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逆襲
137話
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「へぇ……今度は、森か。前もって情報はあったから分かってたけど……この遺跡って一体どうなってるんだろうな」
大樹の遺跡の地下四階。
地図があったおかげで、一階、地下一階、地下二階、地下三階を特に問題なく攻略し、地下五階まで到着したのだが、階段を降りた先にあったのが森だというのは……アランが口にしたように、元々分かってはいたのだが、それでも驚く。
驚いているのは、アランだけではない。
他にも何人もが驚いていた。
何しろ、この地下五階はかなり高い木が何本も生えている森で、その上どういう仕掛けなのかは分からなかったが、天井付近には太陽のような光源まで存在している。
それを見れば、驚くのも当然だろう。
「古代魔法文明って、太陽まで作れるんだな。もちろん、本物の太陽じゃなくて擬似的な太陽だろうけど」
木々の隙間から見える太陽を眺めながら呟くアランに、周囲で驚いていた他の面々も同意するように頷く。
「ああ。正直、どうやってああいう太陽を作ったのかは分からないが」
「でも、この大樹の遺跡の最下層に太陽の作り方があったり、もしくは太陽を作る何かがあったら……今回の探索は大成功になるんじゃない?」
探索者の女の言葉に、アランも納得する。
もし自由に太陽を作ることが出来るのなら、その価値は計り知れない。
とはいえ、そのような代物を容易に入手出来るとは、アランも思えなかったが。
もしくは、もし太陽を作る機械か何かを発見しても、それがあまりに大きかったり、部品が大きすぎるとなると、地上まで持っていくのが難しい。
(アイテムボックスとかあったら、話は別だろうけど)
地球にいた頃に読んだ漫画やアニメ、小説といったもので出て来たアイテムボックスというのは、多少名前は違っても、効果としては無限に物を収納出来ることだろう。
そのような能力やマジックアイテムがあれば、太陽を作る機械とかがって持ち運ぶことは出来る。
(この世界にはアイテムボックスとかないしな)
あるいは、もしかしたらマジックアイテムとしてあるのかもしれないが、アランがこれまで探索者として活動してきた中で、アイテムボックスのような能力を持つマジックアイテムについての情報を得たことはない。
「動物とかモンスターも結構いるな。……これ、どうやってここまで入り込んだんだと思う?」
気配察知の類が得意な探索者の一人が呟くが、当然のようにアランにもその辺は分からない。
ここが一階であれば……いや、もしくは地下一階や二階程度であれば、まだ話は分かる。
だが、ここは地下五階だ。
モンスターや動物がやって来ることは不可能……とまでは言わないが、それでもかなり確率は低い。
にもかかわらず、ここではしっかりと生態系が出来上がっているのだ。
ここまでやって来た者たちが、そんな疑問を抱くのも当然だろう。
「うーん、古代魔法文明がまだ滅びていなかった頃にこの遺跡を作ったとき、放した動物や鳥とかが生態系を築いて生き残って、進化してきたとか?」
仲間の一人がそう言うと、皆がそれを否定する。
古代魔法文明……そう、『古代』魔法文明なのだ。
その時代に放された動物や鳥などが生きて生態系を築いていたというのは、とても信じられなかったのだろう。
だが、地球での前世があるアランはある意味でここと似たような状況にあった場所を知っていた。
ガラパゴス諸島という、一度も大陸と地続きになったことがないために、その島に棲息する生物は独自の進化を遂げたという場所だ。
もちろん、大樹の遺跡とガラパスゴス諸島では、色々と違う部分も多いのだが。
「皆さん、丁度いいので、今日はここで野営とします」
イルゼンの声が周囲に響く。
するとそれを聞いた者たちが、すぐに野営の準備に取りかかる。
遺跡の中で野営をするというのは、探索者たちにとっては珍しいことではない。
そんな探索者たちにとって、森の中にしか思えない場所での野営というのは苦にならなかった。……いや、むしろ野営しやすい場所だと言ってもいいだろう。
それだけに、多くの者が慣れているかのように野営の準備をしていく。
「おーい、アラン。向こうに川があるから、水を汲んできてくれ!」
テントの準備をしていたアランは、仲間にそう頼まれて容器を手に川に向かう。
水汲みというのは、何気に大変な仕事だ。
水が重いというのもあるし、それ以外でも水辺というのは動物やモンスターも頻繁にやって来る水場なのだから。
それでも水というのは生活する上で必要不可欠なものなので、誰かが汲んでくる必要がある。
そうして容器を手に川までやってきたアランは、その川を見てほう、と小さく息を吐く。
その声には、感嘆の色が合った。
目の前に広がっている湖は、それだけ素晴らしい景色だったのだ。
日の光が降り注ぎ、川の水が煌めく。
川の水も非常に綺麗で、飲んでも全く問題ないと思えるほどだった。
……一応飲用可能かどうかというのは、マジックアイテムで調べてあるので問題ないと仲間から聞かされてはいたのだが、これを見る限りではそのような検査はいらなかったのではないかと、そう思えるほどに流れている水の透明度は高い。
「これは凄いな」
アランも、探索者として今で多くの場所に行ってきた。
そんな中でも、この川の透明度は間違いなくトップクラスだった。
数分ほど、綺麗な川に目を奪われていたアランだったが、ふと我に返ると、容器の中に水を入れる。
水の中に容器を沈めながら、アランは周囲の様子を確認する。
水場だけに、動物やモンスターがやってきてもおかしくはないのだから、警戒する必要はあった。
そうして警戒のために空を見上げ……ふと気が付く。
「あ、この森の中なら、ゼオンを使えるんだな」
「ぴ?」
アランの口から出た独り言に気が付いたのか、カロが鳴き声を上げる。
カロにしてみれば、もしかしたら自分の出番が来るのかもしれないと、そう思ったのだろう。
……とはいえ、見たところそこまで巨大なモンスターがいる様子もないし、多少強力なモンスターがいたとしても、雲海と黄金の薔薇にはアランやレオノーラ以外にも心核使いはいる。
それも全高十八メートルという、とんでもない大きさではなく、普通――という表現が相応しいのかどうかアランには分からなかったが――の心核使いが。
そうである以上、もしこの地下四階で自分の出番があるとすれば、それこそ巨大なモンスターが出没したときくらいか。
そう考えていた瞬間……不意に風の刃が飛んでくる。
「え?」
そんな風の刃に驚きの声を上げるアランだったが、その反応は鈍い。
手に水を入れる容器を持っているというのもあるし、周囲の景色が綺麗で油断していたというのもあるが、やはり気配を察知する能力がそこまで高くないというのが影響しているのだろう。
とはいえ、その風の刃はアランではなく、アランから少し逸れた場所に向かって飛んでいく。
そうして川の近くに生えている木の枝に命中し……
「ギャウン」
そんな悲鳴と共に、何かが地面に落ちる音が聞こえる。
最初アランは何が地面に落ちたのかが分からなかった。
だが、落ちた場所に不意にその姿が現れ、そこでようやく自分が何に狙われていたのかを理解する。
そこにいたのは、ちょっとした大型犬くらいの大きさを持つ、カメレオンに似たモンスターの姿だった。
ただし、当然アランが知っている――実際に見たことがある訳ではなく、日本で生きていた頃にTVや本で見ただけだが――カメレオンとは、色々と違う場所もある。
その大きさはともかく、胴体からは小さな手が十本近くも生えており、更には尻尾の先は大きな瘤となっており、その尻尾の一撃を食らった場合は致命的な一撃になると思えるだけけの迫力があった。
そして何より……身体の色。
アランが知っているカメレオンも、周囲の景色に同化するように身体の色を変えるという能力を持っているのだから、地面に落ちたカメレオンは周囲の景色に同化するどころか、身体の一部が透明に……それこそ、光学迷彩でも使っているかのような状況になっていた。
そのような状況で動いているのだから、強烈な違和感を見ている者に与える。
「アラン、無事だったか?」
「父さん!?」
そう声をかけてきたのは、アランが口にした通り、アランの父親のニコラス。
魔法の腕はよくない……いや、からっきしと言ってもいいアランとは違い、生粋の魔法使いだ。
実際、先程の風の刃もニコラスが放ったものなのは、間違いない。
「このモンスターがアランを狙っていたんだ。……というか、水辺に獲物が来るのを待ち伏せていたというのが正しいだろうな」
まだ微かに動き、死んでいないカメレオンのモンスターを見ながら告げるニコラスに、アランは改めて視線をカメレオンのモンスターに向ける。
カメレオンのモンスターは身体を風の刃で斬り裂かれて周囲に血の臭いを漂わせている。
口から伸びている舌の先端は鋭く尖っており、その舌で貫かれていた場合、それこそ短剣か何かで刺されたような傷を負っていただろう。
「このモンスター……水辺にくる獲物を狙っていたんだろうな」
「そこに俺がやって来て狙われたのか……」
呟きつつ、アランの視線は改めてモンスターに向けられる。
アランにとっては、始めて見るモンスターだった。
(あるいは、この森で進化してきた独自のモンスターなのか? だとすれば、対処するのに少し厄介そうだけど……金にはなりそうだな)
ここにしかいないモンスターというのは、欲しいと思う者は多い。
希少価値の高い存在を欲する者は、それこそどこにでもいるのだから。
……もっとも、すでにカメレオンのモンスターは死んでいる以上、荷物になるのでこのまま持っていく訳にはいかなかったが。
今から地上に戻るのであれば、死体を持っていくといったことも可能だろう。
だが、アランたちはこれからもっと下に……ザッカランの探索者たちですら、まだ足を踏み入れたことがない場所に進むのだ。
それを思えば、やはりこのカメレオンのモンスターはここに捨てていくしかなかった。
大樹の遺跡の地下四階。
地図があったおかげで、一階、地下一階、地下二階、地下三階を特に問題なく攻略し、地下五階まで到着したのだが、階段を降りた先にあったのが森だというのは……アランが口にしたように、元々分かってはいたのだが、それでも驚く。
驚いているのは、アランだけではない。
他にも何人もが驚いていた。
何しろ、この地下五階はかなり高い木が何本も生えている森で、その上どういう仕掛けなのかは分からなかったが、天井付近には太陽のような光源まで存在している。
それを見れば、驚くのも当然だろう。
「古代魔法文明って、太陽まで作れるんだな。もちろん、本物の太陽じゃなくて擬似的な太陽だろうけど」
木々の隙間から見える太陽を眺めながら呟くアランに、周囲で驚いていた他の面々も同意するように頷く。
「ああ。正直、どうやってああいう太陽を作ったのかは分からないが」
「でも、この大樹の遺跡の最下層に太陽の作り方があったり、もしくは太陽を作る何かがあったら……今回の探索は大成功になるんじゃない?」
探索者の女の言葉に、アランも納得する。
もし自由に太陽を作ることが出来るのなら、その価値は計り知れない。
とはいえ、そのような代物を容易に入手出来るとは、アランも思えなかったが。
もしくは、もし太陽を作る機械か何かを発見しても、それがあまりに大きかったり、部品が大きすぎるとなると、地上まで持っていくのが難しい。
(アイテムボックスとかあったら、話は別だろうけど)
地球にいた頃に読んだ漫画やアニメ、小説といったもので出て来たアイテムボックスというのは、多少名前は違っても、効果としては無限に物を収納出来ることだろう。
そのような能力やマジックアイテムがあれば、太陽を作る機械とかがって持ち運ぶことは出来る。
(この世界にはアイテムボックスとかないしな)
あるいは、もしかしたらマジックアイテムとしてあるのかもしれないが、アランがこれまで探索者として活動してきた中で、アイテムボックスのような能力を持つマジックアイテムについての情報を得たことはない。
「動物とかモンスターも結構いるな。……これ、どうやってここまで入り込んだんだと思う?」
気配察知の類が得意な探索者の一人が呟くが、当然のようにアランにもその辺は分からない。
ここが一階であれば……いや、もしくは地下一階や二階程度であれば、まだ話は分かる。
だが、ここは地下五階だ。
モンスターや動物がやって来ることは不可能……とまでは言わないが、それでもかなり確率は低い。
にもかかわらず、ここではしっかりと生態系が出来上がっているのだ。
ここまでやって来た者たちが、そんな疑問を抱くのも当然だろう。
「うーん、古代魔法文明がまだ滅びていなかった頃にこの遺跡を作ったとき、放した動物や鳥とかが生態系を築いて生き残って、進化してきたとか?」
仲間の一人がそう言うと、皆がそれを否定する。
古代魔法文明……そう、『古代』魔法文明なのだ。
その時代に放された動物や鳥などが生きて生態系を築いていたというのは、とても信じられなかったのだろう。
だが、地球での前世があるアランはある意味でここと似たような状況にあった場所を知っていた。
ガラパゴス諸島という、一度も大陸と地続きになったことがないために、その島に棲息する生物は独自の進化を遂げたという場所だ。
もちろん、大樹の遺跡とガラパスゴス諸島では、色々と違う部分も多いのだが。
「皆さん、丁度いいので、今日はここで野営とします」
イルゼンの声が周囲に響く。
するとそれを聞いた者たちが、すぐに野営の準備に取りかかる。
遺跡の中で野営をするというのは、探索者たちにとっては珍しいことではない。
そんな探索者たちにとって、森の中にしか思えない場所での野営というのは苦にならなかった。……いや、むしろ野営しやすい場所だと言ってもいいだろう。
それだけに、多くの者が慣れているかのように野営の準備をしていく。
「おーい、アラン。向こうに川があるから、水を汲んできてくれ!」
テントの準備をしていたアランは、仲間にそう頼まれて容器を手に川に向かう。
水汲みというのは、何気に大変な仕事だ。
水が重いというのもあるし、それ以外でも水辺というのは動物やモンスターも頻繁にやって来る水場なのだから。
それでも水というのは生活する上で必要不可欠なものなので、誰かが汲んでくる必要がある。
そうして容器を手に川までやってきたアランは、その川を見てほう、と小さく息を吐く。
その声には、感嘆の色が合った。
目の前に広がっている湖は、それだけ素晴らしい景色だったのだ。
日の光が降り注ぎ、川の水が煌めく。
川の水も非常に綺麗で、飲んでも全く問題ないと思えるほどだった。
……一応飲用可能かどうかというのは、マジックアイテムで調べてあるので問題ないと仲間から聞かされてはいたのだが、これを見る限りではそのような検査はいらなかったのではないかと、そう思えるほどに流れている水の透明度は高い。
「これは凄いな」
アランも、探索者として今で多くの場所に行ってきた。
そんな中でも、この川の透明度は間違いなくトップクラスだった。
数分ほど、綺麗な川に目を奪われていたアランだったが、ふと我に返ると、容器の中に水を入れる。
水の中に容器を沈めながら、アランは周囲の様子を確認する。
水場だけに、動物やモンスターがやってきてもおかしくはないのだから、警戒する必要はあった。
そうして警戒のために空を見上げ……ふと気が付く。
「あ、この森の中なら、ゼオンを使えるんだな」
「ぴ?」
アランの口から出た独り言に気が付いたのか、カロが鳴き声を上げる。
カロにしてみれば、もしかしたら自分の出番が来るのかもしれないと、そう思ったのだろう。
……とはいえ、見たところそこまで巨大なモンスターがいる様子もないし、多少強力なモンスターがいたとしても、雲海と黄金の薔薇にはアランやレオノーラ以外にも心核使いはいる。
それも全高十八メートルという、とんでもない大きさではなく、普通――という表現が相応しいのかどうかアランには分からなかったが――の心核使いが。
そうである以上、もしこの地下四階で自分の出番があるとすれば、それこそ巨大なモンスターが出没したときくらいか。
そう考えていた瞬間……不意に風の刃が飛んでくる。
「え?」
そんな風の刃に驚きの声を上げるアランだったが、その反応は鈍い。
手に水を入れる容器を持っているというのもあるし、周囲の景色が綺麗で油断していたというのもあるが、やはり気配を察知する能力がそこまで高くないというのが影響しているのだろう。
とはいえ、その風の刃はアランではなく、アランから少し逸れた場所に向かって飛んでいく。
そうして川の近くに生えている木の枝に命中し……
「ギャウン」
そんな悲鳴と共に、何かが地面に落ちる音が聞こえる。
最初アランは何が地面に落ちたのかが分からなかった。
だが、落ちた場所に不意にその姿が現れ、そこでようやく自分が何に狙われていたのかを理解する。
そこにいたのは、ちょっとした大型犬くらいの大きさを持つ、カメレオンに似たモンスターの姿だった。
ただし、当然アランが知っている――実際に見たことがある訳ではなく、日本で生きていた頃にTVや本で見ただけだが――カメレオンとは、色々と違う場所もある。
その大きさはともかく、胴体からは小さな手が十本近くも生えており、更には尻尾の先は大きな瘤となっており、その尻尾の一撃を食らった場合は致命的な一撃になると思えるだけけの迫力があった。
そして何より……身体の色。
アランが知っているカメレオンも、周囲の景色に同化するように身体の色を変えるという能力を持っているのだから、地面に落ちたカメレオンは周囲の景色に同化するどころか、身体の一部が透明に……それこそ、光学迷彩でも使っているかのような状況になっていた。
そのような状況で動いているのだから、強烈な違和感を見ている者に与える。
「アラン、無事だったか?」
「父さん!?」
そう声をかけてきたのは、アランが口にした通り、アランの父親のニコラス。
魔法の腕はよくない……いや、からっきしと言ってもいいアランとは違い、生粋の魔法使いだ。
実際、先程の風の刃もニコラスが放ったものなのは、間違いない。
「このモンスターがアランを狙っていたんだ。……というか、水辺に獲物が来るのを待ち伏せていたというのが正しいだろうな」
まだ微かに動き、死んでいないカメレオンのモンスターを見ながら告げるニコラスに、アランは改めて視線をカメレオンのモンスターに向ける。
カメレオンのモンスターは身体を風の刃で斬り裂かれて周囲に血の臭いを漂わせている。
口から伸びている舌の先端は鋭く尖っており、その舌で貫かれていた場合、それこそ短剣か何かで刺されたような傷を負っていただろう。
「このモンスター……水辺にくる獲物を狙っていたんだろうな」
「そこに俺がやって来て狙われたのか……」
呟きつつ、アランの視線は改めてモンスターに向けられる。
アランにとっては、始めて見るモンスターだった。
(あるいは、この森で進化してきた独自のモンスターなのか? だとすれば、対処するのに少し厄介そうだけど……金にはなりそうだな)
ここにしかいないモンスターというのは、欲しいと思う者は多い。
希少価値の高い存在を欲する者は、それこそどこにでもいるのだから。
……もっとも、すでにカメレオンのモンスターは死んでいる以上、荷物になるのでこのまま持っていく訳にはいかなかったが。
今から地上に戻るのであれば、死体を持っていくといったことも可能だろう。
だが、アランたちはこれからもっと下に……ザッカランの探索者たちですら、まだ足を踏み入れたことがない場所に進むのだ。
それを思えば、やはりこのカメレオンのモンスターはここに捨てていくしかなかった。
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