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メルリアナへ
319話
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アランがワストナの屋敷の中庭に出ると、そこではギーグとガーウェイ、ジャスパーという三人の戦いが行われていた。
とはいえ、その戦いはアランが予想したような一方的……といったようなものではなく、かなり互角に近い戦いだ。
ガーウェイが素早い動きでギーグの足を止め、そこにジャスパーが攻撃する。
そんな動きで、ギーグと戦っていたのだ。
とはいえ、そのような戦いをしていても双方共に本気を出してはいない。
ギーグは相手の動きを見極めるため、意図的に防御に徹していたし、ジャスパーも心核を使わず人間のままで戦っていた。
(あれ? もしかして俺、ここに来る必要ってなかったのか? ジャスパーさんが強敵だって話していたから、俺の力が必要だと思ったんだけど)
今更ながらの疑問を抱き、アランはもしかして自分は早まったのか? と思ってしまう。
また、当然の話だが、そんなアランたちの姿はギーグと戦っているガーウェイやジャスパーも目に留める。
「な!? 来るな! このギーグはお前たちがどうこう出来る相手じゃねえ!」
咄嗟に叫ぶガーウェイだったが、それはすでに遅い。
アランたちがこの場に来たときから、既にギーグはその姿を……具体的にはクラリスを見つけていたのだから。
むしろ、そうやってアランたち忠告をしたガーウェイは、その行動のために一瞬動きが止まり……
「ぐぼぁっ!」
その一瞬の隙を見逃すはずがないギーグの拳によって、殴り飛ばされる。
そうして殴り飛ばされながら、それでもまともに拳の一撃を受けるのではなく、殴られた瞬間に軽く跳んで、さらには防御の固めたことでダメージを最低限にした辺り、ガーウェイも獣牙衆の一因というだけはあるのだろう。
「ガーウェイさん!」
ロルフが自分の兄貴分が殴り飛ばされたのを見て叫ぶが、そのガーウェイは殴られながらも空中で何とか体勢を立て直し、足から地面に着地する。
「これは、少し危険かもしれませんね。……出来れば、ここではまだ使いたくなかったのですが……」
このままだと、アランたちの方にギーグが向かうかもしれない。
そう判断したジャスパーは、心核を手に取り……そして次の瞬間、その姿は人間からリビングメイルへと変わる。
当然の話だが、この場にいる者で心核使いという存在を知らない者はいない。
だからこそ、ジャスパーが心核使いとしての力を使ったのだろうと、皆がそう理解する。
「ほう、リビングメイルか。心核使いで変身するモンスターは人それぞれって話だが、それがお前の根源か。……面白いな」
普通なら、心核使いを前にしてそのようなことを言えるような者は多くない。
当然だろう。心核使いというのは、一人いれば戦争でも戦局を引っ繰り返すことが出来るだけの力を持っているのだから。
対峙しているのが心核使いならまだしも、心核使いでも何でもないギーグが好戦的な笑みを浮かべているというのは、普通は有り得ないことだった。
もっとも、ギーグの名前を知っている者であれば、そんなギーグの態度にも納得出来ただろうが。
「アラン、ここに来たということは分かっているね?」
リビングメイルになったジャスパーは、一体どこから声を出しているのだろう。
ふとそんなことを思ったアランだったが、すぐにそれよりも他のことを考えて頷く。
「はい」
ジャスパーの言葉が何を意味してるのかは、明らかだった。
普通なら、このこの状況で戦場に……それもこれだけの強敵がいるような場所にやって来るといったことは、有り得ない。
ましてや、アランの側にはクラリスの姿もあるのだ。
ギーグの狙いがクラリスである以上、それはある意味で自殺行為なのは間違いなかったが……同時に、アランの側にいることこそが一番安全な場所であるというのも、間違いのない事実。
アランとしては出来るだけ……それこそ本当に出来るだけゼオンの召喚はしたくなかったが、それでもいざとなればその方法でクラリスを守ることが出来るというのは事実だ。
それは非常に心強いころであると同時に、もしそのような真似をすれば間違いなく大きな騒動になってしまうだろう。
もっとも、ジャスパーが期待しているのはゼオンを召喚することではなく、ゼオンの武器を召喚することなのだが。
ビームライフルはともかく、ビームサーベルを使えば被害が少ないままでギーグを倒すことが出来る。
いや、蛇の獣人と戦ったときのことを考えれば、倒すのではなく消滅させるといった表現の方が正しいだろう。
また、ビームライフルよりも周囲に与える被害は小さいのは事実だが、現在アランたちがいるワストナの屋敷に大きな被害が出るのは間違いない。
とはいえ、アランにしてみればワストナはクラリスを狙う敵だ。
そうである以上、ワストナの屋敷が破壊されようが、そこまで気にするつもりはない。
ごくり、と。
アランが何を狙っているのかを知っているロルフたちは、これから起きることを考えて息を呑む。
だがそんなロルフたちとは違い、アランが何をしようとしているのが分からないガーウェイは、一体こいつらは何を言ってるんだ? といったような思いしか浮かばない。
ガーウェイにしてみれば、アランはクラリスに慕われてはいるが、言ってみればそれだけの存在でしかない。
ギーグと戦っているような状況を、どうにか出来るとは到底思えなかった。
「ガーウェイ、アランのことは気にしなくてもいい。ただ、私が注意したら即座にその言葉には従うように」
リビングメイルに変身したジャスパーのその言葉に、ガーウェイは不満を抱きながらも納得する。
ガーウェイだけでは、ギーグを相手にしても勝つのは難しい。
ガーウェイも以前戦った時と比べて、間違いなく技量は上がっている。
だが、当然の事ではあるが、ガーウェイが強くなっているということは、ギーグもまた強くなるだけの時間があったのだ。
ギーグが自分の強さに満足し、より高みを目指すといったような真似をしなければ、あるいは実力差が縮まっていた可能性もある。
だが、生憎とガーウェイのそんな思いとは裏腹に、ギーグもまた以前より強くなっていた。
その点はガーウェイにとって大きな誤算であり……ジャスパーという戦力はガーウェイにとってまた別の意味で誤算だった。
ジャスパーという戦力がいなければ、間違いなくギーグとの戦いは自分が負けて終わっていただろう。
負けず嫌いなガーウェイだが、それでもお互いの実力差を分からない訳ではない。
「っ!? 分かったよ! ただ、後で説明して貰うからな!」
結局ガーウェイはジャスパーの言葉にそう返し、ギーグに視線を向ける。
だが、ギーグの方はギーグの方で、今の一連のやり取りを聞いて疑問に思い、アランに視線を向けていた。
「ぐっ!」
特に何かをされた訳ではないが、アランはギーグの視線を向けられただけで強く威圧されたような感じを受ける。
ギーグという、獣人の中でも間違いなく最高峰の実力を持つ相手からの探るような視線には、それだけの圧力があった。
だが、それでもアランは後ろに下がることはない。
自分の側にはクラリスがいて、そのクラリスは自分を頼りにしているのだ。
また、何よりも自分が敵を……ギーグを倒すために、わざわざここまでやって来たのだから、ここで退く訳にはいかない。
「ふんっ、こんな奴を連れて来て、どうするってんだ? まぁ、いい。……仕切り直しといこうかいっ!」
アランを見たギーグだったが、その姿からはどう見ても強敵には思えない。
そう確認すると、すぐアランに興味を失った様子で視線を逸らす。
今のギーグにとって、一番注目すべき相手はアランなどではなく、心核使いのジャスパーだ。
リビングメイルに変身し、槍を手にしたその姿からは強い威圧感を発していた。
そんな相手と戦うのが、ギーグにしてみれば非常に楽しみだったのだろう。
拳を握り締め、それによってギーグの腕が脈動し、一回り程大きくなる。
どうやってそのような真似をするのか、見ている者には分からない。
だがそれでも、戦いではある以上はギーグと戦う必要があり……ジャスパーは一気に前に出る。
ギーグにこれ以上時間を与えるのは危険だと判断したのだろう。
ガーウェイも、そんなジャスパーの動きに釣られるように一気に前に出る。
「はああああぁっ!」
鋭い呼気と共に、放たれるジャスパーの槍。
その槍の攻撃を、ギーグは回避しつつ肥大化した腕を振るう。
鋭く、威力のある一撃。
ギーグの腕を回避しつつ、ジャスパーは槍の一撃を再度放つ。
ガーウェイもまた、そんなジャスパーの攻撃の合間にギーグに向かって一撃を放っているが、その多くはギーグの体毛によって防がれていた。
それでもギーグの意識を多少なりともジャスパーから逸らすという意味では、その行動は有効だった。
そんな戦いが行われている中、アランは意識を集中している。
デルリアまでの旅路の最中に行った訓練によって、ゼオンの武器を召喚することに対してはすでに問題なく出来るようになっている。
だが、この場合問題なのは、いかにタイミングを合わせて召喚させるかということであり……同時に、仲間に被害を与えないようにすることだった。
特にビームサーベルの威力は非常に高く、間違って仲間にぶつけてしまった……といったようなことになれば、洒落にならない。
そうである以上、アランにかかる責任は重大だった。
しかし、今のアランはそんなことを気にした様子もなく意識を武器の召喚に集中している。
自分がここにいるのは、クラリスがギーグに狙われているのを承知の上で、それでもアランを個々に連れてくるという思いがあったからだ。
それを理解している以上、アランとしては集中を乱したりといったようなことは出来ない。
そして……ジャスパーの槍がギーグの脇腹を貫く。
ガーウェイの短剣では傷をつけることが出来なかったギーグの身体だったが、心核使いのジャスパーの放つ槍はギーグの身体にも十分にダメージを与えることに成功したのだ。
「今だ!」
その一撃で動きを止めたギーグを見て、リビングメイルのジャスパーは後方に跳躍しながら叫ぶ。
先程の忠告を覚えていたガーウェイも素早くその場を退避し……
「ビームサーベル!」
その一言と共にビームサーベルが召喚され、同時に展開されたビームの刃によってギーグは一瞬にして消滅するのだった。
とはいえ、その戦いはアランが予想したような一方的……といったようなものではなく、かなり互角に近い戦いだ。
ガーウェイが素早い動きでギーグの足を止め、そこにジャスパーが攻撃する。
そんな動きで、ギーグと戦っていたのだ。
とはいえ、そのような戦いをしていても双方共に本気を出してはいない。
ギーグは相手の動きを見極めるため、意図的に防御に徹していたし、ジャスパーも心核を使わず人間のままで戦っていた。
(あれ? もしかして俺、ここに来る必要ってなかったのか? ジャスパーさんが強敵だって話していたから、俺の力が必要だと思ったんだけど)
今更ながらの疑問を抱き、アランはもしかして自分は早まったのか? と思ってしまう。
また、当然の話だが、そんなアランたちの姿はギーグと戦っているガーウェイやジャスパーも目に留める。
「な!? 来るな! このギーグはお前たちがどうこう出来る相手じゃねえ!」
咄嗟に叫ぶガーウェイだったが、それはすでに遅い。
アランたちがこの場に来たときから、既にギーグはその姿を……具体的にはクラリスを見つけていたのだから。
むしろ、そうやってアランたち忠告をしたガーウェイは、その行動のために一瞬動きが止まり……
「ぐぼぁっ!」
その一瞬の隙を見逃すはずがないギーグの拳によって、殴り飛ばされる。
そうして殴り飛ばされながら、それでもまともに拳の一撃を受けるのではなく、殴られた瞬間に軽く跳んで、さらには防御の固めたことでダメージを最低限にした辺り、ガーウェイも獣牙衆の一因というだけはあるのだろう。
「ガーウェイさん!」
ロルフが自分の兄貴分が殴り飛ばされたのを見て叫ぶが、そのガーウェイは殴られながらも空中で何とか体勢を立て直し、足から地面に着地する。
「これは、少し危険かもしれませんね。……出来れば、ここではまだ使いたくなかったのですが……」
このままだと、アランたちの方にギーグが向かうかもしれない。
そう判断したジャスパーは、心核を手に取り……そして次の瞬間、その姿は人間からリビングメイルへと変わる。
当然の話だが、この場にいる者で心核使いという存在を知らない者はいない。
だからこそ、ジャスパーが心核使いとしての力を使ったのだろうと、皆がそう理解する。
「ほう、リビングメイルか。心核使いで変身するモンスターは人それぞれって話だが、それがお前の根源か。……面白いな」
普通なら、心核使いを前にしてそのようなことを言えるような者は多くない。
当然だろう。心核使いというのは、一人いれば戦争でも戦局を引っ繰り返すことが出来るだけの力を持っているのだから。
対峙しているのが心核使いならまだしも、心核使いでも何でもないギーグが好戦的な笑みを浮かべているというのは、普通は有り得ないことだった。
もっとも、ギーグの名前を知っている者であれば、そんなギーグの態度にも納得出来ただろうが。
「アラン、ここに来たということは分かっているね?」
リビングメイルになったジャスパーは、一体どこから声を出しているのだろう。
ふとそんなことを思ったアランだったが、すぐにそれよりも他のことを考えて頷く。
「はい」
ジャスパーの言葉が何を意味してるのかは、明らかだった。
普通なら、このこの状況で戦場に……それもこれだけの強敵がいるような場所にやって来るといったことは、有り得ない。
ましてや、アランの側にはクラリスの姿もあるのだ。
ギーグの狙いがクラリスである以上、それはある意味で自殺行為なのは間違いなかったが……同時に、アランの側にいることこそが一番安全な場所であるというのも、間違いのない事実。
アランとしては出来るだけ……それこそ本当に出来るだけゼオンの召喚はしたくなかったが、それでもいざとなればその方法でクラリスを守ることが出来るというのは事実だ。
それは非常に心強いころであると同時に、もしそのような真似をすれば間違いなく大きな騒動になってしまうだろう。
もっとも、ジャスパーが期待しているのはゼオンを召喚することではなく、ゼオンの武器を召喚することなのだが。
ビームライフルはともかく、ビームサーベルを使えば被害が少ないままでギーグを倒すことが出来る。
いや、蛇の獣人と戦ったときのことを考えれば、倒すのではなく消滅させるといった表現の方が正しいだろう。
また、ビームライフルよりも周囲に与える被害は小さいのは事実だが、現在アランたちがいるワストナの屋敷に大きな被害が出るのは間違いない。
とはいえ、アランにしてみればワストナはクラリスを狙う敵だ。
そうである以上、ワストナの屋敷が破壊されようが、そこまで気にするつもりはない。
ごくり、と。
アランが何を狙っているのかを知っているロルフたちは、これから起きることを考えて息を呑む。
だがそんなロルフたちとは違い、アランが何をしようとしているのが分からないガーウェイは、一体こいつらは何を言ってるんだ? といったような思いしか浮かばない。
ガーウェイにしてみれば、アランはクラリスに慕われてはいるが、言ってみればそれだけの存在でしかない。
ギーグと戦っているような状況を、どうにか出来るとは到底思えなかった。
「ガーウェイ、アランのことは気にしなくてもいい。ただ、私が注意したら即座にその言葉には従うように」
リビングメイルに変身したジャスパーのその言葉に、ガーウェイは不満を抱きながらも納得する。
ガーウェイだけでは、ギーグを相手にしても勝つのは難しい。
ガーウェイも以前戦った時と比べて、間違いなく技量は上がっている。
だが、当然の事ではあるが、ガーウェイが強くなっているということは、ギーグもまた強くなるだけの時間があったのだ。
ギーグが自分の強さに満足し、より高みを目指すといったような真似をしなければ、あるいは実力差が縮まっていた可能性もある。
だが、生憎とガーウェイのそんな思いとは裏腹に、ギーグもまた以前より強くなっていた。
その点はガーウェイにとって大きな誤算であり……ジャスパーという戦力はガーウェイにとってまた別の意味で誤算だった。
ジャスパーという戦力がいなければ、間違いなくギーグとの戦いは自分が負けて終わっていただろう。
負けず嫌いなガーウェイだが、それでもお互いの実力差を分からない訳ではない。
「っ!? 分かったよ! ただ、後で説明して貰うからな!」
結局ガーウェイはジャスパーの言葉にそう返し、ギーグに視線を向ける。
だが、ギーグの方はギーグの方で、今の一連のやり取りを聞いて疑問に思い、アランに視線を向けていた。
「ぐっ!」
特に何かをされた訳ではないが、アランはギーグの視線を向けられただけで強く威圧されたような感じを受ける。
ギーグという、獣人の中でも間違いなく最高峰の実力を持つ相手からの探るような視線には、それだけの圧力があった。
だが、それでもアランは後ろに下がることはない。
自分の側にはクラリスがいて、そのクラリスは自分を頼りにしているのだ。
また、何よりも自分が敵を……ギーグを倒すために、わざわざここまでやって来たのだから、ここで退く訳にはいかない。
「ふんっ、こんな奴を連れて来て、どうするってんだ? まぁ、いい。……仕切り直しといこうかいっ!」
アランを見たギーグだったが、その姿からはどう見ても強敵には思えない。
そう確認すると、すぐアランに興味を失った様子で視線を逸らす。
今のギーグにとって、一番注目すべき相手はアランなどではなく、心核使いのジャスパーだ。
リビングメイルに変身し、槍を手にしたその姿からは強い威圧感を発していた。
そんな相手と戦うのが、ギーグにしてみれば非常に楽しみだったのだろう。
拳を握り締め、それによってギーグの腕が脈動し、一回り程大きくなる。
どうやってそのような真似をするのか、見ている者には分からない。
だがそれでも、戦いではある以上はギーグと戦う必要があり……ジャスパーは一気に前に出る。
ギーグにこれ以上時間を与えるのは危険だと判断したのだろう。
ガーウェイも、そんなジャスパーの動きに釣られるように一気に前に出る。
「はああああぁっ!」
鋭い呼気と共に、放たれるジャスパーの槍。
その槍の攻撃を、ギーグは回避しつつ肥大化した腕を振るう。
鋭く、威力のある一撃。
ギーグの腕を回避しつつ、ジャスパーは槍の一撃を再度放つ。
ガーウェイもまた、そんなジャスパーの攻撃の合間にギーグに向かって一撃を放っているが、その多くはギーグの体毛によって防がれていた。
それでもギーグの意識を多少なりともジャスパーから逸らすという意味では、その行動は有効だった。
そんな戦いが行われている中、アランは意識を集中している。
デルリアまでの旅路の最中に行った訓練によって、ゼオンの武器を召喚することに対してはすでに問題なく出来るようになっている。
だが、この場合問題なのは、いかにタイミングを合わせて召喚させるかということであり……同時に、仲間に被害を与えないようにすることだった。
特にビームサーベルの威力は非常に高く、間違って仲間にぶつけてしまった……といったようなことになれば、洒落にならない。
そうである以上、アランにかかる責任は重大だった。
しかし、今のアランはそんなことを気にした様子もなく意識を武器の召喚に集中している。
自分がここにいるのは、クラリスがギーグに狙われているのを承知の上で、それでもアランを個々に連れてくるという思いがあったからだ。
それを理解している以上、アランとしては集中を乱したりといったようなことは出来ない。
そして……ジャスパーの槍がギーグの脇腹を貫く。
ガーウェイの短剣では傷をつけることが出来なかったギーグの身体だったが、心核使いのジャスパーの放つ槍はギーグの身体にも十分にダメージを与えることに成功したのだ。
「今だ!」
その一撃で動きを止めたギーグを見て、リビングメイルのジャスパーは後方に跳躍しながら叫ぶ。
先程の忠告を覚えていたガーウェイも素早くその場を退避し……
「ビームサーベル!」
その一言と共にビームサーベルが召喚され、同時に展開されたビームの刃によってギーグは一瞬にして消滅するのだった。
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