姉の代わりに初夜を務めます。そしたらサヨナラです。

初夜オムニバス1・献身の初夜

後日談・悩みは快方に1

　いつもは嬉しいお姉様からの手紙を緊張しながら開いていく。
　果たしてそこに書かれていたものは――

『イリス、謹みなさい』

　端的かつ分かりやすいアドバイスである。
　なるほど、やっぱり私の想いは行き過ぎた物だったんだ。
　深く反省する。
　暫くはラシュエル様に見惚れ過ぎないようにしよう。
　あぁでも、誕生日の日くらいは……。
　ホワホワと幸せな妄想が思い浮かぶ。
　とはいえ、まずはプレゼントだ。
　出来るだけ寝る時間をずらすよう努めよう。
　その前に、お返事を。

『拝啓　お姉様
　早速のお返事ありがとうございます。
　ところで私、ひとつ気が付いたらことがありまして……。
　もしかしてなのですが、お姉様とパーラム卿は、あまり会えないようなご状況でしょうか……？
　不躾なことを申し訳ありません。
　ただ、ひとつ気になることがありまして……』

　何度か見直してから封をする。
　勘違いではないと思うけど……。
　いつもとは違う意味でドキドキしつつ、丁度いらっしゃったラシュエル様の側近たるベルハムさんが手紙を引き受けてくださった。


　最近では、ラシュエル様との夜更かしが些か苦しいものとなっていた。
　というのも、溢れ出る欲望を押さえつけないといけないからである。
　お姉様からも指摘を受けた。私も、ラシュエル様のことを考えすぎだと思う。
　それなのに、中々欲望を捨てきれないのは、今回送られた猥本の所為である。
　この期に及んでまだ私は、欲にまみれた私でさえも受け入れてくださるのではと期待しているのだ。

　どうかお姉様の答えがイエスでありますように。

　願いながら、私は夜食片手にラシュエル様の待つ書斎へと足を進めた。