一振りの刃となって

なんてこった

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76.アジト5

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「おはよう」
 翌日この拠点での初めての朝を迎えた俺は横で寝ていたレベッカたちに朝の挨拶をする。
「おはよう旦那」
「主おはよう」
 挨拶が帰ってくるのはいいことだ、
「あの、旦那」
「なんだ?」
「そろそろこの縄、解いてほしい」
「優しくしてね」
「ふむ・・・まだ駄目だな」
 と俺は俺の寝てたベッドの上に縄でぐるぐる巻きになっているレベッカとライラを置いたまま、寝間着から外着に着替える。
「風邪ひかないように同じベッドに入れておいてやっただけでも感謝しろよ?お前たちはこれからこの拠点を維持するための大切な労働力なんだからな」
「感謝してるよ~」
「夜這いかけたのは謝る」
 そう、こいつらはあろうことか昨夜、俺が寝るこの部屋に忍び込みこの体の純潔を奪いに来たのだ。
 別に奪われてもよかったのだがね、ちょいと試したいこともあるのでこの体の純潔は守る予定なのだ。
 まぁこの体の生殖機能をOFFにしているから問題ないのだがね・・・この体は俺の意志で制御できるようにしてある、あくまで俺の体はファルシオンだからね。
 この体で行為に及んでも多分虚しいだろうし。
 まぁいいか・・・などと考えてる間に服を着替え終わる。
「ファイル!」
「ハイ、ごようでしょうか?」
 やっぱり控えていたか・・・やっぱ”サーチレーダー”は改良しといたほうがいいかな?敵意の無い奴の位置が見えないのもちょっと不便だ・・・突然の遭遇とか隠し事の最中とか避けたいし。
「こいつらの縄をほどいてやれ」
「ハッ」
「ぎゃー触んなボケー!」
「私にふれたら殺す!」
 こいつらにはいい罰になるな、てかファイルの嫌われ具合が・・・ドンマイ。
「これは二人に対する罰だ、我慢しろ」
 俺の言葉に観念したのかシュンとして黙る二人、何か企んでるんじゃないかと思うのは俺がひねくれてるからかね?

 縄を解かれた二人とファイルを連れ食事を済ませると一旦ケイベルに戻る用意を済ませ、改めて指示を出しておく。
「改めて指示を出しておくが、ここの指揮はファイルに一任する一応ここの方針は俺が戻ってくるまで拠点の維持になる」
「はいっ」×たくさん
 見送りに来た者たちが返事をする、声がそろってて気分がいい。
「ここの守りには雷凄を置いていく、怒らせないように使いこなせよ」
「はっお任せください」
 ファイルが応える、まぁ大丈夫だろうけどね・・・後で雷凄に俺から伝えとかなきゃな。
「さてと、それじゃあケイベルに戻るが・・・2,3日くらいで戻る、まかせたぞ!」
「かしこまりました!」
 見送りの返事を聞き届けて俺はアジトを後にする・・・アジトの名前はしばらく保留だ。

 大木の根元に辿りつくとワンツーサン太郎と雷凄が出迎えてくる。
「これからケイベルに帰るワンツーサン太郎は俺についてこい」
『主よ、我は?』
「そうだな・・・俺はここを拠点にしようと思っている」
『では我は此処の警備をしたらよいのだな?』
「察しが良くて助かる、俺はいい眷属を持ったな」
 頼み事は褒めながら伝える、基本だな・・・何の基本か知らんけど。
「じゃあ頼むな」
『心得た』
 雷凄が了承した後に一吠えする・・・元気だなこいつ。
 そんなこんなで森の外で待機していたゴーレム馬車の馬車まで移動し乗りこみ出発する。

 昼過ぎにはケイベルに着いた、さっそくニコルたちを探そうと思いとりあえず冒険者ギルドに向かってみる。
「こんちはノエルさん!今日の俺ってどう?」
 何となくナンパな話し出しを演出してみる、ノエルさんの瞳から冷気が放たれたが気にしない。
「こんにちはレッドさん、本日はおひとりですか?」
「そういう質問が来たってことは、今日はまだニコルたちが来てないってことか」
 俺の名推理に、
「はい、本日は”ファルシオン”のメンバーはこちらに顔を出しておりません」
 ノエルさんが自白する・・・いやただ質問に答えてくれただけなんだけどね。
「オッケーサンキュー、それじゃあ泊まったであろう宿に行ってみるよ」
「はい、またいらしてください」
 といって冒険者ギルドを後にしてカモメ亭に向かう・・・多分ここだと思うんだけどな・・・
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