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産卵症候群
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しおりを挟む産卵症候群の診断を受けてから早二日。
いよいよ覚悟を決めた私は、病院で受け取った偽卵と対面していた。
病院にかかったときは熱っぽさやだるさ、倦怠感や腹部の違和感程度しかなかったというのに、今ではもう(軽度ではあるが)産卵欲求が滲み始めているのだ。
これ以上症状が進行して仕事に支障が出たり、ましてや無精卵を孕んでしまったりしたら手遅れになってしまう。つまり、やるしかない。
覚悟を決めた私は、いつもは行かない場所にある薬局で購入した、小さめの鳥人用潤滑油のボトルを床に固定すると、総排出口──人間で言う肛門──にゆっくりと挿入していく。
「っふ、ぅ……ぎゅぅぅ…………」
不快感に思わず声が漏れるが、まだ擬似産卵は始まったばかりだ。
「っは、っは、……ん……」
滑りが悪いのが不快感の原因だろうかと考えた私は、潤滑油のボトルに繋がったコードの先にあるリモコンを爪で軽く操作して潤滑油の注入をONにする。が。
「ッゔ、ぐ……ぎゅ゙~……」
どぷりと体内に液体を注がれる感覚がやはり気持ち悪くて、つい意味のない威嚇をしてしまう。
堪らずすぐに潤滑油の注入をOFFに切り替えるが、正直もうここで終わりにしてしまいたい。
……いや、だめだ。折角ここまでやったのだ。
ここで諦めたら、本当にこれが何の意味もないただの苦痛になってしまう。
「ぎゃっ、ぎゃっ、ぎゅっ、ぅ……!」
折れそうになる心をどうにか奮い立たせた私は、滑りがマシになった潤滑油のボトルを先程よりも深くまで侵入させると、再度潤滑油の注入をONへと切り替えた。
「っ、ぎゅ、ぐ、ぅぅゔ、っは、ぐぅ……」
しかしどれくらい注入すれば良いんだこれは。一応リモコンに残量メーターはあるが、あったところでどう判断しろと。でも流石に全部注入するのは違う筈。だが、あぁ、くそ。
「っは、ぁ、ぐ……っ!」
いくら何でももう十分だろうと潤滑油の注入をOFFにした私は、ずるりと潤滑油のボトルを引き抜いた。
やっと終わった……と一瞬開放感に浸るが、本番はここからである。
私は深く息を吐くと、病院から貰ってきた偽卵を見やり、思わず羽を強張らせた。
……本当に入るのか?これが??私の総排出口に???
明らかに物理法則を無視しているサイズだと言いたくもなるが、女性の鳥人はこのサイズを産むのだというのだから無理だと断ずるわけにもいかない。
タマゴを床に固定した台座に置いた私は、その上にゆっくりと臀部を、というか具体的には総排出口を下ろしていった。
「~~~ッづぁっ!?!!? ……!?」
──え、無理だ。
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