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ガリンダミア帝国との決着
412話
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周辺一帯に響き渡った、黄金のドラゴンの雄叫び。
それを聞いたビッシュは……いや、この場合はアポカリプスがと表現した方がいいのかもしれないが、面白そうな様子で笑う。
『ふふふ。時間稼ぎはこのためだったのかい? けど……それは少し、甘い見通しじゃないかな?』
そう言った瞬間、ビッシュの言葉を否定するように、黄金のドラゴンはアポカリプスに向かってレーザーブレスを放つ。
一応、ゼオンに命中しないよう、狙ったのはアポカリプスの顔のすぐ前……ゼオンのいる場所ではなく、アポカリプスの胴体部分。
全長五十メートルほどのアポカリプスだけに、狙うという点では迷うようなことはない。
その巨体だけに、狙いはつけ放題だった。……ただし、アポカリプスがバリアを展開していなければ、の話だが。
レオノーラはゼオンのビームライフルがバリアによって弾かれたのを見ていなかったのか、それとも見ていた上でアポカリプスの注意を自分に向けてアランに攻撃のチャンスを与えようとしたのか。
正直なところ、その辺はアランにも分からない。
だが……ビッシュにしてみれば、そんなレオノーラの攻撃は鼻で笑って無視出来る程度のものでしかなかった。
『ふんっ、この程度の攻撃でどうしようと? この時代の雑魚が相手であれば、今のような攻撃でもどうにか出来たかもしれないが……ルーダーの生き残りである、この僕を……アポカリプスを相手に、効くはずがないだろう?』
『その割には、随分と気にしているようだけど?』
と、ビッシュの念話に対し、割り込むようにレオノーラの念話がアランの頭の中に響く。
『へぇ』
ビッシュはレオノーラの言葉に苛立ちを覚えるよりも、面白そうに呟く。
まさかレオノーラが念話を使えるとは思っていなかったのだろう。
ましてや、自分の念話に割り込ませるような真似が出来るとも、思っていなかったのだろう。
『アラン、悪かったわね。立て直すのに少し時間がかかったわ』
「まぁ……アポカリプスを見ればな。しょうがないだろ」
アポカリプスを前にして、アランがその威圧に屈しなかったのは、アラン本人の実力……という訳ではなく、ゼオンのコックピットにいたおかげで、直接その威圧を感じなかったなかったのが大きい。
もちろん、ゼオンはアランの心核使いとしての力である以上、ある意味ではアランの実力で威圧に耐えたと表現してもいいのかもしれないが。
しかし、アランとしてはそれを素直に自分の実力であると言うつもりはない。
運……そう、ある意味では運が大きな仕事をしたからこそ、そのようなことが出来ていた、という表現が正しいだろう。
『そうね。でも……アランと同じ心核使いとしては、情けなく思ったのも事実よ。だから、その汚名はここで晴らさせて貰うわ』
戦意に満ちた獰猛なレオノーラの声。
レオノーラにしてみれば、自分はアランと同等の存在だという認識がある。
だというのに、そんな中でアポカリプスの威圧に屈し、自分だけが動けなくなっていたというのは面白くない。
ましてや、レオノーラが知っているアランという人物であれば、何かあった時に間違いなく自分や……そして仲間が復活するための時間稼ぎをするはずだった。
そして実際、ゼオンがアポカリプスのすぐ側まで移動すると、それ以降は特にアポカリプスが動く様子を見せなかった。
それは、アランがアポカリプス――正確にはビッシュだが――との間で何らかの意思疎通をすることによって、時間を稼いでいてくれたことに他ならない。
レオノーラにしてみれば、自分がアランの足を引っ張ってしまったと、そのように思ってしまうのは当然のことだろう。
だからこそ、これ以上はアランの足を引っ張るような真似はせず、アランの隣に自分がいてもおかしくはないと、そう態度で示したかった。
『健気だね。けど、そんなドラゴンで僕に……アポカリプスに勝てると、本気で思っているのかな? 僕が知ってる限りでは、君のそのドラゴンの攻撃手段はレーザーブレスが最大のものだったはずだけれど?』
黄金のドラゴンの放つレーザーブレスは、ゼオンのビームライフルに匹敵する威力を持つ。
普通の心核使いを相手にするのなら、特に問題もなく倒すことが出来るだろう。
いや、倒すどころか一瞬にして消滅させることすら可能なのは間違いない。
しかし、それはあくまでも敵が普通の心核使いであればの話だ。
アポカリプスに効果がないのは、先程のバリアで弾かれたのを見れば明らかだろう。
もちろん、黄金のドラゴンの放ったレーザーブレスはあれが最強の威力といった訳ではないのだろうが……それでも、アポカリプスに効果がなかったのだ。
もっとも、命中してもアポカリプスが圧倒的な防御力を持っているのはバリアの中に飛び込んだゼオンの攻撃で与えたダメージが非常に少なかったのを見れば明らかだったが。
『それでも、私は負ける訳にはいかないわ。黄金の薔薇を率いる者として……そして、アランの隣に立つ者として!』
そう告げると同時に、再び黄金のドラゴンは周辺に響き渡るような雄叫びを上げる。
その雄叫びはレオノーラの意思を告げるものではあったが、それ以上の効果があった。
アポカリプスの威圧によって動けなくなっていたレジスタンス連合の多くが動けるようになったのだ。
もちろん、動けるとはいえすぐに戦闘が出来るように動ける訳ではない。
……いや、そもそもレジスタンス連合の中には空にいるアポカリプスを相手に攻撃手段を持つ者が限られていたが。
弓や投石、魔法、マジックアイテム……それらで攻撃出来る者は少ないものの、それ以前に攻撃をしたところでゼオンのビームライフルや黄金のドラゴンのレーザーブレスですら弾くアポカリプスだ。
生半可な攻撃でどうにか出来る相手ではない。
そして攻撃手段がないというのは、生身の者達だけではなく心核使いたちも同様だった。
「畜生が」
オーガに変身したロッコーモは、悔しげに呟く。
いくら高い戦闘力を持っているとはいえ、その攻撃が届かない場所に敵がいるのであれば、どうしようもない。
もっとも、ロッコーモが変身したオーガの攻撃力でも、アポカリプスのバリアを突破出来るのかと言われれば、難しかったが。
ただ、オーガに変身したロッコーモは、動けないながらも上空の様子を確認しており、ゼオンがバリアの内側に入った様子をしっかりと見ていた。
そうである以上、アポカリプスが地上に落ちてくれば自分もバリアの内側に突入し、アポカリプスに攻撃が出来ると、そう考える。
純粋に攻撃力が足りない点は気になるところがあるものの、その辺は何とかなるだろうと楽観視している。
この辺りが、良くも悪くもロッコーモらしいところだろう。
当然何かあったらどうにかしてアポカリプスを攻撃しようと考えているのは、ロッコーモだけではない。
雲海の者たちにしてみれば、上空でアポカリプスと向き合っているのはゼオンだ。
そしてゼオンの中にはアランがいる。
雲海に所属する探索者たちにとって、アランは小さい頃から知っている相手だ。
それこそ実の親はリアやニコラスだが、他の者たにとってもアランは息子代わり、弟分、親戚の子供……そういったように思っているし、扱っている者も多数いる。
そんなアランがアポカリプスと向き合っているのだ。
それも、恐らくは自分たちが動けなくなっているのを察して、時間稼ぎをするかのように。
そうである以上、アランのことを考えれば、すぐにでもどうにかしたいと思うのは当然だろう。
そして、そう思っているのは雲海だけではなく黄金の薔薇の探索者たちも同様だ。
いや、必死さという意味では黄金の薔薇の探索者の方が上かもしれない。
何故なら、自分たちの仕えるべきレオノーラが真っ先に動けるようになり、そして心核を使って変身し、アポカリプスに攻撃するといったような真似をしたのだから。
黄金の薔薇に所属する者たちは、その全てがかつてレオノーラによって、貴族の三男、四男、もしくは政略結婚を嫌がった娘……といったような者たちが連れ出され、探索者となった。
それだけに、レオノーラに対する忠誠心は非常に高い。
そんな中で、自分たちの仕えるレオノーラが戦闘しているのに、自分たいは動けずに見ているだけというのは、とてもではないが許容出来ないと思うのは当然だった。
また、そんな雲海や黄金の薔薇の様子に弱兵揃いのレジスタンスの中でも例外的な強さを持っている者達も呼応するかのように何とか動こうとしていた。
『さて、取りあえずアランの希望もこれで討ち滅ぼすことが出来た訳だ。僕のアポカリプスには到底及ばない、そのドラゴンが奥の手だというのなら……そろそろ、降伏してくれないかな?』
そう告げるビッシュは、絶対的なまでの自分の有利さを確信している。
だが、実際に今のビッシュを相手に、どうにか出来るかと言われれば……
(いや、出来ない訳じゃない……のか?)
アランが希望を託したのは、以前一度だけ起きた現象。
黄金のドラゴンとゼオンが合体……いや、正確には融合した姿。
過去に数度しか出来ておらず。その後は何度試そうとも成功することがなかった……アランとレオノーラの間ではゼオリューンと呼ばれている、その形態。
『おや? この期に及んで、まだ何か希望を持ってるのかな?』
やりにくい。
感情を読んでそのようなことを言ってくるビッシュに、アランがそう思うのは当然だろう。
とはいえ……自分の感情を読むなら読むで、対処のしようはある。
「そうだな。レオノーラがいるのなら、お前に勝つ可能性は十分にある」
『へぇ、どうやら本気で言ってるみたいだね。格の違いをまだ分かっていないのかな?』
面白いといったように、ビッシュはそう告げる。
ビッシュにしてみれば、ここでアランの心をへし折って自分に都合のいいように使うつもりだった。
そうである以上、ビッシュとしては今の状況でやるべきことは決まっている。
『なら、せいぜい抗ってみるといい。そして絶望に身を委ねるんだね』
自分の絶対的な勝利を一切疑っていない声で、そう告げるのだった。
それを聞いたビッシュは……いや、この場合はアポカリプスがと表現した方がいいのかもしれないが、面白そうな様子で笑う。
『ふふふ。時間稼ぎはこのためだったのかい? けど……それは少し、甘い見通しじゃないかな?』
そう言った瞬間、ビッシュの言葉を否定するように、黄金のドラゴンはアポカリプスに向かってレーザーブレスを放つ。
一応、ゼオンに命中しないよう、狙ったのはアポカリプスの顔のすぐ前……ゼオンのいる場所ではなく、アポカリプスの胴体部分。
全長五十メートルほどのアポカリプスだけに、狙うという点では迷うようなことはない。
その巨体だけに、狙いはつけ放題だった。……ただし、アポカリプスがバリアを展開していなければ、の話だが。
レオノーラはゼオンのビームライフルがバリアによって弾かれたのを見ていなかったのか、それとも見ていた上でアポカリプスの注意を自分に向けてアランに攻撃のチャンスを与えようとしたのか。
正直なところ、その辺はアランにも分からない。
だが……ビッシュにしてみれば、そんなレオノーラの攻撃は鼻で笑って無視出来る程度のものでしかなかった。
『ふんっ、この程度の攻撃でどうしようと? この時代の雑魚が相手であれば、今のような攻撃でもどうにか出来たかもしれないが……ルーダーの生き残りである、この僕を……アポカリプスを相手に、効くはずがないだろう?』
『その割には、随分と気にしているようだけど?』
と、ビッシュの念話に対し、割り込むようにレオノーラの念話がアランの頭の中に響く。
『へぇ』
ビッシュはレオノーラの言葉に苛立ちを覚えるよりも、面白そうに呟く。
まさかレオノーラが念話を使えるとは思っていなかったのだろう。
ましてや、自分の念話に割り込ませるような真似が出来るとも、思っていなかったのだろう。
『アラン、悪かったわね。立て直すのに少し時間がかかったわ』
「まぁ……アポカリプスを見ればな。しょうがないだろ」
アポカリプスを前にして、アランがその威圧に屈しなかったのは、アラン本人の実力……という訳ではなく、ゼオンのコックピットにいたおかげで、直接その威圧を感じなかったなかったのが大きい。
もちろん、ゼオンはアランの心核使いとしての力である以上、ある意味ではアランの実力で威圧に耐えたと表現してもいいのかもしれないが。
しかし、アランとしてはそれを素直に自分の実力であると言うつもりはない。
運……そう、ある意味では運が大きな仕事をしたからこそ、そのようなことが出来ていた、という表現が正しいだろう。
『そうね。でも……アランと同じ心核使いとしては、情けなく思ったのも事実よ。だから、その汚名はここで晴らさせて貰うわ』
戦意に満ちた獰猛なレオノーラの声。
レオノーラにしてみれば、自分はアランと同等の存在だという認識がある。
だというのに、そんな中でアポカリプスの威圧に屈し、自分だけが動けなくなっていたというのは面白くない。
ましてや、レオノーラが知っているアランという人物であれば、何かあった時に間違いなく自分や……そして仲間が復活するための時間稼ぎをするはずだった。
そして実際、ゼオンがアポカリプスのすぐ側まで移動すると、それ以降は特にアポカリプスが動く様子を見せなかった。
それは、アランがアポカリプス――正確にはビッシュだが――との間で何らかの意思疎通をすることによって、時間を稼いでいてくれたことに他ならない。
レオノーラにしてみれば、自分がアランの足を引っ張ってしまったと、そのように思ってしまうのは当然のことだろう。
だからこそ、これ以上はアランの足を引っ張るような真似はせず、アランの隣に自分がいてもおかしくはないと、そう態度で示したかった。
『健気だね。けど、そんなドラゴンで僕に……アポカリプスに勝てると、本気で思っているのかな? 僕が知ってる限りでは、君のそのドラゴンの攻撃手段はレーザーブレスが最大のものだったはずだけれど?』
黄金のドラゴンの放つレーザーブレスは、ゼオンのビームライフルに匹敵する威力を持つ。
普通の心核使いを相手にするのなら、特に問題もなく倒すことが出来るだろう。
いや、倒すどころか一瞬にして消滅させることすら可能なのは間違いない。
しかし、それはあくまでも敵が普通の心核使いであればの話だ。
アポカリプスに効果がないのは、先程のバリアで弾かれたのを見れば明らかだろう。
もちろん、黄金のドラゴンの放ったレーザーブレスはあれが最強の威力といった訳ではないのだろうが……それでも、アポカリプスに効果がなかったのだ。
もっとも、命中してもアポカリプスが圧倒的な防御力を持っているのはバリアの中に飛び込んだゼオンの攻撃で与えたダメージが非常に少なかったのを見れば明らかだったが。
『それでも、私は負ける訳にはいかないわ。黄金の薔薇を率いる者として……そして、アランの隣に立つ者として!』
そう告げると同時に、再び黄金のドラゴンは周辺に響き渡るような雄叫びを上げる。
その雄叫びはレオノーラの意思を告げるものではあったが、それ以上の効果があった。
アポカリプスの威圧によって動けなくなっていたレジスタンス連合の多くが動けるようになったのだ。
もちろん、動けるとはいえすぐに戦闘が出来るように動ける訳ではない。
……いや、そもそもレジスタンス連合の中には空にいるアポカリプスを相手に攻撃手段を持つ者が限られていたが。
弓や投石、魔法、マジックアイテム……それらで攻撃出来る者は少ないものの、それ以前に攻撃をしたところでゼオンのビームライフルや黄金のドラゴンのレーザーブレスですら弾くアポカリプスだ。
生半可な攻撃でどうにか出来る相手ではない。
そして攻撃手段がないというのは、生身の者達だけではなく心核使いたちも同様だった。
「畜生が」
オーガに変身したロッコーモは、悔しげに呟く。
いくら高い戦闘力を持っているとはいえ、その攻撃が届かない場所に敵がいるのであれば、どうしようもない。
もっとも、ロッコーモが変身したオーガの攻撃力でも、アポカリプスのバリアを突破出来るのかと言われれば、難しかったが。
ただ、オーガに変身したロッコーモは、動けないながらも上空の様子を確認しており、ゼオンがバリアの内側に入った様子をしっかりと見ていた。
そうである以上、アポカリプスが地上に落ちてくれば自分もバリアの内側に突入し、アポカリプスに攻撃が出来ると、そう考える。
純粋に攻撃力が足りない点は気になるところがあるものの、その辺は何とかなるだろうと楽観視している。
この辺りが、良くも悪くもロッコーモらしいところだろう。
当然何かあったらどうにかしてアポカリプスを攻撃しようと考えているのは、ロッコーモだけではない。
雲海の者たちにしてみれば、上空でアポカリプスと向き合っているのはゼオンだ。
そしてゼオンの中にはアランがいる。
雲海に所属する探索者たちにとって、アランは小さい頃から知っている相手だ。
それこそ実の親はリアやニコラスだが、他の者たにとってもアランは息子代わり、弟分、親戚の子供……そういったように思っているし、扱っている者も多数いる。
そんなアランがアポカリプスと向き合っているのだ。
それも、恐らくは自分たちが動けなくなっているのを察して、時間稼ぎをするかのように。
そうである以上、アランのことを考えれば、すぐにでもどうにかしたいと思うのは当然だろう。
そして、そう思っているのは雲海だけではなく黄金の薔薇の探索者たちも同様だ。
いや、必死さという意味では黄金の薔薇の探索者の方が上かもしれない。
何故なら、自分たちの仕えるべきレオノーラが真っ先に動けるようになり、そして心核を使って変身し、アポカリプスに攻撃するといったような真似をしたのだから。
黄金の薔薇に所属する者たちは、その全てがかつてレオノーラによって、貴族の三男、四男、もしくは政略結婚を嫌がった娘……といったような者たちが連れ出され、探索者となった。
それだけに、レオノーラに対する忠誠心は非常に高い。
そんな中で、自分たちの仕えるレオノーラが戦闘しているのに、自分たいは動けずに見ているだけというのは、とてもではないが許容出来ないと思うのは当然だった。
また、そんな雲海や黄金の薔薇の様子に弱兵揃いのレジスタンスの中でも例外的な強さを持っている者達も呼応するかのように何とか動こうとしていた。
『さて、取りあえずアランの希望もこれで討ち滅ぼすことが出来た訳だ。僕のアポカリプスには到底及ばない、そのドラゴンが奥の手だというのなら……そろそろ、降伏してくれないかな?』
そう告げるビッシュは、絶対的なまでの自分の有利さを確信している。
だが、実際に今のビッシュを相手に、どうにか出来るかと言われれば……
(いや、出来ない訳じゃない……のか?)
アランが希望を託したのは、以前一度だけ起きた現象。
黄金のドラゴンとゼオンが合体……いや、正確には融合した姿。
過去に数度しか出来ておらず。その後は何度試そうとも成功することがなかった……アランとレオノーラの間ではゼオリューンと呼ばれている、その形態。
『おや? この期に及んで、まだ何か希望を持ってるのかな?』
やりにくい。
感情を読んでそのようなことを言ってくるビッシュに、アランがそう思うのは当然だろう。
とはいえ……自分の感情を読むなら読むで、対処のしようはある。
「そうだな。レオノーラがいるのなら、お前に勝つ可能性は十分にある」
『へぇ、どうやら本気で言ってるみたいだね。格の違いをまだ分かっていないのかな?』
面白いといったように、ビッシュはそう告げる。
ビッシュにしてみれば、ここでアランの心をへし折って自分に都合のいいように使うつもりだった。
そうである以上、ビッシュとしては今の状況でやるべきことは決まっている。
『なら、せいぜい抗ってみるといい。そして絶望に身を委ねるんだね』
自分の絶対的な勝利を一切疑っていない声で、そう告げるのだった。
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