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ヒューレー・ミリュー編
99頁 カタコンベ
しおりを挟む教会部分を散々探索した結果。
どうやら、1階部分は安全圏らしい。
最初の、俺の背後に現れたスケルトンは別として、この階には魔物は湧かないようだ。
セーフルームっぽい小部屋(なぜかホコリもほとんどない綺麗な部屋だ。水飲み場には清潔な水もある)もあったし…。
……そして、教壇の下に、地下へ降りる階段も発見してしまった。
うん…まぁね?
いいことだよ?次の階に進めるギミックを発見したんだもんね?
…うぅ、でも行きたくない…けど経験値は欲しい……!
「…顔色が悪いな、大丈夫か?」
「どうしたの?お腹痛い?」
心配そうにこっちを見る2人……凡人の恐怖心は理解しがたいようです。
「…いや、大丈夫…。行こうか」
まだ朝だし。
日が落ちてから地下墓所に行くより、今行った方がいいに決まっている。
…そうだ。
幽霊船の予行練習だとでも思おう。
最悪を想定していれば、現実はそれよりはマシなものになる(by俺の母)
って格言もあるし、ここで幽霊関係になれておけば、幽霊船にもビビらなくて済むかもしれない。
って事で、地下へと降りてみます。
ぐるぐる、ぐるぐると、螺旋階段を降りていく。
10メートルくらい降りた頃、小さな空間に着いた。
右を見ても骨、左を見ても骨。
上下は岩だが、壁は全て骨だ。
……ここまで骨だと、逆に美しさすら感じてきた。
もはや一種のアート作品なのでは?
「ん?看板だ…なになに?」
『正しき道は1つ。生者には道を戻ることも許される。この地は死者を逃さぬ檻なり』
あー、つまり、この複数ある道のどれかが正解だから、そこを進めと。
で、間違った道に進んじゃったら、戻って別の道探索しろってことね。
んで、アンデットはここから出れないから安心しろってか。ほうほう。
「どの道がいいと思う?」
2人に聞くと、同時に、同じ道を指差した。
「こっちの道が気配が少ない。足跡も他の道とは付いている量が違うから、この道が正解だろう」
「他の道は風の通りが悪くて、血の匂いが溜まってる。この道は風が通ってるから先があると思う」
なるほど。
素晴らしいナビゲートである。
道は結構横幅が広めで、俺たち3人が横並びで歩いても余裕がある。
左右の壁は言わずもがな、骨でできているが、横一列にズラッと続く頭蓋骨にはデザイン性すら感じるほどだ。
道に入ってしばらく進むと、
「Auuuuuu……!」
正面に薄青のオーラをまとった大きな炎が出現した。
足はなく、上部には時々、炎で描かれる顔のような模様が浮いては消えていた。
ヒッ!
す、ステータスステータス!!
今にも攻撃にうつりそうな藍斗と火乃にかろうじて待っての合図を送り、敵のステータス画面を確認する。
ーステータスー 「レイス」LV39
種族 アンデッド
HP800 MP200
攻500 防900
スキル
『吸収』『金縛り』『パッシブ 物理攻撃半減』『魔法攻撃半減』
よ…よし、落ち着いて見れば大丈夫。
慣れてきた。
……なるほど、フランシスカが言ってた防御がどうのこうのって、このパッシブのことか。
もしや、このパッシブ…アンデッドは大概持ってたりする?
だったらちょっとめんどくさいなぁ。
「……カイト、霊体系のアンデッドはコアになる部分を破壊すれば簡単に倒せるよ」
袖をくいくいと引っ張って、ボソッと火乃がつぶやく。
よく見れば、炎の中心あたりには頭蓋骨がある……というか、頭蓋骨から炎が湧き出ている感じだ。
あれを壊せばいいってことね、了解。
物理も魔法もたいして効かないのであれば、はじめから剥ぎ取りスキルで勝負するのみ!
手に剥ぎ取りナイフをしっかりと持って、頭蓋骨を目掛けて振り抜く。
ナイフが頭蓋骨にあたり、パキッ、という音とともに頭蓋骨が半分に割れた。
「GAaaaaaa!!!」
甲高い叫びとともに、光の粒となってレイスが消滅する。
後には、半分に割れた頭蓋骨が残った。
『スキル 剥ぎ取りがLV50になりました』
『カイトはLV50になりました』
『アイテム 壊れた悪霊の核を手に入れた』
おおおお!!
レベル!レベル上がった!!!
いやぁ、レベル上がるのいつぶりだろ!
魔法塔では全くレベリングしてなかったからなぁ…。
『勇者のレベルが50になりました。職業ランクアップミッション…成功。職業のランクアップを開始します』
え、?
あーあーあー!!
そういえば、火乃のランクアップ条件、俺が50レベルを超えることだったな!!
『ランクアップ、成功。職業 勇者の使い魔が強化されました』
今は近くに敵はいないし…とりあえずステータス見てみるか。
ーステータスー 「火乃」 LV200
職業 勇者の使い魔
種族 半魔獣
HP??? MP???
攻??? 防???
スキル
『パッシブ 魔力喰い』 『パッシブ 千の形を持つもの』『パッシブ 対人外意思疎通 中位』『パッシブ 神の加護』
お、前まで下位だった対人外意思疎通が中位になってる。
それに、神の加護も新しく追加されてるな。
しかし、やっぱ火乃も規格外だわ。
レベルの上限解放されたら、即レベルカンストするんだもんな。
さて、じゃあ、次のランクアップミッションは…と。
職業ランクアップミッション。
・勇者がレベル80を超える。×
・レベル200になる。◯
やっぱり俺のレベル不足ですね、ハイ、知ってますとも!!
クッソ!このカタコンベでもう1回くらいランクアップさせたらぁ!!
ーステータスー 「カイト」 LV50
職業 勇者
種族 人間
HP410 MP130
攻310+10 防210+???
器用さ200 運50
スキル
『神の加護ON』『剥ぎ取りLV50』『洗濯の魔法』『調理の魔法』『眠りと警戒の魔法』
ー装備ー
武器
•古木の手槍
•剥ぎ取りナイフ
防具
頭•なし
体•異世界の服
腕•なし
腰•異世界のズボン
足•異世界のシューズ
その他•なし
アクセサリー•収納の腕輪•守護の脚護符•森人の首飾り
ー収納の腕輪ー収納スペース小
1地図×1
2コンパス×1
3水筒(水)×1
4永久砥石(無限級)×1
5油敷布×3
6血晶寄石×18
7壊れた悪霊の核×2
8
9
10
11
12剥ぎ取りナイフ×4
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守護の脚護符
抵抗内容
・物理攻撃・魔法攻撃
所持金 8000ファラン
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