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逃避行
268話
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雲海と黄金の薔薇の面々が遺跡の側に野営地を作り、そこでガリンダミア帝国軍の追撃隊が諦めるのを待ってる頃……帝都では、新たな動きがあった。
「それは、事実ですか?」
「うん。僕の手の者が知らせてくれたんだ。間違いはないと思うよ。……それとも、僕の言葉を疑うかい?」
「いえ、滅相もありません。ですが……まさか、こちらが予想していない場所どころか、全く正反対の方に向かっていたとは……」
信じられない。
そんな思いで呟くのは、五十代ほどの男が。
筋骨隆々で顔にも斬り傷がいくつかあり、見てるだけで歴戦の人物であると理解出来る姿。
そんな人物が、目の前にいる十歳前後の少年と呼ぶべき相手を前に、畏まっている。
それも表向きだけそうすればいいと思っての態度ではなく、心の底から目の前の相手に敬意を払っていた。
「そんな訳で、ダーズラ。そろそろアランを手元に戻してもいい頃合いだと思うんだけど……お願い出来るかい?」
「は。ビッシュ様のご命令であれば。非才の身ながら全力をつくしましょう」
「ふふっ、君が非才なら、世の中のほとんどが非才ということになると思うけどね。……まぁ、いい。じゃあ、頼んだよ。ただ……アランにはゼオンがある。それにアランの仲間には黄金のドラゴンに変身する心核使いもいる」
黄金のドラゴンと聞き、ダーズラは息を呑む。
アランを救出する際の陽動で、城の中庭に姿を現した黄金のドラゴン。
それは、帝城の結界を破壊し……そして、目立つ動きをしたことにより、帝城に残っていた多くの心核使いが中庭に向かい、命を落とした。
これまでの雲海や黄金の薔薇……いや、アランやレオノーラとの戦いによって、命を落とした心核使いはかなりの数になる。
中にはガリンダミア帝国の精鋭や切り札、奥の手……といったような者たちも含まれており、冗談でも何でもなく一国との戦争よりも被害が大きい。
不幸中の幸いと言うべきか、戦争に比べると死んだ兵士の数はそこまで多くはないが……心核使いというのは、非常に希少な存在だ。
何しろ、一人いれば戦況を引っ繰り返すことも可能と言われている戦力なのだから。
そのような者たちが多数死んでいるのを思えば、ガリンダミア帝国が受けた被害は笑ってすませられるようなものではない。
そして何よりダーズラが困るのは、それだけの戦力が失われてしまっただけに、これからアランを捕らえるために動かせる戦力――心核使いという意味でだが――がほぼ階無に等しいということだろう。
「そうですな。今まで集めた情報から考えると、容易な相手ではないかと」
「特にアランは要注意だね。あくまでも生かして捕らえるというのが前提条件だというのもあるけど、アランがゼオンに乗るとかなり強敵になる。生身で戦ったら容易に倒せるから、もしアランと戦う場合は心核を使わせる前に手を打った方がいいだろうね」
「ビッシュ様の助言、ありがたく受け取らせて貰います。ですが、雲海と黄金の薔薇には他にも心核使いが多数おります。何かよい知恵をお借り出来ないでしょうか?」
「うーん、知恵か。難しいところだね。……あ、そうだ。そう言えば以前どこかの遺跡で発見された使い捨てのマジックアイテムがあったね。一定範囲内の心核の発動を妨害するという」
心核の妨害。
それは非常に強力なマジックアイテムと言ってもよかった。
心核使いに心核を使わせないのだから。
「そのような素晴らしいマジックアイテムがあるのですか」
「あるよ。けど……うーん、効果が強力なんだけど、代償も大きいんだよね」
代償が大きいと言われ、ダーズラは表情を引き締める。
目の前の人物がどのような人物なのかは、当然のように知っているためだ。
そのような人物に代償が大きいと言わせるのであれば、それは一体どれだけの代償の大きさなのか。
「具体的にはどのような代償でしょう?」
「簡単に言えば、基本的にはそのマジックアイテムを使った者は死ぬね」
「なるほど、たしかに厳しい代償ですね。ですが、それだけであれば……それこそ、囚人辺りを使えば問題はないのでは? それがどのようなマジックアイテムなのかを言わなければ、使う方も躊躇するような真似はしないでしょうし」
そう告げるダーズラだったがビッシュは首を横に振る。
「いや、死ぬだけじゃないよ。使用者にかなりの魔力が必要とされるんだ。一定以下の魔力の持ち主だと、マジックアイテムが起動すらしない」
「それは……厳しいですな」
「そうだね。そして問題なのは、使用者の魔力が強ければ強いほど、心核を使えなくする効果時間が長くなるということ。また、心核使いが強ければ魔力的な負担も増えるらしいね」
それはつまり、本来なら戦争において主力となるような魔力を持つ者……魔法使いの命を消費する必要があるということだった。
アラン一人を捕らえるために犠牲になるにしては、その犠牲は大きすぎる。
だが、ダーズラはビッシュの言葉を聞いてもそれでは使わないとは言わない。
もしここでそう言ってしまえば、ビッシュは何か別の手段を考えてくれるだろう。
だが、ビッシュは現在使える手段の中で最も犠牲の少ない方法として、マジックアイテムについて提案してきたのだ。
つまり、この提案を拒んだ場合はもっと犠牲の大きな方法か……もしくは、ダーズラが自分で今回の一件をどうにかする必要があった。
そしてダーズラが集めた情報から考えても、雲海と黄金の薔薇というのは非常に強大な戦力を持っているのは間違いない。
であれば、ここで別の手段を考えるといった選択肢はなかった。
(これだけの犠牲を出しても手に入れるべき人物……アランか。厄介そうな相手だ)
アランに対する認識を新たにしてから、ダーズラは口を開く。
「そのマジックアイテムを使うしかないようですね。……そうなると、誰を使うかですが」
命を消費するマジックアイテムを使うと決めた以上、次に問題になるのは誰にそのマジックアイテムを使わせるかといったことだろう。
そもそも、マジックアイテムを使うのには大量の魔力を持っている者が必要となる。
そうである以上、当然のようにそのような者は多くはない。
それだけの人材を消耗する以上、誰を使うか……死んでも出来るだけ影響の少ない人物を選ぶ必要があった。
「出来れば囚人の中にそのような者がいれば一番手っ取り早いのですが」
「ああ、なるほど。そのマジックアイテムを使って生きていれば釈放するとか、そんな感じかい?」
「はい。ただ、生きていればではなく、マジックアイテムを使うには大量の魔力を消費する必要があり、それを行える者の手が空いていないので……といった説明になるかと。わざわざ死ぬ可能性を話す必要はないかと」
「そうかい? まぁ、その辺はダーズラに任せるよ。君がそれでいいと思ったら、そう判断してくれればいいから」
「は! では、調べてみます。……多少の魔力を持つ者なら、それなりに多いのですがね」
「あはは。それはそうだね。けど、今はその辺を考えるような余裕はないと思うよ。少しでも急いでアランを確保してほしいしね」
その言葉に、それならアランを逃がさねばよかったのでは? とダーズラは思ってしまう。
だが、ビッシュが逃がした以上は何らかの理由があってのことだろうと判断し、それ以上は何も言わない。
「分かりました。すぐにでも手を回して用意させます。……アラン以外の者は殺しても構わないので? 強力な心核使いということであれば、黄金のドラゴンもいましたが」
「ああ、あれね。アランのゼオンと違って、ドラゴンは強力なモンスターではあっても今までに前例がない訳じゃないしね。ほら、ダーズラも子供の頃に見たことがあっただろ?」
十歳かそこらの子供が、五十代の男に言う台詞としては、明らかにおかしい。
だが、言われたダーズラの方もそれを特に気にした様子もなく頷く。
「ありましたね。あの頃は大変でした。……ビッシュ様のおかげでガリンダミア帝国もここまで大きくなりましたが」
懐かしいものでも思い出すかのように呟くダーズラに、ビッシュもまた笑みを浮かべる。
「君たちは生き急ぎするからね。……ともあれ、昔話はこの件が終わってからゆっくりするとしよう。君の大好きなシチューでも食べながら、ね」
シチューと言われ、ダーズラはその強面の顔に笑みを浮かべる。
ダーズラがシチューを好きだというのを覚えていてもらって嬉しかったのだが、同時に自分の好物を知っている者が少なくなっていることを残念にも思う。
「では、戻ってきたらご馳走になりましょう。……そろそろ準備があるので、この辺で失礼します。犯罪者を出すにも、色々と手続きが必要ですので」
「こっちで手を回してもいいけど?」
「いえ。あまりビッシュ様に頼る訳にはいきませんから。私もそれなりにこの手の作業にはなれていますしね」
「そう。じゃあ、お願いね」
「は。失礼します」
ビッシュの言葉に、ダーズラはそう言うと深々と頭を下げる。
それは見せかけだけの敬意ではなく、本当に心の底からビッシュという存在に対して敬意を抱いているように思えた。
そんなダーズラが部屋を出ていくと、ビッシュは何を考えているのか分からないような深い瞳であらぬ方を見て……
「さて、これでどう動くかだね」
そう呟くのだった。
「……それは本当か? 本当にそのマジックアイテムを起動させれば、俺は自由になれるのか?」
犯罪者を収容する、一種の刑務所とも呼ぶべき場所。
そこでダーズラは一人の男と話していた。
ダーズラが提案したのは、もちろん心核を使えなくするマジックアイテムを使うこと。
それを使えば死ぬのだから、ダーズラはそれを表に出すようなことはしない。
それどころか、死ぬということは捕まっている状態からは解放されるのだから、ある意味で自分の言ってることは間違っていないと、そう考えてすらいた。
「ああ、本当だ。ただし、その場合でも無条件にという訳ではない。ガリンダミア帝国軍の軍人として働いて貰う」
そう告げ、先があるように相手に誤解させるのだった。
「それは、事実ですか?」
「うん。僕の手の者が知らせてくれたんだ。間違いはないと思うよ。……それとも、僕の言葉を疑うかい?」
「いえ、滅相もありません。ですが……まさか、こちらが予想していない場所どころか、全く正反対の方に向かっていたとは……」
信じられない。
そんな思いで呟くのは、五十代ほどの男が。
筋骨隆々で顔にも斬り傷がいくつかあり、見てるだけで歴戦の人物であると理解出来る姿。
そんな人物が、目の前にいる十歳前後の少年と呼ぶべき相手を前に、畏まっている。
それも表向きだけそうすればいいと思っての態度ではなく、心の底から目の前の相手に敬意を払っていた。
「そんな訳で、ダーズラ。そろそろアランを手元に戻してもいい頃合いだと思うんだけど……お願い出来るかい?」
「は。ビッシュ様のご命令であれば。非才の身ながら全力をつくしましょう」
「ふふっ、君が非才なら、世の中のほとんどが非才ということになると思うけどね。……まぁ、いい。じゃあ、頼んだよ。ただ……アランにはゼオンがある。それにアランの仲間には黄金のドラゴンに変身する心核使いもいる」
黄金のドラゴンと聞き、ダーズラは息を呑む。
アランを救出する際の陽動で、城の中庭に姿を現した黄金のドラゴン。
それは、帝城の結界を破壊し……そして、目立つ動きをしたことにより、帝城に残っていた多くの心核使いが中庭に向かい、命を落とした。
これまでの雲海や黄金の薔薇……いや、アランやレオノーラとの戦いによって、命を落とした心核使いはかなりの数になる。
中にはガリンダミア帝国の精鋭や切り札、奥の手……といったような者たちも含まれており、冗談でも何でもなく一国との戦争よりも被害が大きい。
不幸中の幸いと言うべきか、戦争に比べると死んだ兵士の数はそこまで多くはないが……心核使いというのは、非常に希少な存在だ。
何しろ、一人いれば戦況を引っ繰り返すことも可能と言われている戦力なのだから。
そのような者たちが多数死んでいるのを思えば、ガリンダミア帝国が受けた被害は笑ってすませられるようなものではない。
そして何よりダーズラが困るのは、それだけの戦力が失われてしまっただけに、これからアランを捕らえるために動かせる戦力――心核使いという意味でだが――がほぼ階無に等しいということだろう。
「そうですな。今まで集めた情報から考えると、容易な相手ではないかと」
「特にアランは要注意だね。あくまでも生かして捕らえるというのが前提条件だというのもあるけど、アランがゼオンに乗るとかなり強敵になる。生身で戦ったら容易に倒せるから、もしアランと戦う場合は心核を使わせる前に手を打った方がいいだろうね」
「ビッシュ様の助言、ありがたく受け取らせて貰います。ですが、雲海と黄金の薔薇には他にも心核使いが多数おります。何かよい知恵をお借り出来ないでしょうか?」
「うーん、知恵か。難しいところだね。……あ、そうだ。そう言えば以前どこかの遺跡で発見された使い捨てのマジックアイテムがあったね。一定範囲内の心核の発動を妨害するという」
心核の妨害。
それは非常に強力なマジックアイテムと言ってもよかった。
心核使いに心核を使わせないのだから。
「そのような素晴らしいマジックアイテムがあるのですか」
「あるよ。けど……うーん、効果が強力なんだけど、代償も大きいんだよね」
代償が大きいと言われ、ダーズラは表情を引き締める。
目の前の人物がどのような人物なのかは、当然のように知っているためだ。
そのような人物に代償が大きいと言わせるのであれば、それは一体どれだけの代償の大きさなのか。
「具体的にはどのような代償でしょう?」
「簡単に言えば、基本的にはそのマジックアイテムを使った者は死ぬね」
「なるほど、たしかに厳しい代償ですね。ですが、それだけであれば……それこそ、囚人辺りを使えば問題はないのでは? それがどのようなマジックアイテムなのかを言わなければ、使う方も躊躇するような真似はしないでしょうし」
そう告げるダーズラだったがビッシュは首を横に振る。
「いや、死ぬだけじゃないよ。使用者にかなりの魔力が必要とされるんだ。一定以下の魔力の持ち主だと、マジックアイテムが起動すらしない」
「それは……厳しいですな」
「そうだね。そして問題なのは、使用者の魔力が強ければ強いほど、心核を使えなくする効果時間が長くなるということ。また、心核使いが強ければ魔力的な負担も増えるらしいね」
それはつまり、本来なら戦争において主力となるような魔力を持つ者……魔法使いの命を消費する必要があるということだった。
アラン一人を捕らえるために犠牲になるにしては、その犠牲は大きすぎる。
だが、ダーズラはビッシュの言葉を聞いてもそれでは使わないとは言わない。
もしここでそう言ってしまえば、ビッシュは何か別の手段を考えてくれるだろう。
だが、ビッシュは現在使える手段の中で最も犠牲の少ない方法として、マジックアイテムについて提案してきたのだ。
つまり、この提案を拒んだ場合はもっと犠牲の大きな方法か……もしくは、ダーズラが自分で今回の一件をどうにかする必要があった。
そしてダーズラが集めた情報から考えても、雲海と黄金の薔薇というのは非常に強大な戦力を持っているのは間違いない。
であれば、ここで別の手段を考えるといった選択肢はなかった。
(これだけの犠牲を出しても手に入れるべき人物……アランか。厄介そうな相手だ)
アランに対する認識を新たにしてから、ダーズラは口を開く。
「そのマジックアイテムを使うしかないようですね。……そうなると、誰を使うかですが」
命を消費するマジックアイテムを使うと決めた以上、次に問題になるのは誰にそのマジックアイテムを使わせるかといったことだろう。
そもそも、マジックアイテムを使うのには大量の魔力を持っている者が必要となる。
そうである以上、当然のようにそのような者は多くはない。
それだけの人材を消耗する以上、誰を使うか……死んでも出来るだけ影響の少ない人物を選ぶ必要があった。
「出来れば囚人の中にそのような者がいれば一番手っ取り早いのですが」
「ああ、なるほど。そのマジックアイテムを使って生きていれば釈放するとか、そんな感じかい?」
「はい。ただ、生きていればではなく、マジックアイテムを使うには大量の魔力を消費する必要があり、それを行える者の手が空いていないので……といった説明になるかと。わざわざ死ぬ可能性を話す必要はないかと」
「そうかい? まぁ、その辺はダーズラに任せるよ。君がそれでいいと思ったら、そう判断してくれればいいから」
「は! では、調べてみます。……多少の魔力を持つ者なら、それなりに多いのですがね」
「あはは。それはそうだね。けど、今はその辺を考えるような余裕はないと思うよ。少しでも急いでアランを確保してほしいしね」
その言葉に、それならアランを逃がさねばよかったのでは? とダーズラは思ってしまう。
だが、ビッシュが逃がした以上は何らかの理由があってのことだろうと判断し、それ以上は何も言わない。
「分かりました。すぐにでも手を回して用意させます。……アラン以外の者は殺しても構わないので? 強力な心核使いということであれば、黄金のドラゴンもいましたが」
「ああ、あれね。アランのゼオンと違って、ドラゴンは強力なモンスターではあっても今までに前例がない訳じゃないしね。ほら、ダーズラも子供の頃に見たことがあっただろ?」
十歳かそこらの子供が、五十代の男に言う台詞としては、明らかにおかしい。
だが、言われたダーズラの方もそれを特に気にした様子もなく頷く。
「ありましたね。あの頃は大変でした。……ビッシュ様のおかげでガリンダミア帝国もここまで大きくなりましたが」
懐かしいものでも思い出すかのように呟くダーズラに、ビッシュもまた笑みを浮かべる。
「君たちは生き急ぎするからね。……ともあれ、昔話はこの件が終わってからゆっくりするとしよう。君の大好きなシチューでも食べながら、ね」
シチューと言われ、ダーズラはその強面の顔に笑みを浮かべる。
ダーズラがシチューを好きだというのを覚えていてもらって嬉しかったのだが、同時に自分の好物を知っている者が少なくなっていることを残念にも思う。
「では、戻ってきたらご馳走になりましょう。……そろそろ準備があるので、この辺で失礼します。犯罪者を出すにも、色々と手続きが必要ですので」
「こっちで手を回してもいいけど?」
「いえ。あまりビッシュ様に頼る訳にはいきませんから。私もそれなりにこの手の作業にはなれていますしね」
「そう。じゃあ、お願いね」
「は。失礼します」
ビッシュの言葉に、ダーズラはそう言うと深々と頭を下げる。
それは見せかけだけの敬意ではなく、本当に心の底からビッシュという存在に対して敬意を抱いているように思えた。
そんなダーズラが部屋を出ていくと、ビッシュは何を考えているのか分からないような深い瞳であらぬ方を見て……
「さて、これでどう動くかだね」
そう呟くのだった。
「……それは本当か? 本当にそのマジックアイテムを起動させれば、俺は自由になれるのか?」
犯罪者を収容する、一種の刑務所とも呼ぶべき場所。
そこでダーズラは一人の男と話していた。
ダーズラが提案したのは、もちろん心核を使えなくするマジックアイテムを使うこと。
それを使えば死ぬのだから、ダーズラはそれを表に出すようなことはしない。
それどころか、死ぬということは捕まっている状態からは解放されるのだから、ある意味で自分の言ってることは間違っていないと、そう考えてすらいた。
「ああ、本当だ。ただし、その場合でも無条件にという訳ではない。ガリンダミア帝国軍の軍人として働いて貰う」
そう告げ、先があるように相手に誤解させるのだった。
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