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逆襲
135話
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ザッカランがボーレス率いるドットリオン王国軍に占領されてから十日ほど。
最初の数日は色々と混乱はしたものの、それも時間が経つにつれて次第に収まっていく。
……もっとも、だからといってザッカランの住人全員がドットリオン王国軍に対して友好的な態度を取っている訳ではない。
十日ほどが経過しても、ドットリオン王国軍を憎む者は多い。
それでも大体の者たちは自分の内心はどうあれ、それを態度に出すような真似はしない。
だが……中には、そのようなことが出来ず、ただ苛立ちのままにドットリオン王国軍の兵士に喧嘩を売るような者も少なくなかった。
とはいえ、そのような者達はただちに捕らえられて牢屋行きとなっていたが。
それも、殴られたことで顔面を腫らして。
ドットリオン王国軍の兵士は、ザッカランの住人に乱暴を働いたりといった真似はしない。
正確には何人かそのような者がいたのは事実だが、ボーランはそのようなことがあったと聞くと、すぐに誰がそのようなことを行ったのかを調べ、相応に処分した。
女に乱暴したという者は、皆の前で斬首にすらしたのだ。
それらを見て、ドットリオン王国軍の兵士は自分たちに手を出せないと判断したような者が兵士に絡んでいき……結果として、骨の一本や二本を折るような怪我をした者は決して少なくなかった。
当然のように怪我をした者たちは、兵士たちに乱暴されたと証言したものの、その辺はしっかりと調べればすぐに分かる。
結果として、兵士たちは軽く注意を受ける程度で終わり、兵士に絡んでいった者たちが厳しい取り調べを受けることになった。
そのような些細な――本人たちにとっては重大な――出来事はあったが、基本的にザッカランではそこまで大きな騒動は起こらずに時間が流れる。
そんな中……アランの姿は、ザッカランの外にあった。
もちろん、そこにいるのはアランだけではなく、雲海や黄金の薔薇の面々も揃っている。
「な、なぁ。おい。あれって雲海と黄金の薔薇だろ? 一体何をしてるんだ? もしかして、まだどこかに攻めに行くのか?」
城壁の上で見張りを任されていた兵士の一人が、ザッカランの近くにいる集団を目にすると同僚に尋ねる。
ザッカラン防衛戦に参加したことにより、ドットリオン王国軍の実力――正確にはアランの心核ゼオンの実力だが――は十分に思い知っていた。
だからこそ、そのアランを含めて所属するクランや、そのクランと友好的な関係にある別のクランが一緒にザッカランの外にいるとなると、気にするなという方が無理だった。
「ん? ああ、お前は知らなかったのか? 雲海と黄金の薔薇はこれから大樹の遺跡に挑むらしい。ぞもそも、あの二つのクランがザッカランの攻撃に協力したのも、それが関係してるって話だ」
「……嘘だろ? そんなもののためにザッカランを攻撃したのかよ?」
「そんなものってな。元々あの連中は探索者だ。なら、軍隊に協力するのと遺跡に挑むののどちらが本職なのかは、考えるまでもなく明らかだろ?」
「いや、けどよ……お前は平気なのか? 俺達のザッカランはあの連中のせいでドットリオン王国軍に占領されたんだぞ?」
「だろうな。けど、もしあの二つのクランがなくても、ドットリオン王国軍の戦力を防ぎ切れたと思うか? 戦力が殆どない状態だったんだから、まず無理だろ」
「いや、でも心核使いが……」
「それはこっちだけの話じゃない。向こうにだって心核使いはいるはずだ。実際に、あの青い狼とかいただろ? 結局負けたけど、他にも心核使いがいたのは間違いない。そんな状況で敵と戦ったとしても……どうなるかは分かってるだろ? 戦力を引き抜かれていた時点で勝ち目はなかった」
「それは……」
相棒の言葉に、兵士も納得するしか出来なかった。
ラリアント攻略戦で連れていかれた戦力がなければ、対抗することも出来ただろう。
だが、あのときの状況でドットリオン王国軍に対抗すれば、それこそ受ける被害はより大きくなり、さらにはその上で負けていたのは恐らく間違いない。
そうなれば、ザッカランは今よりも圧倒的に酷い状況になっていただろう。
そして何より、もしそのような状況になっていた場合、一番命の危険があったのは兵士の自分たちなのだ。
そう考えれば、雲海と黄金の薔薇の面々に、感謝こそすれ反感を覚えるということはなかった。
少なくても、この兵士には。
……ドットリオン王国を無条件で下に見ていないからこその考えかもしれないが。
「だろ? ま、とにかくそんな訳で俺たちは俺たちの仕事をしっかりとやった方がいい。モンスターとか盗賊が襲ってこないとも限らないしな」
言葉には出さなかったが、ザッカランにやって来る者の中にはそれこそ奪還の為にガリンダミア帝国軍がやってきてもおかしくはない。
そうなったとき、ザッカランはどうなるのか。
ドットリオン王国に先入観を持っていない兵士は、出来るだけそうなるのが遅くなることを祈るのだった。
「おや?」
イルゼンが不意に城壁の方を見て呟くのを聞いたアランは、一体どうしたのかと視線を向ける。
「どうしました? 何かありましたか?」
「……いえ、どうやら気のせいだったようですね。何でもありません」
イルゼンの様子からそんな風には思えなかったアランだったが、今この状況で自分が何かを言っても、恐らくイルゼンはこれ以上は何も言わないだろうと判断し、追求を止めて別の話題を口にする。
「それで、ギルドから遺跡の地図は貰ったんですよね? どんな感じだったんです?」
「結構複雑な迷路と言ってもいいかと」
「……嫌な遺跡ですね」
古代魔法文明の遺跡にも、色々な種類がある。
そんな中で、迷路のようになっている遺跡は侵入者を迷わせるのが目的……つまり、侵入者の存在を前提としているのだ。
そうである以上、当然ながら侵入者を撃対するのを目的としており、罠だったり警備用の敵がいたりと、探索する方にとっては厄介な存在だ。
「そうですね。ですが、それでも地図を貰えただけ楽が出来ますよ」
この地図は、ドットリオン王国軍に協力する条件として用意された、雲海や黄金の薔薇に対する優遇措置の一環となる。
本来ならギルドに相応の金額を支払い、それだけではなく悪用しないとギルド側が判断して、初めて詳細な地図を売るのだ。
地図があれば、遺跡で妙なことを考える者にとっても非常に助かる以上、ザッカランのギルドとしては誰にでもそうほいほいと地図を売る訳にはいかない。
もっとも、全く何の情報もないのでは探索者に死人や怪我人が多く出るので、簡略化された地図が売りに出されているのだが。
この辺りの判断は、近くにある遺跡によっても大きく違うので、ギルドで大きく変わってくる。
中には、それこそ金さえ出せば最初から詳細な地図を売るというギルドもあるのを、アランは実際に体験してきて知っていた。
「そうですね。ですが、地図があるのは結局そこまで潜った探索者がいるということです。より大きなお宝を手に入れるには、地図のない場所まで行く必要があります。……アラン君のカロのようにね」
「ぴ?」
自分の名前を呼ばれたのが分かったのか、カロは小さく鳴き声を上げる。
幸いにして、周囲にいるのは雲海と黄金の薔薇の面々だけに、カロが自我を持っているというのを知っている者たちだけだ。
それだけに、カロの鳴き声を隠したりといったようなことをしなくてもいいのは、アランにとっても非常に助かっている。
「そうですね。カロを手に入れたのも、レオノーラと一緒に遺跡の最深部まで転移したのが原因でしたし」
心核を……それも二つも入手出来たのだから、運が悪いとは決して言えない。
ましてや、その二つの心核は特殊な心核らしく、アランとレオノーラはお互いが心核を使っているときに限ってだが、念話のようなもので会話が出来るというおまけもある。
とはいえ、その心核があった場所には強力な敵も存在しており、始めて使う心核でどうにか敵を倒すことに成功したという、一歩間違えば死んでいた可能性が非常に高い戦いを潜り抜ける必要があったのだが。
そういう意味では、決して運がよかっただけとは言えないだろう。
「大樹の遺跡に心核があるとは思いませんが、まだ誰も最深部まで辿り着いていないことを考えると、もしかしたら……本当にもしかしたらの話ですが、心核があってもおかしくありませんね」
「それは否定しませんけどね」
実際、大樹の遺跡はこの周辺一帯――それこそザッカランの辺りも含めて――では最大の遺跡だ。
それだけに、今まで多くの者が挑戦してはいる。
だというのに、まだ誰も最深部に到着してはいないのだ。
一体どのくらいの深さがあるのかということすら分かっていない以上、その奥に一体どれだけの財宝が眠っているのかは、それこそ実際に挑戦してみるまでは分からない。
……もっとも、そこまで大きな遺跡だからこそ、イルゼンは興味を持ったのだが。
雲海と黄金の薔薇という二つのクランを維持していくだけでも、相応の金は必要となる。
その金を稼ぐためにも、まだ誰も最深部まで到達して攻略したことのない遺跡というのは、渡りに船と言ってもよかった
とはいえ、金を稼ぐだけならこのような大きな遺跡ではなくても、そこそこの大きさの遺跡に潜ればそれで十分に稼げるし、何よりもラリアント防衛戦の一件で雲海はかなりの報酬を貰っている。
黄金の薔薇も報酬を貰ってはいるが、その報酬は最初からラリアント防衛戦に参加していた雲海に比べればどうしても少ない。
とはいえ、レオノーラが来なければラリアントが占領されていた可能性は高い。
そう考えると、黄金の薔薇に……より正確にはレオノーラ個人に相応の報酬が支払われるのも、また当然の話だったが。
つまり、純粋に金のことだけを考えるのなら、まだある程度余裕があるのは事実だ。
にもかかわらず、こうして遺跡の地図をギルドに用意して貰って大樹の遺跡に挑むのは……やはり、探索者としてそこに未知の遺跡が存在しているから、というのが一番大きいのだろう。
最初の数日は色々と混乱はしたものの、それも時間が経つにつれて次第に収まっていく。
……もっとも、だからといってザッカランの住人全員がドットリオン王国軍に対して友好的な態度を取っている訳ではない。
十日ほどが経過しても、ドットリオン王国軍を憎む者は多い。
それでも大体の者たちは自分の内心はどうあれ、それを態度に出すような真似はしない。
だが……中には、そのようなことが出来ず、ただ苛立ちのままにドットリオン王国軍の兵士に喧嘩を売るような者も少なくなかった。
とはいえ、そのような者達はただちに捕らえられて牢屋行きとなっていたが。
それも、殴られたことで顔面を腫らして。
ドットリオン王国軍の兵士は、ザッカランの住人に乱暴を働いたりといった真似はしない。
正確には何人かそのような者がいたのは事実だが、ボーランはそのようなことがあったと聞くと、すぐに誰がそのようなことを行ったのかを調べ、相応に処分した。
女に乱暴したという者は、皆の前で斬首にすらしたのだ。
それらを見て、ドットリオン王国軍の兵士は自分たちに手を出せないと判断したような者が兵士に絡んでいき……結果として、骨の一本や二本を折るような怪我をした者は決して少なくなかった。
当然のように怪我をした者たちは、兵士たちに乱暴されたと証言したものの、その辺はしっかりと調べればすぐに分かる。
結果として、兵士たちは軽く注意を受ける程度で終わり、兵士に絡んでいった者たちが厳しい取り調べを受けることになった。
そのような些細な――本人たちにとっては重大な――出来事はあったが、基本的にザッカランではそこまで大きな騒動は起こらずに時間が流れる。
そんな中……アランの姿は、ザッカランの外にあった。
もちろん、そこにいるのはアランだけではなく、雲海や黄金の薔薇の面々も揃っている。
「な、なぁ。おい。あれって雲海と黄金の薔薇だろ? 一体何をしてるんだ? もしかして、まだどこかに攻めに行くのか?」
城壁の上で見張りを任されていた兵士の一人が、ザッカランの近くにいる集団を目にすると同僚に尋ねる。
ザッカラン防衛戦に参加したことにより、ドットリオン王国軍の実力――正確にはアランの心核ゼオンの実力だが――は十分に思い知っていた。
だからこそ、そのアランを含めて所属するクランや、そのクランと友好的な関係にある別のクランが一緒にザッカランの外にいるとなると、気にするなという方が無理だった。
「ん? ああ、お前は知らなかったのか? 雲海と黄金の薔薇はこれから大樹の遺跡に挑むらしい。ぞもそも、あの二つのクランがザッカランの攻撃に協力したのも、それが関係してるって話だ」
「……嘘だろ? そんなもののためにザッカランを攻撃したのかよ?」
「そんなものってな。元々あの連中は探索者だ。なら、軍隊に協力するのと遺跡に挑むののどちらが本職なのかは、考えるまでもなく明らかだろ?」
「いや、けどよ……お前は平気なのか? 俺達のザッカランはあの連中のせいでドットリオン王国軍に占領されたんだぞ?」
「だろうな。けど、もしあの二つのクランがなくても、ドットリオン王国軍の戦力を防ぎ切れたと思うか? 戦力が殆どない状態だったんだから、まず無理だろ」
「いや、でも心核使いが……」
「それはこっちだけの話じゃない。向こうにだって心核使いはいるはずだ。実際に、あの青い狼とかいただろ? 結局負けたけど、他にも心核使いがいたのは間違いない。そんな状況で敵と戦ったとしても……どうなるかは分かってるだろ? 戦力を引き抜かれていた時点で勝ち目はなかった」
「それは……」
相棒の言葉に、兵士も納得するしか出来なかった。
ラリアント攻略戦で連れていかれた戦力がなければ、対抗することも出来ただろう。
だが、あのときの状況でドットリオン王国軍に対抗すれば、それこそ受ける被害はより大きくなり、さらにはその上で負けていたのは恐らく間違いない。
そうなれば、ザッカランは今よりも圧倒的に酷い状況になっていただろう。
そして何より、もしそのような状況になっていた場合、一番命の危険があったのは兵士の自分たちなのだ。
そう考えれば、雲海と黄金の薔薇の面々に、感謝こそすれ反感を覚えるということはなかった。
少なくても、この兵士には。
……ドットリオン王国を無条件で下に見ていないからこその考えかもしれないが。
「だろ? ま、とにかくそんな訳で俺たちは俺たちの仕事をしっかりとやった方がいい。モンスターとか盗賊が襲ってこないとも限らないしな」
言葉には出さなかったが、ザッカランにやって来る者の中にはそれこそ奪還の為にガリンダミア帝国軍がやってきてもおかしくはない。
そうなったとき、ザッカランはどうなるのか。
ドットリオン王国に先入観を持っていない兵士は、出来るだけそうなるのが遅くなることを祈るのだった。
「おや?」
イルゼンが不意に城壁の方を見て呟くのを聞いたアランは、一体どうしたのかと視線を向ける。
「どうしました? 何かありましたか?」
「……いえ、どうやら気のせいだったようですね。何でもありません」
イルゼンの様子からそんな風には思えなかったアランだったが、今この状況で自分が何かを言っても、恐らくイルゼンはこれ以上は何も言わないだろうと判断し、追求を止めて別の話題を口にする。
「それで、ギルドから遺跡の地図は貰ったんですよね? どんな感じだったんです?」
「結構複雑な迷路と言ってもいいかと」
「……嫌な遺跡ですね」
古代魔法文明の遺跡にも、色々な種類がある。
そんな中で、迷路のようになっている遺跡は侵入者を迷わせるのが目的……つまり、侵入者の存在を前提としているのだ。
そうである以上、当然ながら侵入者を撃対するのを目的としており、罠だったり警備用の敵がいたりと、探索する方にとっては厄介な存在だ。
「そうですね。ですが、それでも地図を貰えただけ楽が出来ますよ」
この地図は、ドットリオン王国軍に協力する条件として用意された、雲海や黄金の薔薇に対する優遇措置の一環となる。
本来ならギルドに相応の金額を支払い、それだけではなく悪用しないとギルド側が判断して、初めて詳細な地図を売るのだ。
地図があれば、遺跡で妙なことを考える者にとっても非常に助かる以上、ザッカランのギルドとしては誰にでもそうほいほいと地図を売る訳にはいかない。
もっとも、全く何の情報もないのでは探索者に死人や怪我人が多く出るので、簡略化された地図が売りに出されているのだが。
この辺りの判断は、近くにある遺跡によっても大きく違うので、ギルドで大きく変わってくる。
中には、それこそ金さえ出せば最初から詳細な地図を売るというギルドもあるのを、アランは実際に体験してきて知っていた。
「そうですね。ですが、地図があるのは結局そこまで潜った探索者がいるということです。より大きなお宝を手に入れるには、地図のない場所まで行く必要があります。……アラン君のカロのようにね」
「ぴ?」
自分の名前を呼ばれたのが分かったのか、カロは小さく鳴き声を上げる。
幸いにして、周囲にいるのは雲海と黄金の薔薇の面々だけに、カロが自我を持っているというのを知っている者たちだけだ。
それだけに、カロの鳴き声を隠したりといったようなことをしなくてもいいのは、アランにとっても非常に助かっている。
「そうですね。カロを手に入れたのも、レオノーラと一緒に遺跡の最深部まで転移したのが原因でしたし」
心核を……それも二つも入手出来たのだから、運が悪いとは決して言えない。
ましてや、その二つの心核は特殊な心核らしく、アランとレオノーラはお互いが心核を使っているときに限ってだが、念話のようなもので会話が出来るというおまけもある。
とはいえ、その心核があった場所には強力な敵も存在しており、始めて使う心核でどうにか敵を倒すことに成功したという、一歩間違えば死んでいた可能性が非常に高い戦いを潜り抜ける必要があったのだが。
そういう意味では、決して運がよかっただけとは言えないだろう。
「大樹の遺跡に心核があるとは思いませんが、まだ誰も最深部まで辿り着いていないことを考えると、もしかしたら……本当にもしかしたらの話ですが、心核があってもおかしくありませんね」
「それは否定しませんけどね」
実際、大樹の遺跡はこの周辺一帯――それこそザッカランの辺りも含めて――では最大の遺跡だ。
それだけに、今まで多くの者が挑戦してはいる。
だというのに、まだ誰も最深部に到着してはいないのだ。
一体どのくらいの深さがあるのかということすら分かっていない以上、その奥に一体どれだけの財宝が眠っているのかは、それこそ実際に挑戦してみるまでは分からない。
……もっとも、そこまで大きな遺跡だからこそ、イルゼンは興味を持ったのだが。
雲海と黄金の薔薇という二つのクランを維持していくだけでも、相応の金は必要となる。
その金を稼ぐためにも、まだ誰も最深部まで到達して攻略したことのない遺跡というのは、渡りに船と言ってもよかった
とはいえ、金を稼ぐだけならこのような大きな遺跡ではなくても、そこそこの大きさの遺跡に潜ればそれで十分に稼げるし、何よりもラリアント防衛戦の一件で雲海はかなりの報酬を貰っている。
黄金の薔薇も報酬を貰ってはいるが、その報酬は最初からラリアント防衛戦に参加していた雲海に比べればどうしても少ない。
とはいえ、レオノーラが来なければラリアントが占領されていた可能性は高い。
そう考えると、黄金の薔薇に……より正確にはレオノーラ個人に相応の報酬が支払われるのも、また当然の話だったが。
つまり、純粋に金のことだけを考えるのなら、まだある程度余裕があるのは事実だ。
にもかかわらず、こうして遺跡の地図をギルドに用意して貰って大樹の遺跡に挑むのは……やはり、探索者としてそこに未知の遺跡が存在しているから、というのが一番大きいのだろう。
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