88 / 422
ラリアント防衛戦
087話
しおりを挟む
ラリアントを出発したアランは、そう時間が経たずにガリンダミア帝国軍の姿を見つけることに成功する。
ただでさえ空を飛ぶというのは、地上を移動するのに比べて移動速度が速い。
それがモンスターではなく、人型機動兵器たるゼオンであれば尚更だろう。
「思ってたよりも、大分多いな」
遙か眼下の光景が映し出された映像モニタを見て、アランが呟く。
高度五キロほどの場所だけに、地上を進んでいるガリンダミア帝国軍はゼオンの存在に全く気が付いている様子はない。
ゼオンが空を飛べるという情報は当然知っているのだろうが、それがまさか高度五キロもの場所を飛んでいるとは完全に予想外だったのだろう。
たとえ心核を使って空を飛ぶモンスターに変身したとしても、高度五キロもの場所を飛べるようなモンスターはそうそういない。
……もっともアランもこの位置からでは地上の様子を見るのにズームされた映像を見なければならなかったが。
「向こう千人単位くらいって話だったけど……これは下手をすれば万単位までいってるんじゃないか? ガリンダミア帝国の規模を考えれば、それはおかしな話ではないかもしれないけど」
周辺諸国を侵略して国土を広げてきたガリンダミア帝国だけに、その戦力は当然のように多い。
また、占領した国々の軍を吸収し、場合によっては徴兵すらしているのだ。
それを考えれば、他に幾つも戦線を抱えたまま、こうして万単位に迫るのではないかと思えるほどの戦力を動員するのも、不可能ではないはずだった。
「俺にしてみれば、人数が多い……それもきちんと訓練された兵士じゃなくて、徴兵された一般人ってのは悪くないんだけど」
徴兵されて訓練もしていない者というのは、波に乗っているときであればまだしも、自分たちが不利になったときは真っ先に逃げ出す。
そして多くの者たちが逃げ出せば、当然のように指揮官の指揮も難しくなってしまい、混乱する。
混乱すれば、よりアランが攻撃をしやすくなる。
もちろん、それは全てが理想的に進んだ場合の話であって、全てがそう上手く進むとは限らないのだが。
「ともあれ、行くか。レオノーラがいない分、今は俺が頑張らないといけないしな」
一瞬だけレオノーラのことを思い浮かべたアランだったが、すぐにそれを頭の中から消し去って作戦を実行に移す。
空を飛んでいた状態から、真下に向かって急降下していく。
ただでさえ十八メートルもの機体が落下していくので、その迫力は相当なものだ。
だが、アランはその状況からさらにスラスターを全開にして、落下速度を上げる。
高度五キロとはいえ、ゼオンの持つスラスターを使えば、その距離がゼロになるのはそう時間がかからない。
真っ直ぐ下に向かって降下していくゼオンの姿は、当然ながらガリンダミア帝国軍の中でも感覚の鋭い者……聴覚、視覚、場合によっては嗅覚で気が付いた者もいたが、今の状況で気が付いたところで、すでに遅い。
異常に気が付いて顔を上げた者が見たのは、上空から流星のように自分たちに向かって降下してくる、ゼオンの姿だったのだから。
「な……」
何かが落ちてくる。
そう言おうとした兵士だったが、それを言うよりも前にゼオンは行動に出た。
急速に落下し続けたままで、ビームライフルを連射する。
放たれたビームが地上に命中すると、命中した場所にいた兵士はビームによって消滅し、次の瞬間にはビームが命中した地面が爆発して周辺にいる者たちにも被害を及ぼす。
そんな攻撃が、次々と起こったのだ。
瞬く間に数十人……いや、百人を超えるガリンダミア帝国軍の兵士が死亡し、それに数倍する数の者たちが怪我をする。
そして、ガリンダミア帝国軍にとっての不運はまだ終わらない。
地上に向かって降下してきたゼオンは、間合いが近づくとウィングバインダーのスラスターや機体に備わっているスラスターを全開にして体勢を整え、次の瞬間には腹部の拡散ビーム砲を放つ。
拡散されたビームの雨は、次々にガリンダミア帝国軍の兵士達を消滅させていく。
拡散している分、一撃の威力はビームライフルよりも弱い。
それでも触れただけで人を殺すには十分な威力があり、そんなビームの雨が無数に降り注いだのだ。
一体何があったのか分からずに消滅してしまった兵士は、寧ろ幸運だっただろう。
ある意味で運の悪かった兵士たちは、それこそ手足がビームによって消滅したり、焼け爛れたりといったようになって、気が付けば地面に倒れていたという者も少なくない。
「さて、後は……あれだな」
空中に留まったまま周囲の様子を確認したゼオンは、馬車を見つける。
それは、いわゆるお偉いさんが乗っているような箱馬車の類ではなく、食料や水、馬の飼料といったものを運ぶ荷馬車だ。
ガリンダミア帝国からドットリオン王国に入り、その先にはラリアントしかないので、食料の類を補給することは出来ず、ガリンダミア帝国軍から持ってきた代物だ。
食料がなければ、当然のように兵士は戦うことは出来ない。
いや、多少無理をすれば戦うことが出来るかもしれないが、全力を出せないのは間違いなかった。
そうである以上、ここで荷馬車を狙わないという選択肢は存在しない。
ゼオンの頭を荷馬車にある方に向け、トリガーを引く。
頭部から発射された無数の弾丸が、次々と荷馬車に命中しては破壊していく。
……荷馬車を牽いている馬は自分たちの牽いている馬車がいきなり破壊されたことで、混乱し、恐怖し、それぞれがあらぬ方向に走り去る。
実際にはゼオンの奇襲があったときから、すでに馬たちも半ば恐慌状態に陥っていたのだが、そのときはまだ馬車に繋がれていたこともあって、すぐに逃げ出すことは出来なかった。
だが、荷馬車が破壊された以上、馬は自由になったのだ。
ゼオンが暴れているこの場から、恐怖に駆られて逃げ出してもおかしくはない。
馬というのは、元々大人しい動物だ。
騎士が乗るような馬は特別な訓練によってその臆病さを克服しているが、荷馬車を牽く馬にそのような訓練がされる訳がない。
「次、次、次、次」
頭部バルカンの弾丸、次々と物資を積み込んでいる荷馬車を破壊していく。
また、当然ながらそうして荷馬車を攻撃している間も、ガリンダミア帝国軍の兵士たちを攻撃していない訳ではなく。
ゼオンという人型機動兵器だからこそ、頭部バルカンを発射しながらビームライフルや腹部拡散ビーム砲を発射するような真似が出来る。
「ついでだ、これも食らえ。フェルス!」
駄目押しにと、ゼオンにとっての切り札とでも言うべきフェルスを呼び出す。
空間に波紋が生み出され、そこから姿を現すフェルス。
本来なら、フェルスというのはアランにとっての切り札だ。
このような場所で使うのは、それこそガリンダミア帝国軍に無駄な情報を与えるだけになってもおかしくはない。
だが、ゼオンの情報は既にガリンダミア帝国軍に相応に知られてしまっている以上、当然のようにザラクニアと戦ったときに使われたフェルスの情報も知られているだろう。
であれば、今の状況ではフェルスを使わないで隠しておくよりもガリンダミア帝国軍に対してゼオンの全力を見せつけ、自分たちが何を戦おうとしているのかというのを、しっかりと知らせた方がいい。
ラリアントを攻めるときに、ゼオンが出て来ればこの戦いの……いや、一方的な蹂躙を思い出して恐怖に振るえるように。
もしくは、ここからラリアントに向かうまでの間に、再びゼオンがやってきたときに恐慌するように。
空間の波紋の中から生み出されたフェルスは、アランの意志に従って戦場を暴れ回る。
先端にビームソードを展開させて兵士を貫く。
鎧を着ていようが着ていまいが、そんなのは全く関係ないと言わんばかりの行動。
そして実際にフェルスの先端に展開しているビームソードは、革だろうが金属だろうが、全く関係なく貫いていた。
それ以外にも、先端だけではなくフェルスの左右にもビームによる刃を生み出し、触れる否や何であろうともほぼ全てを斬り裂いていく。
先端から放たれたビーム砲は、数人の兵士の命をあっさりと奪い取る。
(よし、そろそろいいか)
ゼオンが地上に降下してきてから、ここまで一分少々。
いきなりの奇襲だったこともあり、混乱していたガリンダミア帝国軍だったが、それでも百戦錬磨の兵士たちだけあって、当初の混乱から抜け出す者も出始めていた。
そんな中でもやはり最初に我に返ったのは、小隊長のような現場で真っ先に動くべき者たち。
「態勢を整えろ! 敵は一匹だけだ! ガリンダミア帝国軍としての誇りを思い出せ!」
その言葉が兵士たちに届くと同時に、混乱は急速に収まっていく。
他の場所でも同じように混乱を治めている者が多く、それを見たアランは面倒そうな表情を浮かべ……心核使いが変身したモンスターが何匹もこちらに近づいてくるのを見て、撤退を決意する。
戦えば勝てると思いはするが、相手はどのような行動をしてくるのか分からない。
それこそ、場合によってはアランにも全く予想外の行動をしないとも限らないのだ。
そう、ザラクニアとの戦いで向こうにいた土のゴーレムが使ったような、泥のブレスの如く。
泥のブレスは、まともに命中した訳ではないいもかかわらず、ゼオンの装甲を傷つけるだけの威力を持っていた。
であれば、こちらに近づいてくるモンスターの中にも何かゼオンに対しても致命的なダメージを与えることが出来る攻撃手段を持っている者がいてもおかしくはない。
ガリンダミア帝国軍との間に起きる防衛戦において、ゼオンという存在はラリアント軍の心の支えと言ってもいい。
ザラクニアと戦ったときに見せた圧倒的な強さは、それこそゼオンの存在がいればガリンダミア帝国軍を相手に、勝つことは出来ずとも負けることはないと思うに十分な説得力を持っていた。
そして負けないで耐え続けていれば、そのうち王都からの援軍が到着して、反撃に出ることが出来る。
そんなラリアントの住人の様子を思い出せば、ここでゼオンを傷つける訳にはいかない。
ましてや、アランがラリアント軍に協力しているのはガリンダミア帝国軍に致命的な被害を与えて自分にちょっかいを出さないようにするためという理由もある以上、ここでガリンダミア帝国軍を帰す訳にはいかなかった。
そんな訳で、心核使い達が近づいてきたのを見たアランは、即座にその場を離脱することを選択する。
……アランが奇襲を仕掛けてから、一分から二分ほど。
そんな短時間で、ガリンダミア帝国軍は予想外に大きな被害を受けたのだった。
ただでさえ空を飛ぶというのは、地上を移動するのに比べて移動速度が速い。
それがモンスターではなく、人型機動兵器たるゼオンであれば尚更だろう。
「思ってたよりも、大分多いな」
遙か眼下の光景が映し出された映像モニタを見て、アランが呟く。
高度五キロほどの場所だけに、地上を進んでいるガリンダミア帝国軍はゼオンの存在に全く気が付いている様子はない。
ゼオンが空を飛べるという情報は当然知っているのだろうが、それがまさか高度五キロもの場所を飛んでいるとは完全に予想外だったのだろう。
たとえ心核を使って空を飛ぶモンスターに変身したとしても、高度五キロもの場所を飛べるようなモンスターはそうそういない。
……もっともアランもこの位置からでは地上の様子を見るのにズームされた映像を見なければならなかったが。
「向こう千人単位くらいって話だったけど……これは下手をすれば万単位までいってるんじゃないか? ガリンダミア帝国の規模を考えれば、それはおかしな話ではないかもしれないけど」
周辺諸国を侵略して国土を広げてきたガリンダミア帝国だけに、その戦力は当然のように多い。
また、占領した国々の軍を吸収し、場合によっては徴兵すらしているのだ。
それを考えれば、他に幾つも戦線を抱えたまま、こうして万単位に迫るのではないかと思えるほどの戦力を動員するのも、不可能ではないはずだった。
「俺にしてみれば、人数が多い……それもきちんと訓練された兵士じゃなくて、徴兵された一般人ってのは悪くないんだけど」
徴兵されて訓練もしていない者というのは、波に乗っているときであればまだしも、自分たちが不利になったときは真っ先に逃げ出す。
そして多くの者たちが逃げ出せば、当然のように指揮官の指揮も難しくなってしまい、混乱する。
混乱すれば、よりアランが攻撃をしやすくなる。
もちろん、それは全てが理想的に進んだ場合の話であって、全てがそう上手く進むとは限らないのだが。
「ともあれ、行くか。レオノーラがいない分、今は俺が頑張らないといけないしな」
一瞬だけレオノーラのことを思い浮かべたアランだったが、すぐにそれを頭の中から消し去って作戦を実行に移す。
空を飛んでいた状態から、真下に向かって急降下していく。
ただでさえ十八メートルもの機体が落下していくので、その迫力は相当なものだ。
だが、アランはその状況からさらにスラスターを全開にして、落下速度を上げる。
高度五キロとはいえ、ゼオンの持つスラスターを使えば、その距離がゼロになるのはそう時間がかからない。
真っ直ぐ下に向かって降下していくゼオンの姿は、当然ながらガリンダミア帝国軍の中でも感覚の鋭い者……聴覚、視覚、場合によっては嗅覚で気が付いた者もいたが、今の状況で気が付いたところで、すでに遅い。
異常に気が付いて顔を上げた者が見たのは、上空から流星のように自分たちに向かって降下してくる、ゼオンの姿だったのだから。
「な……」
何かが落ちてくる。
そう言おうとした兵士だったが、それを言うよりも前にゼオンは行動に出た。
急速に落下し続けたままで、ビームライフルを連射する。
放たれたビームが地上に命中すると、命中した場所にいた兵士はビームによって消滅し、次の瞬間にはビームが命中した地面が爆発して周辺にいる者たちにも被害を及ぼす。
そんな攻撃が、次々と起こったのだ。
瞬く間に数十人……いや、百人を超えるガリンダミア帝国軍の兵士が死亡し、それに数倍する数の者たちが怪我をする。
そして、ガリンダミア帝国軍にとっての不運はまだ終わらない。
地上に向かって降下してきたゼオンは、間合いが近づくとウィングバインダーのスラスターや機体に備わっているスラスターを全開にして体勢を整え、次の瞬間には腹部の拡散ビーム砲を放つ。
拡散されたビームの雨は、次々にガリンダミア帝国軍の兵士達を消滅させていく。
拡散している分、一撃の威力はビームライフルよりも弱い。
それでも触れただけで人を殺すには十分な威力があり、そんなビームの雨が無数に降り注いだのだ。
一体何があったのか分からずに消滅してしまった兵士は、寧ろ幸運だっただろう。
ある意味で運の悪かった兵士たちは、それこそ手足がビームによって消滅したり、焼け爛れたりといったようになって、気が付けば地面に倒れていたという者も少なくない。
「さて、後は……あれだな」
空中に留まったまま周囲の様子を確認したゼオンは、馬車を見つける。
それは、いわゆるお偉いさんが乗っているような箱馬車の類ではなく、食料や水、馬の飼料といったものを運ぶ荷馬車だ。
ガリンダミア帝国からドットリオン王国に入り、その先にはラリアントしかないので、食料の類を補給することは出来ず、ガリンダミア帝国軍から持ってきた代物だ。
食料がなければ、当然のように兵士は戦うことは出来ない。
いや、多少無理をすれば戦うことが出来るかもしれないが、全力を出せないのは間違いなかった。
そうである以上、ここで荷馬車を狙わないという選択肢は存在しない。
ゼオンの頭を荷馬車にある方に向け、トリガーを引く。
頭部から発射された無数の弾丸が、次々と荷馬車に命中しては破壊していく。
……荷馬車を牽いている馬は自分たちの牽いている馬車がいきなり破壊されたことで、混乱し、恐怖し、それぞれがあらぬ方向に走り去る。
実際にはゼオンの奇襲があったときから、すでに馬たちも半ば恐慌状態に陥っていたのだが、そのときはまだ馬車に繋がれていたこともあって、すぐに逃げ出すことは出来なかった。
だが、荷馬車が破壊された以上、馬は自由になったのだ。
ゼオンが暴れているこの場から、恐怖に駆られて逃げ出してもおかしくはない。
馬というのは、元々大人しい動物だ。
騎士が乗るような馬は特別な訓練によってその臆病さを克服しているが、荷馬車を牽く馬にそのような訓練がされる訳がない。
「次、次、次、次」
頭部バルカンの弾丸、次々と物資を積み込んでいる荷馬車を破壊していく。
また、当然ながらそうして荷馬車を攻撃している間も、ガリンダミア帝国軍の兵士たちを攻撃していない訳ではなく。
ゼオンという人型機動兵器だからこそ、頭部バルカンを発射しながらビームライフルや腹部拡散ビーム砲を発射するような真似が出来る。
「ついでだ、これも食らえ。フェルス!」
駄目押しにと、ゼオンにとっての切り札とでも言うべきフェルスを呼び出す。
空間に波紋が生み出され、そこから姿を現すフェルス。
本来なら、フェルスというのはアランにとっての切り札だ。
このような場所で使うのは、それこそガリンダミア帝国軍に無駄な情報を与えるだけになってもおかしくはない。
だが、ゼオンの情報は既にガリンダミア帝国軍に相応に知られてしまっている以上、当然のようにザラクニアと戦ったときに使われたフェルスの情報も知られているだろう。
であれば、今の状況ではフェルスを使わないで隠しておくよりもガリンダミア帝国軍に対してゼオンの全力を見せつけ、自分たちが何を戦おうとしているのかというのを、しっかりと知らせた方がいい。
ラリアントを攻めるときに、ゼオンが出て来ればこの戦いの……いや、一方的な蹂躙を思い出して恐怖に振るえるように。
もしくは、ここからラリアントに向かうまでの間に、再びゼオンがやってきたときに恐慌するように。
空間の波紋の中から生み出されたフェルスは、アランの意志に従って戦場を暴れ回る。
先端にビームソードを展開させて兵士を貫く。
鎧を着ていようが着ていまいが、そんなのは全く関係ないと言わんばかりの行動。
そして実際にフェルスの先端に展開しているビームソードは、革だろうが金属だろうが、全く関係なく貫いていた。
それ以外にも、先端だけではなくフェルスの左右にもビームによる刃を生み出し、触れる否や何であろうともほぼ全てを斬り裂いていく。
先端から放たれたビーム砲は、数人の兵士の命をあっさりと奪い取る。
(よし、そろそろいいか)
ゼオンが地上に降下してきてから、ここまで一分少々。
いきなりの奇襲だったこともあり、混乱していたガリンダミア帝国軍だったが、それでも百戦錬磨の兵士たちだけあって、当初の混乱から抜け出す者も出始めていた。
そんな中でもやはり最初に我に返ったのは、小隊長のような現場で真っ先に動くべき者たち。
「態勢を整えろ! 敵は一匹だけだ! ガリンダミア帝国軍としての誇りを思い出せ!」
その言葉が兵士たちに届くと同時に、混乱は急速に収まっていく。
他の場所でも同じように混乱を治めている者が多く、それを見たアランは面倒そうな表情を浮かべ……心核使いが変身したモンスターが何匹もこちらに近づいてくるのを見て、撤退を決意する。
戦えば勝てると思いはするが、相手はどのような行動をしてくるのか分からない。
それこそ、場合によってはアランにも全く予想外の行動をしないとも限らないのだ。
そう、ザラクニアとの戦いで向こうにいた土のゴーレムが使ったような、泥のブレスの如く。
泥のブレスは、まともに命中した訳ではないいもかかわらず、ゼオンの装甲を傷つけるだけの威力を持っていた。
であれば、こちらに近づいてくるモンスターの中にも何かゼオンに対しても致命的なダメージを与えることが出来る攻撃手段を持っている者がいてもおかしくはない。
ガリンダミア帝国軍との間に起きる防衛戦において、ゼオンという存在はラリアント軍の心の支えと言ってもいい。
ザラクニアと戦ったときに見せた圧倒的な強さは、それこそゼオンの存在がいればガリンダミア帝国軍を相手に、勝つことは出来ずとも負けることはないと思うに十分な説得力を持っていた。
そして負けないで耐え続けていれば、そのうち王都からの援軍が到着して、反撃に出ることが出来る。
そんなラリアントの住人の様子を思い出せば、ここでゼオンを傷つける訳にはいかない。
ましてや、アランがラリアント軍に協力しているのはガリンダミア帝国軍に致命的な被害を与えて自分にちょっかいを出さないようにするためという理由もある以上、ここでガリンダミア帝国軍を帰す訳にはいかなかった。
そんな訳で、心核使い達が近づいてきたのを見たアランは、即座にその場を離脱することを選択する。
……アランが奇襲を仕掛けてから、一分から二分ほど。
そんな短時間で、ガリンダミア帝国軍は予想外に大きな被害を受けたのだった。
0
お気に入りに追加
162
あなたにおすすめの小説
プリンセスクロッサー勇と王王姫纏いて魔王軍に挑む
兵郎桜花
ファンタジー
勇者になってもてたい少年イサミは王城を救ったことをきっかけに伝説の勇者と言われ姫とまぐわう運命を辿ると言われ魔王軍と戦うことになる。姫アステリアと隣国の王女クリム、幼馴染貴族のリンネや騎士学校の先輩エルハと婚約し彼女達王女の力を鎧として纏う。王になりたい少年王我は世界を支配することでよりよい世界を作ろうとする。そんな時殺戮を望む壊羅と戦うことになる。
最強の魔王が異世界に転移したので冒険者ギルドに所属してみました。
羽海汐遠
ファンタジー
最強の魔王ソフィが支配するアレルバレルの地。
彼はこの地で数千年に渡り統治を続けてきたが、圧政だと言い張る勇者マリスたちが立ち上がり、魔王城に攻め込んでくる。
残すは魔王ソフィのみとなった事で勇者たちは勝利を確信するが、肝心の魔王ソフィに全く歯が立たず、片手であっさりと勇者たちはやられてしまう。そんな中で勇者パーティの一人、賢者リルトマーカが取り出したマジックアイテムで、一度だけ奇跡を起こすと言われる『根源の玉』を使われて、魔王ソフィは異世界へと飛ばされてしまうのだった。
最強の魔王は新たな世界に降り立ち、冒険者ギルドに所属する。
そして最強の魔王は、この新たな世界でかつて諦めた願いを再び抱き始める。
彼の願いとはソフィ自身に敗北を与えられる程の強さを持つ至高の存在と出会い、そして全力で戦った上で可能であれば、その至高の相手に完膚なきまでに叩き潰された後に敵わないと思わせて欲しいという願いである。
人間を愛する優しき魔王は、その強さ故に孤独を感じる。
彼の願望である至高の存在に、果たして巡り合うことが出来るのだろうか。
『カクヨム』
2021.3『第六回カクヨムコンテスト』最終選考作品。
2024.3『MFブックス10周年記念小説コンテスト』最終選考作品。
『小説家になろう』
2024.9『累計PV1800万回』達成作品。
※出来るだけ、毎日投稿を心掛けています。
小説家になろう様 https://ncode.syosetu.com/n4450fx/
カクヨム様 https://kakuyomu.jp/works/1177354054896551796
ノベルバ様 https://novelba.com/indies/works/932709
ノベルアッププラス様 https://novelup.plus/story/998963655
転生してチートを手に入れました!!生まれた時から精霊王に囲まれてます…やだ
如月花恋
ファンタジー
…目の前がめっちゃ明るくなったと思ったら今度は…真っ白?
「え~…大丈夫?」
…大丈夫じゃないです
というかあなた誰?
「神。ごめんね~?合コンしてたら死んじゃってた~」
…合…コン
私の死因…神様の合コン…
…かない
「てことで…好きな所に転生していいよ!!」
好きな所…転生
じゃ異世界で
「異世界ってそんな子供みたいな…」
子供だし
小2
「まっいっか。分かった。知り合いのところ送るね」
よろです
魔法使えるところがいいな
「更に注文!?」
…神様のせいで死んだのに…
「あぁ!!分かりました!!」
やたね
「君…結構策士だな」
そう?
作戦とかは楽しいけど…
「う~ん…だったらあそこでも大丈夫かな。ちょうど人が足りないって言ってたし」
…あそこ?
「…うん。君ならやれるよ。頑張って」
…んな他人事みたいな…
「あ。爵位は結構高めだからね」
しゃくい…?
「じゃ!!」
え?
ちょ…しゃくいの説明ぃぃぃぃ!!
間違い転生!!〜神様の加護をたくさん貰っても それでものんびり自由に生きたい〜
舞桜
ファンタジー
「初めまして!私の名前は 沙樹崎 咲子 35歳 自営業 独身です‼︎よろしくお願いします‼︎」
突然 神様の手違いにより死亡扱いになってしまったオタクアラサー女子、
手違いのお詫びにと色々な加護とチートスキルを貰って異世界に転生することに、
だが転生した先でまたもや神様の手違いが‼︎
神々から貰った加護とスキルで“転生チート無双“
瞳は希少なオッドアイで顔は超絶美人、でも性格は・・・
転生したオタクアラサー女子は意外と物知りで有能?
だが、死亡する原因には不可解な点が…
数々の事件が巻き起こる中、神様に貰った加護と前世での知識で乗り越えて、
神々と家族からの溺愛され前世での心の傷を癒していくハートフルなストーリー?
様々な思惑と神様達のやらかしで異世界ライフを楽しく過ごす主人公、
目指すは“のんびり自由な冒険者ライフ‼︎“
そんな主人公は無自覚に色々やらかすお茶目さん♪
*神様達は間違いをちょいちょいやらかします。これから咲子はどうなるのか?のんびりできるといいね!(希望的観測っw)
*投稿周期は基本的には不定期です、3日に1度を目安にやりたいと思いますので生暖かく見守って下さい
*この作品は“小説家になろう“にも掲載しています
異世界転生はどん底人生の始まり~一時停止とステータス強奪で快適な人生を掴み取る!
夢・風魔
ファンタジー
若くして死んだ男は、異世界に転生した。恵まれた環境とは程遠い、ダンジョンの上層部に作られた居住区画で孤児として暮らしていた。
ある日、ダンジョンモンスターが暴走するスタンピードが発生し、彼──リヴァは死の縁に立たされていた。
そこで前世の記憶を思い出し、同時に転生特典のスキルに目覚める。
視界に映る者全ての動きを停止させる『一時停止』。任意のステータスを一日に1だけ奪い取れる『ステータス強奪』。
二つのスキルを駆使し、リヴァは地上での暮らしを夢見て今日もダンジョンへと潜る。
*カクヨムでも先行更新しております。
独身おじさんの異世界ライフ~結婚しません、フリーな独身こそ最高です~
さとう
ファンタジー
町の電気工事士であり、なんでも屋でもある織田玄徳は、仕事をそこそこやりつつ自由な暮らしをしていた。
結婚は人生の墓場……父親が嫁さんで苦労しているのを見て育ったため、結婚して子供を作り幸せな家庭を作るという『呪いの言葉』を嫌悪し、生涯独身、自分だけのために稼いだ金を使うと決め、独身生活を満喫。趣味の釣り、バイク、キャンプなどを楽しみつつ、人生を謳歌していた。
そんなある日。電気工事の仕事で感電死……まだまだやりたいことがあったのにと嘆くと、なんと異世界転生していた!!
これは、異世界で工務店の仕事をしながら、異世界で独身生活を満喫するおじさんの物語。
異世界あるある 転生物語 たった一つのスキルで無双する!え?【土魔法】じゃなくって【土】スキル?
よっしぃ
ファンタジー
農民が土魔法を使って何が悪い?異世界あるある?前世の謎知識で無双する!
土砂 剛史(どしゃ つよし)24歳、独身。自宅のパソコンでネットをしていた所、突然轟音がしたと思うと窓が破壊され何かがぶつかってきた。
自宅付近で高所作業車が電線付近を作業中、トラックが高所作業車に突っ込み運悪く剛史の部屋に高所作業車のアームの先端がぶつかり、そのまま窓から剛史に一直線。
『あ、やべ!』
そして・・・・
【あれ?ここは何処だ?】
気が付けば真っ白な世界。
気を失ったのか?だがなんか聞こえた気がしたんだが何だったんだ?
・・・・
・・・
・・
・
【ふう・・・・何とか間に合ったか。たった一つのスキルか・・・・しかもあ奴の元の名からすれば土関連になりそうじゃが。済まぬが異世界あるあるのチートはない。】
こうして剛史は新た生を異世界で受けた。
そして何も思い出す事なく10歳に。
そしてこの世界は10歳でスキルを確認する。
スキルによって一生が決まるからだ。
最低1、最高でも10。平均すると概ね5。
そんな中剛史はたった1しかスキルがなかった。
しかも土木魔法と揶揄される【土魔法】のみ、と思い込んでいたが【土魔法】ですらない【土】スキルと言う謎スキルだった。
そんな中頑張って開拓を手伝っていたらどうやら領主の意に添わなかったようで
ゴウツク領主によって領地を追放されてしまう。
追放先でも土魔法は土木魔法とバカにされる。
だがここで剛史は前世の記憶を徐々に取り戻す。
『土魔法を土木魔法ってバカにすんなよ?異世界あるあるな前世の謎知識で無双する!』
不屈の精神で土魔法を極めていく剛史。
そしてそんな剛史に同じような境遇の人々が集い、やがて大きなうねりとなってこの世界を席巻していく。
その中には同じく一つスキルしか得られず、公爵家や侯爵家を追放された令嬢も。
前世の記憶を活用しつつ、やがて土木魔法と揶揄されていた土魔法を世界一のスキルに押し上げていく。
但し剛史のスキルは【土魔法】ですらない【土】スキル。
転生時にチートはなかったと思われたが、努力の末にチートと言われるほどスキルを活用していく事になる。
これは所持スキルの少なさから世間から見放された人々が集い、ギルド『ワンチャンス』を結成、努力の末に世界一と言われる事となる物語・・・・だよな?
何故か追放された公爵令嬢や他の貴族の令嬢が集まってくるんだが?
俺は農家の4男だぞ?
【完結】婚活に疲れた救急医まだ見ぬ未来の嫁ちゃんを求めて異世界へ行く
川原源明
ファンタジー
伊東誠明(いとうまさあき)35歳
都内の大学病院で救命救急センターで医師として働いていた。仕事は順風満帆だが、プライベートを満たすために始めた婚活も運命の女性を見つけることが出来ないまま5年の月日が流れた。
そんな時、久しぶりに命の恩人であり、医師としての師匠でもある秋津先生を見かけ「良い人を紹介してください」と伝えたが、良い答えは貰えなかった。
自分が居る救命救急センターの看護主任をしている萩原さんに相談してみてはと言われ、職場に戻った誠明はすぐに萩原さんに相談すると、仕事後によく当たるという占いに行くことになった。
終業後、萩原さんと共に占いの館を目指していると、萩原さんから不思議な事を聞いた。「何か深い悩みを抱えてない限りたどり着けないとい」という、不安な気持ちになりつつも、占いの館にたどり着いた。
占い師の老婆から、運命の相手は日本に居ないと告げられ、国際結婚!?とワクワクするような答えが返ってきた。色々旅支度をしたうえで、3日後再度占いの館に来るように指示された。
誠明は、どんな辺境の地に行っても困らないように、キャンプ道具などの道具から、食材、手術道具、薬等買える物をすべてそろえてた。
3日後占いの館を訪れると。占い師の老婆から思わぬことを言われた。国際結婚ではなく、異世界結婚だと判明し、行かなければ生涯独身が約束されると聞いて、迷わず行くという選択肢を取った。
異世界転移から始まる運命の嫁ちゃん探し、誠明は無事理想の嫁ちゃんを迎えることが出来るのか!?
異世界で、医師として活動しながら婚活する物語!
全90話+幕間予定 90話まで作成済み。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる