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草葉に咲く絶対の華
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役名等
怪衣短歌:黒髪の不思議な雰囲気を纏う少年
厄姫華奈:明るい女子高生
充月あざり:少し変わった短歌の助手
華蓮:美しい怪力乱心の鬼
草太:落ち着きのある青年
(M):各キャラのモノローグ
0:ト書き
-------------------------------------------------
華蓮(M):理解の及ばないもの、それは人でも妖(あやかし)でも受け入れることが難しいものじゃ。
草太(M):それどころか同じもの同士であっても、向き合うことは簡単じゃない。
華蓮(M):どちらも歩み寄らないならば。
草太(M):その関係は朝露(あさつゆ)のように消える。
華蓮(M):じゃが裏を返せば。
草太(M):二人で近づけば、手を取ることだってできるんだ。
:
0:少し間。
:
0:怪衣探偵事務所。
:
華奈:あー!ひーまー!!
短歌:華奈くん、急に大きな声を出さないでくれ。
華奈:だって暇なんですもん!
華奈:この事務所何にもないから!
短歌:そんなことを言うなら、外に遊びにいけばいいじゃないか。
短歌:年頃の女の子らしいことをすればいい、クレープとか、タピオカとか、チーズ……なんとかとか。
華奈:ハットグですか?
短歌:そうそう、それだ。
華奈:食べ物ばっかじゃないですか!
短歌:食より良い娯楽なんてないよ。
短歌:いつでも好きなものを食べられるキミたちにはわからないかもしれないけどね。
華奈:そんなに食べてばっかりいたら太りますよ!
短歌:なら運動をしたらいい、とにかくここで文句を言っていても仕方ないだろう。
華奈:それは、そうですけどー……。
華奈:あーもー!スマホぐらい繋がるようにしといてくださいよ!
華奈:そしたら大人しくソシャゲでもしてるのに!
短歌:生憎、頼もうにも電波屋が来なくてね。
華奈:むー!スマホは繋がらないし、短歌さんは本ばっか読んでるし、あざりちゃんはぜんっぜん起きてこないし!
華奈:本当にひまー!!!
短歌:そんなに暇なら、あざりくんの真似でもしてみたら?
華奈:あざりちゃんのまね?
短歌:給仕(きゅうじ)さんごっこ。
華奈:やですよ、私には似合わないし!
華奈:というか、あざりちゃんどうかしたんですか?まだ見かけてないんですけど。
短歌:ああ、彼女なら今日は休みだよ。部屋で寝てる。
華奈:えっ!?病気ですか?
短歌:いや、疲れているだけだよ。心配しなくても大丈夫。夕方には元気になるよ。
華奈:本当ですか?
短歌:うん、だから今日はそっとしといてやってくれ。
華奈:まあ、短歌さんが言うなら……。
:
0:ノックの音。
:
華奈:ん?誰か来た?
短歌:まったく、最近来客が多いね。
短歌:華奈くん、開けてやってくれ。
華奈:わかりました!
華奈:はーい!今出まーす!
華奈:よいしょっと。
:
0:ドアの先には着物を着た、美男美女。
:
華奈:わっ、きっ、着物?それにめっちゃ美人とイケメン……。
華蓮:ん?なんじゃ、お主。ここは短歌の住処ではないのか?
華奈:あっ!その私実は短歌さんのお手伝いをしていて……。
草太:手伝い?あれ、あざりさんは?
華奈:えーっと……!
短歌:おーい、華奈くん。とりあえず中に入ってもらって。
華奈:そ、そうですよね!とりあえず中にどうぞ!
華蓮:おー!短歌!久しいな!
短歌:誰かと思ったら君たちか。
短歌:元気そうでよかった。
草太:とりあえず中に入ろう、華蓮。
華蓮:うむ。
草太:お出迎えありがとうございます、えっと、お手伝いさん?
華奈:いえ!あの、奥のソファーにどうぞ!私、お茶入れてくるので!
華蓮:おお、気が効くな、我は玄米茶を頼む。
草太:僕も同じものでお願いします。
華奈:わかりました!
短歌:あー、華奈くん、僕の分と自分の分も淹れてきて。
華奈:はい!
:
0:二人、ソファーに座る。
:
華蓮:……ふぅ、まったく。ここは遠くて敵わん。
華蓮:山をいくつ越えさせるつもりじゃ。
短歌:あはは、また歩いて来たのかい?
華蓮:当然じゃろう。
草太:相変わらず、華蓮は電車や車が嫌いなんですよ。
華蓮:当たり前じゃ!あーんな、なんで動くのかも不可解な乗り物乗れるはずなかろう!
華蓮:馬やカゴならまだしも、最近は理解できんものが多すぎる。
草太:順応していかないといけないと思うけど。
草太:どれも使ったら便利だよ。
華蓮:おぬしは、毎度時代に慣れすぎじゃ!
華蓮:我には江戸の世くらいがちょうど良い。
短歌:そこは僕も同意見だね。
短歌:明治からの時の移ろいにはついて行き難い。
草太:あらら、短歌さんもそちら側なんですね。
華蓮:ほら見たか!気軽に山を降りれるようになったのは良いが、あのようにカラクリだらけでは敵わん。
華奈:あの、お茶淹れてきました。
短歌:ありがとう、華奈くん。
短歌:君も座って。
華奈:わかりました。
草太:そうだ、短歌さんこれお土産です。
草太:良ければ食べてください。
短歌:わざわざありがとう。
華蓮:我が太鼓判を押す、麓の菓子屋のものじゃ。
華蓮:味は心配しなくて良い。
短歌:あなたが酒以外を褒めるのは珍しいね。
短歌:これはかなり期待できるかな。
短歌:華奈くん、開けてみなよ。
華奈:はい!えーと……どら焼きに羊羹、もなかとカステラ……あとこれはなんだろう?
草太:富士の山肌。クリームが中に入って、周りにコーヒー味のチョコが散りばめてあるお菓子です。
華奈:へー……。
華蓮:我の一押しじゃ。味のわかるものに食うてもらいたい。
短歌:なら、華奈くんが食べるといい。
華奈:やった!食べます食べます!
華蓮:あははは、元気の良い女子(おなご)じゃ。
草太:そう言えば自己紹介してないね。
華蓮:おお、忘れておった。
華奈:あっ、失礼しました!私は厄姫華奈(やくひめかな)、神郷(しんごう)町立神郷高校に通う高校生です。
草太:高校生!通りで幼い顔をしてると思った。
華奈:草太も変わらんわ、容姿なんぞ当てにならん。
短歌:確かに、僕らは見た目で判断できることの方が少ないもんね。
華奈:どういうことですか?
草太:いや、こっちの話だよ。じゃあ、改めて僕は草太。ここから、百里くらい行った山に住んでる。
華奈:百里……ってどのくらい?
短歌:一里が約四キロメートルって言われてるね。
華奈:うわっ、随分と遠くからいらしたんですね。
華蓮:なに、我らの脚力なら朝飯前じゃ。
華奈:そうなんですね……ん?脚力?
華蓮:次は我じゃな!よーく、その耳で聞いておくのだぞ!
:
0:華蓮、咳払いをして。
:
華蓮:我こそは!麓の村々を恐怖に陥れ、あの山に足を踏みいれれば骨すら残らず喰らわれるとまで言わしめた怪力乱神(かいりきらんしん)の鬼!
華蓮:修羅鬼姫(しゅらおにひめ)、断天絶華(だんてんぜっか)の華蓮じゃ!あっはっはっは!
短歌:(小声で)……ねぇ、なにあれ。
草太:(小声で)いや、なんか最近読んでる小説の影響で、見栄を切るのにハマっちゃったみたいで……。
短歌:(小声で)流石にあれはその、俗に言う痛いってやつじゃない?
草太:(小声で)僕も恥ずかしいから辞めてくれって言ったんですけど、まったく聞かなくて、もう別の山々の鬼には笑われっぱなしなんです……。
華蓮:おぬしら聞こえておるぞ、どうやら細切れにされたいようじゃな?
華奈:えーっと……鬼って?
華奈:私からは、普通の人にしか見えないんですけど……。
華蓮:ああ、変化(へんげ)の術を解き忘れていたな。
華蓮:草太。
草太:わかった。「鬼怪陣(きかいじん)・角隠し・解」。
華奈:わっ!二人の頭に角が!
短歌:草太、腕を上げたね。術が全然見透かせなかったよ。
草太:僕も、毎日家事ばかりしているわけじゃありませんから。
華奈:本当に鬼なんだ……。
短歌:今のは狗亥の術に近い。妖(あやかし)はこうやって姿を隠してるんだ。
草太:あはは、黒曜羽(こくようばね)と比べられるのはまだ荷が重いですよ。
華奈:なにを言うておる、我の旦那がいつまでも鴉天狗なんぞに負けておるのは許さんぞ。
華奈:その黒曜羽って、共通認識なんですね。
短歌:ん?ああ、名付きのこと話してなかったね。
華奈:名付き?
草太:名を冠するものって言う妖怪内の格付けみたいなものがあるんだよ。
草太:華蓮の断天絶華も、黒曜羽もそれなんだ。
華蓮:まっ、我はそんなもの要らなかったのじゃがな。
華奈:ただの厨二病じゃなかったんだ……。
華蓮:むっ、意味はわからんが馬鹿にされたのは分かるぞ。
華蓮:おぬしも細切れにされたいようじゃな?
華奈:いや、冗談です!!ごめんなさい、ごめんなさい!
草太:こら、華蓮。子ども相手に凄まないの。
華蓮:ふんっ。……まあ、名付きなんぞと呼ばれても共通した何かを持っているわけではない。
華蓮:それぞれの種の長が、優れた才を持つものに与えている形だけの称号じゃ。
華奈:そんな制度があるんだ……。
短歌:元々は領土拡大なんかに貢献した妖怪に与えられたものだから、かなり形骸化してるけどね。
短歌:彼らもかなり大人しくなったから。
草太:今どき、国取なんて流行りませんもん。
草太:僕らは武士(もののふ)の世を見て学びました。
短歌:みんなが、そうならよかったんだけど。
華蓮:全員が全員とはいく訳がなかろう。
華蓮:人間も、妖も一枚岩ではない。
華蓮:どの種にも、いまだに腕っ節の強さが何よりも貴いと思っている阿呆もおる。
短歌:……言う通りだ。
短歌:まったく、ままならないことだよ。
草太:そういえば、話は変わりますけど。
短歌:ん?
草太:あざりさんはどこにいるんですか?
短歌:……。
華奈:あー、あざりちゃんなら疲れて寝てるみたいです。
華奈:最近大変だったから、バテちゃったのかも。
華蓮:なに?それは本当か?
華奈:えっ?はい、短歌さんはそう言ってましたけど……。
華蓮:薄々は勘づいていたが、まさか真実になろうとはな。
華蓮:おい、短歌。最後の怖気喰らいはいつじゃ。
短歌:……三日前。
草太:相手は大物だったんですか?
短歌:がしゃどくろだよ。人も食っていた。
華蓮:関係ない。何処まで行ってもたかが思畏獣。そんなもの、本来の力を取り戻していればいくら食らっても何でもないはずじゃ。
短歌:……まあ、そうだね。
華蓮:短歌。
華蓮:まだ、本当の名を返していないのか?
短歌:……。
華奈:本当の、名?
華奈:あざりさんって別の名前があるんですか?
短歌:ごめん、華奈くん。今は聞かないで。
華奈:……。
華蓮:聞かないで、ではなかろう。
華蓮:ぬしは、状況がわかっているのか?
草太:華蓮。
華蓮:ちっぽけな怖気を喰らっただけで、力に影響を受けるような状態で神憑きに勝てるのか?
短歌:……今はまだあざりくんに名を受け入れる準備が整ってない。
短歌:そのまま名を返せば、あざりくんを失いかねない。
華蓮:百年前も、ぬしはそう言ったぞ。
短歌:……。
華蓮:その頃ならば我もその言葉を黙って飲み込めた。
華蓮:じゃが、こうして思畏獣(しいじゅう)たちの出現が活発化している今、悠長なことは言ってられん。
華蓮:臆病風に吹かれるのも、いい加減にするんじゃな。
草太:華蓮!
華蓮:!
草太:言い過ぎだよ。それ以上はダメだ。
華蓮:……(短くため息)
短歌:……それでも。
草太:えっ?
短歌:(短く息を吐いて)……それでもこれは、僕と彼女の戦いだ。
短歌:千二百年前に、僕たちが始めた戦いだ。
短歌:あなたにそこまで口を出される覚えはない。
華蓮:……なんじゃと?
華奈:ちょ、ちょっと短歌さん!
草太:そこまで。
草太:二人とも頭を冷やして。
草太:ここで喧嘩して何か意味がある?
華蓮:……。
短歌:……。
草太:みんな、人と妖怪の未来を考えているんだ。
草太:でも譲れないものもある。
草太:打開策を考えるならまだしも、お互いの主張をただぶつけ合っても仕方ない。
華奈:そ、そうですよ!
華奈:事情のわからない私が言えることじゃないですけど、とにかく言い争いはダメです!
華奈:喧嘩してたら大事なものも見落としちゃいます!
華蓮:……ふっ。
華蓮:若い二人に言われるとは、我らも少し頭が固まりすぎたようじゃな。
華蓮:短坊。
短歌:……そうだね。
短歌:草太と華奈くんの柔軟さは、見習わないと。
草太:(ため息)よかった。
草太:ありがとう、華奈さん。
草太:助かった。
華奈:ああっ、いえいえ!
華奈:私はただ乗っかっただけですから!
華蓮:じゃがな、短歌。
華蓮:この話は……。
華奈:待って!
華蓮:!
短歌:……どうかしたの、華奈くん。
華奈:何か、何か来ます。
華奈:怖い。何かくる。
草太:どういうこと?
短歌:華奈くんは第六感の才を開花してる。
華蓮:第六感じゃと?
短歌:ああ。
短歌:彼女は畏れを僕たちよりずっとはっきり感じられるんだ。
短歌:……華奈くん、どんなふうに感じる?
短歌:ゆっくり教えて。
華奈:は、初めてあの黒い影に見られていた時と同じ感覚。
華奈:それも一つじゃない。
華奈:こっちに近づいてくる。
短歌:思畏獣(しいじゅう)……?
短歌:おかしい、ここは空間偽装用の結界が張られているのに……。
華蓮:……いや、すまん、我のせいじゃな、おそらく。
短歌:えっ?
草太:ここ最近、不定形の思畏獣がよく山に現れていたんです。
草太:多分、華蓮の膨大な妖力に惹かれているんだと思います。
短歌:妖力を頼りにこの場所を見つけたってことか……!
華奈:だめ、どんどん近づいてくる、幾つも影が……!?
短歌:どうする、あざりくんを起こすか……?
短歌:いやでも、今の彼女は万全じゃない……。
華蓮:……よし、行くぞ。
華蓮:草太。
草太:うん。
短歌:行くって……。
華蓮:元はと言えば我の不始末じゃ。
華蓮:これ以上迷惑はかけられん。
短歌:ダメだ、奴らはあなたを狙ってる。
短歌:行かせられない。
草太:相も変わらずな心配性ですね。
草太:大丈夫、華蓮には僕がついてますから。
華蓮:こ、こら!恥ずかしいことを言うで無い!
華奈:短歌さん、もうすぐそこまで来てる……!
短歌:……わかった。
短歌:ここは任せるよ。
華蓮:ああ、任された。
華蓮:草太、準備は良いか?
草太:いつでも大丈夫。
華蓮:さて、ではひと暴れするとしようか。
短歌:華奈くん、僕らも行くよ。
短歌:見ておくといい、僕の知る中で恐らく純粋な妖怪としての力なら最も強いはずだから。
華奈:わ、わかりました。
:
0:全員、外に出る。(少し間)
0:そこには複数体の影。
:
華蓮:おお、随分と大勢で出迎えてくれるな。
草太:奴らも本気で華蓮を食いにきたんだろうね。
華奈:あの時の影が数え切れないくらい……!
短歌:少なく見積もっても10は居る……。
華蓮:情けない声を出すでない。
華蓮:こんな奴らいくら集まろうが、我の敵ではない。
草太:……っ!イフフィールド、くるよ!
:
0:辺りが暗い闇に包まれる。
:
華奈:真っ暗……。
華奈:あの時よりずっと、黒くて……寂しいような……。
華蓮:小癪(こしゃく)じゃな、まったく。
短歌:相手は実態がない。
短歌:どうするつもり?
華蓮:あっはっは、心配するな。
華蓮:お主は見ておれば良い。
草太:ん……?敵に動きがあるよ。
:
0:影の思畏獣が集まって一つになっていく。
:
短歌:合体してるのか……!
華奈:心なしか、形が大きな人みたいになった……。
草太:考えたね、個々で戦っても勝てないと踏んだか。
華蓮:まとまってくれたのなら好都合じゃ。
華蓮:手間が減る。
華蓮:草太。
草太:わかった。
草太:……帷(とばり)を照らす灯籠、夜闇を暴(あば)く力を持ち、我が命(めい)に答えよ。この名はかの者のためにあり。真なる一振りを絶対なる華に!
草太:「鬼怪陣・行燈夜行(あんどんやこう)!!」
華奈:わわっ!華蓮さんの体が光った!
短歌:この練度の術まで……!
華奈:すごく、優しい光……。
短歌:草太、君は本当にすごいな。
草太:あはは、僕は妖(あやかし)と人を繋ぐ者ですから。
華蓮:おっ。どうやらあちら方も、準備が整ったようじゃな。
:
0:影の怪物が攻撃をしようとする。
:
華奈:うわぁ!?つ、潰される!?
短歌:華奈くん、もっと後ろに下がって!
華蓮:ふん、面白くもない。
:
0:怪物の大きな拳を華蓮が片手で止める。
:
華奈:あんな大きな拳を片手で止めた!?
華奈:それに、あざりちゃんみたいにすり抜けてない……。
短歌:草太の術のおかげだ。
短歌:存在根拠の曖昧な影に触れられるよう、彼女の身体に自信の力を混ぜてる。
華奈:便利な術……。
短歌:ただしあれは体の動きに合わせて出力や方向を変えなきゃいけない。
華奈:え?
華蓮:はっはっは!草太!今宵は調子が良さそうじゃな!
草太:そりゃあ、そうだよ。
草太:大口叩いた分は働かないとね。
華蓮:ならば、我も思う存分暴れるとしよう。
短歌:思考、体の動き、癖、呼吸に至るまで全て知り得なければ崩れてしまう陣。
短歌:人妖一体の彼らにしか出来ない、本物の技だ。
華蓮:力比べは飽きた……ぞっ!!!
華奈:拳を蹴り上げた!?
華蓮:息苦しい空間じゃ、我は閉塞的な場所が嫌いでな。
華蓮:そろそろお暇させていただこうか。
草太:暗いところが怖いだけじゃないの?
華蓮:こ、怖いわけなかろう!!
華蓮:余計なことを言わず、集中せい!!
草太:あはははは、ごめんごめん。
華蓮:困ったやつじゃ……。
華蓮:(大きく息を吸って)よし……はッ!!!!
:
0:華蓮の一声で、フィールドが崩れる。
:
華奈:あたりを覆ってた影がガラスみたいに割れて……!?
短歌:声だけでフィールドを壊すって……規格外すぎるね。
華奈:……!思畏獣が苦しんでる!
短歌:奴らはあの空間の中でこそ、真価を発揮する。
短歌:外界に触れれば力は半減だ。
華蓮:さてと、終いにするか。
草太:そうだね。
華蓮:少し暴れ足りんがな。
草太:文句言わないの。
華蓮:……おい、主らの頭領に伝えておけ!
華蓮:我を喰らいたくば、もっとまともな手駒を使えとな!
短歌:っ!頭領……!?
華奈:……?短歌さん……?
華蓮:ほっ!
華奈:華蓮さんがジャンプした!
草太:まったく、大技を使おうとして……!
草太:二人とも、飛ばされないでよ!
華奈:え?
華蓮:……我は人妖のこの先なんぞ知らん。
華蓮:興味もない。
華蓮:じゃがな、我と草太の未来を奪うことは許さん。
華蓮:あいつは我の……愛する旦那じゃからな。
華蓮:おさらばじゃ!「落花……流水!!!!」
:
0:華蓮が上空から思畏獣に踵落としを放つ。
:
華奈:か、踵落とし!?!?
短歌:危ない、華奈くん!!伏せて!!
華奈:えっ?きゃあ!!!
:
0:突風が吹く。
:
華奈:(咳き込んで)すごい風……。
短歌:ああ、相も変わらず……いや、前にも増して恐ろしい存在になったみたいだ。
:
0:空にいくつも黒い球が飛んでいく。
:
華奈:あれ、思畏獣のいた場所から黒い球がいくつも浮かんでく。
草太:僕らは、あざりさんのように怖気喰らいができない。
草太:だから、コアは逃すしかないんだ。
華奈:逃すと、どうなるんですか?
短歌:また、同じように思畏獣が造られる。
華奈:造られる?誰に?
短歌:……。
華奈:……短歌さん?
華蓮:ふぅ!気分爽快じゃったな!
草太:華蓮、お疲れ様。
華蓮:ああ。お主もな、草太。
短歌:ありがとう、あなたにはいつも世話になる。
華蓮:いや、今回は我の不手際じゃ。
華蓮:迷惑をかけた、すまない。
短歌:気にしないで、彼女に名付きの強さを見せられてよかった。
華奈:あっ……すごかったです!なんかもう、アニメみたいで!
華蓮:アニメ?
草太:絵を動かした映像を見て楽しむ文化のことだよ、映写機とかで映すんだ。
華蓮:……?よくわからんが、褒められてはいるようじゃない!はっはっは!
短歌:ねぇ。
華蓮:うん?
短歌:さっき、頭領とか言ってたよね。
華蓮:……ああ、言ったな。
短歌:……どういうこと?あいつが、復活したってこと?
華蓮:……元々我らは暁天山(ぎょうてんざん)の大天狗から使いを頼まれてここにきた。
華奈:暁天山、って……狗亥さんのいる?
草太:そう、天狗たちの住む妖怪山だよ。
短歌:大天狗が、鬼であるあなたに頼み事なんて珍しいね。
華蓮:ふん、我とて同じことを思ったわ。
草太:本来は鴉天狗……黒曜羽に頼んでいたらしいんですが。
草太:大天狗は、彼が言伝(ことづて)を伝えないことを知っていたんでしょう。
短歌:それで、何を伝えられたの?
華蓮:……教えてやらん!
華奈:えっ!?何で!?
華蓮:元々気に食わなかったのじゃ、なぜ鬼が天狗なんぞの使いっ走りをせにゃならん。
華蓮:手前どもで片付けることじゃろう。
短歌:そんな悠長な(ことを言っている場合じゃ)
華蓮:(遮るように)だから、お主が直接問いただしに行け。
短歌:!
華蓮:己が耳で、目で、事がどれだけ重大かをしれ。
草太:(ため息をついて)華蓮が話すならそれでいいと思ったけど。
草太:まあ、どうせ短歌さんは自分で聞きに行くだろうしね。
華蓮:そうでなければきっと、意味がない。
華蓮:癪じゃが、大天狗もどうせこうなると見越していたのじゃろうしな。
短歌:……。
華奈:……短歌さん、行きましょう。
短歌:……!華奈くん……。
華奈:私は、ただのアルバイトです。
華奈:いまだに何が起きているのかも、短歌さんが抱えているものも分かりません。
華奈:でも、何もしないのは嫌なんです。
華奈:きっとこの問題は、私たち人間にも関わることのはずだから。
華蓮:ほう……。
草太:……(小声で)勇敢な子だね。
華蓮:……(小声でからかうように)ああ、誰かを思い出すな?
草太:……(小声で)誰のことだろうね。
短歌:まったく君ってやつは……。
短歌:わかった、行こう。
短歌:どうせ、山には行く予定だったんだそれが少し早まっただけだ。
華奈:短歌さん……!
華蓮:腹を決めていくのじゃぞ。
華蓮:もう、時は刻まれ始めている。
短歌:……そうだね、いつまでも針は止まっていてくれないか。
草太:何かあれば、僕たちも力を貸します。
草太:気軽に便(たよ)り出してください。
短歌:ありがとう、草太。
華蓮:よし、話は済んだな。
華蓮:では我らはもう行こう。
華奈:えっ!?もう行っちゃうんですか……?
草太:長居する予定はなかったからね。
華蓮:それに我の妖力を察知した奴らがまた、現れんとも限らんからな。
華奈:そっか……。
華蓮:そのように辛気臭い顔をするでない!
華蓮:たかが四百里程度の距離じゃ、また来る。
短歌:訪ねてきてくれてありがとう、また良い酒が手に入ったら送るよ。
華蓮:楽しみにしておる、できればオロシャの酒が良いな!あれは良く酔えるからのぅ。
短歌:うん、わかった。
短歌:ウイスキーやウォッカを送る。
華蓮:おお!これは楽しみじゃ!いやはや、世界の酒を好きに呑めるとは良い時代になったの!
草太:さっきまでと言ってることちがう、現金すぎでしょ……。
華奈:うーん……オロシャって、どこ?
草太:露西亜(ロシア)のことだよ。
華奈:へぇ……そんな呼び方あるんだ……。
華蓮:ではな、あざりにはよろしく伝えておいてくれ。
草太:僕からもお願いします。
短歌:わかった。
華奈:また来てくださいね!
華蓮:ああ。
草太:あっ、そうだ。
草太:華奈さん、耳貸して?
華奈:えっ?
草太:(小声で)短歌さんは、長く生きてるけど見た目通り子どもなところがあるからさ。
草太:(小声で)君が側で、支えてあげて。
草太:(小声で)君なら、できるはずだから。
草太:お願いね。
華奈:……はい!
華蓮:おい草太、早くせい!
華蓮:置いていくぞ!
草太:今行くー!
草太:では、お二人とも。また。
:
0:一礼して草太が去って行く。(少し間)
:
華奈:……なんか、とっても仲良しな方々でしたね。
短歌:僕が知る中でも彼女たちほどの絆で結ばれている人妖はいないよ。
短歌:自分と違う誰かを受け入れるなんて簡単にできることじゃないから。
華奈:……そうですね。
短歌:うん。
短歌:そういえば、草太に何を言われたの?
華奈:えっ?うーん……秘密!
短歌:教えてくれないの?
華奈:教えなくてもいいことですから!短歌くんには!
短歌:くんって……どういう風の吹き回し?
華奈:べっつにー!
華奈:なんでもないですよー!
短歌:(小さく笑って)まったく。
華奈:ほら、中でお菓子食べましょ!
短歌:食べすぎると太るんじゃなかった?
華奈:たまにはいいんですー!
短歌:そう、じゃあお茶のおかわりもお願いね。
華奈:はい!
:
0:以下、モノローグ。
:
華蓮(M):理解の及ばないもの、それは人でも妖(あやかし)でも受け入れることが難しいものじゃ。
草太(M):それどころか同じもの同士であっても、向き合うことは簡単じゃない。
華奈(M):どちらも歩み寄らないならば。
短歌(M):その関係は朝露(あさつゆ)のように消える。
華蓮(M):だからといって、我らは諦めはしない。
草太(M):僕たちは互いを知ることで理解し合えるんだから。
華奈(M):けれど、この先にある物語に。
短歌(M):それが全て通用するわけではないだろう。
華蓮(M):諍(いさか)い、争い、相容れないこともある。
草太(M):でも、そんなことは伸ばせる手を伸ばさない理由にはならない。
華奈(M):その本当の難しさを私たちはまだ知らないけれど。
短歌(M):胸に留めておこうと思う、まだ見ぬ困難に負けてしまわないためにも。
:
0:少し間を開けて。
:
華蓮(M):怪衣古今集(かいいここんしゅう)。
草太(M):草の根に咲く絶対の華、了(りょう)。
:
0:終劇。
怪衣短歌:黒髪の不思議な雰囲気を纏う少年
厄姫華奈:明るい女子高生
充月あざり:少し変わった短歌の助手
華蓮:美しい怪力乱心の鬼
草太:落ち着きのある青年
(M):各キャラのモノローグ
0:ト書き
-------------------------------------------------
華蓮(M):理解の及ばないもの、それは人でも妖(あやかし)でも受け入れることが難しいものじゃ。
草太(M):それどころか同じもの同士であっても、向き合うことは簡単じゃない。
華蓮(M):どちらも歩み寄らないならば。
草太(M):その関係は朝露(あさつゆ)のように消える。
華蓮(M):じゃが裏を返せば。
草太(M):二人で近づけば、手を取ることだってできるんだ。
:
0:少し間。
:
0:怪衣探偵事務所。
:
華奈:あー!ひーまー!!
短歌:華奈くん、急に大きな声を出さないでくれ。
華奈:だって暇なんですもん!
華奈:この事務所何にもないから!
短歌:そんなことを言うなら、外に遊びにいけばいいじゃないか。
短歌:年頃の女の子らしいことをすればいい、クレープとか、タピオカとか、チーズ……なんとかとか。
華奈:ハットグですか?
短歌:そうそう、それだ。
華奈:食べ物ばっかじゃないですか!
短歌:食より良い娯楽なんてないよ。
短歌:いつでも好きなものを食べられるキミたちにはわからないかもしれないけどね。
華奈:そんなに食べてばっかりいたら太りますよ!
短歌:なら運動をしたらいい、とにかくここで文句を言っていても仕方ないだろう。
華奈:それは、そうですけどー……。
華奈:あーもー!スマホぐらい繋がるようにしといてくださいよ!
華奈:そしたら大人しくソシャゲでもしてるのに!
短歌:生憎、頼もうにも電波屋が来なくてね。
華奈:むー!スマホは繋がらないし、短歌さんは本ばっか読んでるし、あざりちゃんはぜんっぜん起きてこないし!
華奈:本当にひまー!!!
短歌:そんなに暇なら、あざりくんの真似でもしてみたら?
華奈:あざりちゃんのまね?
短歌:給仕(きゅうじ)さんごっこ。
華奈:やですよ、私には似合わないし!
華奈:というか、あざりちゃんどうかしたんですか?まだ見かけてないんですけど。
短歌:ああ、彼女なら今日は休みだよ。部屋で寝てる。
華奈:えっ!?病気ですか?
短歌:いや、疲れているだけだよ。心配しなくても大丈夫。夕方には元気になるよ。
華奈:本当ですか?
短歌:うん、だから今日はそっとしといてやってくれ。
華奈:まあ、短歌さんが言うなら……。
:
0:ノックの音。
:
華奈:ん?誰か来た?
短歌:まったく、最近来客が多いね。
短歌:華奈くん、開けてやってくれ。
華奈:わかりました!
華奈:はーい!今出まーす!
華奈:よいしょっと。
:
0:ドアの先には着物を着た、美男美女。
:
華奈:わっ、きっ、着物?それにめっちゃ美人とイケメン……。
華蓮:ん?なんじゃ、お主。ここは短歌の住処ではないのか?
華奈:あっ!その私実は短歌さんのお手伝いをしていて……。
草太:手伝い?あれ、あざりさんは?
華奈:えーっと……!
短歌:おーい、華奈くん。とりあえず中に入ってもらって。
華奈:そ、そうですよね!とりあえず中にどうぞ!
華蓮:おー!短歌!久しいな!
短歌:誰かと思ったら君たちか。
短歌:元気そうでよかった。
草太:とりあえず中に入ろう、華蓮。
華蓮:うむ。
草太:お出迎えありがとうございます、えっと、お手伝いさん?
華奈:いえ!あの、奥のソファーにどうぞ!私、お茶入れてくるので!
華蓮:おお、気が効くな、我は玄米茶を頼む。
草太:僕も同じものでお願いします。
華奈:わかりました!
短歌:あー、華奈くん、僕の分と自分の分も淹れてきて。
華奈:はい!
:
0:二人、ソファーに座る。
:
華蓮:……ふぅ、まったく。ここは遠くて敵わん。
華蓮:山をいくつ越えさせるつもりじゃ。
短歌:あはは、また歩いて来たのかい?
華蓮:当然じゃろう。
草太:相変わらず、華蓮は電車や車が嫌いなんですよ。
華蓮:当たり前じゃ!あーんな、なんで動くのかも不可解な乗り物乗れるはずなかろう!
華蓮:馬やカゴならまだしも、最近は理解できんものが多すぎる。
草太:順応していかないといけないと思うけど。
草太:どれも使ったら便利だよ。
華蓮:おぬしは、毎度時代に慣れすぎじゃ!
華蓮:我には江戸の世くらいがちょうど良い。
短歌:そこは僕も同意見だね。
短歌:明治からの時の移ろいにはついて行き難い。
草太:あらら、短歌さんもそちら側なんですね。
華蓮:ほら見たか!気軽に山を降りれるようになったのは良いが、あのようにカラクリだらけでは敵わん。
華奈:あの、お茶淹れてきました。
短歌:ありがとう、華奈くん。
短歌:君も座って。
華奈:わかりました。
草太:そうだ、短歌さんこれお土産です。
草太:良ければ食べてください。
短歌:わざわざありがとう。
華蓮:我が太鼓判を押す、麓の菓子屋のものじゃ。
華蓮:味は心配しなくて良い。
短歌:あなたが酒以外を褒めるのは珍しいね。
短歌:これはかなり期待できるかな。
短歌:華奈くん、開けてみなよ。
華奈:はい!えーと……どら焼きに羊羹、もなかとカステラ……あとこれはなんだろう?
草太:富士の山肌。クリームが中に入って、周りにコーヒー味のチョコが散りばめてあるお菓子です。
華奈:へー……。
華蓮:我の一押しじゃ。味のわかるものに食うてもらいたい。
短歌:なら、華奈くんが食べるといい。
華奈:やった!食べます食べます!
華蓮:あははは、元気の良い女子(おなご)じゃ。
草太:そう言えば自己紹介してないね。
華蓮:おお、忘れておった。
華奈:あっ、失礼しました!私は厄姫華奈(やくひめかな)、神郷(しんごう)町立神郷高校に通う高校生です。
草太:高校生!通りで幼い顔をしてると思った。
華奈:草太も変わらんわ、容姿なんぞ当てにならん。
短歌:確かに、僕らは見た目で判断できることの方が少ないもんね。
華奈:どういうことですか?
草太:いや、こっちの話だよ。じゃあ、改めて僕は草太。ここから、百里くらい行った山に住んでる。
華奈:百里……ってどのくらい?
短歌:一里が約四キロメートルって言われてるね。
華奈:うわっ、随分と遠くからいらしたんですね。
華蓮:なに、我らの脚力なら朝飯前じゃ。
華奈:そうなんですね……ん?脚力?
華蓮:次は我じゃな!よーく、その耳で聞いておくのだぞ!
:
0:華蓮、咳払いをして。
:
華蓮:我こそは!麓の村々を恐怖に陥れ、あの山に足を踏みいれれば骨すら残らず喰らわれるとまで言わしめた怪力乱神(かいりきらんしん)の鬼!
華蓮:修羅鬼姫(しゅらおにひめ)、断天絶華(だんてんぜっか)の華蓮じゃ!あっはっはっは!
短歌:(小声で)……ねぇ、なにあれ。
草太:(小声で)いや、なんか最近読んでる小説の影響で、見栄を切るのにハマっちゃったみたいで……。
短歌:(小声で)流石にあれはその、俗に言う痛いってやつじゃない?
草太:(小声で)僕も恥ずかしいから辞めてくれって言ったんですけど、まったく聞かなくて、もう別の山々の鬼には笑われっぱなしなんです……。
華蓮:おぬしら聞こえておるぞ、どうやら細切れにされたいようじゃな?
華奈:えーっと……鬼って?
華奈:私からは、普通の人にしか見えないんですけど……。
華蓮:ああ、変化(へんげ)の術を解き忘れていたな。
華蓮:草太。
草太:わかった。「鬼怪陣(きかいじん)・角隠し・解」。
華奈:わっ!二人の頭に角が!
短歌:草太、腕を上げたね。術が全然見透かせなかったよ。
草太:僕も、毎日家事ばかりしているわけじゃありませんから。
華奈:本当に鬼なんだ……。
短歌:今のは狗亥の術に近い。妖(あやかし)はこうやって姿を隠してるんだ。
草太:あはは、黒曜羽(こくようばね)と比べられるのはまだ荷が重いですよ。
華奈:なにを言うておる、我の旦那がいつまでも鴉天狗なんぞに負けておるのは許さんぞ。
華奈:その黒曜羽って、共通認識なんですね。
短歌:ん?ああ、名付きのこと話してなかったね。
華奈:名付き?
草太:名を冠するものって言う妖怪内の格付けみたいなものがあるんだよ。
草太:華蓮の断天絶華も、黒曜羽もそれなんだ。
華蓮:まっ、我はそんなもの要らなかったのじゃがな。
華奈:ただの厨二病じゃなかったんだ……。
華蓮:むっ、意味はわからんが馬鹿にされたのは分かるぞ。
華蓮:おぬしも細切れにされたいようじゃな?
華奈:いや、冗談です!!ごめんなさい、ごめんなさい!
草太:こら、華蓮。子ども相手に凄まないの。
華蓮:ふんっ。……まあ、名付きなんぞと呼ばれても共通した何かを持っているわけではない。
華蓮:それぞれの種の長が、優れた才を持つものに与えている形だけの称号じゃ。
華奈:そんな制度があるんだ……。
短歌:元々は領土拡大なんかに貢献した妖怪に与えられたものだから、かなり形骸化してるけどね。
短歌:彼らもかなり大人しくなったから。
草太:今どき、国取なんて流行りませんもん。
草太:僕らは武士(もののふ)の世を見て学びました。
短歌:みんなが、そうならよかったんだけど。
華蓮:全員が全員とはいく訳がなかろう。
華蓮:人間も、妖も一枚岩ではない。
華蓮:どの種にも、いまだに腕っ節の強さが何よりも貴いと思っている阿呆もおる。
短歌:……言う通りだ。
短歌:まったく、ままならないことだよ。
草太:そういえば、話は変わりますけど。
短歌:ん?
草太:あざりさんはどこにいるんですか?
短歌:……。
華奈:あー、あざりちゃんなら疲れて寝てるみたいです。
華奈:最近大変だったから、バテちゃったのかも。
華蓮:なに?それは本当か?
華奈:えっ?はい、短歌さんはそう言ってましたけど……。
華蓮:薄々は勘づいていたが、まさか真実になろうとはな。
華蓮:おい、短歌。最後の怖気喰らいはいつじゃ。
短歌:……三日前。
草太:相手は大物だったんですか?
短歌:がしゃどくろだよ。人も食っていた。
華蓮:関係ない。何処まで行ってもたかが思畏獣。そんなもの、本来の力を取り戻していればいくら食らっても何でもないはずじゃ。
短歌:……まあ、そうだね。
華蓮:短歌。
華蓮:まだ、本当の名を返していないのか?
短歌:……。
華奈:本当の、名?
華奈:あざりさんって別の名前があるんですか?
短歌:ごめん、華奈くん。今は聞かないで。
華奈:……。
華蓮:聞かないで、ではなかろう。
華蓮:ぬしは、状況がわかっているのか?
草太:華蓮。
華蓮:ちっぽけな怖気を喰らっただけで、力に影響を受けるような状態で神憑きに勝てるのか?
短歌:……今はまだあざりくんに名を受け入れる準備が整ってない。
短歌:そのまま名を返せば、あざりくんを失いかねない。
華蓮:百年前も、ぬしはそう言ったぞ。
短歌:……。
華蓮:その頃ならば我もその言葉を黙って飲み込めた。
華蓮:じゃが、こうして思畏獣(しいじゅう)たちの出現が活発化している今、悠長なことは言ってられん。
華蓮:臆病風に吹かれるのも、いい加減にするんじゃな。
草太:華蓮!
華蓮:!
草太:言い過ぎだよ。それ以上はダメだ。
華蓮:……(短くため息)
短歌:……それでも。
草太:えっ?
短歌:(短く息を吐いて)……それでもこれは、僕と彼女の戦いだ。
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華蓮:……なんじゃと?
華奈:ちょ、ちょっと短歌さん!
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華奈:喧嘩してたら大事なものも見落としちゃいます!
華蓮:……ふっ。
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華蓮:短坊。
短歌:……そうだね。
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短歌:……華奈くん、どんなふうに感じる?
短歌:ゆっくり教えて。
華奈:は、初めてあの黒い影に見られていた時と同じ感覚。
華奈:それも一つじゃない。
華奈:こっちに近づいてくる。
短歌:思畏獣(しいじゅう)……?
短歌:おかしい、ここは空間偽装用の結界が張られているのに……。
華蓮:……いや、すまん、我のせいじゃな、おそらく。
短歌:えっ?
草太:ここ最近、不定形の思畏獣がよく山に現れていたんです。
草太:多分、華蓮の膨大な妖力に惹かれているんだと思います。
短歌:妖力を頼りにこの場所を見つけたってことか……!
華奈:だめ、どんどん近づいてくる、幾つも影が……!?
短歌:どうする、あざりくんを起こすか……?
短歌:いやでも、今の彼女は万全じゃない……。
華蓮:……よし、行くぞ。
華蓮:草太。
草太:うん。
短歌:行くって……。
華蓮:元はと言えば我の不始末じゃ。
華蓮:これ以上迷惑はかけられん。
短歌:ダメだ、奴らはあなたを狙ってる。
短歌:行かせられない。
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短歌:華奈くん、僕らも行くよ。
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華奈:わ、わかりました。
:
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:
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華蓮:こんな奴らいくら集まろうが、我の敵ではない。
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:
0:辺りが暗い闇に包まれる。
:
華奈:真っ暗……。
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:
0:影の思畏獣が集まって一つになっていく。
:
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:
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:
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華奈:……?短歌さん……?
華蓮:ほっ!
華奈:華蓮さんがジャンプした!
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短歌:!
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短歌:……。
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華奈:べっつにー!
華奈:なんでもないですよー!
短歌:(小さく笑って)まったく。
華奈:ほら、中でお菓子食べましょ!
短歌:食べすぎると太るんじゃなかった?
華奈:たまにはいいんですー!
短歌:そう、じゃあお茶のおかわりもお願いね。
華奈:はい!
:
0:以下、モノローグ。
:
華蓮(M):理解の及ばないもの、それは人でも妖(あやかし)でも受け入れることが難しいものじゃ。
草太(M):それどころか同じもの同士であっても、向き合うことは簡単じゃない。
華奈(M):どちらも歩み寄らないならば。
短歌(M):その関係は朝露(あさつゆ)のように消える。
華蓮(M):だからといって、我らは諦めはしない。
草太(M):僕たちは互いを知ることで理解し合えるんだから。
華奈(M):けれど、この先にある物語に。
短歌(M):それが全て通用するわけではないだろう。
華蓮(M):諍(いさか)い、争い、相容れないこともある。
草太(M):でも、そんなことは伸ばせる手を伸ばさない理由にはならない。
華奈(M):その本当の難しさを私たちはまだ知らないけれど。
短歌(M):胸に留めておこうと思う、まだ見ぬ困難に負けてしまわないためにも。
:
0:少し間を開けて。
:
華蓮(M):怪衣古今集(かいいここんしゅう)。
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:
0:終劇。
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大衆娯楽
ボイコネのみで公開していた声劇台本をこちらにも随時上げていきます。
ご利用の際には必ず「シナリオのご利用について」をお読み頂ますようよろしくお願いいたしますm(*_ _)m
【フリー台本】二人向け(ヤンデレ多め)
しゃどやま
恋愛
二人向けのフリー台本を集めたコーナーです。男女性転換や性別改変、アドリブはご自由に。
別名義しゃってんで投稿していた声劇アプリ(ボイコネ!)が終了したので、お気に入りの台本や未発表台本を投稿させていただきます。どこかに「作・しゃどやま」と記載の上、個人・商用、収益化、ご自由にお使いください。朗読、声劇、動画などにご利用して頂いた場合は感想などからURLを教えていただければ嬉しいのでこっそり見に行きます。※転載(本文をコピーして貼ること)はご遠慮ください。
執事👨一人声劇台本
樹(いつき)@作品使用時は作者名明記必須
青春
執事台本を今まで書いた事がなかったのですが、機会があって書いてみました。
一作だけではなく、これから色々書いてみようと思います。
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・使用許可は不要ですが、自作発言や転載はもちろん禁止です。著作権は放棄しておりません。必ず作者名の樹(いつき)を記載して下さい。(何度注意しても作者名の記載が無い場合には台本使用を禁止します)
・語尾変更や方言などの多少のアレンジはokですが、大幅なアレンジや台本の世界観をぶち壊すようなアレンジやエフェクトなどはご遠慮願います。
その他の詳細は【作品を使用する際の注意点】をご覧下さい。
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