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初夜オムニバス2・救済の初夜(全然違うお話です!)
心強いお供1
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朝日の木漏れ日に小鳥の囀りを添えて、記念すべき野宿一日目は最高に良い目覚めとなって、起き上がった。
そんなところで、早速私は――
「嘘でしょ……」
ピンチに陥った。
森の小道に倒れていた倒木横。そんな所なら、縄張りとかないよねって安心して陣取ったはずだったのに。
目覚めた先で、私の周囲は謎の骸骨に取り囲まれていた。
その数、ざっと九体。
しかも手には剣を持ってる奴、杖を持ってる奴、ロープを持ってる奴……。つまり、私を捕らえる気満々な出立ちでのお出迎えだった。
こんな時、私の魔力が強ければ、威嚇に逃亡、冷静に対処できるんだろうけど。残念ながら、私の魔力は中々に低い。
故に、取れる選択肢は――
「あ、あの……。この方ってお知り合いですか?」
上級魔族であるだろうユーリというコネを、最大限生かして平和的解決を図るくらいす方法しか思いつかなかった。
ていうか、それ以外に絶対になかった。
とはいえ、ユーリは寝てこそいないが、離席中。もしかして、お城のふかふかベッドで爆睡中⁉︎
せめて、この豪華な城の内装だけで『なんと、この城は……!』『この紋章は……!』みたくなってくれないかな、とか期待して。
そんな想いで突き付けた鏡は、骸骨達の視線を一心に集めると、
「ガガッ……」
「ガゴガガ」
「……ガッガッ」
なんかよく分からない意思疎通をとり始める。
どうかこの話し合いが私に都合良く収まりますように。そんなことを願って眺めていれば、次第に骸骨達の視線は私へと移っていき、その内一体が空高く杖を掲げ出した。
……なんか嫌な予感。
そう思ったが、もう遅く。杖の先には妖しく光る魔法陣が現れる。そこには、良い感じに禍々しめの球体が一つ浮かび上がってきて。私、目掛けて飛んできた。
「や、やっぱりぃぃ――‼︎」
叫んだ私は、無様に背中を晒して逃げ惑う。すぐ後ろは藪だったけど、そこしか逃げ道がないから迷わず飛び込んだ。
装飾のない機動性に優れたワンピースを授けてくれた青年に、ちょっとだけ感謝の気持ちを持ちながら、生い茂る草木の間を縫って進んだ先。キラキラと輝く水面が見えた。
「湖……!」
救いとなるか命取りか。とにかく私は、飛び込もうと思った。
なにか状況を変えれば、意外と上手くいくかもって思ったから!
けれど、間に合わせで決めたゴールにさえ、その目前とも言えぬ距離で私はスカートの裾を小枝に引っ掛けて、地面とのファーストキスを決め込んだのだった。
そんなところで、早速私は――
「嘘でしょ……」
ピンチに陥った。
森の小道に倒れていた倒木横。そんな所なら、縄張りとかないよねって安心して陣取ったはずだったのに。
目覚めた先で、私の周囲は謎の骸骨に取り囲まれていた。
その数、ざっと九体。
しかも手には剣を持ってる奴、杖を持ってる奴、ロープを持ってる奴……。つまり、私を捕らえる気満々な出立ちでのお出迎えだった。
こんな時、私の魔力が強ければ、威嚇に逃亡、冷静に対処できるんだろうけど。残念ながら、私の魔力は中々に低い。
故に、取れる選択肢は――
「あ、あの……。この方ってお知り合いですか?」
上級魔族であるだろうユーリというコネを、最大限生かして平和的解決を図るくらいす方法しか思いつかなかった。
ていうか、それ以外に絶対になかった。
とはいえ、ユーリは寝てこそいないが、離席中。もしかして、お城のふかふかベッドで爆睡中⁉︎
せめて、この豪華な城の内装だけで『なんと、この城は……!』『この紋章は……!』みたくなってくれないかな、とか期待して。
そんな想いで突き付けた鏡は、骸骨達の視線を一心に集めると、
「ガガッ……」
「ガゴガガ」
「……ガッガッ」
なんかよく分からない意思疎通をとり始める。
どうかこの話し合いが私に都合良く収まりますように。そんなことを願って眺めていれば、次第に骸骨達の視線は私へと移っていき、その内一体が空高く杖を掲げ出した。
……なんか嫌な予感。
そう思ったが、もう遅く。杖の先には妖しく光る魔法陣が現れる。そこには、良い感じに禍々しめの球体が一つ浮かび上がってきて。私、目掛けて飛んできた。
「や、やっぱりぃぃ――‼︎」
叫んだ私は、無様に背中を晒して逃げ惑う。すぐ後ろは藪だったけど、そこしか逃げ道がないから迷わず飛び込んだ。
装飾のない機動性に優れたワンピースを授けてくれた青年に、ちょっとだけ感謝の気持ちを持ちながら、生い茂る草木の間を縫って進んだ先。キラキラと輝く水面が見えた。
「湖……!」
救いとなるか命取りか。とにかく私は、飛び込もうと思った。
なにか状況を変えれば、意外と上手くいくかもって思ったから!
けれど、間に合わせで決めたゴールにさえ、その目前とも言えぬ距離で私はスカートの裾を小枝に引っ掛けて、地面とのファーストキスを決め込んだのだった。
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