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ザッカラン防衛戦
197話
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「はぁ、はぁ、はぁ……取りあえず、少し息を整えさせてくれ」
目的の場所……ザッカランの中でもガリンダミア帝国軍が展開しているのとは違う門の近くまでやって来た兵士たちは、そこで少しだけだが休憩することにした。
建物の陰に入り、周囲から見えない場所だと確認するとソランタは一旦スキルを解除する。
そんな中で一番息を荒げているのは、当然ながらアランを担いでいる男だ。
そもそも、十代の男を担いでここまで走ってきたという点で、その疲労は尋常ではない。
むしろ、まだ話すだけの余裕があるという点で、一体どれだけ鍛えられているのかと感嘆してもおかしくはなかった。
それでも門を抜けたら、ガリンダミア帝国軍のいる場所まで休まず走らなければならない。
……その上、ソランタたちは決して有名という訳ではない以上、ガリンダミア帝国軍に攻撃をされる可能性もある。
ガリンダミア帝国軍を率いているバストーレやその周辺は、ソランタたちのことを知ってはいるが、それ以外のソランタたちを知らない者にしてみれば、自分たちに近付いてくる集団という風にしか見えないのだ。
「馬が欲しいな。……入手出来そうか?」
アランを抱えていたおかげで息が切れている兵士を見ながら、別の兵士が呟く。
馬の移動力を考えれば、何とかザッカランを抜けてガリンダミア帝国軍に合流しようとしたとき、非常に便利だ。
ザッカランからの追撃もかわせる可能性が高いし、ガリンダミア帝国軍から攻撃された場合もその時間を最小限にすることが出来るかもしれない。
当然のように、このような仕事をしている関係上、ソランタを含めて全員が乗馬技術を持っている。
問題なのは、この状況で人数分の馬を見つけられるかどうかだろう。
いや、ガリンダミア帝国軍のいる場所はそう遠くない以上、最悪一頭の馬に二人が乗るといった形になっても問題はないのだが。
だが、隠れている場所から門の方を観察していた兵士は、首を横に振る。
「駄目だ。少なくても今ここから見ている限りだと、馬の姿はどこにもない」
その言葉に、話を聞いていた兵士は不満そうな表情を浮かべる。
いざというときの伝令のためにも、もしくはそれ以外にも色々と使い道のある馬は、必ずどこかにいるはずだ。
だが、その馬がここにいないというのは、自分たちがここにいるかもしれないと思われたのか? と一瞬思い、すぐにその答えを否定する。
自分たちがここに隠れたのは、あくまでもつい先程だ。
そんな自分たちの行動を先回りするように馬を隠すとは思えない。
つまり、これは何らかの偶然でこのようなことになったのだろうと。
「とにかく、ニコラスが追いついてくるまでに行動に移す必要がある。……幸い、今はソランタのスキルを使ってない以上、俺たちの存在が向こうに知られるとは思わない。思わないが……一度見つかっている以上、何らかの手段でこっちの存在を察知するという可能性は否定しきれない」
その言葉には、皆が頷く。
ソランタのスキルで自分たちの顔を見られたりといったようなことはなかったが、それでも最悪の事態を想定して動くのは決して悪いことではない。
そうである以上、今は可能な限り早く……ニコラスたちが来るよりも前に動くのは、絶対に必要なことだった。
「門を開けるのは……俺が行く」
そう言ったのは、アランを抱えてここまで走ってきた兵士。
アランも暴れ疲れたのか、今は大人しい。
当然だろう。
猿轡を嵌められおり、現在のアランは鼻で呼吸するしかない。
だが、縛られた状態で暴れ回れば、それだけ体力が消耗し、呼吸も荒くなる。
猿轡を嵌められている今の状況では、呼吸が満足に出来ず極度に体力を消耗しているのだ。
探索者として鍛えられていても、人間である以上は呼吸が必要となるのだから当然だろう。
そんなアランの様子を見て、兵士は言葉を続ける。
「アランをここまで運んでくるのに、大分体力を使った、正直なところ、馬を奪っても敵に追いつかれれば逃げ切れるかどうか微妙なところだ。なら、俺がここに残って門を開けた方が犠牲は少ない。……違うか?」
そう告げる兵士は、すでに覚悟を決めていた。
それこそ、ニコラスたちに向かって攻撃した兵士たちと同じく、仲間が生き延びるためなら疲れている自分が犠牲になるのが一番いいと。
もちろん、兵士も自分が死ぬ可能性があるのは知っている。
だが、もしかしたら生き残れる可能性もあるかもしれない。
……もっとも、このような状況で生き延びても、待っている尋問は半ば拷問に近いものになる可能性が非常に高かったが。
「……分かった」
兵士の覚悟に、否と言うことも出来ず……結局、残りの兵士を代表して一人の兵士がそう告げる。
そして誰が残るのかが決まってしまえば、話は早い。
まずは門を開く機構がどこにあるのか調べないといけないので、再度ソランタの能力を使って全員で移動する。
……本来なら、ここに残る兵士だけがソランタと共に向かえばいいのだが、もし待機しているときにニコラスたちがやって来た場合。素の実力で負けている以上は、隠れるしか出来ない。
だが、魔法を使うニコラスがいれば、隠れていても見つかる可能性があった。
それなならば、人数もそう多くはないのだし、全員で移動した方がいいと、そう判断したのだ。
「ここからは、もうほとんど成り行きで行くことになる。……いいな?」
兵士の言葉に全員が頷く。
そしてソランタのスキルを発動し、全員が城壁に向かって進む。
正門がどのような機構で動いているのかというのは、分からない。
だが、人力でないということだけははっきりしている以上、何らかの仕掛けがあるはずだった。
……そして門が開くのも、別に全開にする必要はない。
あくまでも、馬に乗った兵士たちがザッカランから脱出出来る程度に開けばいいのだ。
門が開く機構がどこにあるのかというのは正確な場所はわからなかったが、それでもソランタの能力があれば、それを探すのは難しいことではない。
一行が最初に向かったのは、門の側。
もしかしたら、門のすぐ側にその門を開く為の機構があるのかもしれない。
そんな思いからの行動だったが……残念ながら、門の側にはその手の機構は何も存在しない。
「駄目か。……兵士の数も結構いるし、もしかしたらと思ったんだけど」
そう小声で呟く。
ガリンダミア帝国軍が派手に動いてザッカランを動揺させているのだが、それは正門のある方でこちらではない。
そのため、兵士の数は相応に存在するのだが、派手に動き回ってるのではなく、いつこちらに兵士が来ても問題がないように待ち構えていた。
……もっとも、ザッカランの兵士が戦いを経験したことは多くはない。
いや、正確には防衛戦をした経験が少ないと表現すべきか。
ラリアントの攻撃に参加した者はそれなりにいるのだが、それはあくまでも攻城戦だ。
防衛戦という意味では、それこそドットリオン王国軍にザッカランが占領されたときくらいのものだろう。
……その防衛戦にしても、戦いの多くはアランのような心核使いに対してのものであって、兵士と兵士の戦いそのものは少なかったのだが。
だからこそ、ザッカランの兵士は攻めることには慣れていても、防衛戦となればどうしても慣れず、落ち着けない。
もちろん、全ての兵士がそうだという訳ではない。
中にはこのような状況であっても、落ち着いている兵士の姿もあったが。
「ん? おい、今何か……違和感がなかったか?」
そんな兵士の一人が、不意に周囲を見回してそう呟く。
だが、他の兵士はその言葉に何を言ってるのか理解出来ないといった様子で、周囲を眺める。
そして実際、周囲を眺めてみても特に何もない……自分たちの仲間しかいないのを確認すると、首を横に振る。
「こうして見る限りでは、何かあるようには思えないぞ。それより……正門の方は大丈夫だと思うか?」
「どうだろうな。ただ、こっちには心核使いがいる。それは、俺たちが一番理解出来るだろ?」
「それは……」
心核使いによってザッカランはドットリオン王国軍に占領されたのだ。
それを思えば、その言葉は特に不思議なことはない。
……実際には、その心核使いの中でもザッカランにいる中ではレオノーラと並んで最強と呼ぶべきアランは、現在身動き出来ない状況でソランタ達に捕まっているのだが、その辺はザッカランを守っている兵士たちには思いも寄らない出来事なのだろう。
そんな兵士たちの様子には構わず、ソランタたちはその場から離れようとする。
残念ながら、ここには門を開く仕掛けは存在せず、そうである以上ここにいる必要はないと判断したからだ。
だが……そんな中、兵士の一人がある一点を見る。
「馬だ」
短く、そしてザッカランの門の前にいる兵士たちには聞こえないような小声だったが、それでもソランタたちに聞こえるには十分な声。
そして声の通りに周囲をよく見ると、そこには数頭の馬が繋がれている。
何故ここに馬がいるのか。
それは、この門に何かあったとき、すぐに馬で伝令を走らせるためだろう。
そしてソランタたちが門を脱出するのに必要なのも馬である以上、ここで馬を見つけることが出来たのは幸いだった。
そして、幸運はまだ続く。
……いや、これは別に幸運という訳ではないだろう。
門を開ける仕掛けがあるのは、当然門からそこまで遠くない場所なのだから。
つまり……
「これだ」
門から少し離れた場所で、門を開ける仕掛けを発見する。
仕掛けそのものは、そこまで珍しいものではない。
マジックアイテムを利用しており、一定の魔力を流し続けることでそれだけ門が開くといったよう形式になっている。
そうである以上、門を開け……さらには閉められないように、やはり誰かがここに残る必要があった。
「よし。じゃあ、さっき言ってた通りに俺が残る。少ししてから扉を開けるから、機会を逃すなよ」
仕掛けの周囲にいたザッカランの兵士たちを倒し、アランをここまで運んできた兵士がそう告げる。
その言葉に、ソランタや他の兵士たちは揃って頷くのだった。
目的の場所……ザッカランの中でもガリンダミア帝国軍が展開しているのとは違う門の近くまでやって来た兵士たちは、そこで少しだけだが休憩することにした。
建物の陰に入り、周囲から見えない場所だと確認するとソランタは一旦スキルを解除する。
そんな中で一番息を荒げているのは、当然ながらアランを担いでいる男だ。
そもそも、十代の男を担いでここまで走ってきたという点で、その疲労は尋常ではない。
むしろ、まだ話すだけの余裕があるという点で、一体どれだけ鍛えられているのかと感嘆してもおかしくはなかった。
それでも門を抜けたら、ガリンダミア帝国軍のいる場所まで休まず走らなければならない。
……その上、ソランタたちは決して有名という訳ではない以上、ガリンダミア帝国軍に攻撃をされる可能性もある。
ガリンダミア帝国軍を率いているバストーレやその周辺は、ソランタたちのことを知ってはいるが、それ以外のソランタたちを知らない者にしてみれば、自分たちに近付いてくる集団という風にしか見えないのだ。
「馬が欲しいな。……入手出来そうか?」
アランを抱えていたおかげで息が切れている兵士を見ながら、別の兵士が呟く。
馬の移動力を考えれば、何とかザッカランを抜けてガリンダミア帝国軍に合流しようとしたとき、非常に便利だ。
ザッカランからの追撃もかわせる可能性が高いし、ガリンダミア帝国軍から攻撃された場合もその時間を最小限にすることが出来るかもしれない。
当然のように、このような仕事をしている関係上、ソランタを含めて全員が乗馬技術を持っている。
問題なのは、この状況で人数分の馬を見つけられるかどうかだろう。
いや、ガリンダミア帝国軍のいる場所はそう遠くない以上、最悪一頭の馬に二人が乗るといった形になっても問題はないのだが。
だが、隠れている場所から門の方を観察していた兵士は、首を横に振る。
「駄目だ。少なくても今ここから見ている限りだと、馬の姿はどこにもない」
その言葉に、話を聞いていた兵士は不満そうな表情を浮かべる。
いざというときの伝令のためにも、もしくはそれ以外にも色々と使い道のある馬は、必ずどこかにいるはずだ。
だが、その馬がここにいないというのは、自分たちがここにいるかもしれないと思われたのか? と一瞬思い、すぐにその答えを否定する。
自分たちがここに隠れたのは、あくまでもつい先程だ。
そんな自分たちの行動を先回りするように馬を隠すとは思えない。
つまり、これは何らかの偶然でこのようなことになったのだろうと。
「とにかく、ニコラスが追いついてくるまでに行動に移す必要がある。……幸い、今はソランタのスキルを使ってない以上、俺たちの存在が向こうに知られるとは思わない。思わないが……一度見つかっている以上、何らかの手段でこっちの存在を察知するという可能性は否定しきれない」
その言葉には、皆が頷く。
ソランタのスキルで自分たちの顔を見られたりといったようなことはなかったが、それでも最悪の事態を想定して動くのは決して悪いことではない。
そうである以上、今は可能な限り早く……ニコラスたちが来るよりも前に動くのは、絶対に必要なことだった。
「門を開けるのは……俺が行く」
そう言ったのは、アランを抱えてここまで走ってきた兵士。
アランも暴れ疲れたのか、今は大人しい。
当然だろう。
猿轡を嵌められおり、現在のアランは鼻で呼吸するしかない。
だが、縛られた状態で暴れ回れば、それだけ体力が消耗し、呼吸も荒くなる。
猿轡を嵌められている今の状況では、呼吸が満足に出来ず極度に体力を消耗しているのだ。
探索者として鍛えられていても、人間である以上は呼吸が必要となるのだから当然だろう。
そんなアランの様子を見て、兵士は言葉を続ける。
「アランをここまで運んでくるのに、大分体力を使った、正直なところ、馬を奪っても敵に追いつかれれば逃げ切れるかどうか微妙なところだ。なら、俺がここに残って門を開けた方が犠牲は少ない。……違うか?」
そう告げる兵士は、すでに覚悟を決めていた。
それこそ、ニコラスたちに向かって攻撃した兵士たちと同じく、仲間が生き延びるためなら疲れている自分が犠牲になるのが一番いいと。
もちろん、兵士も自分が死ぬ可能性があるのは知っている。
だが、もしかしたら生き残れる可能性もあるかもしれない。
……もっとも、このような状況で生き延びても、待っている尋問は半ば拷問に近いものになる可能性が非常に高かったが。
「……分かった」
兵士の覚悟に、否と言うことも出来ず……結局、残りの兵士を代表して一人の兵士がそう告げる。
そして誰が残るのかが決まってしまえば、話は早い。
まずは門を開く機構がどこにあるのか調べないといけないので、再度ソランタの能力を使って全員で移動する。
……本来なら、ここに残る兵士だけがソランタと共に向かえばいいのだが、もし待機しているときにニコラスたちがやって来た場合。素の実力で負けている以上は、隠れるしか出来ない。
だが、魔法を使うニコラスがいれば、隠れていても見つかる可能性があった。
それなならば、人数もそう多くはないのだし、全員で移動した方がいいと、そう判断したのだ。
「ここからは、もうほとんど成り行きで行くことになる。……いいな?」
兵士の言葉に全員が頷く。
そしてソランタのスキルを発動し、全員が城壁に向かって進む。
正門がどのような機構で動いているのかというのは、分からない。
だが、人力でないということだけははっきりしている以上、何らかの仕掛けがあるはずだった。
……そして門が開くのも、別に全開にする必要はない。
あくまでも、馬に乗った兵士たちがザッカランから脱出出来る程度に開けばいいのだ。
門が開く機構がどこにあるのかというのは正確な場所はわからなかったが、それでもソランタの能力があれば、それを探すのは難しいことではない。
一行が最初に向かったのは、門の側。
もしかしたら、門のすぐ側にその門を開く為の機構があるのかもしれない。
そんな思いからの行動だったが……残念ながら、門の側にはその手の機構は何も存在しない。
「駄目か。……兵士の数も結構いるし、もしかしたらと思ったんだけど」
そう小声で呟く。
ガリンダミア帝国軍が派手に動いてザッカランを動揺させているのだが、それは正門のある方でこちらではない。
そのため、兵士の数は相応に存在するのだが、派手に動き回ってるのではなく、いつこちらに兵士が来ても問題がないように待ち構えていた。
……もっとも、ザッカランの兵士が戦いを経験したことは多くはない。
いや、正確には防衛戦をした経験が少ないと表現すべきか。
ラリアントの攻撃に参加した者はそれなりにいるのだが、それはあくまでも攻城戦だ。
防衛戦という意味では、それこそドットリオン王国軍にザッカランが占領されたときくらいのものだろう。
……その防衛戦にしても、戦いの多くはアランのような心核使いに対してのものであって、兵士と兵士の戦いそのものは少なかったのだが。
だからこそ、ザッカランの兵士は攻めることには慣れていても、防衛戦となればどうしても慣れず、落ち着けない。
もちろん、全ての兵士がそうだという訳ではない。
中にはこのような状況であっても、落ち着いている兵士の姿もあったが。
「ん? おい、今何か……違和感がなかったか?」
そんな兵士の一人が、不意に周囲を見回してそう呟く。
だが、他の兵士はその言葉に何を言ってるのか理解出来ないといった様子で、周囲を眺める。
そして実際、周囲を眺めてみても特に何もない……自分たちの仲間しかいないのを確認すると、首を横に振る。
「こうして見る限りでは、何かあるようには思えないぞ。それより……正門の方は大丈夫だと思うか?」
「どうだろうな。ただ、こっちには心核使いがいる。それは、俺たちが一番理解出来るだろ?」
「それは……」
心核使いによってザッカランはドットリオン王国軍に占領されたのだ。
それを思えば、その言葉は特に不思議なことはない。
……実際には、その心核使いの中でもザッカランにいる中ではレオノーラと並んで最強と呼ぶべきアランは、現在身動き出来ない状況でソランタ達に捕まっているのだが、その辺はザッカランを守っている兵士たちには思いも寄らない出来事なのだろう。
そんな兵士たちの様子には構わず、ソランタたちはその場から離れようとする。
残念ながら、ここには門を開く仕掛けは存在せず、そうである以上ここにいる必要はないと判断したからだ。
だが……そんな中、兵士の一人がある一点を見る。
「馬だ」
短く、そしてザッカランの門の前にいる兵士たちには聞こえないような小声だったが、それでもソランタたちに聞こえるには十分な声。
そして声の通りに周囲をよく見ると、そこには数頭の馬が繋がれている。
何故ここに馬がいるのか。
それは、この門に何かあったとき、すぐに馬で伝令を走らせるためだろう。
そしてソランタたちが門を脱出するのに必要なのも馬である以上、ここで馬を見つけることが出来たのは幸いだった。
そして、幸運はまだ続く。
……いや、これは別に幸運という訳ではないだろう。
門を開ける仕掛けがあるのは、当然門からそこまで遠くない場所なのだから。
つまり……
「これだ」
門から少し離れた場所で、門を開ける仕掛けを発見する。
仕掛けそのものは、そこまで珍しいものではない。
マジックアイテムを利用しており、一定の魔力を流し続けることでそれだけ門が開くといったよう形式になっている。
そうである以上、門を開け……さらには閉められないように、やはり誰かがここに残る必要があった。
「よし。じゃあ、さっき言ってた通りに俺が残る。少ししてから扉を開けるから、機会を逃すなよ」
仕掛けの周囲にいたザッカランの兵士たちを倒し、アランをここまで運んできた兵士がそう告げる。
その言葉に、ソランタや他の兵士たちは揃って頷くのだった。
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