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逆襲
133話
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ぎぃっ、と。
そんな音を立てて探索者ギルドの扉が開く。
幸い……という表現はこの場合相応しくないが、ザッカランにいた探索者の多くは防衛戦に参加しており、それ以外でもラリアントを攻略しようとしたときにガリンダミア帝国軍と共に向かった者もいる。
結果として、現在ギルドにいるのはそのどちらにも参加しなかった者だ。
……もっとも、だからといってそれは残った探索者が弱いとは限らない。
探索者になったのは、あくまでも遺跡を探索するためだとする者は決して少なくはないのだから。
そんな者たちは、ギルドの中に入ってきた相手を見て思わずといった様子で口笛を吹いたり、その美貌に目を奪われたり、ただ唖然とするようなことしか出来ない。
そんな視線を向けられることに慣れているレオノーラは、一応の護衛として黄金の薔薇の心核使いのジャスパーを率いながら、カウンターに向かって進む。
純粋な生身の実力では、レオノーラの方がジャスパーよりも強い。
また、心核使いとしての実力でも、リビングメイルに変身するジャスパーよりも、黄金のドラゴンに変身出来るレオノーラの方が上だ。
とはいえ、ギルドの中で黄金のドラゴンに変身するようなことがあれば、ギルドそのものが崩壊してしまうことになるので、基本的にはレオノーラもそのような真似をするつもりがなかったが。
何より、ジャスパーが一緒に来たのは実力云々よりも外見の問題が大きい。
いくらレオノーラが強くても、やはり女。……それも非常に魅力的な美人だ。
そのような人物が一人でいた場合、相手の実力を測ることも出来ないような者が、いらないちょっかいをかける可能性がある。
そういう意味で、ジャスパーの護衛というのは必須だった。
……とはいえ、幸い今のギルドには口笛を吹いたりする者はいても、実際に口説こうと考える者はいないらしく、レオノーラはそんな者たちの視線を受け流しながらカウンターに向かう。
「ちょっといいかしら?」
「え? あ、はい。その、何でしょう?」
ギルドの受付嬢は、基本的に顔立ちの整った者がやる。
そういう意味では、レオノーラに話しかけられた女も一般的には美人と評してもよかったし、女もそれは自覚していた。
だが、そんな女であっても、レオノーラを前にするとその美しさに自然と声が上ずってしまう。
「私はレオノーラ。黄金の薔薇というクランを率いているわ。……そうね、ザッカランを占領したドットリオン王国軍に協力していた探索者と説明すれば分かりやすいかしら」
その言葉に、最初受付嬢はレオノーラが何を言ってるのかが分からなかった。
だが、十秒ほどが経過し、自分の中でしっかりと整理がつくと、驚きの視線をレオノーラに向ける。
「……そう、ですか」
それは、全てを理解した上での言葉。
このギルドにも、当然のようにすでにザッカランがドットリオン王国軍によって占領された……いや、正確にはまだ完全に占領はされていないが、領主のサンドロが降伏したという話は伝わっているのだろう。
受付嬢は……そしてレオノーラの言葉を聞いた探索者たちは、何とも言いがたい微妙な視線をレオノーラに向ける。
レオノーラがこうしてやってきた以上、当然のようにザッカランが占領されたのだと、そう実感する。
とはいえ、ギルドは別に国に所属する組織という訳ではない。
だからこそ、たとえザッカランが占領されたとしても、ギルドそのものもドットリオン王国の支配下に置かれるということはなかった。
「それで、どのようなご用でしょう? 知っての通り、ギルドは独立した組織ですので、上から命令されるようなことがあっても、それに必ずしも従うといったことはありませんが」
「知ってるわ。それに、ボーレス……ドットリオン王国軍の指揮官も、別にそんなことは考えていない。私がここに来たのは、単純に大樹の遺跡についての情報が欲しかったからよ」
「……なるほど」
受付嬢はレオノーラの言葉にそう返したが、その表情は決して心から納得しているようなものではない。
探索者ギルドは、国の直轄という訳ではない。
だが、それでもそのギルドで働くのは、そこに住んでいる者なのだ。
そうなれば、当然のように……あるいは本人が意図していなくても、自然と自国に感情移入をしてしまうだろう。
そして今の状況を考えれば、やはりドットリオン王国軍に協力していた相手に対して友好的に接しろという方が無理だろう。
それでも可能な限り表情に出していないのは、受付嬢も自分がギルドの人間であるという自覚があるからだろう。
また、ギルドの中にいた者たちがレオノーラに向けていた視線も、美しさへの感嘆から違う色になった者もいる。
現在ギルドに残っている者は、何らかの理由でザッカラン防衛戦に参加しなかった者たちだ。
だが、それでも自分の住んでいるザッカランという都市に愛着がない訳でもない。
……もっとも、そのザッカランの受けた被害が驚くほどに少なかったのは、アランが頑張った結果ではあるのだが。
「ええ。私たち黄金の薔薇と雲海。この二つのクランで大樹の遺跡に挑むつもりだから、色々と情報が欲しいのよ」
レオノーラの説明に、受付嬢は若干戸惑う。
ドットリオン王国軍の一員として来たのなら、てっきり何かもっと別の……それこそ、探索者がラリアント攻略戦に参加していたことや、ザッカラン防衛戦に参加していたことに不満を持ってやって来たのではないかと、そう思ったからだ。
ギルドはあくまでも国の直轄組織ではなく、そこに所属している探索者も国に従っている訳ではない。
だが、それは同時に自分で仕事を選べるということでもあり、探索者がラリアントを攻めたり、ザッカランを守ったりする依頼を受けても何の問題もないということだ。
同じ探索者であれば、それは当然知っていてもおかしくはないし、それでギルドを責めることが出来ないというのも知っている。
しかし、知っているのと頭で納得するということは違うのだ。
いくらその辺りの事情を知っていても、戦って自分たちに被害が出れば、それを恨みに思い、その依頼を仲介したギルドに思うところがあってもおかしくはない。
もしかして、レオノーラがやってきたのもそのような理由からなのではないか。
そのように思っていたのだが、実際には大樹の遺跡につういての情報を欲してきただけとなると、受付嬢にとっても……そして近くで話の成り行きを見守っていた探索者にとっても、完全に予想外だった。
「えっとその……遺跡の情報ですか?」
「ええ。それ以外に何をしにギルドに来ると思ったの?」
普通の探索者なら、それこそ一緒に行動する臨時の仲間を探しに来るということもあるかもしれない。
だが、レオノーラは黄金の薔薇というクランを率いている身だ。
それだけではなく、アランが所属している雲海とも行動を共にしている。
その辺の事情を考えれば、わざわざここで新たに仲間を探す必要はない。
……もちろん、これはレオノーラが最初から計算していたことだ。
ドットリオン王国軍の一員として活動していた自分が――ザッカラン攻略戦では特に仕事はなかったが――ギルドにやって来れば、当然のようにザッカラン攻略について何らかの不満を持ってきたと、そう思われても仕方がない。
だが、そこでレオノーラがその一件は全く気にしていない様子を見せて、大樹の遺跡についての情報を欲すればどうなるか。
当然のように、レオノーラに対して好意的な感情を抱くだろう。
もっとも、そこにはレオノーラの美貌も関係しているのは間違いなかったが。
また、それだけが理由ではなく、大樹の遺跡についての情報を欲していると言うのも、間違いないのない事実だ。
「それで? 大樹の遺跡についての情報は教えて貰えるの?」
「え? ……あ、はい。その、資料室に行けば色々と詳しい情報があります」
「そう。なら、資料室を利用したいのだけれど、無料かしら?」
ギルドにある資料室を使うのに、有料か無料かというのは、そのギルドによって異なる。
また、実力やランク、所属しているクランの大きさ等々、色々な理由によって、見ることが出来る資料のが分けられている場合もあった。
だからこそ、レオノーラは受付嬢に尋ねたのだが……
「はい。資料室は無料で利用出来ます。ただ、これは貴方に言うまでもないことかもしれませんが、資料の扱いにはくれぐれも注意して下さいね」
そう受付嬢が注意するのは、探索者の中には資料を乱暴に扱う者もいるからだ。
本というのは基本的に手書きで、簡単な印刷機の類もないこの時代、当然のように本は相当に高価な代物となっている。
それが、ギルドによっては資料室を使うのに有料となっている場所もある理由の一つだった。
当然のように、本を破ったりといった真似をすれば弁償しなければならないし、新たな資料が届くまでは不便な思いをすることになる。
だからこそ、受付嬢は丁寧に使うようにと注意したのだろう。
もっとも、レオノーラの言葉遣いや身のこなしを見てれば、いわゆる上級階級で育った者だと予想するのは難しい話ではない。
受付嬢も、一応、念の為といった様子で声をかけたにすぎない。
「ええ、分かったわ。ジャスパー、貴方はどうする?」
「私もレオノーラ様と一緒に。調べるにしても、手が多い方がいいでしょうし」
「そう。じゃあお願いね」
そう言い、レオノーラはジャスパーと共に二階にあるという資料室に向かう。
そうしてレオノーラとジャスパーの姿がなくなったところで、その場にいた多くの者がどっと安堵の息を吐く。
最初こそはレオノーラの正体を知り、場合によってはすこしからかおうと、もしくはお前たちはここの者ではないと思い知らせてやろうかと、そう考えた者もいた。
いたのだが……実際に手を出すことは出来なかった。
それはレオノーラに隙がなかったというのもあるし、同時にジャスパーという付き人が何かあったらすぐに対処出来るように常に備えていたからというのもある。
「厄介だな」
「ああ」
その様子を見ていた何人かの探索者は、そんな風に言葉を交わすのだった。
そんな音を立てて探索者ギルドの扉が開く。
幸い……という表現はこの場合相応しくないが、ザッカランにいた探索者の多くは防衛戦に参加しており、それ以外でもラリアントを攻略しようとしたときにガリンダミア帝国軍と共に向かった者もいる。
結果として、現在ギルドにいるのはそのどちらにも参加しなかった者だ。
……もっとも、だからといってそれは残った探索者が弱いとは限らない。
探索者になったのは、あくまでも遺跡を探索するためだとする者は決して少なくはないのだから。
そんな者たちは、ギルドの中に入ってきた相手を見て思わずといった様子で口笛を吹いたり、その美貌に目を奪われたり、ただ唖然とするようなことしか出来ない。
そんな視線を向けられることに慣れているレオノーラは、一応の護衛として黄金の薔薇の心核使いのジャスパーを率いながら、カウンターに向かって進む。
純粋な生身の実力では、レオノーラの方がジャスパーよりも強い。
また、心核使いとしての実力でも、リビングメイルに変身するジャスパーよりも、黄金のドラゴンに変身出来るレオノーラの方が上だ。
とはいえ、ギルドの中で黄金のドラゴンに変身するようなことがあれば、ギルドそのものが崩壊してしまうことになるので、基本的にはレオノーラもそのような真似をするつもりがなかったが。
何より、ジャスパーが一緒に来たのは実力云々よりも外見の問題が大きい。
いくらレオノーラが強くても、やはり女。……それも非常に魅力的な美人だ。
そのような人物が一人でいた場合、相手の実力を測ることも出来ないような者が、いらないちょっかいをかける可能性がある。
そういう意味で、ジャスパーの護衛というのは必須だった。
……とはいえ、幸い今のギルドには口笛を吹いたりする者はいても、実際に口説こうと考える者はいないらしく、レオノーラはそんな者たちの視線を受け流しながらカウンターに向かう。
「ちょっといいかしら?」
「え? あ、はい。その、何でしょう?」
ギルドの受付嬢は、基本的に顔立ちの整った者がやる。
そういう意味では、レオノーラに話しかけられた女も一般的には美人と評してもよかったし、女もそれは自覚していた。
だが、そんな女であっても、レオノーラを前にするとその美しさに自然と声が上ずってしまう。
「私はレオノーラ。黄金の薔薇というクランを率いているわ。……そうね、ザッカランを占領したドットリオン王国軍に協力していた探索者と説明すれば分かりやすいかしら」
その言葉に、最初受付嬢はレオノーラが何を言ってるのかが分からなかった。
だが、十秒ほどが経過し、自分の中でしっかりと整理がつくと、驚きの視線をレオノーラに向ける。
「……そう、ですか」
それは、全てを理解した上での言葉。
このギルドにも、当然のようにすでにザッカランがドットリオン王国軍によって占領された……いや、正確にはまだ完全に占領はされていないが、領主のサンドロが降伏したという話は伝わっているのだろう。
受付嬢は……そしてレオノーラの言葉を聞いた探索者たちは、何とも言いがたい微妙な視線をレオノーラに向ける。
レオノーラがこうしてやってきた以上、当然のようにザッカランが占領されたのだと、そう実感する。
とはいえ、ギルドは別に国に所属する組織という訳ではない。
だからこそ、たとえザッカランが占領されたとしても、ギルドそのものもドットリオン王国の支配下に置かれるということはなかった。
「それで、どのようなご用でしょう? 知っての通り、ギルドは独立した組織ですので、上から命令されるようなことがあっても、それに必ずしも従うといったことはありませんが」
「知ってるわ。それに、ボーレス……ドットリオン王国軍の指揮官も、別にそんなことは考えていない。私がここに来たのは、単純に大樹の遺跡についての情報が欲しかったからよ」
「……なるほど」
受付嬢はレオノーラの言葉にそう返したが、その表情は決して心から納得しているようなものではない。
探索者ギルドは、国の直轄という訳ではない。
だが、それでもそのギルドで働くのは、そこに住んでいる者なのだ。
そうなれば、当然のように……あるいは本人が意図していなくても、自然と自国に感情移入をしてしまうだろう。
そして今の状況を考えれば、やはりドットリオン王国軍に協力していた相手に対して友好的に接しろという方が無理だろう。
それでも可能な限り表情に出していないのは、受付嬢も自分がギルドの人間であるという自覚があるからだろう。
また、ギルドの中にいた者たちがレオノーラに向けていた視線も、美しさへの感嘆から違う色になった者もいる。
現在ギルドに残っている者は、何らかの理由でザッカラン防衛戦に参加しなかった者たちだ。
だが、それでも自分の住んでいるザッカランという都市に愛着がない訳でもない。
……もっとも、そのザッカランの受けた被害が驚くほどに少なかったのは、アランが頑張った結果ではあるのだが。
「ええ。私たち黄金の薔薇と雲海。この二つのクランで大樹の遺跡に挑むつもりだから、色々と情報が欲しいのよ」
レオノーラの説明に、受付嬢は若干戸惑う。
ドットリオン王国軍の一員として来たのなら、てっきり何かもっと別の……それこそ、探索者がラリアント攻略戦に参加していたことや、ザッカラン防衛戦に参加していたことに不満を持ってやって来たのではないかと、そう思ったからだ。
ギルドはあくまでも国の直轄組織ではなく、そこに所属している探索者も国に従っている訳ではない。
だが、それは同時に自分で仕事を選べるということでもあり、探索者がラリアントを攻めたり、ザッカランを守ったりする依頼を受けても何の問題もないということだ。
同じ探索者であれば、それは当然知っていてもおかしくはないし、それでギルドを責めることが出来ないというのも知っている。
しかし、知っているのと頭で納得するということは違うのだ。
いくらその辺りの事情を知っていても、戦って自分たちに被害が出れば、それを恨みに思い、その依頼を仲介したギルドに思うところがあってもおかしくはない。
もしかして、レオノーラがやってきたのもそのような理由からなのではないか。
そのように思っていたのだが、実際には大樹の遺跡につういての情報を欲してきただけとなると、受付嬢にとっても……そして近くで話の成り行きを見守っていた探索者にとっても、完全に予想外だった。
「えっとその……遺跡の情報ですか?」
「ええ。それ以外に何をしにギルドに来ると思ったの?」
普通の探索者なら、それこそ一緒に行動する臨時の仲間を探しに来るということもあるかもしれない。
だが、レオノーラは黄金の薔薇というクランを率いている身だ。
それだけではなく、アランが所属している雲海とも行動を共にしている。
その辺の事情を考えれば、わざわざここで新たに仲間を探す必要はない。
……もちろん、これはレオノーラが最初から計算していたことだ。
ドットリオン王国軍の一員として活動していた自分が――ザッカラン攻略戦では特に仕事はなかったが――ギルドにやって来れば、当然のようにザッカラン攻略について何らかの不満を持ってきたと、そう思われても仕方がない。
だが、そこでレオノーラがその一件は全く気にしていない様子を見せて、大樹の遺跡についての情報を欲すればどうなるか。
当然のように、レオノーラに対して好意的な感情を抱くだろう。
もっとも、そこにはレオノーラの美貌も関係しているのは間違いなかったが。
また、それだけが理由ではなく、大樹の遺跡についての情報を欲していると言うのも、間違いないのない事実だ。
「それで? 大樹の遺跡についての情報は教えて貰えるの?」
「え? ……あ、はい。その、資料室に行けば色々と詳しい情報があります」
「そう。なら、資料室を利用したいのだけれど、無料かしら?」
ギルドにある資料室を使うのに、有料か無料かというのは、そのギルドによって異なる。
また、実力やランク、所属しているクランの大きさ等々、色々な理由によって、見ることが出来る資料のが分けられている場合もあった。
だからこそ、レオノーラは受付嬢に尋ねたのだが……
「はい。資料室は無料で利用出来ます。ただ、これは貴方に言うまでもないことかもしれませんが、資料の扱いにはくれぐれも注意して下さいね」
そう受付嬢が注意するのは、探索者の中には資料を乱暴に扱う者もいるからだ。
本というのは基本的に手書きで、簡単な印刷機の類もないこの時代、当然のように本は相当に高価な代物となっている。
それが、ギルドによっては資料室を使うのに有料となっている場所もある理由の一つだった。
当然のように、本を破ったりといった真似をすれば弁償しなければならないし、新たな資料が届くまでは不便な思いをすることになる。
だからこそ、受付嬢は丁寧に使うようにと注意したのだろう。
もっとも、レオノーラの言葉遣いや身のこなしを見てれば、いわゆる上級階級で育った者だと予想するのは難しい話ではない。
受付嬢も、一応、念の為といった様子で声をかけたにすぎない。
「ええ、分かったわ。ジャスパー、貴方はどうする?」
「私もレオノーラ様と一緒に。調べるにしても、手が多い方がいいでしょうし」
「そう。じゃあお願いね」
そう言い、レオノーラはジャスパーと共に二階にあるという資料室に向かう。
そうしてレオノーラとジャスパーの姿がなくなったところで、その場にいた多くの者がどっと安堵の息を吐く。
最初こそはレオノーラの正体を知り、場合によってはすこしからかおうと、もしくはお前たちはここの者ではないと思い知らせてやろうかと、そう考えた者もいた。
いたのだが……実際に手を出すことは出来なかった。
それはレオノーラに隙がなかったというのもあるし、同時にジャスパーという付き人が何かあったらすぐに対処出来るように常に備えていたからというのもある。
「厄介だな」
「ああ」
その様子を見ていた何人かの探索者は、そんな風に言葉を交わすのだった。
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