324 / 422
獣人を率いる者
323話
しおりを挟む
「やはり、これはゴールスの仕業ですか」
ギジュの言葉に、クラリスは申し訳なさそうな顔をする。
ギジュの屋敷……それも屋敷の外ではなく敷地内に置かれていた、切断されたワストナの生首。
敷地内に置かれていたということは、当然だがそれを行った者は屋敷の敷地内に入ってきたということを意味している。
ただでさえ、現在のギジュの屋敷はクラリスを受け入れているという関係で屋敷の警備を厳重にしている。
特にギジュはデルリアにおいても有数の実力者ということもあってか、雇っている兵士も能力の高い者が多い。
……もっとも、能力が高いとはいえ、それはあくまでも普通の兵士と比べてのものだ。
探索者の目から見れば、とてもではないが強敵ではない。
それこそ、生身での戦闘の実力は決して高くないアランであっても、楽に勝てる程度の者たちだ。
とはいえ、それは探索者という者たちの技量が突出しているだけで、ギジュに雇われている兵士たちは一般的な常識で考えれば十分に腕利きと言ってもいい。
そんな兵士たちが多数見回りをしている中で、今回のような一件が起きたのだ。
当然ながら、それを行った者は探索者たちに比肩するだけの技量を持っていると思ってもいい。
(普通に考えると、獣牙衆だろうな)
アランはそう予想する。
証拠の類がある訳ではないが、それでも状況から考えて間違いないと思われた。
「そうなると、これからどうします? こうしてワストナを裏切り者として処刑し、こちらに見せつけてきた以上……向こうも、まさかこれで終わりにするといったことはないでしょうし」
ジャスパーのその言葉に、皆が同意するように頷く。
ゴールスがクラリスと友好的な関係を築く……とまではいかないが、それでも話し合いをするといったようなつもりがあれば、当然だがこのようなあからさまな脅しをするといったようなことはしないだろう。
つまりこれは、ゴールスから改めて行われた宣戦布告のようなものだ。
「そうなると、こちらも戦力を整える方がいいですね。……ギジュさん、出来ればもう何人か私たちの仲間をこの屋敷に呼びたいのですが、構いませんか?」
「ええ、それがクラリス様の安全に繋がるのであれば、構いませんよ」
ジャスパーはギジュの言葉に、助かりますと頭を下げる。
そんなジャスパーの様子を見て、アランはジャスパーが一体誰を連れてこようとしてくるのだろうかを理解した。
(多分、レオノーラだろうな。……けど、現在デルリアに散らばっている仲間たちを纏めているのはレオノーラだ。そのレオノーラをこっちに引っ張ってくると、纏める人材がいなくなるんじゃないか?)
もちろん、他に雲海や黄金の薔薇の探索者を……そして何故か獣牙衆であるにもかかわらず、ロッコーモに負けたという理由で一緒に行動しているサスカッチといった面々を纏められる人物がいない訳ではない。
特に黄金の薔薇の探索者は、元貴族といったものが多いために人を纏めるのに慣れている者はそれなりにいる。
だが……それでも、現在行動している中で一番統率力に優れているのがレオノーラなのは、間違いのない事実だった。
雲海の方にも纏め役としての能力を持っている者は多いが、基本的に雲海の場合は率いているのがイルゼンのような飄々とした人物だけに、そこまで統率力といったものについては気にしている者はおらず、進んでやりたいと思う者も少なかった。
ある意味で、イルゼンのそういうところは凄い能力であるのは間違いないだろう。
飄々としているようでいて、しっかりと纏めるべきところは纏め、それでいて他の面々に不満を抱かせないのだから。
「そうなると、こちらの戦力は随分と増えますね。……ガーウェイ、そちらはどうです? もう二人獣牙衆が抜けたという者たちがいたという話ですが、まだ合流出来ないのですか?」
レオノーラ……もしくはそれ以外かもしれないが、他の場所にいる仲間をこの屋敷に呼んで戦力を充実させる許可を貰ったジャスパーだったが、そのジャスパーが次にそう尋ねたのは、ガーウェイだ。
ゴールスが獣牙衆を使ってくる以上、こちらにも獣牙衆がいるというのは大きな意味を持つ。
純粋な戦力という点では、自分たちでどうにでもなるが、獣牙衆といったような者たちが正面から攻撃をしてくるとは思えない。
……もっとも、サスカッチのように正面から攻めて来た相手もいる以上、他にもそのような性格の者がいないとは、言い切れなかったが。
ともあれ、相手が獣牙衆である以上、こちらも同様に獣牙衆を戦力として数に入れたい。
そうジャスパーが思うのも当然だろう。
「俺も出来れば早くこっちに合流させたいんだけどな。けど、他の獣牙衆に狙われているらしい。そっちをどうにかしてから合流しないと、不味いだろ?」
ガーウェイの言葉は、聞いている者たちを納得させるに十分だった。
今の状況ですら、ゴールスの戦力は大きいのだ。
そこに獣牙衆も協力している以上、出来れば敵の数は少なくなった方がいいと思うのは当然だろう。
(とはいえ、残り二人の獣牙衆がこっちに合流すれば、結局それを狙ってる獣牙衆も敵に合流するってことになるんだし、そういう意味では大して変わらないような気もするけど)
アランにしてみれば、結果的に変わらないのなら、自分や他の仲間がゴールスに味方する獣牙衆と戦わなくてもいいように、自分たちに合流していないもう二人の獣牙衆にも自分たちに合流せずに別行動をとった方がいいと、そう思うのだが。
「そうなると、その二人がこちらに合流するのは予定よりも随分と遅くなるといったところでしょうか?」
「そうなるな。基本的には戦力として考えなくてもいい。……どうしても戦力が足りないのなら、少し無理をしてでもこっちに合流させるつもりだったんだが、そっちで戦力を補充出来るのなら、今はその心配はないんだろう?」
ガーウェイの言葉に、ジャスパーは頷く。
ジャスパーとしては、アランと違って出来れば獣牙衆にも合流して欲しいと思っていたのだが、ガーウェイの様子を見る限りそれは無理だと判断したのだろう。
「戦力についてはそれでいいでしょうね。こちらでも、手を回して信用出来る戦力を出来るだけ集めてみます」
ガーウェイとジャスパーの話し合いを聞いていたギジュは、そう告げる。
この屋敷の主としては、よそからやって来た者たちに対して、戦力的に完全に頼るといった真似はしたくないのだろう。
アランたちはクラリスが連れて来たとはいえ、偶然出会っただけの探索者でしかない。
ガーウェイにいたっては、元獣牙衆だ。
出来れば信用ではなく、信頼出来る戦力を用意したいというのがギジュの正直な気持ちだった。
それを表に出すような真似はしなかったが。
ただ、当然のようにジャスパーやガーウェイはそんなギジュの考えを予想はしている。
しかし、それで自分たちの戦力が多くなるのなら問題はないと判断し、ギジュの思惑に何かを言うような真似はしない。
「そうですか。ワストナの首の件もありますし、この屋敷の内部の警備を厳重にするという意味でも、戦力は多い方がいいでしょうね」
ジャスパーはそう言ってギジュの判断を了承する。
実際、この屋敷はかなりの広さを持つのだ。
そうである以上、どこからか敵が侵入してこないとも限らない。
実際にワストナの生首を敷地内に置いて去っていった相手がいる以上、その辺の警備は厳重になるのはジャスパーにとっても悪いことではない。
「それでは次です。……ゴールスにどう対抗するかということですね」
クラリスの口からゴールスの名前が出ると、会議に参加している者の多くが難しい表情を浮かべる。
ゴールスという存在は、デルリアにおいて非常に強い影響力を持っており、クラリスたちが下手に行動しようとすれば、すぐにそれを見抜かれてしまうだろう。
そして、ゴールスの手によってその行動は潰される。
それこそ、ワストナと同じように。
ゴールスを敵に回した以上、下手に動くことが出来ないのは事実だ。
だが、それでも何の行動も起こさないといった訳にいかないのも、事実。
この状況において、時間は明らかにゴールスの味方なのだから。
だからこそ、今は不利を承知で動いた方がいいのは間違いない。
問題なのは、どう動くかだが。
「ギジュさん、クラリスの味方になってくれそうな有力者って他にいますか?」
アランのその問いに、ギジュは首を横に振る。
そして憂鬱そうな表情で口を開く。
「ワストナの件の情報がもう流れています。それも不自然なほどに早く」
「……ゴールスの仕業ですか?」
自分を裏切った者は殺す。もしくは、自分の味方ではなくても中立の者がクラリスに味方をしても殺す。
そう示すために、ゴールスが噂を流したとしてもおかしくはなかった。
「でしょうね。ともあれ、そのために当初はクラリス様に友好的な態度を示していた者の多くが及び腰になっています」
「でしょうね」
ギジュの言葉に、クラリスは責めるでもなく、同意するように頷く。
クラリスも、自分に友好的な存在が次々に死ぬといったような光景は、見たくない。
だからこそ、ギジュの言葉を聞いてもそう短く言うだけですませたのだ。
「いっそ、ゴールスを屋敷諸共消滅させるってのは? やってやれないことはないだろ?」
妹のように可愛がっているクラリスのためとあってか、過激な意見を口にするアラン。
普通に聞けば、お前は何を言ってるんだ? といった視線を向けられてもおかしくはないのだが、アランの場合は実際にそれを行うだけの実力がある。
この中ではギジュだけが、それを情報だけでしか知らなかった。
ワストナの一件があるまではガーウェイも情報でしか知らず、しかもそれも大袈裟に口にした内容なのだろうと思っていたのだが……ギーグとの戦いでアランが召喚したビームサーベルの一撃を見れば、アランのその言葉は嫌でも理解出来てしまう。
それこそ、個人の強さとは何の意味も持っていないと示すような、圧倒的な力。
それを使えば……
そう思えば、会議室の中が静まるのは当然だった。
ギジュの言葉に、クラリスは申し訳なさそうな顔をする。
ギジュの屋敷……それも屋敷の外ではなく敷地内に置かれていた、切断されたワストナの生首。
敷地内に置かれていたということは、当然だがそれを行った者は屋敷の敷地内に入ってきたということを意味している。
ただでさえ、現在のギジュの屋敷はクラリスを受け入れているという関係で屋敷の警備を厳重にしている。
特にギジュはデルリアにおいても有数の実力者ということもあってか、雇っている兵士も能力の高い者が多い。
……もっとも、能力が高いとはいえ、それはあくまでも普通の兵士と比べてのものだ。
探索者の目から見れば、とてもではないが強敵ではない。
それこそ、生身での戦闘の実力は決して高くないアランであっても、楽に勝てる程度の者たちだ。
とはいえ、それは探索者という者たちの技量が突出しているだけで、ギジュに雇われている兵士たちは一般的な常識で考えれば十分に腕利きと言ってもいい。
そんな兵士たちが多数見回りをしている中で、今回のような一件が起きたのだ。
当然ながら、それを行った者は探索者たちに比肩するだけの技量を持っていると思ってもいい。
(普通に考えると、獣牙衆だろうな)
アランはそう予想する。
証拠の類がある訳ではないが、それでも状況から考えて間違いないと思われた。
「そうなると、これからどうします? こうしてワストナを裏切り者として処刑し、こちらに見せつけてきた以上……向こうも、まさかこれで終わりにするといったことはないでしょうし」
ジャスパーのその言葉に、皆が同意するように頷く。
ゴールスがクラリスと友好的な関係を築く……とまではいかないが、それでも話し合いをするといったようなつもりがあれば、当然だがこのようなあからさまな脅しをするといったようなことはしないだろう。
つまりこれは、ゴールスから改めて行われた宣戦布告のようなものだ。
「そうなると、こちらも戦力を整える方がいいですね。……ギジュさん、出来ればもう何人か私たちの仲間をこの屋敷に呼びたいのですが、構いませんか?」
「ええ、それがクラリス様の安全に繋がるのであれば、構いませんよ」
ジャスパーはギジュの言葉に、助かりますと頭を下げる。
そんなジャスパーの様子を見て、アランはジャスパーが一体誰を連れてこようとしてくるのだろうかを理解した。
(多分、レオノーラだろうな。……けど、現在デルリアに散らばっている仲間たちを纏めているのはレオノーラだ。そのレオノーラをこっちに引っ張ってくると、纏める人材がいなくなるんじゃないか?)
もちろん、他に雲海や黄金の薔薇の探索者を……そして何故か獣牙衆であるにもかかわらず、ロッコーモに負けたという理由で一緒に行動しているサスカッチといった面々を纏められる人物がいない訳ではない。
特に黄金の薔薇の探索者は、元貴族といったものが多いために人を纏めるのに慣れている者はそれなりにいる。
だが……それでも、現在行動している中で一番統率力に優れているのがレオノーラなのは、間違いのない事実だった。
雲海の方にも纏め役としての能力を持っている者は多いが、基本的に雲海の場合は率いているのがイルゼンのような飄々とした人物だけに、そこまで統率力といったものについては気にしている者はおらず、進んでやりたいと思う者も少なかった。
ある意味で、イルゼンのそういうところは凄い能力であるのは間違いないだろう。
飄々としているようでいて、しっかりと纏めるべきところは纏め、それでいて他の面々に不満を抱かせないのだから。
「そうなると、こちらの戦力は随分と増えますね。……ガーウェイ、そちらはどうです? もう二人獣牙衆が抜けたという者たちがいたという話ですが、まだ合流出来ないのですか?」
レオノーラ……もしくはそれ以外かもしれないが、他の場所にいる仲間をこの屋敷に呼んで戦力を充実させる許可を貰ったジャスパーだったが、そのジャスパーが次にそう尋ねたのは、ガーウェイだ。
ゴールスが獣牙衆を使ってくる以上、こちらにも獣牙衆がいるというのは大きな意味を持つ。
純粋な戦力という点では、自分たちでどうにでもなるが、獣牙衆といったような者たちが正面から攻撃をしてくるとは思えない。
……もっとも、サスカッチのように正面から攻めて来た相手もいる以上、他にもそのような性格の者がいないとは、言い切れなかったが。
ともあれ、相手が獣牙衆である以上、こちらも同様に獣牙衆を戦力として数に入れたい。
そうジャスパーが思うのも当然だろう。
「俺も出来れば早くこっちに合流させたいんだけどな。けど、他の獣牙衆に狙われているらしい。そっちをどうにかしてから合流しないと、不味いだろ?」
ガーウェイの言葉は、聞いている者たちを納得させるに十分だった。
今の状況ですら、ゴールスの戦力は大きいのだ。
そこに獣牙衆も協力している以上、出来れば敵の数は少なくなった方がいいと思うのは当然だろう。
(とはいえ、残り二人の獣牙衆がこっちに合流すれば、結局それを狙ってる獣牙衆も敵に合流するってことになるんだし、そういう意味では大して変わらないような気もするけど)
アランにしてみれば、結果的に変わらないのなら、自分や他の仲間がゴールスに味方する獣牙衆と戦わなくてもいいように、自分たちに合流していないもう二人の獣牙衆にも自分たちに合流せずに別行動をとった方がいいと、そう思うのだが。
「そうなると、その二人がこちらに合流するのは予定よりも随分と遅くなるといったところでしょうか?」
「そうなるな。基本的には戦力として考えなくてもいい。……どうしても戦力が足りないのなら、少し無理をしてでもこっちに合流させるつもりだったんだが、そっちで戦力を補充出来るのなら、今はその心配はないんだろう?」
ガーウェイの言葉に、ジャスパーは頷く。
ジャスパーとしては、アランと違って出来れば獣牙衆にも合流して欲しいと思っていたのだが、ガーウェイの様子を見る限りそれは無理だと判断したのだろう。
「戦力についてはそれでいいでしょうね。こちらでも、手を回して信用出来る戦力を出来るだけ集めてみます」
ガーウェイとジャスパーの話し合いを聞いていたギジュは、そう告げる。
この屋敷の主としては、よそからやって来た者たちに対して、戦力的に完全に頼るといった真似はしたくないのだろう。
アランたちはクラリスが連れて来たとはいえ、偶然出会っただけの探索者でしかない。
ガーウェイにいたっては、元獣牙衆だ。
出来れば信用ではなく、信頼出来る戦力を用意したいというのがギジュの正直な気持ちだった。
それを表に出すような真似はしなかったが。
ただ、当然のようにジャスパーやガーウェイはそんなギジュの考えを予想はしている。
しかし、それで自分たちの戦力が多くなるのなら問題はないと判断し、ギジュの思惑に何かを言うような真似はしない。
「そうですか。ワストナの首の件もありますし、この屋敷の内部の警備を厳重にするという意味でも、戦力は多い方がいいでしょうね」
ジャスパーはそう言ってギジュの判断を了承する。
実際、この屋敷はかなりの広さを持つのだ。
そうである以上、どこからか敵が侵入してこないとも限らない。
実際にワストナの生首を敷地内に置いて去っていった相手がいる以上、その辺の警備は厳重になるのはジャスパーにとっても悪いことではない。
「それでは次です。……ゴールスにどう対抗するかということですね」
クラリスの口からゴールスの名前が出ると、会議に参加している者の多くが難しい表情を浮かべる。
ゴールスという存在は、デルリアにおいて非常に強い影響力を持っており、クラリスたちが下手に行動しようとすれば、すぐにそれを見抜かれてしまうだろう。
そして、ゴールスの手によってその行動は潰される。
それこそ、ワストナと同じように。
ゴールスを敵に回した以上、下手に動くことが出来ないのは事実だ。
だが、それでも何の行動も起こさないといった訳にいかないのも、事実。
この状況において、時間は明らかにゴールスの味方なのだから。
だからこそ、今は不利を承知で動いた方がいいのは間違いない。
問題なのは、どう動くかだが。
「ギジュさん、クラリスの味方になってくれそうな有力者って他にいますか?」
アランのその問いに、ギジュは首を横に振る。
そして憂鬱そうな表情で口を開く。
「ワストナの件の情報がもう流れています。それも不自然なほどに早く」
「……ゴールスの仕業ですか?」
自分を裏切った者は殺す。もしくは、自分の味方ではなくても中立の者がクラリスに味方をしても殺す。
そう示すために、ゴールスが噂を流したとしてもおかしくはなかった。
「でしょうね。ともあれ、そのために当初はクラリス様に友好的な態度を示していた者の多くが及び腰になっています」
「でしょうね」
ギジュの言葉に、クラリスは責めるでもなく、同意するように頷く。
クラリスも、自分に友好的な存在が次々に死ぬといったような光景は、見たくない。
だからこそ、ギジュの言葉を聞いてもそう短く言うだけですませたのだ。
「いっそ、ゴールスを屋敷諸共消滅させるってのは? やってやれないことはないだろ?」
妹のように可愛がっているクラリスのためとあってか、過激な意見を口にするアラン。
普通に聞けば、お前は何を言ってるんだ? といった視線を向けられてもおかしくはないのだが、アランの場合は実際にそれを行うだけの実力がある。
この中ではギジュだけが、それを情報だけでしか知らなかった。
ワストナの一件があるまではガーウェイも情報でしか知らず、しかもそれも大袈裟に口にした内容なのだろうと思っていたのだが……ギーグとの戦いでアランが召喚したビームサーベルの一撃を見れば、アランのその言葉は嫌でも理解出来てしまう。
それこそ、個人の強さとは何の意味も持っていないと示すような、圧倒的な力。
それを使えば……
そう思えば、会議室の中が静まるのは当然だった。
0
お気に入りに追加
163
あなたにおすすめの小説
特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
実力を隠し「例え長男でも無能に家は継がせん。他家に養子に出す」と親父殿に言われたところまでは計算通りだったが、まさかハーレム生活になるとは
竹井ゴールド
ライト文芸
日本国内トップ5に入る異能力者の名家、東条院。
その宗家本流の嫡子に生まれた東条院青夜は子供の頃に実母に「16歳までに東条院の家を出ないと命を落とす事になる」と予言され、無能を演じ続け、父親や後妻、異母弟や異母妹、親族や許嫁に馬鹿にされながらも、念願適って中学卒業の春休みに東条院家から田中家に養子に出された。
青夜は4月が誕生日なのでギリギリ16歳までに家を出た訳だが。
その後がよろしくない。
青夜を引き取った田中家の義父、一狼は53歳ながら若い妻を持ち、4人の娘の父親でもあったからだ。
妻、21歳、一狼の8人目の妻、愛。
長女、25歳、皇宮警察の異能力部隊所属、弥生。
次女、22歳、田中流空手道場の師範代、葉月。
三女、19歳、離婚したフランス系アメリカ人の3人目の妻が産んだハーフ、アンジェリカ。
四女、17歳、死別した4人目の妻が産んだ中国系ハーフ、シャンリー。
この5人とも青夜は家族となり、
・・・何これ? 少し想定外なんだけど。
【2023/3/23、24hポイント26万4600pt突破】
【2023/7/11、累計ポイント550万pt突破】
【2023/6/5、お気に入り数2130突破】
【アルファポリスのみの投稿です】
【第6回ライト文芸大賞、22万7046pt、2位】
【2023/6/30、メールが来て出版申請、8/1、慰めメール】
【未完】
日本列島、時震により転移す!
黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
ユーヤのお気楽異世界転移
暇野無学
ファンタジー
死因は神様の当て逃げです! 地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。
Sランク昇進を記念して追放された俺は、追放サイドの令嬢を助けたことがきっかけで、彼女が押しかけ女房のようになって困る!
仁徳
ファンタジー
シロウ・オルダーは、Sランク昇進をきっかけに赤いバラという冒険者チームから『スキル非所持の無能』とを侮蔑され、パーティーから追放される。
しかし彼は、異世界の知識を利用して新な魔法を生み出すスキル【魔学者】を使用できるが、彼はそのスキルを隠し、無能を演じていただけだった。
そうとは知らずに、彼を追放した赤いバラは、今までシロウのサポートのお陰で強くなっていたことを知らずに、ダンジョンに挑む。だが、初めての敗北を経験したり、その後借金を背負ったり地位と名声を失っていく。
一方自由になったシロウは、新な町での冒険者活動で活躍し、一目置かれる存在となりながら、追放したマリーを助けたことで惚れられてしまう。手料理を振る舞ったり、背中を流したり、それはまるで押しかけ女房だった!
これは、チート能力を手に入れてしまったことで、無能を演じたシロウがパーティーを追放され、その後ソロとして活躍して無双すると、他のパーティーから追放されたエルフや魔族といった様々な追放少女が集まり、いつの間にかハーレムパーティーを結成している物語!
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
地獄の手違いで殺されてしまったが、閻魔大王が愛猫と一緒にネット環境付きで異世界転生させてくれました。
克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作、面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります!
高橋翔は地獄の官吏のミスで寿命でもないのに殺されてしまった。だが流石に地獄の十王達だった。配下の失敗にいち早く気付き、本来なら地獄の泰広王(不動明王)だけが初七日に審理する場に、十王全員が勢揃いして善後策を協議する事になった。だが、流石の十王達でも、配下の失敗に気がつくのに六日掛かっていた、高橋翔の身体は既に焼かれて灰となっていた。高橋翔は閻魔大王たちを相手に交渉した。現世で残されていた寿命を異世界で全うさせてくれる事。どのような異世界であろうと、異世界間ネットスーパーを利用して元の生活水準を保証してくれる事。死ぬまでに得ていた貯金と家屋敷、死亡保険金を保証して異世界で使えるようにする事。更には異世界に行く前に地獄で鍛錬させてもらう事まで要求し、権利を勝ち取った。そのお陰で異世界では楽々に生きる事ができた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる