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メルリアナへ
313話
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夜……ギジュの屋敷にある部屋で眠っていたアラン、不意に目が覚めた。
とはいえ、それは別に敵が襲ってきた気配を感じて目が覚めたといったようなことではなく、単純にトイレに行きたいと思って目が覚めたのだが。
屋敷に用意された部屋はそれなりに快適ではあったが、それでも部屋にトイレはない。
あるいは屋敷の主人たるギジュや大事な客人のクラリスの部屋には、トイレがあってもおかしくはなかったが。
ともあれ、部屋にトイレがない以上、用を足すにはきちんと部屋の外に用意されたトイレに行く必要がある。
そんな訳で、若干寝惚けた状態ではあったがトイレに向かい、用を足したあとで部屋に戻ろうとしている中で、不意にアランの耳に声が聞こえてきた。
いや、正確には何かが声として明確に聞こえたといった訳ではなく、何かの声が聞こえてきたような気がした……といった表現が正しい。
普段であれば、まだ眠いのだから聞こえてきた声を気にせず部屋に戻っただろう。
しかし、その声が聞こえた瞬間、アランは目を覚ます。
時間がしっかりと確認は出来ないが、外の様子を見れば明るくなる様子はない。
まだ真っ暗の様子を見れば、真夜中と言ってもいいだろう。
今がそのような状況である以上、聞こえてきた声が誰の声なのかということ確認しておく必要があった。
ここで何も行動せず、結果として護衛対象のクラリスに危害を加えられるといったようなことは、絶対に避けるべきなのだから。
(とはいえ、多分大丈夫だとは思うけど)
もし何かを企んでいる者がいたとしても、別にこのような場所で話す必要はないだろう。
それこそ、どこか人に聞かれる心配のない部屋といったような場所で話せばいい。
だというのに、このような場所で話をしているとなれば、それこそ何か後ろ暗いところがあるような話ではなく、何かの打ち合わせや……場合によっては単に雑談をしているだけといった可能性も否定は出来ない。
であれば、わざわざ聞きに行く必要もないのかもしれないが……それでも万が一を考えてのアランの行動だった。
だったのだが……
「それで、クラリスの様子はどうなんだ?」
聞こえてきたクラリスの名前に、アランは足を止める。
「待て」
すると、そんなアランの様子に気が付いたかのように、クラリスの名前を出したのとは別の人物がそう言った。
(え? もしかしてこれって)
そう思いながらも、向こうに気が付かれた以上はここで引き返すのも何だと思いながら、再度歩み始める。
もし何か後ろ暗いことを考えているような相手だった場合、自分だけでどうにかなるのか。
そんな思いもあったのだが、そうなったら即座に誰かを呼ぶといったような真似をすればいいと、そう判断する。
この先にいるのは、敵なのか。
あるいは、敵ではなくても何か後ろ暗いことを考えているような相手ではないのか。
そう思いながら進み……やがてアランが見たのは、狼の獣人のガーウェイ。
もう一人には見覚えがないが、服装からしてこの屋敷で働いているような者でないのは確実だ。
「ガーウェイさん? 一体こんな夜中にどうしたんです? それに、そっちの人……この屋敷の人じゃないですよね?」
服装からこの屋敷の人じゃないと言ったアランだったが、実際には今日この屋敷に来たばかりで、働いている者を全員知っている訳ではない。
そうである以上、ガーウェイがもし話していた相手……二十代くらいのネズミの獣人の男が屋敷で働いている相手だと言えば、あるいはその言葉を信じたかもしれなかったが。
この場で納得しても、あとでしっかりと確認をした可能性はあったが。
「ああ、お前は……アランだったか? ロルフの友達の」
友達という表現に、アランはそうなのか? と若干疑問に思う。
実際、アランはロルフとはそれなりに喋る。
しかし、それで友達かと言われると、素直に頷けないところがあるのも事実だ。
それでも今は友達云々より、ガーウェイがここで何をしていたのかを聞く方が先だろうと判断し、友達云々というところには特に突っ込んだりせず、話を続ける。
「それで、結局こんな真夜中にんな場所で一体何をしてたんですか?」
「ちょっとこいつに外の情報を探ってきて貰ったんだよ」
自分が疑われているというのを理解したのか、それとも単純に隠す必要もないと判断したのか、それはアランにも分からない。
だが、あっさりとそう告げるガーウェイの言葉に、アランはネズミの獣人の男に視線を向ける。
視線を向けはするが、特に何かを言うようなことはない。
そんなアランの態度に何を思ったのか、ネズミの獣人の男はガーウェイに頭を下げるとその場から走り去る。
それはまるでアランの前から逃げるようにすら感じられる行動。
見るからに怪しいそんな行動に、アランは何かを言おうとするも、それよりも前にガーウェイが口を開く。
「で、アランはこんな真夜中に何をしてるんだ? 見張りの類は必要ないってギジュさんが言ってただろ?」
「いえ、ちょっとトイレに。部屋にトイレがないので」
「ああ、そうか。その辺、ちょっと不便だよな。けど、部屋にトイレあるような部屋なんて、そうある訳じゃないし。……ふわああああ……そろそろ、俺も眠くなってきたから、寝るか。じゃあな」
そう言い、アランの前から立ち去る。
そんなガーウェイを呼び止めようとするアランだったが、今この状況でそのような真似をしても意味はない。
それどころか、ガーウェイに心酔しているロルフ辺りに今回の一件を知られると、間違いなくアランが責められるだろう。
何故ガーウェイさんがそのような真似をする必要があるのか、と。
そんな風に言って。
(どうすればいい? ロルフに言うのは無理なら、クラリスに話すか?)
幸い、アランはクラリスから兄のように慕われている。
アランがクラリスに会いたいと思えば、すぐに会うことは出来るだろう。……もちろん、今のような真夜中にクラリスに会うといったような真似は出来ないので、会うとしても明日になるだろうが。
ただし、アランがクラリスに慕われているとはいえ、それは当然ながら無条件で何でもアランの言葉を信じるといったような訳ではない。
クラリスもアランを慕ってはいるが、それはあくまでも私的な面での話であって、公的な面ではクラリスはあくまでも自分の一族のために動く必要がある。
(取りあえず、明日ジャスパーさんにでも相談してみるか)
自分だけで判断することは出来ないと判断し、アランはそう結論づけるのだった。
翌日、アランはメイドによって起こされると、身支度をして食堂に向かう。
ガーウェイの件があったので、考えすぎた結果として少し寝るのが遅くなり、結果としてメイドに起こされるまではぐっすりに眠ってしまっていた。
一体自分は何をやってるんだ。
そんな風に思いつつ、廊下を歩く。
正直なところ、こうして食堂に向かうのが遅くなったのは失態だという認識がアランにはあった。
自分がいない間に、ガーウェイが食堂にいる面々に妙なことを吹き込んでいたら、一体どうすればいいのか。
そんな風に思いながら食堂に到着すると……
「よう、遅かったな」
アランにそう声をかけてきたのは、ロルフ……ではなく、ガーウェイ。
まさか今の状況でガーウェイが自分に声をかけてくるとは思っていなかっただけに、アランは反応が少し遅れる。
「……昨夜、あのあと眠れなくて、少し寝坊してしまいました」
暗に昨夜の件を含ませてガーウェイの反応を見るアランだったが、当の本人はアランのそんな様子を見ても特に気にした様子もなく頷く。
「そうか。けど、眠れるときはしっかり眠っておいた方がいいぞ。いざというとき、睡眠不足で判断力が鈍るってのは、正直どうかと思うしな」
「そうですね。昨夜の件がなければ、そういう風に思うようなこともなかったと思うんですけど」
「あの程度で眠れないというのは、探索者としてはどうかと思うけどな」
そんな二人の会話に興味をもったのか、近くで話を聞いていたロルフは興味深そうに口を開く。
「ガーウェイさん、一体昨夜何があったんですか?」
よし! よく聞いてくれた!
そう内心で叫ぶアラン。
この状況では、アランがガーウェイに聞いても上手い具合に話を誤魔化されそうな気がした。
だが、それは昨夜の一件を知っているアランだからこそであって、その辺の事情を知らないロルフが尋ねたのであれば、ガーウェイもアランに対するように誤魔化すことは出来ないだろう。
そう思い、アランはロルフに対して感謝の言葉すら口にしたかったのだが……
「ん? ああ、昨夜情報を持ってきた知り合いと話しているところで、アランに会ってな」
あっさりと昨夜の一件を口にする。
何か言い繕って誤魔化すのではないか?
そうアランは思っていただけに、ガーウェイのこの言葉には完全に意表を突かれた形だ。
あまりにも自然な様子で口に出したので、アランもそれに対して何かを言うようなことはなく……
「情報? 一体何が分かったんですか?」
改めてアランが口を開くよりも前に、ロルフがそう尋ねる。
ロルフのその言葉に、アランは取りあえず様子を見ることにする。
出遅れたという点はあるが、それ以上に今の状況でそのようなことを言ったりしたら、それがガーウェイの狙い通りなのではないかと、そういった予想もあったからだ。
幸い、アランの聞きたいことはロルフが聞いてくれているので、今の状況で自分がわざわざ場を乱すような真似をすることもないだろうという思いもあった。
ロルフに尋ねられたガーウェイは、何故かアランを一瞥したあとで口を開く。
「ああ。やっぱりゴールスが色々と動いているらしい」
ゴールスという名前に、ロルフだけではなく食堂にいた他の面々もまた動きを止める。
ゴールスがクラリスを殺そうとしているのは、当然だがアランたちも知っていた。
だが、それでもやはり直接動いているといったような話を聞くと、その件に思うところがあるのは間違いないのだ。
「ゴールスの狙いは、クラリス一人だ。そういう目的で動いてるらしい」
そんなガーウェイの言葉に、狙われていると改めて明言されたクラリスは緊張した様子を見せるのだった。
とはいえ、それは別に敵が襲ってきた気配を感じて目が覚めたといったようなことではなく、単純にトイレに行きたいと思って目が覚めたのだが。
屋敷に用意された部屋はそれなりに快適ではあったが、それでも部屋にトイレはない。
あるいは屋敷の主人たるギジュや大事な客人のクラリスの部屋には、トイレがあってもおかしくはなかったが。
ともあれ、部屋にトイレがない以上、用を足すにはきちんと部屋の外に用意されたトイレに行く必要がある。
そんな訳で、若干寝惚けた状態ではあったがトイレに向かい、用を足したあとで部屋に戻ろうとしている中で、不意にアランの耳に声が聞こえてきた。
いや、正確には何かが声として明確に聞こえたといった訳ではなく、何かの声が聞こえてきたような気がした……といった表現が正しい。
普段であれば、まだ眠いのだから聞こえてきた声を気にせず部屋に戻っただろう。
しかし、その声が聞こえた瞬間、アランは目を覚ます。
時間がしっかりと確認は出来ないが、外の様子を見れば明るくなる様子はない。
まだ真っ暗の様子を見れば、真夜中と言ってもいいだろう。
今がそのような状況である以上、聞こえてきた声が誰の声なのかということ確認しておく必要があった。
ここで何も行動せず、結果として護衛対象のクラリスに危害を加えられるといったようなことは、絶対に避けるべきなのだから。
(とはいえ、多分大丈夫だとは思うけど)
もし何かを企んでいる者がいたとしても、別にこのような場所で話す必要はないだろう。
それこそ、どこか人に聞かれる心配のない部屋といったような場所で話せばいい。
だというのに、このような場所で話をしているとなれば、それこそ何か後ろ暗いところがあるような話ではなく、何かの打ち合わせや……場合によっては単に雑談をしているだけといった可能性も否定は出来ない。
であれば、わざわざ聞きに行く必要もないのかもしれないが……それでも万が一を考えてのアランの行動だった。
だったのだが……
「それで、クラリスの様子はどうなんだ?」
聞こえてきたクラリスの名前に、アランは足を止める。
「待て」
すると、そんなアランの様子に気が付いたかのように、クラリスの名前を出したのとは別の人物がそう言った。
(え? もしかしてこれって)
そう思いながらも、向こうに気が付かれた以上はここで引き返すのも何だと思いながら、再度歩み始める。
もし何か後ろ暗いことを考えているような相手だった場合、自分だけでどうにかなるのか。
そんな思いもあったのだが、そうなったら即座に誰かを呼ぶといったような真似をすればいいと、そう判断する。
この先にいるのは、敵なのか。
あるいは、敵ではなくても何か後ろ暗いことを考えているような相手ではないのか。
そう思いながら進み……やがてアランが見たのは、狼の獣人のガーウェイ。
もう一人には見覚えがないが、服装からしてこの屋敷で働いているような者でないのは確実だ。
「ガーウェイさん? 一体こんな夜中にどうしたんです? それに、そっちの人……この屋敷の人じゃないですよね?」
服装からこの屋敷の人じゃないと言ったアランだったが、実際には今日この屋敷に来たばかりで、働いている者を全員知っている訳ではない。
そうである以上、ガーウェイがもし話していた相手……二十代くらいのネズミの獣人の男が屋敷で働いている相手だと言えば、あるいはその言葉を信じたかもしれなかったが。
この場で納得しても、あとでしっかりと確認をした可能性はあったが。
「ああ、お前は……アランだったか? ロルフの友達の」
友達という表現に、アランはそうなのか? と若干疑問に思う。
実際、アランはロルフとはそれなりに喋る。
しかし、それで友達かと言われると、素直に頷けないところがあるのも事実だ。
それでも今は友達云々より、ガーウェイがここで何をしていたのかを聞く方が先だろうと判断し、友達云々というところには特に突っ込んだりせず、話を続ける。
「それで、結局こんな真夜中にんな場所で一体何をしてたんですか?」
「ちょっとこいつに外の情報を探ってきて貰ったんだよ」
自分が疑われているというのを理解したのか、それとも単純に隠す必要もないと判断したのか、それはアランにも分からない。
だが、あっさりとそう告げるガーウェイの言葉に、アランはネズミの獣人の男に視線を向ける。
視線を向けはするが、特に何かを言うようなことはない。
そんなアランの態度に何を思ったのか、ネズミの獣人の男はガーウェイに頭を下げるとその場から走り去る。
それはまるでアランの前から逃げるようにすら感じられる行動。
見るからに怪しいそんな行動に、アランは何かを言おうとするも、それよりも前にガーウェイが口を開く。
「で、アランはこんな真夜中に何をしてるんだ? 見張りの類は必要ないってギジュさんが言ってただろ?」
「いえ、ちょっとトイレに。部屋にトイレがないので」
「ああ、そうか。その辺、ちょっと不便だよな。けど、部屋にトイレあるような部屋なんて、そうある訳じゃないし。……ふわああああ……そろそろ、俺も眠くなってきたから、寝るか。じゃあな」
そう言い、アランの前から立ち去る。
そんなガーウェイを呼び止めようとするアランだったが、今この状況でそのような真似をしても意味はない。
それどころか、ガーウェイに心酔しているロルフ辺りに今回の一件を知られると、間違いなくアランが責められるだろう。
何故ガーウェイさんがそのような真似をする必要があるのか、と。
そんな風に言って。
(どうすればいい? ロルフに言うのは無理なら、クラリスに話すか?)
幸い、アランはクラリスから兄のように慕われている。
アランがクラリスに会いたいと思えば、すぐに会うことは出来るだろう。……もちろん、今のような真夜中にクラリスに会うといったような真似は出来ないので、会うとしても明日になるだろうが。
ただし、アランがクラリスに慕われているとはいえ、それは当然ながら無条件で何でもアランの言葉を信じるといったような訳ではない。
クラリスもアランを慕ってはいるが、それはあくまでも私的な面での話であって、公的な面ではクラリスはあくまでも自分の一族のために動く必要がある。
(取りあえず、明日ジャスパーさんにでも相談してみるか)
自分だけで判断することは出来ないと判断し、アランはそう結論づけるのだった。
翌日、アランはメイドによって起こされると、身支度をして食堂に向かう。
ガーウェイの件があったので、考えすぎた結果として少し寝るのが遅くなり、結果としてメイドに起こされるまではぐっすりに眠ってしまっていた。
一体自分は何をやってるんだ。
そんな風に思いつつ、廊下を歩く。
正直なところ、こうして食堂に向かうのが遅くなったのは失態だという認識がアランにはあった。
自分がいない間に、ガーウェイが食堂にいる面々に妙なことを吹き込んでいたら、一体どうすればいいのか。
そんな風に思いながら食堂に到着すると……
「よう、遅かったな」
アランにそう声をかけてきたのは、ロルフ……ではなく、ガーウェイ。
まさか今の状況でガーウェイが自分に声をかけてくるとは思っていなかっただけに、アランは反応が少し遅れる。
「……昨夜、あのあと眠れなくて、少し寝坊してしまいました」
暗に昨夜の件を含ませてガーウェイの反応を見るアランだったが、当の本人はアランのそんな様子を見ても特に気にした様子もなく頷く。
「そうか。けど、眠れるときはしっかり眠っておいた方がいいぞ。いざというとき、睡眠不足で判断力が鈍るってのは、正直どうかと思うしな」
「そうですね。昨夜の件がなければ、そういう風に思うようなこともなかったと思うんですけど」
「あの程度で眠れないというのは、探索者としてはどうかと思うけどな」
そんな二人の会話に興味をもったのか、近くで話を聞いていたロルフは興味深そうに口を開く。
「ガーウェイさん、一体昨夜何があったんですか?」
よし! よく聞いてくれた!
そう内心で叫ぶアラン。
この状況では、アランがガーウェイに聞いても上手い具合に話を誤魔化されそうな気がした。
だが、それは昨夜の一件を知っているアランだからこそであって、その辺の事情を知らないロルフが尋ねたのであれば、ガーウェイもアランに対するように誤魔化すことは出来ないだろう。
そう思い、アランはロルフに対して感謝の言葉すら口にしたかったのだが……
「ん? ああ、昨夜情報を持ってきた知り合いと話しているところで、アランに会ってな」
あっさりと昨夜の一件を口にする。
何か言い繕って誤魔化すのではないか?
そうアランは思っていただけに、ガーウェイのこの言葉には完全に意表を突かれた形だ。
あまりにも自然な様子で口に出したので、アランもそれに対して何かを言うようなことはなく……
「情報? 一体何が分かったんですか?」
改めてアランが口を開くよりも前に、ロルフがそう尋ねる。
ロルフのその言葉に、アランは取りあえず様子を見ることにする。
出遅れたという点はあるが、それ以上に今の状況でそのようなことを言ったりしたら、それがガーウェイの狙い通りなのではないかと、そういった予想もあったからだ。
幸い、アランの聞きたいことはロルフが聞いてくれているので、今の状況で自分がわざわざ場を乱すような真似をすることもないだろうという思いもあった。
ロルフに尋ねられたガーウェイは、何故かアランを一瞥したあとで口を開く。
「ああ。やっぱりゴールスが色々と動いているらしい」
ゴールスという名前に、ロルフだけではなく食堂にいた他の面々もまた動きを止める。
ゴールスがクラリスを殺そうとしているのは、当然だがアランたちも知っていた。
だが、それでもやはり直接動いているといったような話を聞くと、その件に思うところがあるのは間違いないのだ。
「ゴールスの狙いは、クラリス一人だ。そういう目的で動いてるらしい」
そんなガーウェイの言葉に、狙われていると改めて明言されたクラリスは緊張した様子を見せるのだった。
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