93 / 422
ラリアント防衛戦
092話
しおりを挟む
夜襲をしたが、結局は敵に待ち伏せされて自分がピンチになるという結果になってしまったアラン。
当然のようにラリアントに戻ってくると、すぐモリクに報告に行く。
アランの行う夜襲は、現時点においてはガリンダミア帝国軍における唯一にして最大の一手だ。
それだけに、アランがすぐにでも今回の待ち伏せの一件をモリクに知らせる必要があると判断したのは、当然のこととだろう。
本来なら、イルゼンと一緒にここに来るべきだったのだが、そのイルゼンは与えられた部屋にいなかった。
雲海の面々に尋ねても、誰もイルゼンがどこに行ったのかを知る者はいなかった。
個人の戦闘力としてはそこまで高い訳ではないイルゼンだったが、それでも時々こうやっていなくなることがある。
この辺は、イルゼンらしいと言ってもいいのだろう。
そんな訳で、仕方がなくアランは自分一人でモリクに報告に来たのだが……
「何をやってるんですか、何を」
モリクが働いている執務室に入った瞬間、アランは我知らずそんな声を出す。
当然だろう。何故なら、執務室の中にはイルゼンの姿があったのだから。
自分の探していた人物が何故こんなところにと思えば、アランの口からそんな声が出てもおかしくはなかった。
だが、イルゼンの方はそんなアランの様子を見ても特に気にした様子もなく、笑みを浮かべて口を開く。
「ちょっと籠城のことで相談があってね」
「……また何か企んでるんですか?」
イルゼンの様子に、アランはジト目を向けながらそう告げる。
そんなアランの様子に、イルゼンは心外だといった様子で口を開く。
「僕がそんなことをするとでも?」
「いや、イルゼンさんだからこそ、そういうことをしてもおかしくないんじゃ?」
実際、アランの言葉は決して大袈裟ではない。
いつもは飄々とした雰囲気のイルゼンだったが、アランにとっては予想外の行動をすることも珍しくはない。
ザラクニアによって嵌められたときの一件にしてもそうだ。
捕まっていたイルゼンは、いつの間にかモリクと協力関係を築き、モリク率いる反乱軍を作り上げたのだから。
今回もまた、何か突拍子もないことを企んでいるのではないかとアランが疑問に思い疑っても、それはおかしくなかった。
「僕の件はあとでいいとして、アラン君は一体何をしにここに?」
「え? あ、そうでした」
イルゼンの言葉に、アランは自分がここに来た理由を思い出す。
同時に、あとで絶対この件を問い詰めてやると思いながら、モリクに報告を開始する。
その説明を聞き、モリクは厳しい表情を浮かべる。
あのガリンダミア帝国軍が相手である以上、多少襲う際の条件は違っても、同じような攻撃がそう何度も通じるとは思っていなかった。
だがそれでも、まさか二度目の攻撃で既に罠を仕掛けてくるというのは、モリクにとっても若干予想外だった。
せめて、もう二度か三度は同じような手段で奇襲を行えるのではないかと、そう思っていたのだから。
「取りあえず、連れていけと言っていた連中を連れて行かなかったのはよかったな」
アランからの説明を聞いたモリクの口から出たのは、そのような言葉。
実際、もし要求通りに他の心核使いを連れて行っていれば、間違いなく他の心核使いたちは死ぬか捕らえられるかしていただろう。
敵が用意した心核使いの数を考えれば、それを飛べるからこそゼオンは逃げ切ることが出来たのだから。
……いや、単純に空を飛べるモンスターに変身している心核使いもいたのを考えると、ただ空を飛べただけでは逃げ切れなかった可能性がある。
ゼオンは高い飛行速度を持っているので、それが幸運をもたらした形だ。
「そうですね。ただ、こうなると次からの奇襲はより気をつける必要が出てきます」
「……そうなるか」
アランの言葉に、モリクは苦々しげな様子で頷く。
ガリンダミア帝国軍の精強さを考えれば、向こうがラリアントに到着するまでに可能な限り戦力を減らして起きたいと考えるのは、当然のことだ。
その最良の手段が、ゼオンによる奇襲攻撃だったのだが……それが一度だけしか通用しなかったというのは、モリクにとっても計算外だった。
ただ、そんなモリクの様子を見かねたのか、アランはふと思いついたことを口にする。
「嫌がらせ程度で、場合に寄っては敵に多少なりとも被害を与えるという方法はありますよ」
「ほう、どのような手段だ?」
尋ねるモリクの視線には、興味の光がある。
多少なりとも嫌がらせを出来るのなら、やらないよりはマシだろうという程度の興味ではあったが。
「ガリンダミア帝国軍の心核使いの中で、空を飛べるのは少数です。それも、こちらはまだ絶対とは言えませんが、ゼオンのいる高度まで上がってこられるかどうかも分かりません」
「つまり?」
「つまり、敵が移動してこられない位置から攻撃します。……とはいえ、攻撃の手段は多くないです。一番簡単で確実なのは、岩を持っていって上空から落とすことですが、その場合は岩が小さければほとんど意味はないですし、岩が多きければゼオンで持って行けるのは一個……頑張っても二個かそこらです」
この世界に、日本にいるときに見た漫画やゲームのように、アイテムボックス的な何かがあれば、その辺は解決するのかもしれないけど、と。
そうアランは考えるが、ないものを欲しても仕方がないと思い直す。
それでもかなりの高度から巨大な岩を落とされるといった真似をすれば、ガリンダミア帝国軍は気が気ではないだろう。
単純な被害という点ではそこまで大きくはないかもしれないが、上空から巨大な岩がいつ降ってくるかもしれないという精神的な消耗は激しい。
(実行するのなら、今回のように夜に野営をしているときじゃなくて、日中に移動しているときだろうな)
野営の途中であれば、それこそ今回のように待ち伏せされている可能性が高い。
だが、進軍途中であればそのような真似は出来ない。
「ふーむ。……イルゼンとしてはどう思う?」
「やらないよりは、やった方がいいんじゃ? 少しでもガリンダミア帝国軍を警戒させることが出来れば、それだけこっちに有利になるし」
「……分かった。王都からの援軍が来るまでは、何としても持ち堪える必要がある。それを考えれば、採れる手段があるのにそれをやらないのは悪手でしかない。……アラン、頼んだ」
その言葉に、アランは頷く。
モリクの言う通り、やるべきことがあるのならそれをやらないといいう手段は存在しない。
ここで自分が頑張ることによって、ラリアントでの籠城戦が楽になるのだ。
この状況で自分が頑張らない理由はない。
そもそも、ガリンダミア帝国軍と戦うのは別にラリアントにいる人々を守るためという義侠心の類からではなく、あくまでもゼオンを欲して自分に手を出すのが割に合わないといったことをガリンダミア帝国軍に思い知らせるためだ。
つまり、自分のためにモリクやラリアント軍を利用していると言ってもいい。
とはいえ、モリクも当然それは分かっているので、アランや雲海が一方的にモリクやラリアント軍を利用しているのではなく、お互いがお互いを利用しているというのが正しいのだが。
ラリアントにとっても、アランのゼオンやロッコーモ、カオグルといった心核使い、それに探索者として名高い雲海の面々の戦力を使えるというのは、大きいのだから。
そうして話し合いが終わると、アランは部屋を出る。
結局イルゼンがここにいた理由は分からなかったが、恐らくまた何かろくでもないことを企んでいるのだろうというのは、容易に予想出来た。
(イルゼンさんを敵に回したという時点で、ガリンダミア帝国軍は運が悪いとかしか思えないな)
そんな風に考えながら通路を進んでいると、不意に自分の進む先に数人の男が立っているのが分かる。
自分に用事でもあるのか? そう考えていたアランが男たちの前で足を止めると、口を開く。
「俺に何か用事でも?」
「……ふんっ、いい気になるなよ」
アランの言葉に、男たちのうちの一人がそう言い、不愉快そうに鼻を鳴らすと、そのまま去っていく。
「えーっと……何だ、あれ」
呆然とその後ろ姿を見送るアラン。
もちろん、アランも自分が他人に妬まれているというのは理解している。
現状ではアランだけがガリンダミア帝国軍に被害を与えて手柄を立てることが出来ているのだから。
だが、今の状況を思えばそれは当然のことだろう。
今の状況でガリンダミア帝国軍に攻撃を出来るのは、高度数キロの位置を飛ぶことが出来るゼオンを有するアランしかいないにだから。
……もし敢えてそれに誰かを付け加えるとすれば、黄金のドラゴンに変身出来るレオノーラだけだろう。
上空からのレーザーブレスは、ガリンダミア帝国軍に対してかなりのダメージを与えることが出来るはずだった。
もしくは、まだ一度しか成功していないが黄金のドラゴンとゼオンが合体……いや、融合したゼオリューンで攻撃をするといった手段もあるが、双方共にレオノーラがいない現状では実行は不可能だ。
結局のところ、現状では自分だけでやるしかないのは間違いなかった。
ゼオン以外にも、空を飛ぶことが出来る心核使いがいれば、その能力によっては一緒に連れていくことが出来たかもしれないのだが。
この場合の問題は、やはり心核使いが変身するモンスターは自分の意志で決められる訳ではないということか。
たとえば、本人がオーガになりたいと強く願っていても、変身出来るのは使用者の根源とも呼ぶべき存在であり、ゴブリンやコボルト、オークといったモンスターになる可能性もあった。
だからこそ、自由に空を飛ぶことが出来るゼオンを使えるアランに嫉妬する者が出てくるというのは当然だった。
元々心核使いとうだけで特別扱いを受けることも珍しくない以上、そのような者たちにとってアランの存在は酷く邪魔な存在なのは間違いなかった。
それが、先程男たちのだろう。
「ぴ!」
分かっていてもあまり面白くない事態に落ち込んだ様子を見せたアランに、懐の中のカロは元気を出せ! と鳴き声を上げるのだった。
当然のようにラリアントに戻ってくると、すぐモリクに報告に行く。
アランの行う夜襲は、現時点においてはガリンダミア帝国軍における唯一にして最大の一手だ。
それだけに、アランがすぐにでも今回の待ち伏せの一件をモリクに知らせる必要があると判断したのは、当然のこととだろう。
本来なら、イルゼンと一緒にここに来るべきだったのだが、そのイルゼンは与えられた部屋にいなかった。
雲海の面々に尋ねても、誰もイルゼンがどこに行ったのかを知る者はいなかった。
個人の戦闘力としてはそこまで高い訳ではないイルゼンだったが、それでも時々こうやっていなくなることがある。
この辺は、イルゼンらしいと言ってもいいのだろう。
そんな訳で、仕方がなくアランは自分一人でモリクに報告に来たのだが……
「何をやってるんですか、何を」
モリクが働いている執務室に入った瞬間、アランは我知らずそんな声を出す。
当然だろう。何故なら、執務室の中にはイルゼンの姿があったのだから。
自分の探していた人物が何故こんなところにと思えば、アランの口からそんな声が出てもおかしくはなかった。
だが、イルゼンの方はそんなアランの様子を見ても特に気にした様子もなく、笑みを浮かべて口を開く。
「ちょっと籠城のことで相談があってね」
「……また何か企んでるんですか?」
イルゼンの様子に、アランはジト目を向けながらそう告げる。
そんなアランの様子に、イルゼンは心外だといった様子で口を開く。
「僕がそんなことをするとでも?」
「いや、イルゼンさんだからこそ、そういうことをしてもおかしくないんじゃ?」
実際、アランの言葉は決して大袈裟ではない。
いつもは飄々とした雰囲気のイルゼンだったが、アランにとっては予想外の行動をすることも珍しくはない。
ザラクニアによって嵌められたときの一件にしてもそうだ。
捕まっていたイルゼンは、いつの間にかモリクと協力関係を築き、モリク率いる反乱軍を作り上げたのだから。
今回もまた、何か突拍子もないことを企んでいるのではないかとアランが疑問に思い疑っても、それはおかしくなかった。
「僕の件はあとでいいとして、アラン君は一体何をしにここに?」
「え? あ、そうでした」
イルゼンの言葉に、アランは自分がここに来た理由を思い出す。
同時に、あとで絶対この件を問い詰めてやると思いながら、モリクに報告を開始する。
その説明を聞き、モリクは厳しい表情を浮かべる。
あのガリンダミア帝国軍が相手である以上、多少襲う際の条件は違っても、同じような攻撃がそう何度も通じるとは思っていなかった。
だがそれでも、まさか二度目の攻撃で既に罠を仕掛けてくるというのは、モリクにとっても若干予想外だった。
せめて、もう二度か三度は同じような手段で奇襲を行えるのではないかと、そう思っていたのだから。
「取りあえず、連れていけと言っていた連中を連れて行かなかったのはよかったな」
アランからの説明を聞いたモリクの口から出たのは、そのような言葉。
実際、もし要求通りに他の心核使いを連れて行っていれば、間違いなく他の心核使いたちは死ぬか捕らえられるかしていただろう。
敵が用意した心核使いの数を考えれば、それを飛べるからこそゼオンは逃げ切ることが出来たのだから。
……いや、単純に空を飛べるモンスターに変身している心核使いもいたのを考えると、ただ空を飛べただけでは逃げ切れなかった可能性がある。
ゼオンは高い飛行速度を持っているので、それが幸運をもたらした形だ。
「そうですね。ただ、こうなると次からの奇襲はより気をつける必要が出てきます」
「……そうなるか」
アランの言葉に、モリクは苦々しげな様子で頷く。
ガリンダミア帝国軍の精強さを考えれば、向こうがラリアントに到着するまでに可能な限り戦力を減らして起きたいと考えるのは、当然のことだ。
その最良の手段が、ゼオンによる奇襲攻撃だったのだが……それが一度だけしか通用しなかったというのは、モリクにとっても計算外だった。
ただ、そんなモリクの様子を見かねたのか、アランはふと思いついたことを口にする。
「嫌がらせ程度で、場合に寄っては敵に多少なりとも被害を与えるという方法はありますよ」
「ほう、どのような手段だ?」
尋ねるモリクの視線には、興味の光がある。
多少なりとも嫌がらせを出来るのなら、やらないよりはマシだろうという程度の興味ではあったが。
「ガリンダミア帝国軍の心核使いの中で、空を飛べるのは少数です。それも、こちらはまだ絶対とは言えませんが、ゼオンのいる高度まで上がってこられるかどうかも分かりません」
「つまり?」
「つまり、敵が移動してこられない位置から攻撃します。……とはいえ、攻撃の手段は多くないです。一番簡単で確実なのは、岩を持っていって上空から落とすことですが、その場合は岩が小さければほとんど意味はないですし、岩が多きければゼオンで持って行けるのは一個……頑張っても二個かそこらです」
この世界に、日本にいるときに見た漫画やゲームのように、アイテムボックス的な何かがあれば、その辺は解決するのかもしれないけど、と。
そうアランは考えるが、ないものを欲しても仕方がないと思い直す。
それでもかなりの高度から巨大な岩を落とされるといった真似をすれば、ガリンダミア帝国軍は気が気ではないだろう。
単純な被害という点ではそこまで大きくはないかもしれないが、上空から巨大な岩がいつ降ってくるかもしれないという精神的な消耗は激しい。
(実行するのなら、今回のように夜に野営をしているときじゃなくて、日中に移動しているときだろうな)
野営の途中であれば、それこそ今回のように待ち伏せされている可能性が高い。
だが、進軍途中であればそのような真似は出来ない。
「ふーむ。……イルゼンとしてはどう思う?」
「やらないよりは、やった方がいいんじゃ? 少しでもガリンダミア帝国軍を警戒させることが出来れば、それだけこっちに有利になるし」
「……分かった。王都からの援軍が来るまでは、何としても持ち堪える必要がある。それを考えれば、採れる手段があるのにそれをやらないのは悪手でしかない。……アラン、頼んだ」
その言葉に、アランは頷く。
モリクの言う通り、やるべきことがあるのならそれをやらないといいう手段は存在しない。
ここで自分が頑張ることによって、ラリアントでの籠城戦が楽になるのだ。
この状況で自分が頑張らない理由はない。
そもそも、ガリンダミア帝国軍と戦うのは別にラリアントにいる人々を守るためという義侠心の類からではなく、あくまでもゼオンを欲して自分に手を出すのが割に合わないといったことをガリンダミア帝国軍に思い知らせるためだ。
つまり、自分のためにモリクやラリアント軍を利用していると言ってもいい。
とはいえ、モリクも当然それは分かっているので、アランや雲海が一方的にモリクやラリアント軍を利用しているのではなく、お互いがお互いを利用しているというのが正しいのだが。
ラリアントにとっても、アランのゼオンやロッコーモ、カオグルといった心核使い、それに探索者として名高い雲海の面々の戦力を使えるというのは、大きいのだから。
そうして話し合いが終わると、アランは部屋を出る。
結局イルゼンがここにいた理由は分からなかったが、恐らくまた何かろくでもないことを企んでいるのだろうというのは、容易に予想出来た。
(イルゼンさんを敵に回したという時点で、ガリンダミア帝国軍は運が悪いとかしか思えないな)
そんな風に考えながら通路を進んでいると、不意に自分の進む先に数人の男が立っているのが分かる。
自分に用事でもあるのか? そう考えていたアランが男たちの前で足を止めると、口を開く。
「俺に何か用事でも?」
「……ふんっ、いい気になるなよ」
アランの言葉に、男たちのうちの一人がそう言い、不愉快そうに鼻を鳴らすと、そのまま去っていく。
「えーっと……何だ、あれ」
呆然とその後ろ姿を見送るアラン。
もちろん、アランも自分が他人に妬まれているというのは理解している。
現状ではアランだけがガリンダミア帝国軍に被害を与えて手柄を立てることが出来ているのだから。
だが、今の状況を思えばそれは当然のことだろう。
今の状況でガリンダミア帝国軍に攻撃を出来るのは、高度数キロの位置を飛ぶことが出来るゼオンを有するアランしかいないにだから。
……もし敢えてそれに誰かを付け加えるとすれば、黄金のドラゴンに変身出来るレオノーラだけだろう。
上空からのレーザーブレスは、ガリンダミア帝国軍に対してかなりのダメージを与えることが出来るはずだった。
もしくは、まだ一度しか成功していないが黄金のドラゴンとゼオンが合体……いや、融合したゼオリューンで攻撃をするといった手段もあるが、双方共にレオノーラがいない現状では実行は不可能だ。
結局のところ、現状では自分だけでやるしかないのは間違いなかった。
ゼオン以外にも、空を飛ぶことが出来る心核使いがいれば、その能力によっては一緒に連れていくことが出来たかもしれないのだが。
この場合の問題は、やはり心核使いが変身するモンスターは自分の意志で決められる訳ではないということか。
たとえば、本人がオーガになりたいと強く願っていても、変身出来るのは使用者の根源とも呼ぶべき存在であり、ゴブリンやコボルト、オークといったモンスターになる可能性もあった。
だからこそ、自由に空を飛ぶことが出来るゼオンを使えるアランに嫉妬する者が出てくるというのは当然だった。
元々心核使いとうだけで特別扱いを受けることも珍しくない以上、そのような者たちにとってアランの存在は酷く邪魔な存在なのは間違いなかった。
それが、先程男たちのだろう。
「ぴ!」
分かっていてもあまり面白くない事態に落ち込んだ様子を見せたアランに、懐の中のカロは元気を出せ! と鳴き声を上げるのだった。
0
お気に入りに追加
162
あなたにおすすめの小説
最強の職業は付与魔術師かもしれない
カタナヅキ
ファンタジー
現実世界から異世界に召喚された5人の勇者。彼等は同じ高校のクラスメイト同士であり、彼等を召喚したのはバルトロス帝国の3代目の国王だった。彼の話によると現在こちらの世界では魔王軍と呼ばれる組織が世界各地に出現し、数多くの人々に被害を与えている事を伝える。そんな魔王軍に対抗するために帝国に代々伝わる召喚魔法によって異世界から勇者になれる素質を持つ人間を呼びだしたらしいが、たった一人だけ巻き込まれて召喚された人間がいた。
召喚された勇者の中でも小柄であり、他の4人には存在するはずの「女神の加護」と呼ばれる恩恵が存在しなかった。他の勇者に巻き込まれて召喚された「一般人」と判断された彼は魔王軍に対抗できないと見下され、召喚を実行したはずの帝国の人間から追い出される。彼は普通の魔術師ではなく、攻撃魔法は覚えられない「付与魔術師」の職業だったため、この職業の人間は他者を支援するような魔法しか覚えられず、強力な魔法を扱えないため、最初から戦力外と判断されてしまった。
しかし、彼は付与魔術師の本当の力を見抜き、付与魔法を極めて独自の戦闘方法を見出す。後に「聖天魔導士」と名付けられる「霧崎レナ」の物語が始まる――
※今月は毎日10時に投稿します。
スキル「糸」を手に入れた転生者。糸をバカにする奴は全員ぶっ飛ばす
Gai
ファンタジー
人を助けた代わりにバイクに轢かれた男、工藤 英二
その魂は異世界へと送られ、第二の人生を送ることになった。
侯爵家の三男として生まれ、順風満帆な人生を過ごせる……とは限らない。
裕福な家庭に生まれたとしても、生きていいく中で面倒な壁とぶつかることはある。
そこで先天性スキル、糸を手に入れた。
だが、その糸はただの糸ではなく、英二が生きていく上で大いに役立つスキルとなる。
「おいおい、あんまり糸を嘗めるんじゃねぇぞ」
少々強気な性格を崩さず、英二は己が生きたい道を行く。
地の果ての国 イーグル・アイ・サーガ
オノゴロ
ファンタジー
狂気の王が犯した冒涜の行為により闇に沈んだダファネア王国。
紺碧の王都は闇の王に取り憑かれ漆黒の死都と化した。
それを救わんと立ち上がったのは、運命の旅路をともにする四人。
たった一人残された王の血脈たるミアレ姫。王国の命運は姫の一身にかかっている。
それを守るブルクット族の戦士カラゲル。稲妻の刺青の者。この者には大いなる運命が待っている。
過去にとらわれた祭司ユーグは悔恨の道を歩む。神々の沈黙は不可解で残酷なものだ。
そして、空を映して底知れぬ青き瞳を持つ鷲使いの娘クラン。伝説のイーグル・アイ。精霊と渡り合う者。
聖地に身を潜める精霊と龍とは旅の一行に加護を与えるであろうか。これこそ物語の鍵となる。
果てしない草原に木霊するシャーマンの朗唱。それは抗いがたい運命を暗示するいにしえの言葉。
不死の呪いを受けた闇の道化。死霊魔法に侵される宿命の女。これもまた神々の計画なのか。
転がり始めた運命の物語はその円環を閉じるまで、その奔流を押しとどめることはできない。
鷲よ! 鷲よ! 我らの旅を導け!
陽光みなぎる青空の彼方、地の果ての国へと!
外れスキル《コピー》を授かったけど「無能」と言われて家を追放された~ だけど発動条件を満たせば"魔族のスキル"を発動することができるようだ~
そらら
ファンタジー
「鑑定ミスではありません。この子のスキルは《コピー》です。正直、稀に見る外れスキルですね、何せ発動条件が今だ未解明なのですから」
「何てことなの……」
「全く期待はずれだ」
私の名前はラゼル、十五歳になったんだけども、人生最悪のピンチに立たされている。
このファンタジックな世界では、15歳になった際、スキル鑑定を医者に受けさせられるんだが、困ったことに私は外れスキル《コピー》を当ててしまったらしい。
そして数年が経ち……案の定、私は家族から疎ましく感じられてーーついに追放されてしまう。
だけど私のスキルは発動条件を満たすことで、魔族のスキルをコピーできるようだ。
そして、私の能力が《外れスキル》ではなく、恐ろしい能力だということに気づく。
そんでこの能力を使いこなしていると、知らないうちに英雄と呼ばれていたんだけど?
私を追放した家族が戻ってきてほしいって泣きついてきたんだけど、もう戻らん。
私は最高の仲間と最強を目指すから。
ガチャと異世界転生 システムの欠陥を偶然発見し成り上がる!
よっしぃ
ファンタジー
偶然神のガチャシステムに欠陥がある事を発見したノーマルアイテムハンター(最底辺の冒険者)ランナル・エクヴァル・元日本人の転生者。
獲得したノーマルアイテムの売却時に、偶然発見したシステムの欠陥でとんでもない事になり、神に報告をするも再現できず否定され、しかも神が公認でそんな事が本当にあれば不正扱いしないからドンドンしていいと言われ、不正もとい欠陥を利用し最高ランクの装備を取得し成り上がり、無双するお話。
俺は西塔 徳仁(さいとう のりひと)、もうすぐ50過ぎのおっさんだ。
単身赴任で家族と離れ遠くで暮らしている。遠すぎて年に数回しか帰省できない。
ぶっちゃけ時間があるからと、ブラウザゲームをやっていたりする。
大抵ガチャがあるんだよな。
幾つかのゲームをしていたら、そのうちの一つのゲームで何やらハズレガチャを上位のアイテムにアップグレードしてくれるイベントがあって、それぞれ1から5までのランクがあり、それを15本投入すれば一度だけ例えばSRだったらSSRのアイテムに変えてくれるという有り難いイベントがあったっけ。
だが俺は運がなかった。
ゲームの話ではないぞ?
現実で、だ。
疲れて帰ってきた俺は体調が悪く、何とか自身が住んでいる社宅に到着したのだが・・・・俺は倒れたらしい。
そのまま救急搬送されたが、恐らく脳梗塞。
そのまま帰らぬ人となったようだ。
で、気が付けば俺は全く知らない場所にいた。
どうやら異世界だ。
魔物が闊歩する世界。魔法がある世界らしく、15歳になれば男は皆武器を手に魔物と祟罠くてはならないらしい。
しかも戦うにあたり、武器や防具は何故かガチャで手に入れるようだ。なんじゃそりゃ。
10歳の頃から生まれ育った村で魔物と戦う術や解体方法を身に着けたが、15になると村を出て、大きな街に向かった。
そこでダンジョンを知り、同じような境遇の面々とチームを組んでダンジョンで活動する。
5年、底辺から抜け出せないまま過ごしてしまった。
残念ながら日本の知識は持ち合わせていたが役に立たなかった。
そんなある日、変化がやってきた。
疲れていた俺は普段しない事をしてしまったのだ。
その結果、俺は信じられない出来事に遭遇、その後神との恐ろしい交渉を行い、最底辺の生活から脱出し、成り上がってく。
最強の滅竜士(ドラゴンバスター)と呼ばれた俺、チビドラゴンを拾って生活が一変する
八神 凪
ファンタジー
滅竜士(ドラゴンバスター)の通り名を持つ冒険者ラッヘ、二十八歳。
彼の住んでいた町はその昔ドラゴンの攻撃により焦土と化し、両親や友人、知り合いを多く失った。
それから逃げ去ったドラゴンを倒すため、復讐の日々が始まる。
死を何度も覚えるような修行の末、ドラゴンをたった一人で倒せるほど鍛えることができた。
そして十年の月日が流れ、約三十頭のドラゴンを討滅した彼は『滅竜士(ドラゴンバスター)』として有名になっていた。
だが、とある日に受けたドラゴン討伐から、彼の生活は変わっていく。
ドラゴンに関する秘密と共に――
人生初めての旅先が異世界でした!? ~ 元の世界へ帰る方法探して異世界めぐり、家に帰るまでが旅行です。~(仮)
葵セナ
ファンタジー
主人公 39歳フリーターが、初めての旅行に行こうと家を出たら何故か森の中?
管理神(神様)のミスで、異世界転移し見知らぬ森の中に…
不思議と持っていた一枚の紙を読み、元の世界に帰る方法を探して、異世界での冒険の始まり。
曖昧で、都合の良い魔法とスキルでを使い、異世界での冒険旅行? いったいどうなる!
ありがちな異世界物語と思いますが、暖かい目で見てやってください。
初めての作品なので誤字 脱字などおかしな所が出て来るかと思いますが、御容赦ください。(気が付けば修正していきます。)
ステータスも何処かで見たことあるような、似たり寄ったりの表示になっているかと思いますがどうか御容赦ください。よろしくお願いします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる