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Ceci n'est pas une rêve.(これは夢ではない)

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華奢きゃしゃな黒ジャケットの後に続き瀟洒しょうしゃな廊下を通り豪奢ごうしゃな階段を抜け馬車に乗り下りた先で謁者えっしゃに出迎えられ驕奢きょうしゃな部屋へ押し込められた。
うん。
これじゃ早口言葉だな。

あ。
瀟洒しょうしゃってのは小洒落てるってかあかぬけてることで豪奢ごうしゃってのは成金みたいな派手さのこと。
謁者えっしゃってのは客を出迎え主人に取り次ぐ人で驕奢きょうしゃってのはぜいたくってこと。

つまりだ。
あのあと黒ジャケットことジェラード君と白ジャケットたちに導かれ綺麗なお城を後にした。
俺が居た場所はお城の3階部分だった。

玄関から見える場所は見栄を張るためかすごく豪華。
手すりの装飾も塗装も素晴らしかった。
かといって他の場所が侘しいかと問われればそうでもない。

ドアも年季が入って味があり隙間なくカーペットの敷かれた廊下は燭台しょくだいもきれいな彫刻が施されていて素晴らしい。
がそれぞれ華美かび過ぎずみずぼらしさもない。
5つ星ホテルのような落ち着いたたたずまいだった。

玄関の先は広大な庭だった。
玄関前のロータリーは人工的に作られていたがその奥は自然をそのまま利用した庭と森があった。
ジェラード君いわくこの森の向こう側の敷地に滞在先の離宮があるそうだ。

とても歩ける距離ではないと言われ馬車に押しこめられた。
白ジャケットたちに。
4人がかりで。

俺が乗って大丈夫か?
おっかなびっくり押しこめられ。
やっとこさ乗ったところ容赦なく扉を閉められた。

驚いて尻尾が上にピンッてなって毛がブワッっとなったのは秘密だ。

その様子を一部始終ジェラード君にニコニコと見守られたせいでいたたまれない気分になった。
待たせて申し訳ない。
ジェラード君は俺のあとから軽やかに馬車に乗った。

ジェラード君が乗ったのを確認するとすぐに馬車は出発した。
動き出してすぐ。
かなりの衝撃が座席を通して伝ってくる。

車の比ではない衝撃だ。
ドライブレコーダー付けてたら衝突したときに鳴る警告音が鳴りっぱなしになるほどの衝撃だと思う。

昔の人はこれを数日間ガマンして馬車で旅をしてたのか。
よくこんなのガマンできたな。

どうりでナゲルマケーレスがオリエント急行をつくるわけだ。
馬車でガタガタの道をを数日走るより。
高くても速くて快適な鉄道の旅。

その気持ちわかるような気が。
あー尻いた
地下鉄の速さと快適さが恋しい。

そのまま馬車に揺られて30分ぐらい。
ジェラード君からさまざまな説明を聞いていた。

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