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囚われの姫君?
214話
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「……レオノーラ様、この酒場です」
部下の言葉に、レオノーラは頷く。
普段は男女問わず誰もが思わず振り向く美貌をしているレオノーラだったが、今はフードを被ってその顔の上半分隠している。
……それでも、艶めかしい唇を見れば美人だろうと想像出来るのだが。
だが、酒場の中では多くの者が酒を飲んでおり、フードで顔を隠しているレオノーラの存在に気が付いた者はいない。
いや、正確にはレオノーラの存在そのものには、気が付いた者がそれなりにいた。
だが、フードを被っている様子や周囲にいる者たちが見るからに腕利きと思われる存在であることから、レオノーラの存在に気が付いた者たちもちょっかいを出すのは控える。
これで、見るからに弱そうな相手であれば、また話は別だったのかもしれないが。
レオノーラの部下ということは、当然ながら全員が黄金の薔薇の探索者だ。
それもただの探索者ではなく、それなりに名前の知られた実力派クランたる黄金の薔薇の探索者。
もっとも、当然の話だがガリンダミア帝国において黄金の薔薇の名前は悪い意味で知られているので、それを明らかにするようなことはなかったが。
名前を露わにしなくても、一定以上の実力の持ち主なら相手の実力を把握することくらいは出来る。
レオノーラにとって幸運だったのは、酒場の中に入ってきたレオノーラ達に気が付いた者がそんな者たちだったことだろう。
かかわらない方がいい。
そう判断した者たちがレオノーラたちから視線を外すと、再び目の前の酒を楽しみ始め……そのような者たちを気にした様子もなく、レオノーラたちは開いているテーブルに着く。
当然のように、そんなレオノーラたちに向かってすぐに店員が注文をとりにやってくる。
酔っ払いを相手にする客商売らしく、愛想のいい女の店員は笑みを浮かべながら口を開く。
「ご注文は? 美味しい干物が入ってるので、それがお勧めですよ」
「そうね。では、レベテナ地方のワインを貰える?」
レベテナ地方のワイン。
レオノーラがそう言った瞬間、店員の女は一瞬だけ緊張した表情を浮かべるも……次の瞬間にはそれを消し、笑みを浮かべて口を開く。
「レベテナ地方のワインですか? 何種類かありますが、何年物をご希望ですか?」
酒場……それも、大衆酒場と表現すべきこのような酒場で、何年物のワインと指定するのは、普通に考えれ気取っていると思われても仕方がない。
だが、店員の女の言葉に、レオノーラは特に気にした様子もなく口を開く。
「確か、二十年くらい前に干ばつのときがあったな。その年のワインを貰えるか?」
「あはは、お客さん。冗談が得意ですね。干ばつなんですから、ワインなんて……」
「あら、あまり知られてないけど、あの年のワインは干ばつのために数は少ないけど、しっかりと作られているはずよ? それも、純粋にワインの味となると、相当な当たり年だったとか」
レオノーラの言葉を聞き、女の店員は一瞬だけ鋭い視線を向け……だが、次の瞬間には全く何もなかったかのように、口を開く。
「一応聞かせて貰いたいんですが、その情報は一体誰から聞きましたか? お客さんの言葉は正しいのですが、その件は可能な限り多くの人には知られないようにしているんですが」
「サラナーニャ村のソルクスからよ」
「……そうですか。では、お客さんに選んで貰った方がいいですね。こちらにどうぞ」
サラナーニャ村のソルクス。
その言葉を聞いた瞬間、女の店員は今まで以上に鋭い視線をレオノーラに向け、店の奥に来るように告げる。
「そう言えば。いくつかあったのを忘れていましたね。ただ、かなりう希少な品なので……出来れば、お客さんが自分で選んで貰えないでしょうか?」
一瞬前に浮かべた鋭い視線はすぐに消え、申し訳なさそうな笑みを浮かべつつ、そう告げる店員。
レオノーラはもそんな店員の態度には気が付いていたが、特に何か不満を言うようなことはない。
そもそも、この酒場に来たのはそれが目的だったのだから。
「ええ、分かったわ。じゃあ、行きましょうか。折角だから、皆が一緒でいいわよね?」
「もちろん、それで構いません。お客さんが一人だけで選んで、後でそれが原因で問題になったりしたら、大変ですしね」
当然といった様子で一緒に行っても構わないと店員が告げ、レオノーラとその部下達は一緒に立ち上がる。
そして案内するように前を進む店員を追い、店の奥に進む。
……なお、店員とレオノーラたちの姿が消えたあと、その様子を見ていた他のテーブルから、何人かがそのあとを追っていく。
そのうちの一人が、酒場のマスターと視線を合わせ、マスターが任せたと一瞬厳しい……それこそ、とてもではないが酒場のマスターが浮かべるようなものではない視線を浮かべる。
だが、その視線を見た者たちは特に気にした様子もなく……それこそ、マスターがそのような視線を浮かべるのは普通のことだと言わんばかりに、店の奥に向かうのだった。
店の奥とはいえ、帝都という場所にある酒場だけに、そこまで広い訳ではない。
だが、それはあくまでも地上であればの話で……地下となれば、ある程度の自由が利く。
もちろん、好き勝手に掘るのは、本来は違法なのだが。
だが、この酒場はワインを含めて酒を貯蔵するという理由で、地下室を作る許可を貰っていた。
実際、酒を保存するという意味では温度が一定に保たれる地下というのは、最適な場所だ。
夏や冬には多少地下室の温度も変化するが、それでも地上に比べれば温度変化はかなり少ない。
そうして地下室にに到着し、ワインを始めとした様々な酒の置かれている部屋の中に入り……そして入った瞬間、その地下室に潜んでいた複数の者たちが、レオノーラを待ち構えていた。
待ち構えていた以上、当然のように武器を持っており、その人種も人間以外にエルフやドワーフ、獣人と様々な種族が含まれている。
「あら」
地下室……酒蔵として考えてもそれなりに大きなその場所で、自分たちを待ち受けていた者がいても、レオノーラは特に気にした様子がない。
そもそもの話、今回この酒場に……正確には、表向きは酒場でも裏の顔を持つこの組織に接触してきたことを思えば、この展開は予想されてしかるべきものだったのだから。
「……お前、一体何者だ? あの合図をどこで知った?」
地下室の中にいた中で、狼の獣人の一人が鋭い視線をレオノーラに向けて尋ねる。
いや、それは尋ねるというよりは尋問という言葉の方が正確だろう。
自分の前にいる相手を警戒し、何があってもすぐに対処……それこそ、息の根を止められるように準備しながらの言葉。
なお、レオノーラたちをここまで案内してきた店員の女も、現在は何かあったらすぐ攻撃出来るように鋭い視線をレオノーラ達に向けながら、どこからともなく取り出した短剣を構えていた。
「ふふっ、何でかしらね。……ああ、別に敵じゃないわよ? もちろん、ガリンダミア帝国の手の者でもないから、安心してちょうだい」
そう告げるレオノーラだったが、この状況でその言葉を簡単に信じられるはずもない。
地下室にいた者たちの視線は、レオノーラの言葉を聞いても一向に弱まることはなく……むしろ、今の言葉で余計にレオノーラに対して向けられる緊張の色は強くなる。
「そこまで警戒する必要はないでしょう? こうして接触してきた相手がいるのだから、その理由くらいは分かりそうなものだけど」
「生憎と、顔を隠している奴をそこまで信用することは出来ないんでな」
「あら? ああ、ごめんなさい。これは不躾だったわね」
そう言い、レオノーラは顔を隠してたフードを脱ぎ……そこから出て来た顔を見て、多くの者が動きを止める。
レオノーラの美貌は、男だけではなく女ですらも目を奪われていた。
「お前は……一体……」
レオノーラの美貌を見ても、何とかそこまで強く意識を奪われなかった男の一人が、絞り出すように声を出す。
そんな男の姿に、レオノーラの部下達は感心した様子で小さな声を漏らしていたが、それに気が付いた者はいない。
「黄金の薔薇というクランを聞いたことがないかしら? 私はその黄金の薔薇を率いているレオノーラよ」
黄金の薔薇。
最初その言葉をレオノーラが口にした時は、誰もがその言葉に反応するようなことはなかった。
地下室の明かりにすら煌めきを返す黄金の髪とその美貌に、どうしても目を奪われてしまうのだ。
だが……そんな状況でも、何人かがレオノーラの言葉に驚きの表情を浮かべる。
「黄金の……薔薇? 聞いたことがあるな」
狼の獣人の男が、その黄金の薔薇という言葉に反応する。
そして少し考え……やはり首を傾げる。
「って、おい! 何でレジスタンスをやってるのに、黄金の薔薇の名前を忘れるんだよ!」
エルフの男が、狼の獣人に対して怒りも露わに叫ぶ。
レジスタンスをしてガリンダミア帝国に逆らっている者たちにとって、黄金の薔薇……そして雲海というクランの名前は、大きな希望の存在だった。
連戦連勝、戦えば勝利するガリンダミア帝国に対して、明確に負けを与えたクランなのだから、当然だろう。
実際にはクランだけではなく、ドットリオン王国軍と協力して戦って勝利したのだが……その二つのクランが擁する心核使いの戦力が極めて強力で、どこからどう見ても注目度という点では非常に高いため、その名前が広まることになる。
当然のように、その情報に強い興味を持ったのは、現在ガリンダミア帝国と戦っている国々と……そして、この酒場を隠れ蓑にして活動している、自国をガリンダミア帝国に占領され、属国とされた国の者たちが集まって出来たレジスタンス。
とはいえ、そのレジスタンスにも大小様々な集団がおり、この酒場を隠れ蓑にして活動している者たちは、レジスタンスの中でも規模こそそこまで大きくはないが、それでも実力者揃いが揃っている集団だった。
そして……実際、レオノーラの視線が向けられたレジスタンスたちは、誰もが相応の技量を持っているのは間違いなかった。
部下の言葉に、レオノーラは頷く。
普段は男女問わず誰もが思わず振り向く美貌をしているレオノーラだったが、今はフードを被ってその顔の上半分隠している。
……それでも、艶めかしい唇を見れば美人だろうと想像出来るのだが。
だが、酒場の中では多くの者が酒を飲んでおり、フードで顔を隠しているレオノーラの存在に気が付いた者はいない。
いや、正確にはレオノーラの存在そのものには、気が付いた者がそれなりにいた。
だが、フードを被っている様子や周囲にいる者たちが見るからに腕利きと思われる存在であることから、レオノーラの存在に気が付いた者たちもちょっかいを出すのは控える。
これで、見るからに弱そうな相手であれば、また話は別だったのかもしれないが。
レオノーラの部下ということは、当然ながら全員が黄金の薔薇の探索者だ。
それもただの探索者ではなく、それなりに名前の知られた実力派クランたる黄金の薔薇の探索者。
もっとも、当然の話だがガリンダミア帝国において黄金の薔薇の名前は悪い意味で知られているので、それを明らかにするようなことはなかったが。
名前を露わにしなくても、一定以上の実力の持ち主なら相手の実力を把握することくらいは出来る。
レオノーラにとって幸運だったのは、酒場の中に入ってきたレオノーラ達に気が付いた者がそんな者たちだったことだろう。
かかわらない方がいい。
そう判断した者たちがレオノーラたちから視線を外すと、再び目の前の酒を楽しみ始め……そのような者たちを気にした様子もなく、レオノーラたちは開いているテーブルに着く。
当然のように、そんなレオノーラたちに向かってすぐに店員が注文をとりにやってくる。
酔っ払いを相手にする客商売らしく、愛想のいい女の店員は笑みを浮かべながら口を開く。
「ご注文は? 美味しい干物が入ってるので、それがお勧めですよ」
「そうね。では、レベテナ地方のワインを貰える?」
レベテナ地方のワイン。
レオノーラがそう言った瞬間、店員の女は一瞬だけ緊張した表情を浮かべるも……次の瞬間にはそれを消し、笑みを浮かべて口を開く。
「レベテナ地方のワインですか? 何種類かありますが、何年物をご希望ですか?」
酒場……それも、大衆酒場と表現すべきこのような酒場で、何年物のワインと指定するのは、普通に考えれ気取っていると思われても仕方がない。
だが、店員の女の言葉に、レオノーラは特に気にした様子もなく口を開く。
「確か、二十年くらい前に干ばつのときがあったな。その年のワインを貰えるか?」
「あはは、お客さん。冗談が得意ですね。干ばつなんですから、ワインなんて……」
「あら、あまり知られてないけど、あの年のワインは干ばつのために数は少ないけど、しっかりと作られているはずよ? それも、純粋にワインの味となると、相当な当たり年だったとか」
レオノーラの言葉を聞き、女の店員は一瞬だけ鋭い視線を向け……だが、次の瞬間には全く何もなかったかのように、口を開く。
「一応聞かせて貰いたいんですが、その情報は一体誰から聞きましたか? お客さんの言葉は正しいのですが、その件は可能な限り多くの人には知られないようにしているんですが」
「サラナーニャ村のソルクスからよ」
「……そうですか。では、お客さんに選んで貰った方がいいですね。こちらにどうぞ」
サラナーニャ村のソルクス。
その言葉を聞いた瞬間、女の店員は今まで以上に鋭い視線をレオノーラに向け、店の奥に来るように告げる。
「そう言えば。いくつかあったのを忘れていましたね。ただ、かなりう希少な品なので……出来れば、お客さんが自分で選んで貰えないでしょうか?」
一瞬前に浮かべた鋭い視線はすぐに消え、申し訳なさそうな笑みを浮かべつつ、そう告げる店員。
レオノーラはもそんな店員の態度には気が付いていたが、特に何か不満を言うようなことはない。
そもそも、この酒場に来たのはそれが目的だったのだから。
「ええ、分かったわ。じゃあ、行きましょうか。折角だから、皆が一緒でいいわよね?」
「もちろん、それで構いません。お客さんが一人だけで選んで、後でそれが原因で問題になったりしたら、大変ですしね」
当然といった様子で一緒に行っても構わないと店員が告げ、レオノーラとその部下達は一緒に立ち上がる。
そして案内するように前を進む店員を追い、店の奥に進む。
……なお、店員とレオノーラたちの姿が消えたあと、その様子を見ていた他のテーブルから、何人かがそのあとを追っていく。
そのうちの一人が、酒場のマスターと視線を合わせ、マスターが任せたと一瞬厳しい……それこそ、とてもではないが酒場のマスターが浮かべるようなものではない視線を浮かべる。
だが、その視線を見た者たちは特に気にした様子もなく……それこそ、マスターがそのような視線を浮かべるのは普通のことだと言わんばかりに、店の奥に向かうのだった。
店の奥とはいえ、帝都という場所にある酒場だけに、そこまで広い訳ではない。
だが、それはあくまでも地上であればの話で……地下となれば、ある程度の自由が利く。
もちろん、好き勝手に掘るのは、本来は違法なのだが。
だが、この酒場はワインを含めて酒を貯蔵するという理由で、地下室を作る許可を貰っていた。
実際、酒を保存するという意味では温度が一定に保たれる地下というのは、最適な場所だ。
夏や冬には多少地下室の温度も変化するが、それでも地上に比べれば温度変化はかなり少ない。
そうして地下室にに到着し、ワインを始めとした様々な酒の置かれている部屋の中に入り……そして入った瞬間、その地下室に潜んでいた複数の者たちが、レオノーラを待ち構えていた。
待ち構えていた以上、当然のように武器を持っており、その人種も人間以外にエルフやドワーフ、獣人と様々な種族が含まれている。
「あら」
地下室……酒蔵として考えてもそれなりに大きなその場所で、自分たちを待ち受けていた者がいても、レオノーラは特に気にした様子がない。
そもそもの話、今回この酒場に……正確には、表向きは酒場でも裏の顔を持つこの組織に接触してきたことを思えば、この展開は予想されてしかるべきものだったのだから。
「……お前、一体何者だ? あの合図をどこで知った?」
地下室の中にいた中で、狼の獣人の一人が鋭い視線をレオノーラに向けて尋ねる。
いや、それは尋ねるというよりは尋問という言葉の方が正確だろう。
自分の前にいる相手を警戒し、何があってもすぐに対処……それこそ、息の根を止められるように準備しながらの言葉。
なお、レオノーラたちをここまで案内してきた店員の女も、現在は何かあったらすぐ攻撃出来るように鋭い視線をレオノーラ達に向けながら、どこからともなく取り出した短剣を構えていた。
「ふふっ、何でかしらね。……ああ、別に敵じゃないわよ? もちろん、ガリンダミア帝国の手の者でもないから、安心してちょうだい」
そう告げるレオノーラだったが、この状況でその言葉を簡単に信じられるはずもない。
地下室にいた者たちの視線は、レオノーラの言葉を聞いても一向に弱まることはなく……むしろ、今の言葉で余計にレオノーラに対して向けられる緊張の色は強くなる。
「そこまで警戒する必要はないでしょう? こうして接触してきた相手がいるのだから、その理由くらいは分かりそうなものだけど」
「生憎と、顔を隠している奴をそこまで信用することは出来ないんでな」
「あら? ああ、ごめんなさい。これは不躾だったわね」
そう言い、レオノーラは顔を隠してたフードを脱ぎ……そこから出て来た顔を見て、多くの者が動きを止める。
レオノーラの美貌は、男だけではなく女ですらも目を奪われていた。
「お前は……一体……」
レオノーラの美貌を見ても、何とかそこまで強く意識を奪われなかった男の一人が、絞り出すように声を出す。
そんな男の姿に、レオノーラの部下達は感心した様子で小さな声を漏らしていたが、それに気が付いた者はいない。
「黄金の薔薇というクランを聞いたことがないかしら? 私はその黄金の薔薇を率いているレオノーラよ」
黄金の薔薇。
最初その言葉をレオノーラが口にした時は、誰もがその言葉に反応するようなことはなかった。
地下室の明かりにすら煌めきを返す黄金の髪とその美貌に、どうしても目を奪われてしまうのだ。
だが……そんな状況でも、何人かがレオノーラの言葉に驚きの表情を浮かべる。
「黄金の……薔薇? 聞いたことがあるな」
狼の獣人の男が、その黄金の薔薇という言葉に反応する。
そして少し考え……やはり首を傾げる。
「って、おい! 何でレジスタンスをやってるのに、黄金の薔薇の名前を忘れるんだよ!」
エルフの男が、狼の獣人に対して怒りも露わに叫ぶ。
レジスタンスをしてガリンダミア帝国に逆らっている者たちにとって、黄金の薔薇……そして雲海というクランの名前は、大きな希望の存在だった。
連戦連勝、戦えば勝利するガリンダミア帝国に対して、明確に負けを与えたクランなのだから、当然だろう。
実際にはクランだけではなく、ドットリオン王国軍と協力して戦って勝利したのだが……その二つのクランが擁する心核使いの戦力が極めて強力で、どこからどう見ても注目度という点では非常に高いため、その名前が広まることになる。
当然のように、その情報に強い興味を持ったのは、現在ガリンダミア帝国と戦っている国々と……そして、この酒場を隠れ蓑にして活動している、自国をガリンダミア帝国に占領され、属国とされた国の者たちが集まって出来たレジスタンス。
とはいえ、そのレジスタンスにも大小様々な集団がおり、この酒場を隠れ蓑にして活動している者たちは、レジスタンスの中でも規模こそそこまで大きくはないが、それでも実力者揃いが揃っている集団だった。
そして……実際、レオノーラの視線が向けられたレジスタンスたちは、誰もが相応の技量を持っているのは間違いなかった。
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