立つ鳥跡を濁す

湊賀藁友

文字の大きさ
上 下
3 / 9
産卵症候群

2

しおりを挟む

 産卵症候群の診断を受けてから早二日。
 いよいよ覚悟を決めた私は、病院で受け取った偽卵と対面していた。

 病院にかかったときは熱っぽさやだるさ、倦怠感や腹部の違和感程度しかなかったというのに、今ではもう(軽度ではあるが)産卵欲求が滲み始めているのだ。
 これ以上症状が進行して仕事に支障が出たり、ましてや無精卵を孕んでしまったりしたら手遅れになってしまう。つまり、やるしかない。

 覚悟を決めた私は、いつもは行かない場所にある薬局で購入した、小さめの鳥人用潤滑油のボトルを床に固定すると、総排出口──人間で言う肛門──にゆっくりと挿入していく。

「っふ、ぅ……ぎゅぅぅ…………」

 不快感に思わず声が漏れるが、まだ擬似産卵は始まったばかりだ。

「っは、っは、……ん……」

 滑りが悪いのが不快感の原因だろうかと考えた私は、潤滑油のボトルに繋がったコードの先にあるリモコンを爪で軽く操作して潤滑油の注入をONにする。が。

「ッゔ、ぐ……ぎゅ゙~……」

 どぷりと体内に液体を注がれる感覚がやはり気持ち悪くて、つい意味のない威嚇をしてしまう。
 堪らずすぐに潤滑油の注入をOFFに切り替えるが、正直もうここで終わりにしてしまいたい。

 ……いや、だめだ。折角ここまでやったのだ。
 ここで諦めたら、本当にこれが何の意味もないただの苦痛になってしまう。

「ぎゃっ、ぎゃっ、ぎゅっ、ぅ……!」

 折れそうになる心をどうにか奮い立たせた私は、滑りがマシになった潤滑油のボトルを先程よりも深くまで侵入させると、再度潤滑油の注入をONへと切り替えた。

「っ、ぎゅ、ぐ、ぅぅゔ、っは、ぐぅ……」

 しかしどれくらい注入すれば良いんだこれは。一応リモコンに残量メーターはあるが、あったところでどう判断しろと。でも流石に全部注入するのは違う筈。だが、あぁ、くそ。

「っは、ぁ、ぐ……っ!」

 いくら何でももう十分だろうと潤滑油の注入をOFFにした私は、ずるりと潤滑油のボトルを引き抜いた。
 
 やっと終わった……と一瞬開放感に浸るが、本番はここからである。
 私は深く息を吐くと、病院から貰ってきた偽卵を見やり、思わず羽を強張らせた。

 ……本当に入るのか?これが??私の総排出口に???

 明らかに物理法則を無視しているサイズだと言いたくもなるが、女性の鳥人はこのサイズを産むのだというのだから無理だと断ずるわけにもいかない。

 タマゴを床に固定した台座に置いた私は、その上にゆっくりと臀部を、というか具体的には総排出口を下ろしていった。


「~~~ッづぁっ!?!!? ……!?」


 ──え、無理だ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

別れようと彼氏に言ったら泣いて懇願された挙げ句めっちゃ尽くされた

翡翠飾
BL
「い、いやだ、いや……。捨てないでっ、お願いぃ……。な、何でも!何でもするっ!金なら出すしっ、えっと、あ、ぱ、パシリになるから!」 そう言って涙を流しながら足元にすがり付くαである彼氏、霜月慧弥。ノリで告白されノリで了承したこの付き合いに、βである榊原伊織は頃合いかと別れを切り出したが、慧弥は何故か未練があるらしい。 チャライケメンα(尽くし体質)×物静かβ(尽くされ体質)の話。

王道学園の冷徹生徒会長、裏の顔がバレて総受けルート突入しちゃいました!え?逃げ場無しですか?

名無しのナナ氏
BL
王道学園に入学して1ヶ月でトップに君臨した冷徹生徒会長、有栖川 誠(ありすがわ まこと)。常に冷静で無表情、そして無言の誠を生徒達からは尊敬の眼差しで見られていた。 そんな彼のもう1つの姿は… どの企業にも属さないにも関わらず、VTuber界で人気を博した個人VTuber〈〈 アイリス 〉〉!? 本性は寂しがり屋の泣き虫。色々あって周りから誤解されまくってしまった結果アイリスとして素を出していた。そんなある日、生徒会の仕事を1人で黙々とやっている内に疲れてしまい__________ ※ ・非王道気味 ・固定カプ予定は無い ・悲しい過去🐜 ・話の流れが遅い ・作者が話の進行悩み過ぎてる

催眠アプリ(???)

あずき
BL
俺の性癖を詰め込んだバカみたいな小説です() 暖かい目で見てね☆(((殴殴殴

美しき父親の誘惑に、今宵も息子は抗えない

すいかちゃん
BL
大学生の数馬には、人には言えない秘密があった。それは、実の父親から身体の関係を強いられている事だ。次第に心まで父親に取り込まれそうになった数馬は、彼女を作り父親との関係にピリオドを打とうとする。だが、父の誘惑は止まる事はなかった。 実の親子による禁断の関係です。

隠れSubは大好きなDomに跪きたい

みー
BL
⚠️Dom/Subユニバース 一部オリジナル表現があります。 ハイランクDom×ハイランクSub

目が覚めたら囲まれてました

るんぱっぱ
BL
燈和(トウワ)は、いつも独りぼっちだった。 燈和の母は愛人で、すでに亡くなっている。愛人の子として虐げられてきた燈和は、ある日家から飛び出し街へ。でも、そこで不良とぶつかりボコボコにされてしまう。 そして、目が覚めると、3人の男が燈和を囲んでいて…話を聞くと、チカという男が燈和を拾ってくれたらしい。 チカに気に入られた燈和は3人と共に行動するようになる。 不思議な3人は、闇医者、若頭、ハッカー、と異色な人達で! 独りぼっちだった燈和が非日常な幸せを勝ち取る話。

【連載再開】絶対支配×快楽耐性ゼロすぎる受けの短編集

あかさたな!
BL
※全話おとな向けな内容です。 こちらの短編集は 絶対支配な攻めが、 快楽耐性ゼロな受けと楽しい一晩を過ごす 1話完結のハッピーエンドなお話の詰め合わせです。 不定期更新ですが、 1話ごと読切なので、サクッと楽しめるように作っていくつもりです。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーー 書きかけの長編が止まってますが、 短編集から久々に、肩慣らししていく予定です。 よろしくお願いします!

後輩が二人がかりで、俺をどんどん責めてくるー快楽地獄だー

天知 カナイ
BL
イケメン後輩二人があやしく先輩に迫って、おいしくいただいちゃう話です。

処理中です...