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番外編 『侍と忍』
警護任務③
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トシキはアキラの発言が気に掛かった
「アキラ!どういうことだ?
お前何か知っているのか?」
トシキは血相を変えてアキラに問う。
「知らねーよ。
ただ気になってることはある」
「気になってること…?」
「あぁ。一緒に巡回してればお前も感じると思う」
アキラがそういうのであれば、きっと何かがあるのだろう。
「それよりトシキ…」
「なんだ?」
「酒飲んでもいいか?ちょびっとだけ」
「ダメに決まってんだろ!!任務中だぞ!」
アキラは大の酒好きだ。
腰にはいつも酒の入った瓢箪を持ち歩いている程に。
今までにアキラには何度も潰された記憶がある。
聖天衆の中でお酒でアキラに痛い目にあわされたことの無い隊員はいない。
「相変わらず堅いなぁ。もう深夜1時だぞ?
こんな時間に酔ってない方がおかしい」
何もおかしくはないだろ。
ったく。こいつの酒好きには困ったもんだ。
「なぁ、トシキ!頼む1口だけ!」
「ダメだ」
「分かったよ」
アキラは口を尖らせ拗ねたような表情を見せた。
その後しばらくアキラと社内の巡回を続ける。
各フロアを回っていくが今のところ異常は感じられない。
アキラの言ってた気になることって一体なんなんだ…。
12階のフロアを歩いていると、向かいからM &Sの警備員が歩いてきた。
「お疲れ様です。何か異常はありませんでしたか?」
歩きながらトシキが警備員に聞く。
「いえ。今のところ特には」
警備員はそう言いトシキの横をすれ違ってゆく。
すれ違った瞬間
トシキは一瞬 全身の血が逆流するような感覚に襲われた。
なんだ今の感覚は…
警備員はそのまま通路の角を曲がってゆく。
「トシキ。お前も感じたか?
俺1人の思い過ごしかと思ってたが…」
アキラが小声で聞いてきた。
「あぁ。あの警備員。一瞬だけだが変な気配がした」
これがアキラの言っていた気になることか。
私に「わからない」と答えた時にアキラが「だろうな」と言ったのは、モニター越しでは分からなくて当たり前ということだったのか。
「アキラ。あの警備員は何か怪しい。
後を追うぞ」
警備員の後を追いかけようと、トシキとアキラも通路の角を曲がる。
しかしそこには既に警備員の姿はなかった。
すると次の瞬間背後に殺気を感じた。
「気付いたか。国賊の狗どもが」
トシキとアキラが背後を振り返ると同時に警備員は2本の小太刀を振るう。
トシキとアキラはすぐさまステップをし、小太刀を躱し距離を置いた。
こいつ…只者じゃない。
「お前…何者だ?
それに国賊の狗とはどういうことだ?」
「貴様らと交わす言葉などないわ」
警備員は服を脱ぎ捨てると下から黒い装束が現れた。
トシキらその装束に見覚えがあった。
「お前。その装束!! まさか月影一族か!」
「ほぅ。我らを知っておるか」
「おいトシキ。月影一族ってあの忍者衆の月影か?」
月影一族。
約300年前にジャカンを支配していた徳山将軍お抱えの隠密集団。
暗殺、諜報、破壊工作など様々な場面で暗躍したジャカンの歴史上もっとも有名な忍者集団だ。
隠密行動を得意としていたが、戦闘能力も非常に高く、大きな戦では先陣を切って戦っていたこともあるという。
徳山幕府の崩壊と共に歴史の闇に姿を消していたのだが、まだ受継ぐ者がいたのか。
伝説で謳われるままの強さが受け継がれているのなら決して油断は出来ない相手だ。
トシキはすぐに刀の柄に手を掛けた。
「アキラ!どういうことだ?
お前何か知っているのか?」
トシキは血相を変えてアキラに問う。
「知らねーよ。
ただ気になってることはある」
「気になってること…?」
「あぁ。一緒に巡回してればお前も感じると思う」
アキラがそういうのであれば、きっと何かがあるのだろう。
「それよりトシキ…」
「なんだ?」
「酒飲んでもいいか?ちょびっとだけ」
「ダメに決まってんだろ!!任務中だぞ!」
アキラは大の酒好きだ。
腰にはいつも酒の入った瓢箪を持ち歩いている程に。
今までにアキラには何度も潰された記憶がある。
聖天衆の中でお酒でアキラに痛い目にあわされたことの無い隊員はいない。
「相変わらず堅いなぁ。もう深夜1時だぞ?
こんな時間に酔ってない方がおかしい」
何もおかしくはないだろ。
ったく。こいつの酒好きには困ったもんだ。
「なぁ、トシキ!頼む1口だけ!」
「ダメだ」
「分かったよ」
アキラは口を尖らせ拗ねたような表情を見せた。
その後しばらくアキラと社内の巡回を続ける。
各フロアを回っていくが今のところ異常は感じられない。
アキラの言ってた気になることって一体なんなんだ…。
12階のフロアを歩いていると、向かいからM &Sの警備員が歩いてきた。
「お疲れ様です。何か異常はありませんでしたか?」
歩きながらトシキが警備員に聞く。
「いえ。今のところ特には」
警備員はそう言いトシキの横をすれ違ってゆく。
すれ違った瞬間
トシキは一瞬 全身の血が逆流するような感覚に襲われた。
なんだ今の感覚は…
警備員はそのまま通路の角を曲がってゆく。
「トシキ。お前も感じたか?
俺1人の思い過ごしかと思ってたが…」
アキラが小声で聞いてきた。
「あぁ。あの警備員。一瞬だけだが変な気配がした」
これがアキラの言っていた気になることか。
私に「わからない」と答えた時にアキラが「だろうな」と言ったのは、モニター越しでは分からなくて当たり前ということだったのか。
「アキラ。あの警備員は何か怪しい。
後を追うぞ」
警備員の後を追いかけようと、トシキとアキラも通路の角を曲がる。
しかしそこには既に警備員の姿はなかった。
すると次の瞬間背後に殺気を感じた。
「気付いたか。国賊の狗どもが」
トシキとアキラが背後を振り返ると同時に警備員は2本の小太刀を振るう。
トシキとアキラはすぐさまステップをし、小太刀を躱し距離を置いた。
こいつ…只者じゃない。
「お前…何者だ?
それに国賊の狗とはどういうことだ?」
「貴様らと交わす言葉などないわ」
警備員は服を脱ぎ捨てると下から黒い装束が現れた。
トシキらその装束に見覚えがあった。
「お前。その装束!! まさか月影一族か!」
「ほぅ。我らを知っておるか」
「おいトシキ。月影一族ってあの忍者衆の月影か?」
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隠密行動を得意としていたが、戦闘能力も非常に高く、大きな戦では先陣を切って戦っていたこともあるという。
徳山幕府の崩壊と共に歴史の闇に姿を消していたのだが、まだ受継ぐ者がいたのか。
伝説で謳われるままの強さが受け継がれているのなら決して油断は出来ない相手だ。
トシキはすぐに刀の柄に手を掛けた。
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