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囚われの姫君?
203話
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目を覚ましたアランは、結局のところ何の情報も貰えないままに、部屋に閉じ込められていた。
幸いなのはトイレの類も部屋には備え付けられていたことか。
(普通に考えれば、これって捕虜を閉じ込めるような部屋じゃないよな。牢屋……とまでは言わなくても、もっと質素な部屋に閉じ込めてもいいのに)
アランがいる部屋は、それこそ前世の日本ですら泊まったことがないような、豪華なホテルの一室のようだった。
……もっとも、東北の田舎に住んでいるアランだけに、ホテルの類に泊まったことなど、それこそ修学旅行といったようなことでしかなかったが。
そんな場所だけに、居心地は決して悪くはない。
食事も、腹が減ったとメイドに言えばきちんと食事を……それも結構豪華な料理を持ってきてくれる。
食事に何らかの薬や毒が入れられている可能性も考えたアランだったが、それこそ本気でアランに薬や毒を使うつもりなら、意識を失っていたときにいくらでも手段はあったはずだと考え、今はとにかく食べられるときには食べておいた方がいいと判断し、食事を終わらせた。
現在は食事も終わり……やるべきこともなく、部屋に一人でただソファに座っているだけだ。
実際には、どうにかしてここから抜け出そうとも思っているのだが。
メイドも現在は部屋の中におらず、アランの考えの邪魔をする者はいない。
いや、メイドは最初からアランを邪魔するようなつもりはなかったようだったが。
「ともあれ、この部屋を抜け出しても……まずはここがどこかを知る必要があるんだよな。そもそも、部屋を抜け出せるかが問題なんだけど」
呟き、扉の方を見るアラン。
メイドが入ってくるときは鍵を開ける音が響き、そして出るときには鍵を閉める音が響く。
そのような音がする以上、メイドがいないときに扉を開けるのは難しいだろう。
残念ながら、アランには鍵開けの技術はない。
いや、本当に簡単な鍵なら探索者として開けることが出来るのだが、自分を閉じ込めてある鍵を開けるような真似は出来ない。
「かといって……」
続いて窓の方を見るアランだったが、一件するとただのガラスで外の景色をはっきりと見ることが出来るその窓が、実はただのガラスではなくマジックアイテムの類だというのは確認してある。
ただのガラスなら、容易に破壊することは出来る。
だが、マジックアイテムのガラスともなれば……少なくてもアランが素手で破壊するといったような真似は難しい。
カロがいるのなら、ゼオンを呼び出すことでどうとでもなりそうだったが、そのカロは現在手元にいない。
……もし何らかの理由でこの部屋を抜け出すことが出来ても、カロが手元にいない自分であれば、この部屋の外にいると思われる見張りや、それ以外にもこの建物の中にいるだろう兵士や騎士、冒険者、傭兵、探索者たちの目を盗んで移動するといったようなことはまず不可能だ。
生身の状態でのアランは、とてもではないが武器もなしにそのような者たちを相手に戦えるだけに実力を持っていないのだから。
これが戦いを生業にしているような者でははく、その辺の一般人であれば、アランもある程度は対処出来るのだが。
「それでも、いつまでもここにいる訳にはいかないしな」
自分のいるべき場所はガリンダミア帝国ではなく、雲海だ。
それだけははっきりとしている以上、何とかしてこの部屋から脱出し、その上でカロを取り戻す必要があった。
カロさえ取り戻すことが出来れば、このような場所からはすぐにでも逃げ出せるのだから。
……アランを捕まえた者たちも、それを理解しているのでカロをアランの見えない場所に隠してあるのだろうが。
そのまましばらくの間ぼうっとしていたが、何もやることがないというのは半ば拷問に等しい。
本でもあれば暇潰しが出来たのだが、部屋の中に本の類は存在ない。
寝ようかとも思ったが、起きたばかり――それも本人に自覚はないが一ヶ月ほども寝ていたのだ――で、眠気は全くなかった
結果として、部屋の中で身体の調子を見るようにして軽く身体を動かすのだが…・・・
「妙だな、何だか身体が鈍い」
自分が思っている通りに、身体が動かないのだ。
とはいえ、本来なら一ヶ月近くも眠ったままであれば、起き上がることに苦労してもおかしくはない。
それがこの程度ですんでいるのは、アランの意識を奪うときに使われたのだが一種のマジックアイテムだったからだろう。
アラン本人はそんなことには全く気が付かず、誰も来ず、何もやることがないのをこれ幸いと身体を動かし続ける。
アランの生身での戦闘力は、好意的に判断しても平均的。
だが、それでもこうして身体を動かしていると、その身体を動かす行動にゆっくりと慣れていくのが分かる。
本人にその気はなかったが、リハビリをやっているようなものだった。
そうして自分のイメージを身体の動きが合ってくるとアランは一旦休憩してから、再び身体を動かし始める。
黙々と、ただ黙々と。
アラン本人に生身での戦闘の才はないが、そのような状況であっても平均くらいの強さを得たのは、この努力が実を結んだ格好だ。
……実際には、母親のリアが毎朝のように訓練を行っているからなのだが。
ともあれ、敵を想定しての模擬戦をやっていたアランだったが、やがてその動きは止まる。
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ……」
荒い息と共に、アランは床に座り込む。
本来ならベッドに倒れ込みたかったのだが、この部屋にあるベッドは明らかに高級品だ。
それこそ、アランなら普通は絶対に使えないほどの。
そんなベッドの上に、汗まみれの身体で倒れ込むといったような真似をした場合、一体どうなるのか。
それこそ、最悪クリーニング費用を要求されてもおかしくはない。
……実際には、ここにいるのはアランを捕らえた者たちである以上、そのようなことを心配する必要はなかったのだが。
変なところで貧乏性が出てしまった……といったところか。
少し息が落ち着いていたきたところで、メイドが置いていった水差しからコップに水を組み、そのまま一息で飲む。
すると、そのタイミングを計っていたかのように――実際に計っていたのだろうが――扉がノックされる。
「失礼します、アラン様。少しよろしいでしょうか?」
扉の向こう側から聞こえてきた声は、アランにとっても聞き覚えのある声だ。
「メローネさんか、構いませんよ」
アランが起きたときにいたメイドの名前を口にする。
最初に会ったとき、軽くではあるが自己紹介はしてりうのでお互いの名前は知っていた。
もっとも、アランにしてみればどれだけ優しそうな相手であっても、結局のところ自分を捕らえた相手に仕えている存在……つまり敵という認識が強い。
とはいえ、それはガリンダミア帝国側でも分かっているのか、だからこそメローネのような人当たりのいい人物をアランにつけたのだろうが。
向こうの意図は、推測するまでもなく明白だった。
つまり、メローネという人物を使ってアランを懐柔しようというのだろう。
見え見えのハニートラップだ。
メローネ本人がどこまでその辺りの事情を知っているのかは、アランにも分からない。
分からないが、それでもアランとしてはメローネに情を移さないようにしっかりと認識しておく必要があった。
そのメローネがアランからの許可を貰って扉を開けると優しげな笑みを浮かべたまま一礼して口を開く。
「失礼します。実はもう少ししたらアラン様にお会いしたいという方がいらっしゃいまして……構いませんか?
来たな、と。メローネの言葉を聞いたアランはそう思う。
この場合自分に会いたいとそう言ってくるのだから、恐らくその人物は自分を誘拐するように言った者……もしくは自分がいる場所の主といったところだろうと。
(いや、俺を誘拐するように言ったのはガリンダミア帝国の中でも上……それこそ、皇帝とかその辺の人物のはずだ。そう考えると、ここにやって来るのは建物の主か?)
アランは、自分が一ヶ月近くも眠っていて、その間にガリンダミア帝国の帝都にある城に運び込まれたということを知らない。
窓から見える景色も、一応城の外ではあるが庭でしかない。
もちろん、それを計算してアランをこの部屋に軟禁したのだろうが。
「……なるほど。話は分かりました。けど、その人物を相手に俺が友好的に接することはない。そう思って下さい」
自分を誘拐した相手に対し、友好的に接しろという方が無理だろう。
メローネもそんなアランの言葉は理解していたのか、申し訳なさそうにしながらも頷く。
「分かりました。ですが、お会いになる方は身分のある方です。アラン様が反抗的な真似をした場合、今のような待遇を得られないかもしれません。その辺はお気をつけ下さい」
メローネのその言葉に、アランは頷く。
本来なら、自分を誘拐した相手……ガリンダミア帝国の中でも地位のある人物が姿を現すのだから、その相手には媚びへつらう……とまではいかなくても、友好的に接した方がいいのは間違いないだろう。
だがそれでも、今の自分の状況を考えれば、とてもではないがそのような真似をするつもりにはなれない。
そのような真似をすれば、自分が自分である証……アランがアランである証がへし折れ、それと同時に心までもがへし折れてしまう可能性が高かった。
だからこそ、相手が誰であっても自分を支配しようとする相手に対しては、決して屈しない必要があった。
「……正直、このような待遇にした相手である以上、素直に相手を敬うといったような真似は出来ませんが……メローネさんの忠告はきちんと聞いておきます」
「ありがとうございます。私も、アラン様が酷い目に遭うのは見たくありませんので」
この場合の酷い目というのは、一体どのくらいのことを意味しているのか。
若干それが気になったアランだったが、ともあれ今はメローネの顔を立てる意味でも、その言葉に対して素直に頷く。
実際に会ってみなければ、どのような相手かは分からない。
(帝都に向かう途中だろうから、伯爵……といったところか?)
未だにここが帝都であると気が付かないアランは、そのように考えるのだった。
幸いなのはトイレの類も部屋には備え付けられていたことか。
(普通に考えれば、これって捕虜を閉じ込めるような部屋じゃないよな。牢屋……とまでは言わなくても、もっと質素な部屋に閉じ込めてもいいのに)
アランがいる部屋は、それこそ前世の日本ですら泊まったことがないような、豪華なホテルの一室のようだった。
……もっとも、東北の田舎に住んでいるアランだけに、ホテルの類に泊まったことなど、それこそ修学旅行といったようなことでしかなかったが。
そんな場所だけに、居心地は決して悪くはない。
食事も、腹が減ったとメイドに言えばきちんと食事を……それも結構豪華な料理を持ってきてくれる。
食事に何らかの薬や毒が入れられている可能性も考えたアランだったが、それこそ本気でアランに薬や毒を使うつもりなら、意識を失っていたときにいくらでも手段はあったはずだと考え、今はとにかく食べられるときには食べておいた方がいいと判断し、食事を終わらせた。
現在は食事も終わり……やるべきこともなく、部屋に一人でただソファに座っているだけだ。
実際には、どうにかしてここから抜け出そうとも思っているのだが。
メイドも現在は部屋の中におらず、アランの考えの邪魔をする者はいない。
いや、メイドは最初からアランを邪魔するようなつもりはなかったようだったが。
「ともあれ、この部屋を抜け出しても……まずはここがどこかを知る必要があるんだよな。そもそも、部屋を抜け出せるかが問題なんだけど」
呟き、扉の方を見るアラン。
メイドが入ってくるときは鍵を開ける音が響き、そして出るときには鍵を閉める音が響く。
そのような音がする以上、メイドがいないときに扉を開けるのは難しいだろう。
残念ながら、アランには鍵開けの技術はない。
いや、本当に簡単な鍵なら探索者として開けることが出来るのだが、自分を閉じ込めてある鍵を開けるような真似は出来ない。
「かといって……」
続いて窓の方を見るアランだったが、一件するとただのガラスで外の景色をはっきりと見ることが出来るその窓が、実はただのガラスではなくマジックアイテムの類だというのは確認してある。
ただのガラスなら、容易に破壊することは出来る。
だが、マジックアイテムのガラスともなれば……少なくてもアランが素手で破壊するといったような真似は難しい。
カロがいるのなら、ゼオンを呼び出すことでどうとでもなりそうだったが、そのカロは現在手元にいない。
……もし何らかの理由でこの部屋を抜け出すことが出来ても、カロが手元にいない自分であれば、この部屋の外にいると思われる見張りや、それ以外にもこの建物の中にいるだろう兵士や騎士、冒険者、傭兵、探索者たちの目を盗んで移動するといったようなことはまず不可能だ。
生身の状態でのアランは、とてもではないが武器もなしにそのような者たちを相手に戦えるだけに実力を持っていないのだから。
これが戦いを生業にしているような者でははく、その辺の一般人であれば、アランもある程度は対処出来るのだが。
「それでも、いつまでもここにいる訳にはいかないしな」
自分のいるべき場所はガリンダミア帝国ではなく、雲海だ。
それだけははっきりとしている以上、何とかしてこの部屋から脱出し、その上でカロを取り戻す必要があった。
カロさえ取り戻すことが出来れば、このような場所からはすぐにでも逃げ出せるのだから。
……アランを捕まえた者たちも、それを理解しているのでカロをアランの見えない場所に隠してあるのだろうが。
そのまましばらくの間ぼうっとしていたが、何もやることがないというのは半ば拷問に等しい。
本でもあれば暇潰しが出来たのだが、部屋の中に本の類は存在ない。
寝ようかとも思ったが、起きたばかり――それも本人に自覚はないが一ヶ月ほども寝ていたのだ――で、眠気は全くなかった
結果として、部屋の中で身体の調子を見るようにして軽く身体を動かすのだが…・・・
「妙だな、何だか身体が鈍い」
自分が思っている通りに、身体が動かないのだ。
とはいえ、本来なら一ヶ月近くも眠ったままであれば、起き上がることに苦労してもおかしくはない。
それがこの程度ですんでいるのは、アランの意識を奪うときに使われたのだが一種のマジックアイテムだったからだろう。
アラン本人はそんなことには全く気が付かず、誰も来ず、何もやることがないのをこれ幸いと身体を動かし続ける。
アランの生身での戦闘力は、好意的に判断しても平均的。
だが、それでもこうして身体を動かしていると、その身体を動かす行動にゆっくりと慣れていくのが分かる。
本人にその気はなかったが、リハビリをやっているようなものだった。
そうして自分のイメージを身体の動きが合ってくるとアランは一旦休憩してから、再び身体を動かし始める。
黙々と、ただ黙々と。
アラン本人に生身での戦闘の才はないが、そのような状況であっても平均くらいの強さを得たのは、この努力が実を結んだ格好だ。
……実際には、母親のリアが毎朝のように訓練を行っているからなのだが。
ともあれ、敵を想定しての模擬戦をやっていたアランだったが、やがてその動きは止まる。
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ……」
荒い息と共に、アランは床に座り込む。
本来ならベッドに倒れ込みたかったのだが、この部屋にあるベッドは明らかに高級品だ。
それこそ、アランなら普通は絶対に使えないほどの。
そんなベッドの上に、汗まみれの身体で倒れ込むといったような真似をした場合、一体どうなるのか。
それこそ、最悪クリーニング費用を要求されてもおかしくはない。
……実際には、ここにいるのはアランを捕らえた者たちである以上、そのようなことを心配する必要はなかったのだが。
変なところで貧乏性が出てしまった……といったところか。
少し息が落ち着いていたきたところで、メイドが置いていった水差しからコップに水を組み、そのまま一息で飲む。
すると、そのタイミングを計っていたかのように――実際に計っていたのだろうが――扉がノックされる。
「失礼します、アラン様。少しよろしいでしょうか?」
扉の向こう側から聞こえてきた声は、アランにとっても聞き覚えのある声だ。
「メローネさんか、構いませんよ」
アランが起きたときにいたメイドの名前を口にする。
最初に会ったとき、軽くではあるが自己紹介はしてりうのでお互いの名前は知っていた。
もっとも、アランにしてみればどれだけ優しそうな相手であっても、結局のところ自分を捕らえた相手に仕えている存在……つまり敵という認識が強い。
とはいえ、それはガリンダミア帝国側でも分かっているのか、だからこそメローネのような人当たりのいい人物をアランにつけたのだろうが。
向こうの意図は、推測するまでもなく明白だった。
つまり、メローネという人物を使ってアランを懐柔しようというのだろう。
見え見えのハニートラップだ。
メローネ本人がどこまでその辺りの事情を知っているのかは、アランにも分からない。
分からないが、それでもアランとしてはメローネに情を移さないようにしっかりと認識しておく必要があった。
そのメローネがアランからの許可を貰って扉を開けると優しげな笑みを浮かべたまま一礼して口を開く。
「失礼します。実はもう少ししたらアラン様にお会いしたいという方がいらっしゃいまして……構いませんか?
来たな、と。メローネの言葉を聞いたアランはそう思う。
この場合自分に会いたいとそう言ってくるのだから、恐らくその人物は自分を誘拐するように言った者……もしくは自分がいる場所の主といったところだろうと。
(いや、俺を誘拐するように言ったのはガリンダミア帝国の中でも上……それこそ、皇帝とかその辺の人物のはずだ。そう考えると、ここにやって来るのは建物の主か?)
アランは、自分が一ヶ月近くも眠っていて、その間にガリンダミア帝国の帝都にある城に運び込まれたということを知らない。
窓から見える景色も、一応城の外ではあるが庭でしかない。
もちろん、それを計算してアランをこの部屋に軟禁したのだろうが。
「……なるほど。話は分かりました。けど、その人物を相手に俺が友好的に接することはない。そう思って下さい」
自分を誘拐した相手に対し、友好的に接しろという方が無理だろう。
メローネもそんなアランの言葉は理解していたのか、申し訳なさそうにしながらも頷く。
「分かりました。ですが、お会いになる方は身分のある方です。アラン様が反抗的な真似をした場合、今のような待遇を得られないかもしれません。その辺はお気をつけ下さい」
メローネのその言葉に、アランは頷く。
本来なら、自分を誘拐した相手……ガリンダミア帝国の中でも地位のある人物が姿を現すのだから、その相手には媚びへつらう……とまではいかなくても、友好的に接した方がいいのは間違いないだろう。
だがそれでも、今の自分の状況を考えれば、とてもではないがそのような真似をするつもりにはなれない。
そのような真似をすれば、自分が自分である証……アランがアランである証がへし折れ、それと同時に心までもがへし折れてしまう可能性が高かった。
だからこそ、相手が誰であっても自分を支配しようとする相手に対しては、決して屈しない必要があった。
「……正直、このような待遇にした相手である以上、素直に相手を敬うといったような真似は出来ませんが……メローネさんの忠告はきちんと聞いておきます」
「ありがとうございます。私も、アラン様が酷い目に遭うのは見たくありませんので」
この場合の酷い目というのは、一体どのくらいのことを意味しているのか。
若干それが気になったアランだったが、ともあれ今はメローネの顔を立てる意味でも、その言葉に対して素直に頷く。
実際に会ってみなければ、どのような相手かは分からない。
(帝都に向かう途中だろうから、伯爵……といったところか?)
未だにここが帝都であると気が付かないアランは、そのように考えるのだった。
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