31 / 422
心核の入手
031話
しおりを挟む
「うおおおおおっ、これ、凄いな!」
「あのねぇ、これからスタンピードの原因を解決に行くのよ? なのに、何でそんなに元気なのよ」
呆れたようにアランに告げるのは、レオノーラ。
「はっはっは。そうして喜んで貰えると、俺も嬉しいよ。ただ、出来ればスタンピード云々というんじゃなくて、もっと普通のとき背中に乗せてやりたかったけどな」
その声は、アランとレオノーラの下から聞こえてきた。
声の主は、アランとレオノーラを乗せている鳥のモンスターだ。
言うまでもなく、この鳥のモンスターも探索者が心核を使って変身した姿だ。
ドーレストの中でも少数精鋭の腕利きとして知られている、剣の頂というクランに所属する心核使い。
「ありがとう。でも、いいの? ドーレストの方は……」
「本来なら、このスタンピードは俺たち……ドーレストに所属する者たちがどうにかしなければならなかったんだ。それを部外者に任せるんだから、これくらいはさせてくれ。それに、黄金の薔薇や雲海も助けてくれるんだ。持ち堪えるだけなら、大丈夫だろ」
巨大な鳥……それこそアランとレオノーラの二人を乗せても問題なく飛ぶことが出来るそのモンスターは、そんな外見であるにもかかわらず流暢に話すことが出来る。
それは、黄金のドラゴンに変身出来るレオノーラにとっては、微妙に嫉妬を抱いてしまうことだったが……それを表情に出すようなことはない。
「それにしても、まさか俺とレオノーラだけで本気で遺跡に行くことになるとは思わなかった」
しみじみと呟くアラン。
実際、イルゼンからその話を聞いたときは、絶対にドーレストの上層部は断ると、そう思っていたのだが……イルゼンが持つ不思議なコネや、その口の巧さにより、何故かすんなりと決まってしまったのだ。
……アランとしては、出発前に少しだけ顔を合わせたドーレスの上層部の何人かが、イルゼンに対して恐怖の視線を向けていたことが意外だった。
とはいえ、実際にイルゼンの選択は決してドーレストにとって悪いものではないのも事実だ。
また、今回のスタンピードの原因となっている遺跡は、元々アランたちが向かおうとしていた遺跡……つまり、ゼオンや黄金のドラゴンであっても、普通に動くことが出来るような場所だから、というのも大きい。
それだけの遺跡に向かうのに、ゼオンや黄金のドラゴンが適しているのは事実だ。
何より、二匹だけで向かうのだから、相応に高い能力を必要とするし、そういう意味でもアランたちが向いていた。
その作戦を聞いた者の中には、何を馬鹿なと憤った声を上げた者も多かった。
当然だろう。ゼオンと黄金のドラゴンがどれだけの力を持つのか。
ドーレストの防衛戦に参加していた者の多くは、実際にその目で見たのだから。
だからこそ、アランとレオノーラの二人を遺跡に派遣し、スタンピードの元を叩くという考えには反対する者も多かったのだが……こちらもイルゼンがどのような手段を使ったのかは、アランには分からなかったが、その作戦を認めさせた。
とはいえ、全てをドーレストの外の者に任せきりなのは色々と不味いということで、剣の頂の心核使いがこうして二人をその遺跡まで運ぶといったことになったのだが。
「そうね。でもまぁ、私たちの場合は攻撃力は強いけど、精密な攻撃というのは苦手だから、下手に他の人を連れて行けば、巻き込むことになるかもしれないと考えると……これで良かったのかもしれないわね」
「あー、うん。まぁ、言われてみればそうなのかもしれないな。とはいえ……」
「っと、話はあとだ。どうやら見つかっちまったらしい」
不意に聞こえてきたそんな声に、アランとレオノーラの二人は視線を鳥の見ている方に向ける。
そこには鳥の下半身と両腕が翼になっており、上半身が人間の女というモンスター……ハーピーの姿があった。
それも一匹や二匹といった数ではなく、十匹ほどもいる。
「どうするの? ここで私たちの心核を使う? それとも、魔法で迎撃を?」
レオノーラがそう自分を乗せている鳥に尋ねるが、それを聞いたアランは微妙な表情を浮かべる。
心核を使っていないときのアランの武器は長剣で、その技量も決して優れたものではない。
ましてや、攻撃用の魔法は……使えないこともないが、その威力はとてもではないが実用的ではないし、発動までにかかる時間も長い。
それに比べると、レオノーラは鞭を武器にしているので中距離での戦闘が可能であり、その鞭が魔法発動体となっていることもあって、十分に実戦的な魔法を使うことが可能だ。
「心配するな。あの程度のモンスターなら、俺だけでどうにか出来る。多分問題ないと思うけど、お前さんたちは振り落とされないようしっかりと背中にしがみついていてくれ。……あ、でも羽毛は出来るだけ抜かないようにしてくれよ。何だかんだと、痛いんだから」
最後の言葉を冗談っぽく告げると、鳥のモンスターに変身している男はクチバシを大きく開く。
何をするんだ?
さぁ?
アランとレオノーラは、口に出すことなく、目と目で会話する。
だが、それでも自分たちの方に向かってきているハーピーを相手に攻撃をするのだろうというのは分かっていたので、大人しく言われた通りにその羽毛を掴む。そして……
どんっ、と。
そんな音が聞こえた瞬間、アランたちに向かって飛んで来ていたハーピーの群れの一部が唐突に地上に向かって降下……いや、落下していく。
ハーピーの群れも自分たちが攻撃を受けたのは理解したのだろうが、一体どのような攻撃をされたのかは分からなかったらしく、混乱したように動きを止める。
だが、この場合それはミス……それも致命的なミスと言ってもいい。
どんっ、どんっ、どん。
再度周囲に響く、そんな音。
その音がすると同時に、群れをなしていたハーピーは、次々に地上に向かって落下していく。……いや、撃ち落とされていく。
目の前で何度も繰り返されれば、アランも何が起きているのかが分かる。
レオノーラの方は、アランよりも先にそのことに気が付いていたようだが。
鳥のモンスターは、その口から空気の塊を吐き出しているのだ。
ブレス……ではなく、ブリットとでも呼ぶべき一撃。
風の塊であるがゆえに、目に見えるようなことはない。
だからこそ、ハーピーも自分たちが何をされているのか分からないまま、次々と撃ち落とされていくのだ。
アランたちがそれに気が付くことが出来たのは、自分たちが安全な場所にいたからだろう。
ハーピーたちのように、いきなり攻撃をされるようなことになった場合、それで混乱して風の塊を放たれていることに気が付くのは遅れたはずだ。
(ブリットって弾丸だよな? むしろ、これは風の砲弾とでも呼ぶのが相応しそうだ)
次々に撃墜されていくハーピーを見ながら、アランはそんな風に思う。
結局、ハーピーは半分ほどが撃墜されたところで、自分たちでは到底勝ち目がないと判断したのだろう。
攻撃を続けるようなことはせず、それぞれが別々の方向に逃げ去っていく。
「はぁ、はぁ。ま、ざっとこんなもんだ」
「こんな攻撃が出来るなら、ドーレストが包囲されてるとき、モンスターの後方に上空から攻撃をするといった真似が出来たんじゃない?」
「ははっ、それは無理だな。……この技、体力と魔力を結構消費するから、そこまで連続では撃てないんだよ。それこそ、今ので精一杯ってところか」
「え? じゃあ、もしかして撃つのを止めたのは、ハーピーが逃げ出したからじゃなくて、限界だったからですか?」
少し驚いた様子で、アランが告げる。
そんなアランの言葉に、鳥は笑い声を上げた。
「はははは。まぁ、そんなところだ。これだけしか攻撃出来ないのに、敵陣の奥深くまで移動したら……それこそ、体力や魔力を消耗して、最悪の場合は逃げることも出来ずに集中攻撃を受けるだけだ」
「なるほど」
素直にその言葉を信じたアランと違い、その隣で話を聞いていたレオノーラは、そこまで素直に鳥の言葉を信じることは出来なかった。
そもそもの話、誰が正直に自分の弱点を教えるのいうのか。
恐らく今の話もかなり大袈裟に話しているだけであり、風の塊を飛ばす以外にそれをフォローする為の能力があってもおかしくはなかった。
(くせ者ね)
そんな風にレオノーラが考えている中でも鳥は飛び続け、やがて目的の場所が見えてくる。
それは、周囲にある景色に比べて明らかに溶け込んでいなかった。
当然だろう。ゼオンや黄金のドラゴンですら普通に入ることが出来る大きさを持つ遺跡なのだから。
そして、今回のスタンピードの原因とも言うべき遺跡。
そのような巨大な……本当に巨大としか言いようがない遺跡が、アランの視線の先には存在していた。
「あれが、グラルスト遺跡」
「そうだ。……ちっ、当然のことだが遺跡にいた連中は全滅か」
グラルスト遺跡は、ドーレストの近くにある遺跡だ。
もっとも、近くとはいっても馬車で移動した場合は片道数日はかかるくらいに離れているのだが、それでもグラルスト遺跡から一番近い場所にあるのがドーレストであるために、そのような扱いを受けていた。
そのような遺跡でスタンピードが起きたということは、当然ながらグラルスト遺跡に潜っていた探索者たちはモンスターの群れに呑まれたということになる。
多少腕が立つ程度では、大量の……それこそ波のようなモンスターの数に対抗出来る訳もなく、生き残れる可能性は極めて低かった。
あるいは、近くの森に隠れて生き延びている者もいるかもしれないが、今のアランたちにそれを気にすることは出来ない。
ドーレストを襲っていたモンスターの群れがスタンピードしたモンスターの先遣隊でしかなかった以上、そのスタンピードをとにかくどうにかする方が最優先なのだから。
そうすることにより、今も隠れている探索者が助かると自分に言い聞かせる。
そのような訳で、アランとレオノーラの二人は、探索者の仲間を半ば見捨てることを悔しく思いながらも、鳥のモンスターが広めの地面に着地するのを待つのだった。
「あのねぇ、これからスタンピードの原因を解決に行くのよ? なのに、何でそんなに元気なのよ」
呆れたようにアランに告げるのは、レオノーラ。
「はっはっは。そうして喜んで貰えると、俺も嬉しいよ。ただ、出来ればスタンピード云々というんじゃなくて、もっと普通のとき背中に乗せてやりたかったけどな」
その声は、アランとレオノーラの下から聞こえてきた。
声の主は、アランとレオノーラを乗せている鳥のモンスターだ。
言うまでもなく、この鳥のモンスターも探索者が心核を使って変身した姿だ。
ドーレストの中でも少数精鋭の腕利きとして知られている、剣の頂というクランに所属する心核使い。
「ありがとう。でも、いいの? ドーレストの方は……」
「本来なら、このスタンピードは俺たち……ドーレストに所属する者たちがどうにかしなければならなかったんだ。それを部外者に任せるんだから、これくらいはさせてくれ。それに、黄金の薔薇や雲海も助けてくれるんだ。持ち堪えるだけなら、大丈夫だろ」
巨大な鳥……それこそアランとレオノーラの二人を乗せても問題なく飛ぶことが出来るそのモンスターは、そんな外見であるにもかかわらず流暢に話すことが出来る。
それは、黄金のドラゴンに変身出来るレオノーラにとっては、微妙に嫉妬を抱いてしまうことだったが……それを表情に出すようなことはない。
「それにしても、まさか俺とレオノーラだけで本気で遺跡に行くことになるとは思わなかった」
しみじみと呟くアラン。
実際、イルゼンからその話を聞いたときは、絶対にドーレストの上層部は断ると、そう思っていたのだが……イルゼンが持つ不思議なコネや、その口の巧さにより、何故かすんなりと決まってしまったのだ。
……アランとしては、出発前に少しだけ顔を合わせたドーレスの上層部の何人かが、イルゼンに対して恐怖の視線を向けていたことが意外だった。
とはいえ、実際にイルゼンの選択は決してドーレストにとって悪いものではないのも事実だ。
また、今回のスタンピードの原因となっている遺跡は、元々アランたちが向かおうとしていた遺跡……つまり、ゼオンや黄金のドラゴンであっても、普通に動くことが出来るような場所だから、というのも大きい。
それだけの遺跡に向かうのに、ゼオンや黄金のドラゴンが適しているのは事実だ。
何より、二匹だけで向かうのだから、相応に高い能力を必要とするし、そういう意味でもアランたちが向いていた。
その作戦を聞いた者の中には、何を馬鹿なと憤った声を上げた者も多かった。
当然だろう。ゼオンと黄金のドラゴンがどれだけの力を持つのか。
ドーレストの防衛戦に参加していた者の多くは、実際にその目で見たのだから。
だからこそ、アランとレオノーラの二人を遺跡に派遣し、スタンピードの元を叩くという考えには反対する者も多かったのだが……こちらもイルゼンがどのような手段を使ったのかは、アランには分からなかったが、その作戦を認めさせた。
とはいえ、全てをドーレストの外の者に任せきりなのは色々と不味いということで、剣の頂の心核使いがこうして二人をその遺跡まで運ぶといったことになったのだが。
「そうね。でもまぁ、私たちの場合は攻撃力は強いけど、精密な攻撃というのは苦手だから、下手に他の人を連れて行けば、巻き込むことになるかもしれないと考えると……これで良かったのかもしれないわね」
「あー、うん。まぁ、言われてみればそうなのかもしれないな。とはいえ……」
「っと、話はあとだ。どうやら見つかっちまったらしい」
不意に聞こえてきたそんな声に、アランとレオノーラの二人は視線を鳥の見ている方に向ける。
そこには鳥の下半身と両腕が翼になっており、上半身が人間の女というモンスター……ハーピーの姿があった。
それも一匹や二匹といった数ではなく、十匹ほどもいる。
「どうするの? ここで私たちの心核を使う? それとも、魔法で迎撃を?」
レオノーラがそう自分を乗せている鳥に尋ねるが、それを聞いたアランは微妙な表情を浮かべる。
心核を使っていないときのアランの武器は長剣で、その技量も決して優れたものではない。
ましてや、攻撃用の魔法は……使えないこともないが、その威力はとてもではないが実用的ではないし、発動までにかかる時間も長い。
それに比べると、レオノーラは鞭を武器にしているので中距離での戦闘が可能であり、その鞭が魔法発動体となっていることもあって、十分に実戦的な魔法を使うことが可能だ。
「心配するな。あの程度のモンスターなら、俺だけでどうにか出来る。多分問題ないと思うけど、お前さんたちは振り落とされないようしっかりと背中にしがみついていてくれ。……あ、でも羽毛は出来るだけ抜かないようにしてくれよ。何だかんだと、痛いんだから」
最後の言葉を冗談っぽく告げると、鳥のモンスターに変身している男はクチバシを大きく開く。
何をするんだ?
さぁ?
アランとレオノーラは、口に出すことなく、目と目で会話する。
だが、それでも自分たちの方に向かってきているハーピーを相手に攻撃をするのだろうというのは分かっていたので、大人しく言われた通りにその羽毛を掴む。そして……
どんっ、と。
そんな音が聞こえた瞬間、アランたちに向かって飛んで来ていたハーピーの群れの一部が唐突に地上に向かって降下……いや、落下していく。
ハーピーの群れも自分たちが攻撃を受けたのは理解したのだろうが、一体どのような攻撃をされたのかは分からなかったらしく、混乱したように動きを止める。
だが、この場合それはミス……それも致命的なミスと言ってもいい。
どんっ、どんっ、どん。
再度周囲に響く、そんな音。
その音がすると同時に、群れをなしていたハーピーは、次々に地上に向かって落下していく。……いや、撃ち落とされていく。
目の前で何度も繰り返されれば、アランも何が起きているのかが分かる。
レオノーラの方は、アランよりも先にそのことに気が付いていたようだが。
鳥のモンスターは、その口から空気の塊を吐き出しているのだ。
ブレス……ではなく、ブリットとでも呼ぶべき一撃。
風の塊であるがゆえに、目に見えるようなことはない。
だからこそ、ハーピーも自分たちが何をされているのか分からないまま、次々と撃ち落とされていくのだ。
アランたちがそれに気が付くことが出来たのは、自分たちが安全な場所にいたからだろう。
ハーピーたちのように、いきなり攻撃をされるようなことになった場合、それで混乱して風の塊を放たれていることに気が付くのは遅れたはずだ。
(ブリットって弾丸だよな? むしろ、これは風の砲弾とでも呼ぶのが相応しそうだ)
次々に撃墜されていくハーピーを見ながら、アランはそんな風に思う。
結局、ハーピーは半分ほどが撃墜されたところで、自分たちでは到底勝ち目がないと判断したのだろう。
攻撃を続けるようなことはせず、それぞれが別々の方向に逃げ去っていく。
「はぁ、はぁ。ま、ざっとこんなもんだ」
「こんな攻撃が出来るなら、ドーレストが包囲されてるとき、モンスターの後方に上空から攻撃をするといった真似が出来たんじゃない?」
「ははっ、それは無理だな。……この技、体力と魔力を結構消費するから、そこまで連続では撃てないんだよ。それこそ、今ので精一杯ってところか」
「え? じゃあ、もしかして撃つのを止めたのは、ハーピーが逃げ出したからじゃなくて、限界だったからですか?」
少し驚いた様子で、アランが告げる。
そんなアランの言葉に、鳥は笑い声を上げた。
「はははは。まぁ、そんなところだ。これだけしか攻撃出来ないのに、敵陣の奥深くまで移動したら……それこそ、体力や魔力を消耗して、最悪の場合は逃げることも出来ずに集中攻撃を受けるだけだ」
「なるほど」
素直にその言葉を信じたアランと違い、その隣で話を聞いていたレオノーラは、そこまで素直に鳥の言葉を信じることは出来なかった。
そもそもの話、誰が正直に自分の弱点を教えるのいうのか。
恐らく今の話もかなり大袈裟に話しているだけであり、風の塊を飛ばす以外にそれをフォローする為の能力があってもおかしくはなかった。
(くせ者ね)
そんな風にレオノーラが考えている中でも鳥は飛び続け、やがて目的の場所が見えてくる。
それは、周囲にある景色に比べて明らかに溶け込んでいなかった。
当然だろう。ゼオンや黄金のドラゴンですら普通に入ることが出来る大きさを持つ遺跡なのだから。
そして、今回のスタンピードの原因とも言うべき遺跡。
そのような巨大な……本当に巨大としか言いようがない遺跡が、アランの視線の先には存在していた。
「あれが、グラルスト遺跡」
「そうだ。……ちっ、当然のことだが遺跡にいた連中は全滅か」
グラルスト遺跡は、ドーレストの近くにある遺跡だ。
もっとも、近くとはいっても馬車で移動した場合は片道数日はかかるくらいに離れているのだが、それでもグラルスト遺跡から一番近い場所にあるのがドーレストであるために、そのような扱いを受けていた。
そのような遺跡でスタンピードが起きたということは、当然ながらグラルスト遺跡に潜っていた探索者たちはモンスターの群れに呑まれたということになる。
多少腕が立つ程度では、大量の……それこそ波のようなモンスターの数に対抗出来る訳もなく、生き残れる可能性は極めて低かった。
あるいは、近くの森に隠れて生き延びている者もいるかもしれないが、今のアランたちにそれを気にすることは出来ない。
ドーレストを襲っていたモンスターの群れがスタンピードしたモンスターの先遣隊でしかなかった以上、そのスタンピードをとにかくどうにかする方が最優先なのだから。
そうすることにより、今も隠れている探索者が助かると自分に言い聞かせる。
そのような訳で、アランとレオノーラの二人は、探索者の仲間を半ば見捨てることを悔しく思いながらも、鳥のモンスターが広めの地面に着地するのを待つのだった。
0
お気に入りに追加
163
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

城で侍女をしているマリアンネと申します。お給金の良いお仕事ありませんか?
甘寧
ファンタジー
「武闘家貴族」「脳筋貴族」と呼ばれていた元子爵令嬢のマリアンネ。
友人に騙され多額の借金を作った脳筋父のせいで、屋敷、領土を差し押さえられ事実上の没落となり、その借金を返済する為、城で侍女の仕事をしつつ得意な武力を活かし副業で「便利屋」を掛け持ちしながら借金返済の為、奮闘する毎日。
マリアンネに執着するオネエ王子やマリアンネを取り巻く人達と様々な試練を越えていく。借金返済の為に……
そんなある日、便利屋の上司ゴリさんからの指令で幽霊屋敷を調査する事になり……
武闘家令嬢と呼ばれいたマリアンネの、借金返済までを綴った物語

日本列島、時震により転移す!
黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

帰って来た勇者、現代の世界を引っ掻きまわす
黄昏人
ファンタジー
ハヤトは15歳、中学3年生の時に異世界に召喚され、7年の苦労の後、22歳にて魔族と魔王を滅ぼして日本に帰還した。帰還の際には、莫大な財宝を持たされ、さらに身につけた魔法を始めとする能力も保持できたが、マナの濃度の低い地球における能力は限定的なものであった。しかし、それでも圧倒的な体力と戦闘能力、限定的とは言え魔法能力は現代日本を、いや世界を大きく動かすのであった。
4年前に書いたものをリライトして載せてみます。

ユーヤのお気楽異世界転移
暇野無学
ファンタジー
死因は神様の当て逃げです! 地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。
アイテムボックス無双 ~何でも収納! 奥義・首狩りアイテムボックス!~
明治サブ🍆スニーカー大賞【金賞】受賞作家
ファンタジー
※大・大・大どんでん返し回まで投稿済です!!
『第1回 次世代ファンタジーカップ ~最強「進化系ざまぁ」決定戦!』投稿作品。
無限収納機能を持つ『マジックバッグ』が巷にあふれる街で、収納魔法【アイテムボックス】しか使えない主人公・クリスは冒険者たちから無能扱いされ続け、ついに100パーティー目から追放されてしまう。
破れかぶれになって単騎で魔物討伐に向かい、あわや死にかけたところに謎の美しき旅の魔女が現れ、クリスに告げる。
「【アイテムボックス】は最強の魔法なんだよ。儂が使い方を教えてやろう」
【アイテムボックス】で魔物の首を、家屋を、オークの集落を丸ごと収納!? 【アイテムボックス】で道を作り、川を作り、街を作る!? ただの収納魔法と侮るなかれ。知覚できるものなら疫病だろうが敵の軍勢だろうが何だって除去する超能力! 主人公・クリスの成り上がりと「進化系ざまぁ」展開、そして最後に待ち受ける極上のどんでん返しを、とくとご覧あれ! 随所に散りばめられた大小さまざまな伏線を、あなたは見抜けるか!?

【完結】初級魔法しか使えない低ランク冒険者の少年は、今日も依頼を達成して家に帰る。
アノマロカリス
ファンタジー
少年テッドには、両親がいない。
両親は低ランク冒険者で、依頼の途中で魔物に殺されたのだ。
両親の少ない保険でやり繰りしていたが、もう金が尽きかけようとしていた。
テッドには、妹が3人いる。
両親から「妹達を頼む!」…と出掛ける前からいつも約束していた。
このままでは家族が離れ離れになると思ったテッドは、冒険者になって金を稼ぐ道を選んだ。
そんな少年テッドだが、パーティーには加入せずにソロ活動していた。
その理由は、パーティーに参加するとその日に家に帰れなくなるからだ。
両親は、小さいながらも持ち家を持っていてそこに住んでいる。
両親が生きている頃は、父親の部屋と母親の部屋、子供部屋には兄妹4人で暮らしていたが…
両親が死んでからは、父親の部屋はテッドが…
母親の部屋は、長女のリットが、子供部屋には、次女のルットと三女のロットになっている。
今日も依頼をこなして、家に帰るんだ!
この少年テッドは…いや、この先は本編で語ろう。
お楽しみくださいね!
HOTランキング20位になりました。
皆さん、有り難う御座います。
レベルが上がらない【無駄骨】スキルのせいで両親に殺されかけたむっつりスケベがスキルを奪って世界を救う話。
玉ねぎサーモン
ファンタジー
絶望スキル× 害悪スキル=限界突破のユニークスキル…!?
成長できない主人公と存在するだけで周りを傷つける美少女が出会ったら、激レアユニークスキルに!
故郷を魔王に滅ぼされたむっつりスケベな主人公。
この世界ではおよそ1000人に1人がスキルを覚醒する。
持てるスキルは人によって決まっており、1つから最大5つまで。
主人公のロックは世界最高5つのスキルを持てるため将来を期待されたが、覚醒したのはハズレスキルばかり。レベルアップ時のステータス上昇値が半減する「成長抑制」を覚えたかと思えば、その次には経験値が一切入らなくなる「無駄骨」…。
期待を裏切ったため育ての親に殺されかける。
その後最高レア度のユニークスキル「スキルスナッチ」スキルを覚醒。
仲間と出会いさらに強力なユニークスキルを手に入れて世界最強へ…!?
美少女たちと冒険する主人公は、仇をとり、故郷を取り戻すことができるのか。
この作品はカクヨム・小説家になろう・Youtubeにも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる