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ヴォルグ転生する
新しい世界
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んっ…
ここは?
強烈な光を浴びて気を失っていたヴォルグが目を覚ました。
体を動かすと、ジャランという音が響く。
鎖?
鎖の方を見ると、ヴォルグの両手は後ろ手に繋がれている。
囚われている?
いや。そもそもちゃんと自分の肉体がある。
死んだわけではないのか?
病室で死を迎えると覚悟してから、これまで訳のわからないことだらけだ…。
何が起こったは分からないが、今の自分の状況を整理してみよう。
鎖に繋がれている
何もない薄暗い部屋に、鉄格子
僅かなカビの匂い
これは昔からよく知っている
スレール王国の戦争時に使っていた、捕虜や罪人の収容所に似ている。
やはり俺はいま何者かに捕えられているのか。
更に体を動かすと、ひたたび鎖のジャラジャラとした音が響いた。
この音の反響の仕方は地下か。
「お前!目を覚ましたのか」
鎖の音を聞いて、門番らしき男がヴォルグが目を覚ましたことに気がついた。
「あぁ。ここは…どこだ?」
「ここはリヴェスタ王国だ。今、騎士団長と国王をお連れする」
そういうと門番は足早に牢の前から立ち去った。
リヴェスタ王国?
聞いたことのない国だ。
とりあえずは流れに身を任せるしかなさそうだな。
こんな状況でもヴォルグは冷静だった。
それは80年という年月を生き抜いた経験であり、一度は死を覚悟していたからに他ならない。
しばらく待っていると、先程の門番が数名の男を引き連れてきた。
先頭には派手な赤いマントと貴族らしい服装をした30代前半ぐらいの男
端正な顔立ちに気品がオーラのように漂っている。
両横には屈強そうな騎士が3人
先頭にいる男が口を開いた
「いきなりこのような状況におかれて混乱していることでしょうが、お許しください。私はこのリヴェスタ王国の国王、シャルル.リヴェスタと申します。貴殿のお名前は?」
やはりこの男が国王か。
「私はスレール王国の統治担当大臣ヴォルグと申します」
「スレール王国?聞いたことのない国ですね」
シャルルは少し首を傾けた。
「国王!やはりこいつはどこかの国からのスパイなのです。すぐにでも処刑すべきかと!」
横にいた騎士が怒声をあげる。
「ギルスさん。少しお待ちください。処刑などと軽々しく言わないでください。この方をどうするかは、少しお話を聞いてからでも遅くはありません」
シャルルがギルスという騎士をなだめる。
「ヴォルグさん。あなたのことを少しお聞かせ頂けませんか?」
ヴォルグは国王に聞かれた通り、自分のことを全て話した
スレールでの騎士としての活躍
大臣として過ごした実績
そして、80歳で病に倒れ、亡くなる寸前だったこと。
そして、死んだと思った矢先に今の状況にあることを。
「国王!やはりこやつは嘘をついています!80歳で病に倒れた?!どうみてもこいつは20代じゃないですか!」
ギルスがまた怒声をあげた。
えっ?
20代?
どういうことだ?
ヴォルグは鎖で繋がれるながらも自分の体を眺めてみる。
確かに肌に張りがある。
更に部屋を見回すと、牢屋の鉄格子の外には小さな鏡があり覗き込むと、自分の顔が映し出されていた。
これは…
確かに20代の頃の私…
若返っている。
ヴォルグはあまりの出来事に初めて気が動転した。
「その驚き方。あなた本当に元々80歳だったのですか?」
シャルルが問う。
ヴォルグの嘘偽りのない驚きの表情は、信憑性のあるものだった。
「しかし、私達も簡単にあなたを信用するわけにはいきません」
まずは、あなたの置かれている状況をお話しましょう。
ここは?
強烈な光を浴びて気を失っていたヴォルグが目を覚ました。
体を動かすと、ジャランという音が響く。
鎖?
鎖の方を見ると、ヴォルグの両手は後ろ手に繋がれている。
囚われている?
いや。そもそもちゃんと自分の肉体がある。
死んだわけではないのか?
病室で死を迎えると覚悟してから、これまで訳のわからないことだらけだ…。
何が起こったは分からないが、今の自分の状況を整理してみよう。
鎖に繋がれている
何もない薄暗い部屋に、鉄格子
僅かなカビの匂い
これは昔からよく知っている
スレール王国の戦争時に使っていた、捕虜や罪人の収容所に似ている。
やはり俺はいま何者かに捕えられているのか。
更に体を動かすと、ひたたび鎖のジャラジャラとした音が響いた。
この音の反響の仕方は地下か。
「お前!目を覚ましたのか」
鎖の音を聞いて、門番らしき男がヴォルグが目を覚ましたことに気がついた。
「あぁ。ここは…どこだ?」
「ここはリヴェスタ王国だ。今、騎士団長と国王をお連れする」
そういうと門番は足早に牢の前から立ち去った。
リヴェスタ王国?
聞いたことのない国だ。
とりあえずは流れに身を任せるしかなさそうだな。
こんな状況でもヴォルグは冷静だった。
それは80年という年月を生き抜いた経験であり、一度は死を覚悟していたからに他ならない。
しばらく待っていると、先程の門番が数名の男を引き連れてきた。
先頭には派手な赤いマントと貴族らしい服装をした30代前半ぐらいの男
端正な顔立ちに気品がオーラのように漂っている。
両横には屈強そうな騎士が3人
先頭にいる男が口を開いた
「いきなりこのような状況におかれて混乱していることでしょうが、お許しください。私はこのリヴェスタ王国の国王、シャルル.リヴェスタと申します。貴殿のお名前は?」
やはりこの男が国王か。
「私はスレール王国の統治担当大臣ヴォルグと申します」
「スレール王国?聞いたことのない国ですね」
シャルルは少し首を傾けた。
「国王!やはりこいつはどこかの国からのスパイなのです。すぐにでも処刑すべきかと!」
横にいた騎士が怒声をあげる。
「ギルスさん。少しお待ちください。処刑などと軽々しく言わないでください。この方をどうするかは、少しお話を聞いてからでも遅くはありません」
シャルルがギルスという騎士をなだめる。
「ヴォルグさん。あなたのことを少しお聞かせ頂けませんか?」
ヴォルグは国王に聞かれた通り、自分のことを全て話した
スレールでの騎士としての活躍
大臣として過ごした実績
そして、80歳で病に倒れ、亡くなる寸前だったこと。
そして、死んだと思った矢先に今の状況にあることを。
「国王!やはりこやつは嘘をついています!80歳で病に倒れた?!どうみてもこいつは20代じゃないですか!」
ギルスがまた怒声をあげた。
えっ?
20代?
どういうことだ?
ヴォルグは鎖で繋がれるながらも自分の体を眺めてみる。
確かに肌に張りがある。
更に部屋を見回すと、牢屋の鉄格子の外には小さな鏡があり覗き込むと、自分の顔が映し出されていた。
これは…
確かに20代の頃の私…
若返っている。
ヴォルグはあまりの出来事に初めて気が動転した。
「その驚き方。あなた本当に元々80歳だったのですか?」
シャルルが問う。
ヴォルグの嘘偽りのない驚きの表情は、信憑性のあるものだった。
「しかし、私達も簡単にあなたを信用するわけにはいきません」
まずは、あなたの置かれている状況をお話しましょう。
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