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心核の入手
022話
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ゼオンに近づいてきた人形の群れを纏めて薙ぎ払った光。
アランは咄嗟にそちらに視線を向る。
コックピットの映像モニタが映していたのは、いつの間にか……本当にいつの間にかそこに存在していた黄金のドラゴン。
純粋な全高ではゼオンよりも低いが、全長や質量という点では間違いなくゼオンよりも上のその黄金のドラゴンは、レオノーラが心核を使った姿だった。
レオノーラが心核を使えば、眩い光がその身を包む。
包むのだが……人形をビームライフルで撃つといった真似をしていたアランには、そのことには全く気が付かなかったらしい。
「レオノーラ?」
『ほら、ぼさぼさとしてないで、とにかく人形の数を減らすわよ』
再びレオノーラの声が頭の中に響き、次の瞬間には黄金のドラゴンの口からビーム……いや、レーザーブレスとでも呼ぶべきものが放たれる。
「は……はは……これが、本当の薙ぎ払えっ! って奴か」
アランが見たところ、黄金のドラゴンの放つレーザーブレスは、純粋な威力という点で考えると、ゼオンのビームライフルよりも下だ。
だが、特筆すべきはレーザーブレスを放ったまま顔を動かすことにより、文字通りの意味で薙ぎ払うといった行為が可能なことだろう。
こと攻撃範囲という一面では、明らかにレーザーブレスの方がビームライフルよりも上なのだ。
(何だっけ。ビームライフルでビームの出力を最大限にしてビームを固定して、超巨大なビームサーベルとして使う……ってのがあったけど……)
その真似が出来ないかと思うも、生憎とゼオンにそのような機能は存在していなかった。
先程の焦燥感から一転、多少なりともそうしたことを考える余裕が出来たのは、やはり近づいてきていた人形たちを纏めて黄金のドラゴンが一掃してくれたおかげだろう。
危機は去った。……ただし、あくまでも緊急の危機は、であって、全てが解決した訳ではない。
実際に、レーザーブレスによって一掃されて空いた空間も、現在は新たな人形によって埋められようとしている。
「レオノーラ、また集まってきたぞ! さっきの攻撃をもう一回頼む!」
『無理よ』
アランがビームライフルのトリガーを引きながら、空いてる左手で外部スピーカーのスイッチを入れてレーザーブレスを要請する。
だが、それに返ってきたのは、短いが拒否の言葉。
当然レーザーブレスを当てにしていたアランは、その言葉に焦る。
「ちょっ、おい! どういうことだよ!」
『あのね、アランはそのゼオンを十分に乗りこなしているから分からないかもしれないけど、私はこの姿になってからまだ数日……それも、本格的な戦闘はこれが初めてよ? さっきの攻撃にしても、魔力の収束が甘かったり、予想以上に魔力を消耗してしまったりしたから、しばらく同じ攻撃は出来ないわ』
「……嘘だろ?」
『残念だけど本当よ。そもそも、アランみたいに心核を使ったばかりでそこまで使いこなしているという方が異常なんだから』
呆れと共に呟かれるレオノーラの言葉だったが、アランにしてみれば、それは今はどうでもいい。
こうして話している間にも、映像モニタに映し出されている人形の数は増していってるのだ。
一旦距離をとって……という選択肢もあるが、現状でこの空間から出る方法が分からない以上、距離を取る……すなわち、より多くの空間を人形たちに与えることにより、その数を増すのは出来れば避けたい。
(どうする? どうする? どうする? どうする? どうする? どうする?)
ビームのトリガーを引きながら、アランはただひたすら焦る。
黄金のドラゴンと化したレオノーラは、最初のレーザーブレスほどではないが、それでも命中すれば周囲の人形をある程度纏めて消滅させられるだけの威力を持つレーザーブレスを連続して使っていたが、まだ心核に慣れていないレオノーラに、これ以上を求めるのは難しい。
焦る、焦る、焦る。
とにかく、自分がどうにかしなければいけない。
このような場所で死ぬ訳にはいかない。
そんな思いが心の底から湧き上がり……
ドクン、と。
不意にアランの心臓が強く脈動する。
「何だっ!?」
突然のその脈動に、アランは戸惑ったように叫ぶ。
本来なら、自分の胸に手を当ててみたいところだが、人形がこうも無数にやって来ている現状では、そんな真似も出来ない。
今のアランに出来るのは、数秒前に起きた脈動が現状に何も悪影響を与えないようにと、祈ることだけだったのだが……
ドクン、ドクン、ドクン、ドクン。
心臓の脈動は、治まるどころか時間が経つに連れて強くなっていく。
「ぐっ、くそ……何だっていきなり、こんな……」
ドクンッ!
言葉の途中で、今までよりも一際強くアランの心臓が脈動し……次の瞬間、身体の中から何かが生まれる……いや、生み出される感触があった。
「ぐおっ! ……あああああああああああああああああっ!」
強烈な熱が身体の中に生まれ、アランの口からは絶叫が吐き出される。
外部スピーカーを入れたままだったせいか、アランのその絶叫は、幸か不幸か黄金のドラゴンとなったレオノーラの耳にもしっかりと聞こえていた。
レオノーラはレーザーブレスを放ちつつ、必死になってアランの頭の中に声をかけるも……それがアランに届くことはない。
アラン本人は分からなかったが、ちょうどそのとき、ゼオンに異変が生じていた。
レオノーラが呼び掛けていたのは、その件もあってのことだったのだが……今のアランに、そんなことを聞くような余裕はない。
ゼオンの背中に、いつの間にか三角錐の、紫色の何かが浮かんでいたのだ。
長さとしては、一メートルくらいか。
そのような三角錐が、五、十、二十……と数が増えていき、気が付けば三十個近くも浮いている。
特にスラスターの類がある訳でもないのだが、それは地面に落ちるということはない。
「はぁっ、はぁっ、はぁっ、はぁ……」
細長い何かが現れるのが止まったところで、ようやくアランは自分の中に存在した強烈な熱が消えているのに気が付く。
また、初めて心核を使ってゼオンを呼んだときと同様に、自然と……本当に自然とゼオンの周囲に浮かんでいる存在が何なのか、そしてどのように使うのかというのが、分かった。
……いや、正確にはアランが日本にいたときに見たアニメやゲーム、漫画といったもので、似たような武器を使うロボットがいくつも存在し、だからこそアランもそれがどのようなものなのかが分かったのだ。
自然と……そう、自然と現在ゆっくりゼオンの周囲に浮かんでいる三角錐の名前を理解し、口を開く。
「フェルス!」
短く、しかし確実に強い意志を込めて叫ばれたその言葉に、フェルスと呼ばれたその三角錐は即座に反応する。
三角錐の底の部分からスラスターが噴射され、フェルスの一基が真っ直ぐ人形に向かう。
人形は二メートルの大きさで、それに比べるとフェルスの全長は一メートル程。
純粋に大きさだけを見れば、フェルスの方が明らかに小さい。
それも、三角錐という形である以上、とてもではないが正面からぶつかる訳にはいかない。
だが……それは、あくまでもフェルスがそのままの状況であればの話だ。
アランと魔力的な繋がりがあるためか、三角錐のフェルスは思い通りに動く。
ましてや、アランは日本にいたときにいくつものロボットもののアニメや漫画、ゲームを楽しんできたのだ。
当然のように、フェルスを具体的にどのように使えばいいのかというのは、半ば本能によって知っていた。
人形の半分ほどの大きさしかないフェルスは、そのまま真っ直ぐ突っ込んでいき……次の瞬間、その先端からビームを放つ。
もちろん、一メートル程度の大きさしかない以上、フェルスの放つビームはゼオンが持つビームライフルに比べると威力は格段に劣る。
だが、それでも一撃で人形数匹を倒すだけの威力は持っていたし、何より……
「いけっ!」
ビームを撃ちながら間合いが詰まったところで、アランは叫ぶ。
その瞬間、三角錐のフェルスはその先端にビームサーベルを展開し、さらには三角錐の形に沿うようにビームの刃が展開されていた。
それこそ、ビームサーベルそのものが……いや、持ち手の柄の部分にまでビームの刃が展開した状態で、フェルスは人形の群れに正面から突っ込んでいったのだ。
人形も、明らかに自分に向かって攻撃をしてくる存在を、黙って見ている訳ではない。
運が良いのか悪いのか、フェルスが真っ先に向かった人形は盾と長剣という武器を持った人形で、自分に向かってくるフェルスに対し、攻撃を防ぐために盾を前に突き出す。
……少し考えれば分かることなのだが、フェルスから撃たれたビームですら、人形を数匹纏めて貫くだけの威力があったのだ。
その中には、鎧を着た人形や盾を持った人形もいる。
そんな人形ですら、呆気なく殺された……いや、破壊されたビームの攻撃を、盾で塞げるかどうか。
答えは、否。
フェルスの先端から発生しているビームによって、盾はあっさり貫通される。
それだけではなく、フェルスの周囲を覆っているビームによって胴体が切断され、さらにはその後ろにいる人形も貫かれ、斬り裂かれ……
最終的にフェルスが空中に浮かび上がったとき、破壊された人形の数は数十にも及んでいた。
フェルス一基でそれである以上、ゼオンの周囲に浮かんでいる残り二十九基のフェルスが今と同じ攻撃をしたらどうなるか。
それは考えるまでもなく明らかで、そしてアランに今の危機的な状況から逃れる手段があるにもかかわらず、それを使わないという選択肢はどこにもなかった。
「行け、フェルス! 敵を殲滅しろ!」
その言葉と共に、ゼオンが右手を上げ、振り下ろす。
アランの言葉に従うように、残りのフェルスは一斉に人形に向かって突撃していく。
連射されるビームは、次々に人形を貫き、爆散させ、破壊していく。
ビームサーベルを展開したフェルスは、それこそ一切止まることなく、触れた人形を斬り裂き、貫き、破壊していく。
フェルスが通ったあとに残っているのは、人形の残骸だけだ。
無数の……それこそ、万に届くのではないかと思えた人形だったが、たった三十のフェルスが……そしてゼオンのビームライフルとレオノーラの放つブレスによって消滅していき、十分とかからず、その場にいた無数の人形は全てが破壊されたのだった。
アランは咄嗟にそちらに視線を向る。
コックピットの映像モニタが映していたのは、いつの間にか……本当にいつの間にかそこに存在していた黄金のドラゴン。
純粋な全高ではゼオンよりも低いが、全長や質量という点では間違いなくゼオンよりも上のその黄金のドラゴンは、レオノーラが心核を使った姿だった。
レオノーラが心核を使えば、眩い光がその身を包む。
包むのだが……人形をビームライフルで撃つといった真似をしていたアランには、そのことには全く気が付かなかったらしい。
「レオノーラ?」
『ほら、ぼさぼさとしてないで、とにかく人形の数を減らすわよ』
再びレオノーラの声が頭の中に響き、次の瞬間には黄金のドラゴンの口からビーム……いや、レーザーブレスとでも呼ぶべきものが放たれる。
「は……はは……これが、本当の薙ぎ払えっ! って奴か」
アランが見たところ、黄金のドラゴンの放つレーザーブレスは、純粋な威力という点で考えると、ゼオンのビームライフルよりも下だ。
だが、特筆すべきはレーザーブレスを放ったまま顔を動かすことにより、文字通りの意味で薙ぎ払うといった行為が可能なことだろう。
こと攻撃範囲という一面では、明らかにレーザーブレスの方がビームライフルよりも上なのだ。
(何だっけ。ビームライフルでビームの出力を最大限にしてビームを固定して、超巨大なビームサーベルとして使う……ってのがあったけど……)
その真似が出来ないかと思うも、生憎とゼオンにそのような機能は存在していなかった。
先程の焦燥感から一転、多少なりともそうしたことを考える余裕が出来たのは、やはり近づいてきていた人形たちを纏めて黄金のドラゴンが一掃してくれたおかげだろう。
危機は去った。……ただし、あくまでも緊急の危機は、であって、全てが解決した訳ではない。
実際に、レーザーブレスによって一掃されて空いた空間も、現在は新たな人形によって埋められようとしている。
「レオノーラ、また集まってきたぞ! さっきの攻撃をもう一回頼む!」
『無理よ』
アランがビームライフルのトリガーを引きながら、空いてる左手で外部スピーカーのスイッチを入れてレーザーブレスを要請する。
だが、それに返ってきたのは、短いが拒否の言葉。
当然レーザーブレスを当てにしていたアランは、その言葉に焦る。
「ちょっ、おい! どういうことだよ!」
『あのね、アランはそのゼオンを十分に乗りこなしているから分からないかもしれないけど、私はこの姿になってからまだ数日……それも、本格的な戦闘はこれが初めてよ? さっきの攻撃にしても、魔力の収束が甘かったり、予想以上に魔力を消耗してしまったりしたから、しばらく同じ攻撃は出来ないわ』
「……嘘だろ?」
『残念だけど本当よ。そもそも、アランみたいに心核を使ったばかりでそこまで使いこなしているという方が異常なんだから』
呆れと共に呟かれるレオノーラの言葉だったが、アランにしてみれば、それは今はどうでもいい。
こうして話している間にも、映像モニタに映し出されている人形の数は増していってるのだ。
一旦距離をとって……という選択肢もあるが、現状でこの空間から出る方法が分からない以上、距離を取る……すなわち、より多くの空間を人形たちに与えることにより、その数を増すのは出来れば避けたい。
(どうする? どうする? どうする? どうする? どうする? どうする?)
ビームのトリガーを引きながら、アランはただひたすら焦る。
黄金のドラゴンと化したレオノーラは、最初のレーザーブレスほどではないが、それでも命中すれば周囲の人形をある程度纏めて消滅させられるだけの威力を持つレーザーブレスを連続して使っていたが、まだ心核に慣れていないレオノーラに、これ以上を求めるのは難しい。
焦る、焦る、焦る。
とにかく、自分がどうにかしなければいけない。
このような場所で死ぬ訳にはいかない。
そんな思いが心の底から湧き上がり……
ドクン、と。
不意にアランの心臓が強く脈動する。
「何だっ!?」
突然のその脈動に、アランは戸惑ったように叫ぶ。
本来なら、自分の胸に手を当ててみたいところだが、人形がこうも無数にやって来ている現状では、そんな真似も出来ない。
今のアランに出来るのは、数秒前に起きた脈動が現状に何も悪影響を与えないようにと、祈ることだけだったのだが……
ドクン、ドクン、ドクン、ドクン。
心臓の脈動は、治まるどころか時間が経つに連れて強くなっていく。
「ぐっ、くそ……何だっていきなり、こんな……」
ドクンッ!
言葉の途中で、今までよりも一際強くアランの心臓が脈動し……次の瞬間、身体の中から何かが生まれる……いや、生み出される感触があった。
「ぐおっ! ……あああああああああああああああああっ!」
強烈な熱が身体の中に生まれ、アランの口からは絶叫が吐き出される。
外部スピーカーを入れたままだったせいか、アランのその絶叫は、幸か不幸か黄金のドラゴンとなったレオノーラの耳にもしっかりと聞こえていた。
レオノーラはレーザーブレスを放ちつつ、必死になってアランの頭の中に声をかけるも……それがアランに届くことはない。
アラン本人は分からなかったが、ちょうどそのとき、ゼオンに異変が生じていた。
レオノーラが呼び掛けていたのは、その件もあってのことだったのだが……今のアランに、そんなことを聞くような余裕はない。
ゼオンの背中に、いつの間にか三角錐の、紫色の何かが浮かんでいたのだ。
長さとしては、一メートルくらいか。
そのような三角錐が、五、十、二十……と数が増えていき、気が付けば三十個近くも浮いている。
特にスラスターの類がある訳でもないのだが、それは地面に落ちるということはない。
「はぁっ、はぁっ、はぁっ、はぁ……」
細長い何かが現れるのが止まったところで、ようやくアランは自分の中に存在した強烈な熱が消えているのに気が付く。
また、初めて心核を使ってゼオンを呼んだときと同様に、自然と……本当に自然とゼオンの周囲に浮かんでいる存在が何なのか、そしてどのように使うのかというのが、分かった。
……いや、正確にはアランが日本にいたときに見たアニメやゲーム、漫画といったもので、似たような武器を使うロボットがいくつも存在し、だからこそアランもそれがどのようなものなのかが分かったのだ。
自然と……そう、自然と現在ゆっくりゼオンの周囲に浮かんでいる三角錐の名前を理解し、口を開く。
「フェルス!」
短く、しかし確実に強い意志を込めて叫ばれたその言葉に、フェルスと呼ばれたその三角錐は即座に反応する。
三角錐の底の部分からスラスターが噴射され、フェルスの一基が真っ直ぐ人形に向かう。
人形は二メートルの大きさで、それに比べるとフェルスの全長は一メートル程。
純粋に大きさだけを見れば、フェルスの方が明らかに小さい。
それも、三角錐という形である以上、とてもではないが正面からぶつかる訳にはいかない。
だが……それは、あくまでもフェルスがそのままの状況であればの話だ。
アランと魔力的な繋がりがあるためか、三角錐のフェルスは思い通りに動く。
ましてや、アランは日本にいたときにいくつものロボットもののアニメや漫画、ゲームを楽しんできたのだ。
当然のように、フェルスを具体的にどのように使えばいいのかというのは、半ば本能によって知っていた。
人形の半分ほどの大きさしかないフェルスは、そのまま真っ直ぐ突っ込んでいき……次の瞬間、その先端からビームを放つ。
もちろん、一メートル程度の大きさしかない以上、フェルスの放つビームはゼオンが持つビームライフルに比べると威力は格段に劣る。
だが、それでも一撃で人形数匹を倒すだけの威力は持っていたし、何より……
「いけっ!」
ビームを撃ちながら間合いが詰まったところで、アランは叫ぶ。
その瞬間、三角錐のフェルスはその先端にビームサーベルを展開し、さらには三角錐の形に沿うようにビームの刃が展開されていた。
それこそ、ビームサーベルそのものが……いや、持ち手の柄の部分にまでビームの刃が展開した状態で、フェルスは人形の群れに正面から突っ込んでいったのだ。
人形も、明らかに自分に向かって攻撃をしてくる存在を、黙って見ている訳ではない。
運が良いのか悪いのか、フェルスが真っ先に向かった人形は盾と長剣という武器を持った人形で、自分に向かってくるフェルスに対し、攻撃を防ぐために盾を前に突き出す。
……少し考えれば分かることなのだが、フェルスから撃たれたビームですら、人形を数匹纏めて貫くだけの威力があったのだ。
その中には、鎧を着た人形や盾を持った人形もいる。
そんな人形ですら、呆気なく殺された……いや、破壊されたビームの攻撃を、盾で塞げるかどうか。
答えは、否。
フェルスの先端から発生しているビームによって、盾はあっさり貫通される。
それだけではなく、フェルスの周囲を覆っているビームによって胴体が切断され、さらにはその後ろにいる人形も貫かれ、斬り裂かれ……
最終的にフェルスが空中に浮かび上がったとき、破壊された人形の数は数十にも及んでいた。
フェルス一基でそれである以上、ゼオンの周囲に浮かんでいる残り二十九基のフェルスが今と同じ攻撃をしたらどうなるか。
それは考えるまでもなく明らかで、そしてアランに今の危機的な状況から逃れる手段があるにもかかわらず、それを使わないという選択肢はどこにもなかった。
「行け、フェルス! 敵を殲滅しろ!」
その言葉と共に、ゼオンが右手を上げ、振り下ろす。
アランの言葉に従うように、残りのフェルスは一斉に人形に向かって突撃していく。
連射されるビームは、次々に人形を貫き、爆散させ、破壊していく。
ビームサーベルを展開したフェルスは、それこそ一切止まることなく、触れた人形を斬り裂き、貫き、破壊していく。
フェルスが通ったあとに残っているのは、人形の残骸だけだ。
無数の……それこそ、万に届くのではないかと思えた人形だったが、たった三十のフェルスが……そしてゼオンのビームライフルとレオノーラの放つブレスによって消滅していき、十分とかからず、その場にいた無数の人形は全てが破壊されたのだった。
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