一振りの刃となって

なんてこった

文字の大きさ
上 下
116 / 130

112.悪夢

しおりを挟む



 現在、神聖ハーモニア王国の王都上空を雷凄の首に跨って飛んでます、ニコルがね、俺は腰にささってるよ?
『ここからでも見えるなー、まだもってたみたいで一安心だ』
 結構ゆっくりしてたから既に王都が落ちてんじゃないかな~って心配してたが大丈夫みたいね。
 最悪逃げてた王族拾って国の復興からする羽目になるんじゃないかなって心配してたわ、俺みたいな適当人間に内政チートは無理だもんよ。
「間に合いそうですね、やはり飛んで移動するのは速くていいですね」
『だな、さてどうやって戦場に降り立ったら目立つかな?
 ・・・ありゃま、もしかして砦の壁占領されてない?』
「されてますね」
『しかもなんか強い奴が壁になってて押し返せないみたいだな・・・』
「そのようです」
『んじゃあ決まり!雷凄あそこに近づいて一発かましてから離脱してくれ!』
『それはよいのだが我の背に乗ったままだとニコルが黒焦げになるぞ?』
「それでは”抜刀”タイプシャイたん!」
 ニコルが鎧を纏うと、
「電撃を溜め出したら離れます、では行きましょう!」
 その言葉を合図に雷凄が加速する、戦場に向かって。


 壁上で扇状に布陣して徐々に壁を占拠していた魔王軍は突如現れたドラゴンの”ブレス”をくらい陣形に縦線ができる。
「”納刀”」
 縦線の真ん中でそんな声が聞こえる、ドラゴンの一撃で呆けていた魔王軍・神国軍問わずその声に反応して声の発信源に目を向けると、そこにはこの泥沼のような殺し合いの場に似つかわしくない見目麗しいともすれば美少女に見間違えてしまいそうな美少年がそこに立っていた。
 誰問わずに息をのむ、突然現れた場にそぐわぬ少年の出現、その少年の美しさにその場にいた者たちの時間は止まっていた。
『やるぞニコル!』
「はい!」
 返事と共にニコルは名乗りを上げる、俺はそれに魔力を重ねて戦場全域に届くように仕向ける。
『「遠からんものは音に聞け、近くば寄って目にも見よ!
  我が名はニコル!ニコル・ファルシオン!
  これより神聖ハーモニア王国の剣としてこの地を汚す魔王軍を討ちに来た!
  我が剣を恐れるなら逃げよ、追いはしない!
  我が剣に挑むならその身をもって悪夢を語れ!
  神国の兵よ我に続いて敵を討て!」』
 ここまで言ったあと拡散を解除して、
「”抜刀”タイプドラン!」
 深紅の竜をモチーフにした鎧を瞬時に身にまとったニコルに驚いた両軍の兵を無視して周りにいる魔王軍の兵に横薙ぎに剣を振るう、その際俺は限界まで(5メートル)伸びてニコルの手が止まったら元の長さに戻る。
 結果、ニコルが振った剣の届いて無いモノたちまでもが切り殺される不可解な場が形成されるが・・・ここは戦場、自分たちの敵が理解できない力を持っていれば混乱して繊維が委縮されるが、自分たちの見方が理解できなくても圧倒的な力を持っていると思えば。
「わあぁぁぁぁぁ」×たくさん
 神国兵たちの凄まじい歓声が上がる・・・別にまだ勝った訳じゃないのにな。
 そんな声援を受けつつもニコルは淡々と敵を切り伏せて屍の床を作る。
 足元の気持ち悪さに顔をしかめ始めたころに先ほど神国兵を絶望に落としていたデーモンソルジャー達が立ちふさがる、”ブレス”をまともにくらった奴がいたのか最初の斬撃で巻き添えを食ったのか数が減って5人ほどになっていた。
「貴様は何者だ!」
 そのうちの1人がニコルに質問をして首をはねられる、ニコルは非情なのだ。
「くっ問答無用か!」
 散開してニコルに攻撃しようとしたデーモンソルジャー達だが何故か二人ほど味方のはずのデーモンソルジャーに攻撃を仕掛ける、まぁ俺の”マインドハック”の腕も上がってるってことさ。
「馬鹿者俺は味方ぎゃっ」
 襲い掛かってるデーモンソルジャーごとたたっ斬るニコル・・・まぁいいんだけどさ。
「どうなっている?我らを操るほどの精神魔法?ぎゃっ」
 考える時間もあげないニコルに若干俺は引きつつもそんなことを気にしないニコルは一人で壁上に陣取っていた魔王軍を蹂躙していく。
 その圧倒的な戦果から後に”イージスの悪夢”や”深紅の悪魔”と呼ばれ恐れられることになるとは・・・まぁ予想自体はできたかな?
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

なんども濡れ衣で責められるので、いい加減諦めて崖から身を投げてみた

下菊みこと
恋愛
悪役令嬢の最後の抵抗は吉と出るか凶と出るか。 ご都合主義のハッピーエンドのSSです。 でも周りは全くハッピーじゃないです。 小説家になろう様でも投稿しています。

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

[完結:1話 1分読書] 幼馴染に裏切られた最弱職業冒険者がセフレとともに頂点をとる

無責任
ファンタジー
<毎日更新1分読書>裏切られ続けた最弱冒険者。最終的には良い事もあるさ 情報師。この世界で一番弱い職業である。 攻撃力もなければ防御力もない。 スピードは普通だが攻撃スキルも防御スキルもない。 力が全てのこの世界。 辛すぎる職業だ。 こんな情報師だが、パーティの為に頑張っていたはず・・・。 効率的な攻略の為の情報集め。 効率的な武器や防具の作る手助け。 得意の索敵活動。 全て頑張っていた。 けど、捨てられた。 あんたは寄生虫だ。そんな奴いらない。という手紙一枚残して・・・ 起きたら、パーティの2人はいなかった。 こんな想いをするなら、一人ぼっちで良い。 ぼっちで良いんだ。 ・・・って言いながら周りに人が集まってくる。 セフレ・・・ そんな主人公の物語である。

ご期待に沿えず、誠に申し訳ございません

野村にれ
恋愛
人としての限界に達していたヨルレアンは、 婚約者であるエルドール第二王子殿下に理不尽とも思える注意を受け、 話の流れから婚約を解消という話にまでなった。 ヨルレアンは自分の立場のために頑張っていたが、 絶対に婚約を解消しようと拳を上げる。

呪歌使いリンカ(の伴奏者)の冒険譚

葵東
ファンタジー
「俺の歌で歴史を動かしてやる!」 と故郷を出た吟遊詩人の少年ラッドは盗賊魔法使いに襲われた。 助けてくれたのは呪歌使いの少女リンカと弟子のトゥシェ。 呪歌は魔法より凄い超魔法だが、リンカは音痴のせいで失敗ばっかり。彼女の音痴を矯正する為、ラッドは行動を共にする。 盗賊魔法使いは国際テロ組織のメンバーだった。組織はラッドを誘拐し、仲間の釈放を要求する。 ラッドは自力で脱出しようと機転を働かせる一方、リンカは救出に向かう。 そんなテロ組織のアジトにはドラゴンが迫っていた。 発達障害を抱えた少年少女が特性を乗り越え成長する物語。

転生王女は現代知識で無双する

紫苑
ファンタジー
普通に働き、生活していた28歳。 突然異世界に転生してしまった。 定番になった異世界転生のお話。 仲良し家族に愛されながら転生を隠しもせず前世で培ったアニメチート魔法や知識で色んな事に首を突っ込んでいく王女レイチェル。 見た目は子供、頭脳は大人。 現代日本ってあらゆる事が自由で、教育水準は高いし平和だったんだと実感しながら頑張って生きていくそんなお話です。 魔法、亜人、奴隷、農業、畜産業など色んな話が出てきます。 伏線回収は後の方になるので最初はわからない事が多いと思いますが、ぜひ最後まで読んでくださると嬉しいです。 読んでくれる皆さまに心から感謝です。

ある日、近所の少年と異世界に飛ばされて保護者になりました。

トロ猫
ファンタジー
仕事をやめ、なんとなく稼ぎながら暮らしていた白川エマ(39)は、買い物帰りに偶然道端で出会った虐待された少年と共に異世界に飛ばされてしまう。 謎の光に囲まれ、目を開けたら周りは銀世界。 「え?ここどこ?」 コスプレ外国人に急に向けられた剣に戸惑うも一緒に飛ばされた少年を守ろうと走り出すと、ズボンが踝まで落ちてしまう。 ――え? どうして カクヨムにて先行しております。

のほほん異世界暮らし

みなと劉
ファンタジー
異世界に転生するなんて、夢の中の話だと思っていた。 それが、目を覚ましたら見知らぬ森の中、しかも手元にはなぜかしっかりとした地図と、ちょっとした冒険に必要な道具が揃っていたのだ。

処理中です...