後――元に戻った私は王子をキツく問いただした。すると、その返事といえば。
「あはは、嘘だよ。魂が器に耐えきれないっていうのは本当だけど、流石に壊れるなんてことはないね」と。
普通に笑ってそう言われた。
やっぱり騙されてた!
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