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辺境にて
057話
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暖かで柔らかく……それでいて嗅ぎ慣れないような、何度か嗅いだことがあるよう匂いと共に、アランは目を覚ます。
そんなアランの視界に真っ先に入ってきたのは、レオノーラの寝顔。
普段はきつめの美人といった様子のレオノーラだったが、こうして寝顔を見る限りでは普段の気の強さは感じられない。
そのことを少しだけ新鮮に思いながら、アランはじっとレオノーラの寝顔を見る。
最初にレオノーラの寝顔を見たときはかなり驚いたが、こうしてゆっくりとその顔を見ていると、一種の芸術品のようにも感じられる。
もっとも、アランは日本で生きていたときも、美術館といった場所に行ったようなことはなかったし、この世界に転生してからもそれは同様だ。
……それでも、アランは現在自分の目の前にあるレオノーラの寝顔は、紛れもなく一級品の芸術作品だと判断出来た。
そんなレオノーラの顔を眺めていると、やがてアランは自分がどこにいるのかに気が付く。
昨夜のことはほとんど覚えてはいないのだが、それでもいくらかは覚えていることがある。
急に風邪か何かで体調を崩しているときに、盗賊に夜襲されたのだ。
その後はどうなったのかはほぼ覚えていなかったが……
(俺とレオノーラだけがこんな洞窟に隠れているってことは、もしかして討伐隊は盗賊に負けたのか?)
そう考えるも、レオノーラの強さを知っているアランとしては、とてもではないがそんなことは信じられない。
かなり頭の中は朧気ではあったが、途中でゼオンを呼び出したり、色々と何かあったように思えるが……同時にそれは、夢だったのではないかという思いもあった。
だが、こうして洞窟の中にいるのを思えば、もしかして……そう思った瞬間、アランのすぐ側、それこそ十センチ離れていない場所にあったレオノーラの目が開く。
最初はレオノーラも自分の前にあるのが何なのか……誰の顔なのか、寝ぼけて分からない様子だった。
しかし、数秒もするとその顔が誰のものなのか分かったのか、急激に顔が赤く染まっていく。
それこそ、熱でもあるのではないか? と、アランが心配するくらいに。
自分が薬を盛られたと気が付いていないアランは、あるいは自分の病気――恐らく風邪――をうつしてしまったのではないかとすら、思ってしまう。
「ちょっ、おい、レオノーラ。大丈夫か?」
「っ!? だ、大丈夫よ! それより、女の寝顔をじっと見るのは、ちょっとどうかと思うわよ」
昨夜のことと、起きたときにいきなり自分の前にアランの顔があって、アランを異性と認識してしまったレオノーラは、あらぬ方を見ながら告げる。
自分の顔が赤くなっているのを、アランに見られたくなかったのだろう。
もっとも、それはすでに遅く、アランにはしっかりと顔が赤くなっているところを見られているのだが。
レオノーラにとって幸運だったのは、アランは自分の病気が感染したと思っているところか。
「いや、寝顔云々よりも俺の病気が……」
「違うわ」
そう言い、少し自分を落ち着かせようと、レオノーラは立ち上がってアランから距離を取り、大きく身体を伸ばす。
アランを後ろから抱きしめ、座ったまま眠ってしまったこともあり、レオノーラの身体はかなり固くなっていた。
関節を解すように……そして自分の顔が赤くなっているのを落ち着くようにしながら、レオノーラは口を開く。
「アランの昨日の症状は、薬を盛られたせいよ」
身体を動かしながら、レオノーラは昨夜の出来事を語っていく。
その話は、アランにとって完全に予想外のことだった。
いや、ザラクニアが自分に……正確にはアランの持つ心核で呼び出せるゼオンに対して強い思いを抱いているのは分かっていたが、それでもここまでやるとは予想出来なかったのだ。
当然だろう。自分の部下たちを何人も殺すような真似をするとは、誰が思うというのか。
その上、自分に薬まで盛られていたとなると、到底許せることではない。
今回は、レオノーラがいたからこそ、偶然にしろ何とか対処出来た。
だが、もしここにレオノーラがいなければ、どうなっていたか。
それは、考えるまでもなく明らかだろう。
「正直、ここまでするとは思わなかった。そうなると、ラリアントに残してきた他の皆も……」
「間違いなく、捕まってるでしょうね」
アランを今回の一件で無事捕らえることが出来ていれば、両親や仲間たちを人質にして脅すことが出来る。
また、今のように逃がしてしまったとしても、両親や仲間たちがいれば、迂闊な真似は出来ない。
どちらにしろ、リアやニコラス、イルゼン……それ以外にも他の皆が捕まっている状況では、アランとレオノーラが迂闊に動くようなことは出来ない。
「そうなると、どうする? まずは他の皆を助けて、さっさとここから逃げ出すのか?」
「どうかしらね。ラリアントの領主ともなれば、周辺に私たちを犯罪者に仕立て上げるような真似は容易に出来るはずよ」
アランの言葉に、レオノーラがそう告げる。
その説明には、アランも納得せざるを得ない。
実際に今まで見てことのある貴族の多くは、どうしようもないような者たちが大半だったのだから。
「そうすると……どうするんだ? この辺りじゃなくて、もっと遠くに逃げるとか?」
「駄目よ。ここで犯罪者として手配されてしまえば、それこそこの国のどこででもまともに活動は出来なくなるわ」
「それは……まぁ」
レオノーラの言葉は、決して大袈裟なものではない。
一度犯罪者として手配されるようなことになれば、それが正式なものであれば間違いなく多くの兵士達……もしくは賞金稼ぎに追われるだろう。
ちなみにこの賞金稼ぎは、基本的には冒険者や探索者達が片手間にやるのが普通で、専門の賞金稼ぎといった者は、いない訳ではないが驚く程に少ない。
ともあれ、レオノーラの話を聞く限りでは、犯罪者として手配されるのは絶対に避けたいというのが、アランの正直な気持ちだった。
「けど、だからって……どうする?」
「そうね。確実なのは、ザラクニア辺境伯と政治的に敵対している貴族に協力を仰ぐということだけど……」
提案しながらも、レオノーラはその方法に否定的なものがある。
「どうかしたのか?」
「まず一つとして、その相手が本当に手を貸すかどうか、というのがあるわ。ザラクニア辺境伯は、この国でも相応の実力者だし。いくら政治的に敵対しても、そう簡単にこちらに手を貸すとは思えないわ」「それは……まぁ」
アランも貴族というのが少数の例外をのぞいてどうしようもない者たちだという認識なので、レオノーラの言葉には納得することしか出来ない。
だが、それならどうするのかといって問題も起こる。
「なら、どうするんだ?」
「そうね。最善なのは、私たちでラリアントに捕まっている仲間を助けて、ザラクニア辺境伯の悪事を公表することかしら」
「それは……また……不可能とは言わないが、かなり難しいんじゃないか?」
ここでアランが不可能と言い切らなかったのは、レオノーラが他国のではあっても王女であるからだろう。
その王女としての立場を存分に使えば、あるいは……と、そう思ったのだ。
もっとも、そうなればこれからレオノーラは探索者として活動しにくくなるだろうというのは、容易に予想出来たが。
アランが心配そうな表情を浮かべたことで、レオノーラもアランが何を考えたのかは理解し、落ち着かせるように口を開く。
「別に私が王女だというのを大々的にするつもりはないわ。……それに、別に私が自分からそう名乗ってる訳じゃないにしろ、私が王女だというのは、知ってる人は知ってるし」
「そういうものなのか? ……けど、ならどうやって今回の件を?」
「私が大々的に王女だというのを使わなくても、この国にも私の知り合いはいるわ。王女としての私だったり、探索者としての私だったりね。最終的には、そちらの方に手を回して貰うつもりだけど……」
最終的に。
レオノーラがそう口にしたことを考えると、それはつまりある程度までは自分達でどうにかしなければならないということを意味していた。
「俺たちは、どこまでやればいい?」
「仲間を助け出して、ザラクニア辺境伯がやろうとしていることを止める、かしら」
「いや、それだとどこまでっていうか、ほぼ全てじゃないか?」
「そうね。それが終わったあとで、私の知り合いの貴族に事後処理をして貰うといったところかしら」
「それって、助けて貰う意味があるのか?」
「あるわよ。そもそも、事後処理をして貰わないと、色々と不味いことになるもの。そういう意味では、貴族の協力は絶対よ。幸い、向こうも私に恩があるから、間違いなく引き受けてくれるだろうし」
そう言い切るレオノーラの様子を見ると、アランは一体どんな貸しを作ったんだと思い込む。
辺境伯という爵位は、公爵、侯爵に次ぐ爵位だ。
少なくても、アランが知っている限りではそのようになっている。
そんな辺境伯に反旗を翻す――という表現がこの場合正しいのかどうか分からないが――というのに、間違いなく手伝ってくれるというのだ。
正直なところ、レオノーラが言うのでなければ、とてもではないが信じられなかった。
「あー……うん。分かった。いや、正確にはまだ分からないけど、取りあえず分かったことにするとして、問題なのはザラクニア辺境伯の企みを潰すということだけど……具体的にどうやる? まず、父さんや母さんを含めた他の面々を助け出すのは確実として」
「どうするかは、実際にラリアントに戻ってみないと駄目でしょうね。それで皆を助けてから、色々と協力して貰う必要があるでしょうし。……私たちだけでやるには、どうしても手が足りないもの」
レオノーラのその言葉に、アランは納得の表情を浮かべる。
自分たちは、強力な心核使いだ。
だが、だからといって、自分たちだけで今回の一件をどうにか出来るとは到底思えない。
であれば、それをどうにかするために仲間を助けて手を貸して貰う必要があり……そして何より、イルゼンに聞けば何らかの打開策があると、そう考えることが出来た。
そんなアランの視界に真っ先に入ってきたのは、レオノーラの寝顔。
普段はきつめの美人といった様子のレオノーラだったが、こうして寝顔を見る限りでは普段の気の強さは感じられない。
そのことを少しだけ新鮮に思いながら、アランはじっとレオノーラの寝顔を見る。
最初にレオノーラの寝顔を見たときはかなり驚いたが、こうしてゆっくりとその顔を見ていると、一種の芸術品のようにも感じられる。
もっとも、アランは日本で生きていたときも、美術館といった場所に行ったようなことはなかったし、この世界に転生してからもそれは同様だ。
……それでも、アランは現在自分の目の前にあるレオノーラの寝顔は、紛れもなく一級品の芸術作品だと判断出来た。
そんなレオノーラの顔を眺めていると、やがてアランは自分がどこにいるのかに気が付く。
昨夜のことはほとんど覚えてはいないのだが、それでもいくらかは覚えていることがある。
急に風邪か何かで体調を崩しているときに、盗賊に夜襲されたのだ。
その後はどうなったのかはほぼ覚えていなかったが……
(俺とレオノーラだけがこんな洞窟に隠れているってことは、もしかして討伐隊は盗賊に負けたのか?)
そう考えるも、レオノーラの強さを知っているアランとしては、とてもではないがそんなことは信じられない。
かなり頭の中は朧気ではあったが、途中でゼオンを呼び出したり、色々と何かあったように思えるが……同時にそれは、夢だったのではないかという思いもあった。
だが、こうして洞窟の中にいるのを思えば、もしかして……そう思った瞬間、アランのすぐ側、それこそ十センチ離れていない場所にあったレオノーラの目が開く。
最初はレオノーラも自分の前にあるのが何なのか……誰の顔なのか、寝ぼけて分からない様子だった。
しかし、数秒もするとその顔が誰のものなのか分かったのか、急激に顔が赤く染まっていく。
それこそ、熱でもあるのではないか? と、アランが心配するくらいに。
自分が薬を盛られたと気が付いていないアランは、あるいは自分の病気――恐らく風邪――をうつしてしまったのではないかとすら、思ってしまう。
「ちょっ、おい、レオノーラ。大丈夫か?」
「っ!? だ、大丈夫よ! それより、女の寝顔をじっと見るのは、ちょっとどうかと思うわよ」
昨夜のことと、起きたときにいきなり自分の前にアランの顔があって、アランを異性と認識してしまったレオノーラは、あらぬ方を見ながら告げる。
自分の顔が赤くなっているのを、アランに見られたくなかったのだろう。
もっとも、それはすでに遅く、アランにはしっかりと顔が赤くなっているところを見られているのだが。
レオノーラにとって幸運だったのは、アランは自分の病気が感染したと思っているところか。
「いや、寝顔云々よりも俺の病気が……」
「違うわ」
そう言い、少し自分を落ち着かせようと、レオノーラは立ち上がってアランから距離を取り、大きく身体を伸ばす。
アランを後ろから抱きしめ、座ったまま眠ってしまったこともあり、レオノーラの身体はかなり固くなっていた。
関節を解すように……そして自分の顔が赤くなっているのを落ち着くようにしながら、レオノーラは口を開く。
「アランの昨日の症状は、薬を盛られたせいよ」
身体を動かしながら、レオノーラは昨夜の出来事を語っていく。
その話は、アランにとって完全に予想外のことだった。
いや、ザラクニアが自分に……正確にはアランの持つ心核で呼び出せるゼオンに対して強い思いを抱いているのは分かっていたが、それでもここまでやるとは予想出来なかったのだ。
当然だろう。自分の部下たちを何人も殺すような真似をするとは、誰が思うというのか。
その上、自分に薬まで盛られていたとなると、到底許せることではない。
今回は、レオノーラがいたからこそ、偶然にしろ何とか対処出来た。
だが、もしここにレオノーラがいなければ、どうなっていたか。
それは、考えるまでもなく明らかだろう。
「正直、ここまでするとは思わなかった。そうなると、ラリアントに残してきた他の皆も……」
「間違いなく、捕まってるでしょうね」
アランを今回の一件で無事捕らえることが出来ていれば、両親や仲間たちを人質にして脅すことが出来る。
また、今のように逃がしてしまったとしても、両親や仲間たちがいれば、迂闊な真似は出来ない。
どちらにしろ、リアやニコラス、イルゼン……それ以外にも他の皆が捕まっている状況では、アランとレオノーラが迂闊に動くようなことは出来ない。
「そうなると、どうする? まずは他の皆を助けて、さっさとここから逃げ出すのか?」
「どうかしらね。ラリアントの領主ともなれば、周辺に私たちを犯罪者に仕立て上げるような真似は容易に出来るはずよ」
アランの言葉に、レオノーラがそう告げる。
その説明には、アランも納得せざるを得ない。
実際に今まで見てことのある貴族の多くは、どうしようもないような者たちが大半だったのだから。
「そうすると……どうするんだ? この辺りじゃなくて、もっと遠くに逃げるとか?」
「駄目よ。ここで犯罪者として手配されてしまえば、それこそこの国のどこででもまともに活動は出来なくなるわ」
「それは……まぁ」
レオノーラの言葉は、決して大袈裟なものではない。
一度犯罪者として手配されるようなことになれば、それが正式なものであれば間違いなく多くの兵士達……もしくは賞金稼ぎに追われるだろう。
ちなみにこの賞金稼ぎは、基本的には冒険者や探索者達が片手間にやるのが普通で、専門の賞金稼ぎといった者は、いない訳ではないが驚く程に少ない。
ともあれ、レオノーラの話を聞く限りでは、犯罪者として手配されるのは絶対に避けたいというのが、アランの正直な気持ちだった。
「けど、だからって……どうする?」
「そうね。確実なのは、ザラクニア辺境伯と政治的に敵対している貴族に協力を仰ぐということだけど……」
提案しながらも、レオノーラはその方法に否定的なものがある。
「どうかしたのか?」
「まず一つとして、その相手が本当に手を貸すかどうか、というのがあるわ。ザラクニア辺境伯は、この国でも相応の実力者だし。いくら政治的に敵対しても、そう簡単にこちらに手を貸すとは思えないわ」「それは……まぁ」
アランも貴族というのが少数の例外をのぞいてどうしようもない者たちだという認識なので、レオノーラの言葉には納得することしか出来ない。
だが、それならどうするのかといって問題も起こる。
「なら、どうするんだ?」
「そうね。最善なのは、私たちでラリアントに捕まっている仲間を助けて、ザラクニア辺境伯の悪事を公表することかしら」
「それは……また……不可能とは言わないが、かなり難しいんじゃないか?」
ここでアランが不可能と言い切らなかったのは、レオノーラが他国のではあっても王女であるからだろう。
その王女としての立場を存分に使えば、あるいは……と、そう思ったのだ。
もっとも、そうなればこれからレオノーラは探索者として活動しにくくなるだろうというのは、容易に予想出来たが。
アランが心配そうな表情を浮かべたことで、レオノーラもアランが何を考えたのかは理解し、落ち着かせるように口を開く。
「別に私が王女だというのを大々的にするつもりはないわ。……それに、別に私が自分からそう名乗ってる訳じゃないにしろ、私が王女だというのは、知ってる人は知ってるし」
「そういうものなのか? ……けど、ならどうやって今回の件を?」
「私が大々的に王女だというのを使わなくても、この国にも私の知り合いはいるわ。王女としての私だったり、探索者としての私だったりね。最終的には、そちらの方に手を回して貰うつもりだけど……」
最終的に。
レオノーラがそう口にしたことを考えると、それはつまりある程度までは自分達でどうにかしなければならないということを意味していた。
「俺たちは、どこまでやればいい?」
「仲間を助け出して、ザラクニア辺境伯がやろうとしていることを止める、かしら」
「いや、それだとどこまでっていうか、ほぼ全てじゃないか?」
「そうね。それが終わったあとで、私の知り合いの貴族に事後処理をして貰うといったところかしら」
「それって、助けて貰う意味があるのか?」
「あるわよ。そもそも、事後処理をして貰わないと、色々と不味いことになるもの。そういう意味では、貴族の協力は絶対よ。幸い、向こうも私に恩があるから、間違いなく引き受けてくれるだろうし」
そう言い切るレオノーラの様子を見ると、アランは一体どんな貸しを作ったんだと思い込む。
辺境伯という爵位は、公爵、侯爵に次ぐ爵位だ。
少なくても、アランが知っている限りではそのようになっている。
そんな辺境伯に反旗を翻す――という表現がこの場合正しいのかどうか分からないが――というのに、間違いなく手伝ってくれるというのだ。
正直なところ、レオノーラが言うのでなければ、とてもではないが信じられなかった。
「あー……うん。分かった。いや、正確にはまだ分からないけど、取りあえず分かったことにするとして、問題なのはザラクニア辺境伯の企みを潰すということだけど……具体的にどうやる? まず、父さんや母さんを含めた他の面々を助け出すのは確実として」
「どうするかは、実際にラリアントに戻ってみないと駄目でしょうね。それで皆を助けてから、色々と協力して貰う必要があるでしょうし。……私たちだけでやるには、どうしても手が足りないもの」
レオノーラのその言葉に、アランは納得の表情を浮かべる。
自分たちは、強力な心核使いだ。
だが、だからといって、自分たちだけで今回の一件をどうにか出来るとは到底思えない。
であれば、それをどうにかするために仲間を助けて手を貸して貰う必要があり……そして何より、イルゼンに聞けば何らかの打開策があると、そう考えることが出来た。
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