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逆襲
132話
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ドットリオン王国軍がザッカランに到着すると、素早く事後処理が開始される。
ザッカランの兵士には、まだ戦力は残っていた。
残っていたのだが……それでも、ゼオンによって心をへし折られた者が多数で、さらには領主のサンドロまでもが降伏すると宣言してしまった以上、それを防げるような者はいなかった。
多くの者が、現在ではどうしようもないと理解はしているのだろう。
……それが分かっても、反対する者がいないのは勝ち目がないと理解しているためか。
事実、その辺の兵士がゼオンに攻撃をしたところで、どうにかなるはずはない。
それどこころか、逆らった兵士が無駄に死ぬか……もしくは、周辺に無駄に被害が及ぶだけだろう。
とはいえ、そこまで細かい事情を考えて抵抗しなかった者というのは多くはない。
兵士の多くは、やはり単純に心をへし折られたのがそれ以上抵抗するのを諦めたのだ。
「さて、取りあえずザッカランはこれで占拠するとして……問題なのは、これからどうやってザッカランを守るかだろうな」
アランは、兵士たちに連れていかれるサンドロの姿を見ながら、そう呟く。
今回の一件において、サンドロは最終的に身も蓋もない様子で降伏した。
それを知っている者は、間違いなくもうサンドロを担ぎ上げるといった真似はしないし、出来ないだろう。
……いや、無理に担ぎ上げようとすれば出来ないこともないだろうが、そのような真似をしても従う者は一体どれだけいるのか。
(その辺は、それこそ俺じゃなくてドットリオン王国軍の連中が考えることだろうけど)
一応、アランも……いや、雲海や黄金の薔薇も、今の名目上はドットリオン王国軍ということになってはいる。
なってはいるのだが、実際にはこの戦いが終わればザッカランの近くにある遺跡の探索に集中することが決定している。
そもそも、雲海や黄金の薔薇は探索者の集団、クランなのだ。
クランである以上、その主な仕事は当然のように古代魔法文明の遺跡の探索となる。
もちろん、何らかの理由で傭兵や冒険者のようなことをしたりもするし、ラリアント防衛戦から今までの流れがその最たる者だろう。
だが、こうしてザッカランを占領した以上、以後はドットリオン王国軍の一部として動くつもりはない。
少なくてもアランはそう思っていたし、雲海を率いるイルゼン、そして黄金の薔薇を率いるレオノーラもまた同じように思っているだろうというのが、アランの予想だった。
「と、噂をすれば何とやらって奴だな」
ゼオンに乗って周囲を警戒――ドットリオン王国に従うのを嫌って降伏を許容出来ない者が暴れるのを防ぐため――していたアランがそう呟いたのは、ゼオンの映像モニタにイルゼンの乗った馬車が見えたためだ。
何故か馬車の御者台に座っているイルゼンは、ゼオンが顔を動かして自分の方に視線を向けたというのが分かったのだろう。
大きく手を振り、アランに自分の存在を知らせてくる。
「全く」
そう言いながらも、アランはイルゼンに向けてゼオンを小さく頷かせる。
それを見て、イルゼンもアランが自分の存在に気が付いたのを理解したのか、いつものように胡散臭い笑みを浮かべつつも、満足そうに頷く。
……アランにしてみれば、そんなイルゼンの態度を見ると、それこそ何かまた妙なことを企んでいるのではないかと、そんな風に思ってしまう。
そしてイルゼンの普段の行いを考えれば、それは決しておかしな話という訳ではなかった。
「取りあえず、今の俺が出来るのは……こっちの遺跡の攻略についての準備を進めることだけか」
雲海や黄金の薔薇が今回の一件に協力したのは、それこそが最大の理由だった。
そうでもなければ、探索者の雲海や黄金の薔薇が軍事行動に……それも守るのではなく、攻める方に力を貸すといったことはまずなかっただろう。
『アラン君、そろそろ戻ってきて下さい!』
外部スピーカから聞こえてくるイルゼンの言葉に、アランはゼオンを頷かせてコックピットから降りる。
正直なところ、アランとしてはゼオンがいない状況ではザッカランにいる者たち……特に今回の戦いに参加していた者たちが抵抗するのでは? と思わないでもなかった。
だが、幸いそのようなことはなく、皆が大人しくドットリオン王国軍の指示に従って武装解除していく。
アランはそこまで気にした様子はなかったが、ゼオンという存在によってザッカランの防衛戦に参加していた者の多くは、完全に心がへし折れていたのだ。
今の状況では、そんなザッカランの者たちが反抗するといったことはなまずないだろう。
とはいえ、それはあくまでも今はの話だ。
時間が経てば、へし折れた心が再び一本の真っ直ぐな心となって復活する者もいるだろうし、そうでなくても今回の戦いに何らかの理由で直接参加していなかった者は、十分に反撃する力を残している。
(イルゼンさんも、多分その辺を心配してるんだろうな)
アランがイルゼンの様子を眺めつつ、そう思う。
イルゼンはいつものように飄々とした笑みを浮かべているが、その内心では色々と、難しいことを考えているのだろうな、と。
そんな風に考えながら、アランはイルゼンに話しかける。
「それで、イルゼンさん。俺達はこれからどうするんです? まさか、これで仕事は終わり……なんてことはないですよね? 出来ればそうなってくれると楽なんですけど」
「なら、安心して下さい。取りあえず僕たちの仕事はありませんよ。……ギルドの方に事情を説明しに行くのは、黄金の薔薇の方でやってくれるらしいですし」
黄金の薔薇が?
と、一瞬疑問に思ったアランだったが、考えてみれば貴方たちの住んでいるザッカランは占領されましたというのを、冒険者ギルドや探索者ギルドのような場所に説明しに行くのは、レオノーラの方が相応しいと言われれば納得出来た。
レオノーラが持つ圧倒的なまでの美と、王女として生まれ育った雰囲気は、相手に現状を説明するのに大きな……非常に大きな力となるのは、明らかだったからだ。
それに比べて、もし自分が行ったらどうなるかとアランは考える。
(うん、間違いなく冗談だと受け止められそうだな。もしくは、本気だと受け止められると俺の命がない)
アランの能力は、心核使いの能力に極振りされているようなものだ。
だからこそ、生身では実力は発揮出来ない。
そのようなアランが、自分の住んでいたザッカランが占領されたと言われた者たちを相手にどうするのか。
それは、考えるまでもないだろう。
(むしろ、そういうのってイルゼンさんの方が似合ってそうだけど)
イルゼンであれば、それこそいつものような飄々とした態度と胡散臭い笑みでどうにかしてしまいそうだと思うのは、アランだけではないだろう。
それこど、雲海に所属している者であれば全員がそのように思ってもおかしくはない。
「どうしました? 何か僕にありましたか?」
アランが自分をじっと見ている光景に疑問を感じたのだろう。
イルゼンがそう尋ねてくる。
だが、アランはそんなイルゼンに何でもないと慌てて首を横に振った。
もし自分の考えていたことがイルゼンに知られたら、不味いことになると、そう思いながら。
「何でもないですよ。ただ、レオノーラが説明しに行ったところで、全員が納得する訳じゃないんだろうなと、そう思っただけです」
「それは……まぁ、そうでしょうね。ですが、他の人が行くよりも話が早いのは事実です。それに、ザッカランを守ると血の気の多かった人たちは、誰かさんに心をへし折られてますしね」
そう言い、イルゼンが意味ありげな視線をアランに向ける。
その視線が何を言いたいのかは、それこそアランの様子を見れば明らかだった。
「ん、コホン。……それより、遺跡の方はいつ行くんですか?」
半ば誤魔化す為の一言ではあったが、同時にそれはアランが非常に気になっていることでもあった。
元々、雲海と黄金の薔薇がザッカランの攻略に手を貸したのは、ここに古代魔法文明の遺跡があったためなのだから。
その遺跡が気になるのは、探索者としては当然だった。
……むしろ、今回のような戦争に協力するよりは、明らかに探索者らしい。
当然のことながら、、アランもまた探索者としてはそちらに非常に強い興味を持っている。
この世界に転生して人を殺すことを躊躇わなくなったが、だからといって好んで人を殺したい訳ではない。
それなら、古代魔法文明の遺跡を探索して、そこにいるモンスターや防衛装置として用意されたゴーレムや人形を倒した方がまだ気持ち的には楽だ。
「ふむ。僕としても出来るだけ早く遺跡には潜りたいところですが……今日明日といった訳には出来ないでしょうね」
大樹の遺跡というのは、イルゼンにとっても魅力的なのだろう。
もっとも、探索者ならそれは共通の思いかもしれないが。
大樹の遺跡は、未だにまだ誰も攻略したことのない場所だ。
だからこそ、出来ればその遺跡を攻略したいと、そう思うのは……ある意味、探索者の本能のようなものだなのだから。
「大樹の遺跡。……一体、最深部には何があると思います?」
「うーん、分かりませんね。ですが遺跡の傾向として植物系統の物が多いらしいですから、それに関係する何かがあるのでは?」
大樹の遺跡と聞いて、アランが最初に思いついたのは日本にいたときに遊んだRPGに出て来た、世界樹の葉というアイテムだった。
死者を蘇らせる能力を持つような何かが、この大樹の遺跡にも眠っているのではないかと。
(まぁ、世界樹と大樹では大きく違うから、その可能性は少ないか。……とはいえ、植物系のが多いのなら、やっぱりそういうのがあって欲しいとは思うけど)
ポーションや回復魔法、薬草といったように、この世界において回復手段は色々とある。
だが、探索者としてはやはり回復手段というのは、多ければ多いほどにいいのだ。
だからこそ、出来ればこの遺跡からもそのような回復手段が見つかるといいなと思いながら、アランはイルゼンとの会話を続けるのだった。
ザッカランの兵士には、まだ戦力は残っていた。
残っていたのだが……それでも、ゼオンによって心をへし折られた者が多数で、さらには領主のサンドロまでもが降伏すると宣言してしまった以上、それを防げるような者はいなかった。
多くの者が、現在ではどうしようもないと理解はしているのだろう。
……それが分かっても、反対する者がいないのは勝ち目がないと理解しているためか。
事実、その辺の兵士がゼオンに攻撃をしたところで、どうにかなるはずはない。
それどこころか、逆らった兵士が無駄に死ぬか……もしくは、周辺に無駄に被害が及ぶだけだろう。
とはいえ、そこまで細かい事情を考えて抵抗しなかった者というのは多くはない。
兵士の多くは、やはり単純に心をへし折られたのがそれ以上抵抗するのを諦めたのだ。
「さて、取りあえずザッカランはこれで占拠するとして……問題なのは、これからどうやってザッカランを守るかだろうな」
アランは、兵士たちに連れていかれるサンドロの姿を見ながら、そう呟く。
今回の一件において、サンドロは最終的に身も蓋もない様子で降伏した。
それを知っている者は、間違いなくもうサンドロを担ぎ上げるといった真似はしないし、出来ないだろう。
……いや、無理に担ぎ上げようとすれば出来ないこともないだろうが、そのような真似をしても従う者は一体どれだけいるのか。
(その辺は、それこそ俺じゃなくてドットリオン王国軍の連中が考えることだろうけど)
一応、アランも……いや、雲海や黄金の薔薇も、今の名目上はドットリオン王国軍ということになってはいる。
なってはいるのだが、実際にはこの戦いが終わればザッカランの近くにある遺跡の探索に集中することが決定している。
そもそも、雲海や黄金の薔薇は探索者の集団、クランなのだ。
クランである以上、その主な仕事は当然のように古代魔法文明の遺跡の探索となる。
もちろん、何らかの理由で傭兵や冒険者のようなことをしたりもするし、ラリアント防衛戦から今までの流れがその最たる者だろう。
だが、こうしてザッカランを占領した以上、以後はドットリオン王国軍の一部として動くつもりはない。
少なくてもアランはそう思っていたし、雲海を率いるイルゼン、そして黄金の薔薇を率いるレオノーラもまた同じように思っているだろうというのが、アランの予想だった。
「と、噂をすれば何とやらって奴だな」
ゼオンに乗って周囲を警戒――ドットリオン王国に従うのを嫌って降伏を許容出来ない者が暴れるのを防ぐため――していたアランがそう呟いたのは、ゼオンの映像モニタにイルゼンの乗った馬車が見えたためだ。
何故か馬車の御者台に座っているイルゼンは、ゼオンが顔を動かして自分の方に視線を向けたというのが分かったのだろう。
大きく手を振り、アランに自分の存在を知らせてくる。
「全く」
そう言いながらも、アランはイルゼンに向けてゼオンを小さく頷かせる。
それを見て、イルゼンもアランが自分の存在に気が付いたのを理解したのか、いつものように胡散臭い笑みを浮かべつつも、満足そうに頷く。
……アランにしてみれば、そんなイルゼンの態度を見ると、それこそ何かまた妙なことを企んでいるのではないかと、そんな風に思ってしまう。
そしてイルゼンの普段の行いを考えれば、それは決しておかしな話という訳ではなかった。
「取りあえず、今の俺が出来るのは……こっちの遺跡の攻略についての準備を進めることだけか」
雲海や黄金の薔薇が今回の一件に協力したのは、それこそが最大の理由だった。
そうでもなければ、探索者の雲海や黄金の薔薇が軍事行動に……それも守るのではなく、攻める方に力を貸すといったことはまずなかっただろう。
『アラン君、そろそろ戻ってきて下さい!』
外部スピーカから聞こえてくるイルゼンの言葉に、アランはゼオンを頷かせてコックピットから降りる。
正直なところ、アランとしてはゼオンがいない状況ではザッカランにいる者たち……特に今回の戦いに参加していた者たちが抵抗するのでは? と思わないでもなかった。
だが、幸いそのようなことはなく、皆が大人しくドットリオン王国軍の指示に従って武装解除していく。
アランはそこまで気にした様子はなかったが、ゼオンという存在によってザッカランの防衛戦に参加していた者の多くは、完全に心がへし折れていたのだ。
今の状況では、そんなザッカランの者たちが反抗するといったことはなまずないだろう。
とはいえ、それはあくまでも今はの話だ。
時間が経てば、へし折れた心が再び一本の真っ直ぐな心となって復活する者もいるだろうし、そうでなくても今回の戦いに何らかの理由で直接参加していなかった者は、十分に反撃する力を残している。
(イルゼンさんも、多分その辺を心配してるんだろうな)
アランがイルゼンの様子を眺めつつ、そう思う。
イルゼンはいつものように飄々とした笑みを浮かべているが、その内心では色々と、難しいことを考えているのだろうな、と。
そんな風に考えながら、アランはイルゼンに話しかける。
「それで、イルゼンさん。俺達はこれからどうするんです? まさか、これで仕事は終わり……なんてことはないですよね? 出来ればそうなってくれると楽なんですけど」
「なら、安心して下さい。取りあえず僕たちの仕事はありませんよ。……ギルドの方に事情を説明しに行くのは、黄金の薔薇の方でやってくれるらしいですし」
黄金の薔薇が?
と、一瞬疑問に思ったアランだったが、考えてみれば貴方たちの住んでいるザッカランは占領されましたというのを、冒険者ギルドや探索者ギルドのような場所に説明しに行くのは、レオノーラの方が相応しいと言われれば納得出来た。
レオノーラが持つ圧倒的なまでの美と、王女として生まれ育った雰囲気は、相手に現状を説明するのに大きな……非常に大きな力となるのは、明らかだったからだ。
それに比べて、もし自分が行ったらどうなるかとアランは考える。
(うん、間違いなく冗談だと受け止められそうだな。もしくは、本気だと受け止められると俺の命がない)
アランの能力は、心核使いの能力に極振りされているようなものだ。
だからこそ、生身では実力は発揮出来ない。
そのようなアランが、自分の住んでいたザッカランが占領されたと言われた者たちを相手にどうするのか。
それは、考えるまでもないだろう。
(むしろ、そういうのってイルゼンさんの方が似合ってそうだけど)
イルゼンであれば、それこそいつものような飄々とした態度と胡散臭い笑みでどうにかしてしまいそうだと思うのは、アランだけではないだろう。
それこど、雲海に所属している者であれば全員がそのように思ってもおかしくはない。
「どうしました? 何か僕にありましたか?」
アランが自分をじっと見ている光景に疑問を感じたのだろう。
イルゼンがそう尋ねてくる。
だが、アランはそんなイルゼンに何でもないと慌てて首を横に振った。
もし自分の考えていたことがイルゼンに知られたら、不味いことになると、そう思いながら。
「何でもないですよ。ただ、レオノーラが説明しに行ったところで、全員が納得する訳じゃないんだろうなと、そう思っただけです」
「それは……まぁ、そうでしょうね。ですが、他の人が行くよりも話が早いのは事実です。それに、ザッカランを守ると血の気の多かった人たちは、誰かさんに心をへし折られてますしね」
そう言い、イルゼンが意味ありげな視線をアランに向ける。
その視線が何を言いたいのかは、それこそアランの様子を見れば明らかだった。
「ん、コホン。……それより、遺跡の方はいつ行くんですか?」
半ば誤魔化す為の一言ではあったが、同時にそれはアランが非常に気になっていることでもあった。
元々、雲海と黄金の薔薇がザッカランの攻略に手を貸したのは、ここに古代魔法文明の遺跡があったためなのだから。
その遺跡が気になるのは、探索者としては当然だった。
……むしろ、今回のような戦争に協力するよりは、明らかに探索者らしい。
当然のことながら、、アランもまた探索者としてはそちらに非常に強い興味を持っている。
この世界に転生して人を殺すことを躊躇わなくなったが、だからといって好んで人を殺したい訳ではない。
それなら、古代魔法文明の遺跡を探索して、そこにいるモンスターや防衛装置として用意されたゴーレムや人形を倒した方がまだ気持ち的には楽だ。
「ふむ。僕としても出来るだけ早く遺跡には潜りたいところですが……今日明日といった訳には出来ないでしょうね」
大樹の遺跡というのは、イルゼンにとっても魅力的なのだろう。
もっとも、探索者ならそれは共通の思いかもしれないが。
大樹の遺跡は、未だにまだ誰も攻略したことのない場所だ。
だからこそ、出来ればその遺跡を攻略したいと、そう思うのは……ある意味、探索者の本能のようなものだなのだから。
「大樹の遺跡。……一体、最深部には何があると思います?」
「うーん、分かりませんね。ですが遺跡の傾向として植物系統の物が多いらしいですから、それに関係する何かがあるのでは?」
大樹の遺跡と聞いて、アランが最初に思いついたのは日本にいたときに遊んだRPGに出て来た、世界樹の葉というアイテムだった。
死者を蘇らせる能力を持つような何かが、この大樹の遺跡にも眠っているのではないかと。
(まぁ、世界樹と大樹では大きく違うから、その可能性は少ないか。……とはいえ、植物系のが多いのなら、やっぱりそういうのがあって欲しいとは思うけど)
ポーションや回復魔法、薬草といったように、この世界において回復手段は色々とある。
だが、探索者としてはやはり回復手段というのは、多ければ多いほどにいいのだ。
だからこそ、出来ればこの遺跡からもそのような回復手段が見つかるといいなと思いながら、アランはイルゼンとの会話を続けるのだった。
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