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囚われの姫君?
228話
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帝都から援軍が来た。
そう砦の兵士が叫ぶと、当然のことだが砦の兵士たちの士気は上がる。
現状でも、決して圧倒的に勝っている訳ではなかったが、それでも自分たちの方が有利な状況だったのは間違いないのだ。
であれば、当然の話だがこの状況で味方の援軍がやって来たとなれば、自分たちの勝利は確実だ。
ましてや、援軍がやって来たのは帝都から。
つまり、レジスタンスにとっては前も後ろもガリンダミア帝国軍によって押さえられてしまったということになる。
確実な勝利が目前にあるのだから、砦の兵士たちに喜ぶなという方が無理だった。
そんな砦の兵士たちとは違い、レジスタンスの方は今の言葉に絶望感が漂う。
元々の戦いでも自分たちが押され気味だったのに、今はさらに敵に援軍が来るというのだから、それは当然だろう。
元々、レジスタンスは一枚岩ではない。
鋼の蜘蛛が中心になって部隊を編成したのは間違いないが、それでも戦力が足りなかったために、他にもいくつかのレジスタンスが協力している。
その上、レジスタンスと名乗ってはいても、実際には戦士と呼ぶべき人材はそこまで多くはない。
もちろん、レジスタンスをやっている以上、ある程度の戦闘訓練は重ねているのだが……それでも、どうしても本職の兵士には負けてしまう。
そんな状況で、敵の援軍がやって来たのだ。
とてもではないが、レジスタンスがこれ以上ここで戦うのは不可能だ。
「おい、どうするんだよ! このままだと、前後から挟み撃ちだぞ!」
レジスタンスの一人が、焦ったように言う。
だが、そのように叫んだからといって、今の状況からすぐにどうこう出来るはずがない。
「鋼の蜘蛛の連中の話に乗ったのが、そもそも間違いだったんだよ! くそがぁっ!」
今回の作戦を提案してきた鋼の蜘蛛に苛立ちをぶつけるレジスタンスもいるが、当然ながらそんなことを聞いているような者はいない。
そもそも、今回の砦に対する襲撃はあくまでも鋼の蜘蛛が繋がりのある……ある程度友好的なレジスタンスに対して参加しないかと誘ったものだ。
当然のように、それは強制ではない以上、断るといった選択肢もあった。
だが、そんな状況であっても、断るといったようなことをせずに引き受けたレジスタンスたちが、現在この砦で戦っている者たちなのだ。
だというのに、ここで鋼の蜘蛛に不満を口にするには、おかしい。
それは叫んだ者も理解している。
理解しているのだが、今のような絶体絶命の状況となってしまったのを考えると、そんな不満を口に出してしまうのも当然のことだった。
今回の襲撃がここまで苦戦した最大の要素は、この砦にいる戦力を見誤っていた……ということだろう。
レジスタンスの間でも……いや、帝都に住む者の多くは、この砦の評判について知っている。
もちろん、鋼の蜘蛛がこの砦を襲撃する前にも、しっかりとこの砦の戦力について調べてもいた。
だが……それでも、そこまで突出した戦力がいるという報告はなかったのだ。
それでも、こうして苦戦をしている。……いや、敵の援軍が来れば、負けは確定してしまう。
また、そんなレジスタンス側の士気を少しでも低くしようと……そして自分たちの士気をあげようと、砦の兵士たちは繰り返し援軍が来る、援軍が来るまで耐えれば勝てると、そう叫ぶ。
「お、おい。逃げなくてもいいのか? このままだと俺たちは負けて、捕まるぞ!」
「そんな余裕があると思うのか!? それに、逃げるったって、どこに逃げるんだよ! 帝都の方に逃げても援軍とぶつかるだけだぞ! それも、背後からはここの兵士たちに追撃されて!」
この状況でレジスタンスたちが逃げ出せば、当然の話だが砦の兵士たちはそれを追撃するだろう。
そうすると、帝都からやって来た援軍と挟み撃ちになり……それこそ、殲滅させられる未来しか、想像出来ない。
どうする、このままここで戦っていてもいいのか。いや、ここで戦っていれば、間違いなく帝都からの援軍がやってくる。どうする。今ここで逃げるのか。だが、そうすればただでさえ現在レジスタンス側が不利なのに、致命的なまでに負けてしまう。
戦っているレジスタンスたちが、そんなことを考える。
だが……全力で戦っていてさえ、不利な状況なのだ。
だというのに、そのような状況で戦いに専念せず、考えごとをするような真似をすれば……当然の話だが、戦いの勢いは砦の兵士たちのほうが今まで以上に勝ることになる。
「ちっ、この調子だと本当に駄目だな。……けど、どうすればいいんだ? やっぱり撤退した方がよくないか?」
レジスタンスの一人がそう呟くが……その提案は少しばかり遅い。
『うおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!』
不意に周囲に響き渡ったその声は、砦の兵士たちにしてみれば救いの声であり……レジスタンスたちにしてみれば、絶望の声だ。
「嘘だろ!? もう援軍が来やがったってのか! 早すぎる!」
レジスタンスの一人が絶望と苛立ちを込めてそう叫ぶが、来てしまった以上はどうしようもない。
実際には、帝都からやってきた援軍の中には魔法使い……それも一定の集団の移動速度を上げることが出来るという魔法を使える者がおり、それがここまで早くここにやって来ることが出来た理由だった。
その結果として、レジスタンスは本当の意味で危機を迎える。
今までは、押され気味ではあったが、それでもかなり拮抗した状態となっていた。
だが、今はその拮抗した状態が完全に崩れてしまったのだ。
そうである以上、もう勝ち目はなくなったのだから、さっさとこの場から逃げ出す必要がある。
……ただし、この場合問題なのは一体どこに逃げれればいいのか、ということだろう。
いや、それ以上にすでに援軍が到着している以上、一体砦からどうやって脱出すればいいのかという問題もある。
(最悪だ。このままだと、レジスタンスは全滅するぞ。それもかなりの数のレジスタンスがだ)
周囲に状況を確認したレジスタンスの一人が、絶望と共にそう考える。
そう考えたのは一人だけではなく、他のレジスタンスたちも同様だった。
「来た! 来たぞ!」
レジスタンスの一人が、自分たちの後ろを見て叫ぶ。
この砦に帝都からの援軍が来ていたことは知っていたが、それでも実際にここにやって来たとなれば、レジスタンスたちが強い焦燥感を覚えるのも当然だろう。
……とはいえ、ここが砦の中で行われている戦いで、一番激しい戦いが行われている場所だ。
そうである以上、帝都からの援軍が可能な限り早くここにやって来るのは、当然だろう。
「くそうっ! やるしかねえだろ!」
援軍が入ってきた場所の近くにいた男が、そう叫びながら長剣を振るう。
しかし、その一撃はあっさりと……それこそ、新たに入ってきた兵士には何の問題もないかのように、防がれる。
その一撃を放ったレジスタンスの男にしてみれば、決死の覚悟での攻撃だったのだが……それを受けたガリンダミア帝国軍の兵士にしてみれば、特に苦戦することもないような、その程度の一撃でしかない。
砦にいた兵士であれば、間違いなく効果のあった一撃。
例えばその一撃で相手を殺すようなことは出来なくても、体勢を崩したり、場合によっては吹き飛ばすといったことは出来ただろう一撃だったのだが……それは、呆気なく防がれてしまう。
当然だろう。帝都からわざわざ援軍としてやって来るだけの実力の持ち主なのだ。
その実力は、精鋭と呼ぶに相応しいだけのものが必要だった。
そうして……今の一撃を放った男は、兵士の振るう長剣によって、あっさりと身体を斬り裂かれ絶命する。
レジスタンスは、兵士と違って毎日のように戦闘訓練をしている訳ではない。
だが、それでもこの砦の兵士を相手にした場合は、それなりに戦えていた。
だが……それも援軍を前にすると、次々と殺され、もしくは手足の一本を切断されて無力化されていく。
それだけ援軍としてやって来た者達が強かったということなのだろう。
援軍が来たという報告を受けてから、砦の中で最も激戦区となっているここまで実際に援軍の兵士がやってくるのに、あまり時間はかからなかった。
冷静に考えてみれば、それこそが援軍の兵士たちの強さを示していたのだろう。
「畜生! こいつら、本当に強いぞ! どうする!?」
仲間があっさりとやられ……続けて何人もの仲間が呆気なく無力化されていくのを見ながら、レジスタンスの一人が叫ぶ。
このままでは全滅する。
そんな絶望に染まったその声に、反応出来る者はいない。
いや、反応をする余裕があるのなら、それこそ自分が生き残るために少しでも目の前にいる敵の数を減らす必要があった。
とはいえ、それでも前後から挟まれ……レジスタンスの数は時間が経つごとに減っていく。
やはり前後を挟まれているというのが大きいのだろう。
(これだと……ここにいないレジスタンスの連中は、ほとんどが捕まったか、死んだか……くそっ!)
苛立ち混じりにレジスタンスの一人がそう叫び……その瞬間、不意に悲鳴が聞こえてきたことに気が付く。
いや、悲鳴が聞こえるというだけなら、そこまでおかしな話ではない。
それこそ、レジスタンスの者たちが殺されるごとに悲鳴を上げているのだから。
だが……その悲鳴は、違った。
自分たちが上げているものではなく……自分たちを前後から押さえ込んでいるうちの、背後にいるガリンダミア帝国軍の兵士たちの口から上がった悲鳴なのだ。
カクテルパーティ効果……というのは、パーティのような人混みの中で、自分の興味のある話題や自分の話題を聞き分けることが出来るというものだ。
それと全く同じという訳ではないのだろうが、それでも自分たちを襲っていたガリンダミア帝国軍の兵士たちが悲鳴を上げるということは、もしかしたら生きてこの場から脱出出来るかもしれないと、そう思うには十分であり……そういう意味で、カクテルパーティ効果だったというのは、決して間違ってはいないのだろう。
レジスタンスたちは、目の前の敵と戦いながらも後方に視線を向け……そして、自分たちの背後から襲ってきたガリンダミア帝国軍の兵士たちが、さらに背後から襲われていることに気が付くのだった。
そう砦の兵士が叫ぶと、当然のことだが砦の兵士たちの士気は上がる。
現状でも、決して圧倒的に勝っている訳ではなかったが、それでも自分たちの方が有利な状況だったのは間違いないのだ。
であれば、当然の話だがこの状況で味方の援軍がやって来たとなれば、自分たちの勝利は確実だ。
ましてや、援軍がやって来たのは帝都から。
つまり、レジスタンスにとっては前も後ろもガリンダミア帝国軍によって押さえられてしまったということになる。
確実な勝利が目前にあるのだから、砦の兵士たちに喜ぶなという方が無理だった。
そんな砦の兵士たちとは違い、レジスタンスの方は今の言葉に絶望感が漂う。
元々の戦いでも自分たちが押され気味だったのに、今はさらに敵に援軍が来るというのだから、それは当然だろう。
元々、レジスタンスは一枚岩ではない。
鋼の蜘蛛が中心になって部隊を編成したのは間違いないが、それでも戦力が足りなかったために、他にもいくつかのレジスタンスが協力している。
その上、レジスタンスと名乗ってはいても、実際には戦士と呼ぶべき人材はそこまで多くはない。
もちろん、レジスタンスをやっている以上、ある程度の戦闘訓練は重ねているのだが……それでも、どうしても本職の兵士には負けてしまう。
そんな状況で、敵の援軍がやって来たのだ。
とてもではないが、レジスタンスがこれ以上ここで戦うのは不可能だ。
「おい、どうするんだよ! このままだと、前後から挟み撃ちだぞ!」
レジスタンスの一人が、焦ったように言う。
だが、そのように叫んだからといって、今の状況からすぐにどうこう出来るはずがない。
「鋼の蜘蛛の連中の話に乗ったのが、そもそも間違いだったんだよ! くそがぁっ!」
今回の作戦を提案してきた鋼の蜘蛛に苛立ちをぶつけるレジスタンスもいるが、当然ながらそんなことを聞いているような者はいない。
そもそも、今回の砦に対する襲撃はあくまでも鋼の蜘蛛が繋がりのある……ある程度友好的なレジスタンスに対して参加しないかと誘ったものだ。
当然のように、それは強制ではない以上、断るといった選択肢もあった。
だが、そんな状況であっても、断るといったようなことをせずに引き受けたレジスタンスたちが、現在この砦で戦っている者たちなのだ。
だというのに、ここで鋼の蜘蛛に不満を口にするには、おかしい。
それは叫んだ者も理解している。
理解しているのだが、今のような絶体絶命の状況となってしまったのを考えると、そんな不満を口に出してしまうのも当然のことだった。
今回の襲撃がここまで苦戦した最大の要素は、この砦にいる戦力を見誤っていた……ということだろう。
レジスタンスの間でも……いや、帝都に住む者の多くは、この砦の評判について知っている。
もちろん、鋼の蜘蛛がこの砦を襲撃する前にも、しっかりとこの砦の戦力について調べてもいた。
だが……それでも、そこまで突出した戦力がいるという報告はなかったのだ。
それでも、こうして苦戦をしている。……いや、敵の援軍が来れば、負けは確定してしまう。
また、そんなレジスタンス側の士気を少しでも低くしようと……そして自分たちの士気をあげようと、砦の兵士たちは繰り返し援軍が来る、援軍が来るまで耐えれば勝てると、そう叫ぶ。
「お、おい。逃げなくてもいいのか? このままだと俺たちは負けて、捕まるぞ!」
「そんな余裕があると思うのか!? それに、逃げるったって、どこに逃げるんだよ! 帝都の方に逃げても援軍とぶつかるだけだぞ! それも、背後からはここの兵士たちに追撃されて!」
この状況でレジスタンスたちが逃げ出せば、当然の話だが砦の兵士たちはそれを追撃するだろう。
そうすると、帝都からやって来た援軍と挟み撃ちになり……それこそ、殲滅させられる未来しか、想像出来ない。
どうする、このままここで戦っていてもいいのか。いや、ここで戦っていれば、間違いなく帝都からの援軍がやってくる。どうする。今ここで逃げるのか。だが、そうすればただでさえ現在レジスタンス側が不利なのに、致命的なまでに負けてしまう。
戦っているレジスタンスたちが、そんなことを考える。
だが……全力で戦っていてさえ、不利な状況なのだ。
だというのに、そのような状況で戦いに専念せず、考えごとをするような真似をすれば……当然の話だが、戦いの勢いは砦の兵士たちのほうが今まで以上に勝ることになる。
「ちっ、この調子だと本当に駄目だな。……けど、どうすればいいんだ? やっぱり撤退した方がよくないか?」
レジスタンスの一人がそう呟くが……その提案は少しばかり遅い。
『うおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!』
不意に周囲に響き渡ったその声は、砦の兵士たちにしてみれば救いの声であり……レジスタンスたちにしてみれば、絶望の声だ。
「嘘だろ!? もう援軍が来やがったってのか! 早すぎる!」
レジスタンスの一人が絶望と苛立ちを込めてそう叫ぶが、来てしまった以上はどうしようもない。
実際には、帝都からやってきた援軍の中には魔法使い……それも一定の集団の移動速度を上げることが出来るという魔法を使える者がおり、それがここまで早くここにやって来ることが出来た理由だった。
その結果として、レジスタンスは本当の意味で危機を迎える。
今までは、押され気味ではあったが、それでもかなり拮抗した状態となっていた。
だが、今はその拮抗した状態が完全に崩れてしまったのだ。
そうである以上、もう勝ち目はなくなったのだから、さっさとこの場から逃げ出す必要がある。
……ただし、この場合問題なのは一体どこに逃げれればいいのか、ということだろう。
いや、それ以上にすでに援軍が到着している以上、一体砦からどうやって脱出すればいいのかという問題もある。
(最悪だ。このままだと、レジスタンスは全滅するぞ。それもかなりの数のレジスタンスがだ)
周囲に状況を確認したレジスタンスの一人が、絶望と共にそう考える。
そう考えたのは一人だけではなく、他のレジスタンスたちも同様だった。
「来た! 来たぞ!」
レジスタンスの一人が、自分たちの後ろを見て叫ぶ。
この砦に帝都からの援軍が来ていたことは知っていたが、それでも実際にここにやって来たとなれば、レジスタンスたちが強い焦燥感を覚えるのも当然だろう。
……とはいえ、ここが砦の中で行われている戦いで、一番激しい戦いが行われている場所だ。
そうである以上、帝都からの援軍が可能な限り早くここにやって来るのは、当然だろう。
「くそうっ! やるしかねえだろ!」
援軍が入ってきた場所の近くにいた男が、そう叫びながら長剣を振るう。
しかし、その一撃はあっさりと……それこそ、新たに入ってきた兵士には何の問題もないかのように、防がれる。
その一撃を放ったレジスタンスの男にしてみれば、決死の覚悟での攻撃だったのだが……それを受けたガリンダミア帝国軍の兵士にしてみれば、特に苦戦することもないような、その程度の一撃でしかない。
砦にいた兵士であれば、間違いなく効果のあった一撃。
例えばその一撃で相手を殺すようなことは出来なくても、体勢を崩したり、場合によっては吹き飛ばすといったことは出来ただろう一撃だったのだが……それは、呆気なく防がれてしまう。
当然だろう。帝都からわざわざ援軍としてやって来るだけの実力の持ち主なのだ。
その実力は、精鋭と呼ぶに相応しいだけのものが必要だった。
そうして……今の一撃を放った男は、兵士の振るう長剣によって、あっさりと身体を斬り裂かれ絶命する。
レジスタンスは、兵士と違って毎日のように戦闘訓練をしている訳ではない。
だが、それでもこの砦の兵士を相手にした場合は、それなりに戦えていた。
だが……それも援軍を前にすると、次々と殺され、もしくは手足の一本を切断されて無力化されていく。
それだけ援軍としてやって来た者達が強かったということなのだろう。
援軍が来たという報告を受けてから、砦の中で最も激戦区となっているここまで実際に援軍の兵士がやってくるのに、あまり時間はかからなかった。
冷静に考えてみれば、それこそが援軍の兵士たちの強さを示していたのだろう。
「畜生! こいつら、本当に強いぞ! どうする!?」
仲間があっさりとやられ……続けて何人もの仲間が呆気なく無力化されていくのを見ながら、レジスタンスの一人が叫ぶ。
このままでは全滅する。
そんな絶望に染まったその声に、反応出来る者はいない。
いや、反応をする余裕があるのなら、それこそ自分が生き残るために少しでも目の前にいる敵の数を減らす必要があった。
とはいえ、それでも前後から挟まれ……レジスタンスの数は時間が経つごとに減っていく。
やはり前後を挟まれているというのが大きいのだろう。
(これだと……ここにいないレジスタンスの連中は、ほとんどが捕まったか、死んだか……くそっ!)
苛立ち混じりにレジスタンスの一人がそう叫び……その瞬間、不意に悲鳴が聞こえてきたことに気が付く。
いや、悲鳴が聞こえるというだけなら、そこまでおかしな話ではない。
それこそ、レジスタンスの者たちが殺されるごとに悲鳴を上げているのだから。
だが……その悲鳴は、違った。
自分たちが上げているものではなく……自分たちを前後から押さえ込んでいるうちの、背後にいるガリンダミア帝国軍の兵士たちの口から上がった悲鳴なのだ。
カクテルパーティ効果……というのは、パーティのような人混みの中で、自分の興味のある話題や自分の話題を聞き分けることが出来るというものだ。
それと全く同じという訳ではないのだろうが、それでも自分たちを襲っていたガリンダミア帝国軍の兵士たちが悲鳴を上げるということは、もしかしたら生きてこの場から脱出出来るかもしれないと、そう思うには十分であり……そういう意味で、カクテルパーティ効果だったというのは、決して間違ってはいないのだろう。
レジスタンスたちは、目の前の敵と戦いながらも後方に視線を向け……そして、自分たちの背後から襲ってきたガリンダミア帝国軍の兵士たちが、さらに背後から襲われていることに気が付くのだった。
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