Bonds〜最強勇者と最強女魔王が異世界からやってきた〜

ひがしの くも

文字の大きさ
上 下
115 / 117
番外編 『侍と忍』

警護任務③

しおりを挟む
トシキはアキラの発言が気に掛かった

「アキラ!どういうことだ?
お前何か知っているのか?」

トシキは血相を変えてアキラに問う。

「知らねーよ。
ただ気になってることはある」

「気になってること…?」

「あぁ。一緒に巡回してればお前も感じると思う」

アキラがそういうのであれば、きっと何かがあるのだろう。

「それよりトシキ…」

「なんだ?」

「酒飲んでもいいか?ちょびっとだけ」

「ダメに決まってんだろ!!任務中だぞ!」

アキラは大の酒好きだ。
腰にはいつも酒の入った瓢箪を持ち歩いている程に。
今までにアキラには何度も潰された記憶がある。
聖天衆の中でお酒でアキラに痛い目にあわされたことの無い隊員はいない。

「相変わらず堅いなぁ。もう深夜1時だぞ?
こんな時間に酔ってない方がおかしい」

何もおかしくはないだろ。
ったく。こいつの酒好きには困ったもんだ。

「なぁ、トシキ!頼む1口だけ!」

「ダメだ」

「分かったよ」

アキラは口を尖らせ拗ねたような表情を見せた。



その後しばらくアキラと社内の巡回を続ける。

各フロアを回っていくが今のところ異常は感じられない。
アキラの言ってた気になることって一体なんなんだ…。

12階のフロアを歩いていると、向かいからM &Sの警備員が歩いてきた。

「お疲れ様です。何か異常はありませんでしたか?」

歩きながらトシキが警備員に聞く。

「いえ。今のところ特には」

警備員はそう言いトシキの横をすれ違ってゆく。

すれ違った瞬間
トシキは一瞬 全身の血が逆流するような感覚に襲われた。

なんだ今の感覚は…

警備員はそのまま通路の角を曲がってゆく。

「トシキ。お前も感じたか?
俺1人の思い過ごしかと思ってたが…」

アキラが小声で聞いてきた。

「あぁ。あの警備員。一瞬だけだが変な気配がした」

これがアキラの言っていた気になることか。
私に「わからない」と答えた時にアキラが「だろうな」と言ったのは、モニター越しでは分からなくて当たり前ということだったのか。

「アキラ。あの警備員は何か怪しい。
後を追うぞ」


警備員の後を追いかけようと、トシキとアキラも通路の角を曲がる。
しかしそこには既に警備員の姿はなかった。

すると次の瞬間背後に殺気を感じた。

「気付いたか。国賊の狗どもが」

トシキとアキラが背後を振り返ると同時に警備員は2本の小太刀を振るう。

トシキとアキラはすぐさまステップをし、小太刀を躱し距離を置いた。

こいつ…只者じゃない。

「お前…何者だ?
それに国賊の狗とはどういうことだ?」

「貴様らと交わす言葉などないわ」

警備員は服を脱ぎ捨てると下から黒い装束が現れた。
トシキらその装束に見覚えがあった。

「お前。その装束!! まさか月影一族か!」

「ほぅ。我らを知っておるか」

「おいトシキ。月影一族ってあの忍者衆の月影か?」

月影一族。
約300年前にジャカンを支配していた徳山将軍お抱えの隠密集団。
暗殺、諜報、破壊工作など様々な場面で暗躍したジャカンの歴史上もっとも有名な忍者集団だ。

隠密行動を得意としていたが、戦闘能力も非常に高く、大きな戦では先陣を切って戦っていたこともあるという。

徳山幕府の崩壊と共に歴史の闇に姿を消していたのだが、まだ受継ぐ者がいたのか。

伝説で謳われるままの強さが受け継がれているのなら決して油断は出来ない相手だ。

トシキはすぐに刀の柄に手を掛けた。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~

いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。 他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。 「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。 しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。 1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化! 自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働! 「転移者が世界を良くする?」 「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」 追放された少年の第2の人生が、始まる――! ※本作品は他サイト様でも掲載中です。

転移した場所が【ふしぎな果実】で溢れていた件

月風レイ
ファンタジー
 普通の高校2年生の竹中春人は突如、異世界転移を果たした。    そして、異世界転移をした先は、入ることが禁断とされている場所、神の園というところだった。  そんな慣習も知りもしない、春人は神の園を生活圏として、必死に生きていく。  そこでしか成らない『ふしぎな果実』を空腹のあまり口にしてしまう。  そして、それは世界では幻と言われている祝福の果実であった。  食料がない春人はそんなことは知らず、ふしぎな果実を米のように常食として喰らう。  不思議な果実の恩恵によって、規格外に強くなっていくハルトの、異世界冒険大ファンタジー。  大修正中!今週中に修正終え更新していきます!

神の宝物庫〜すごいスキルで楽しい人生を〜

月風レイ
ファンタジー
 グロービル伯爵家に転生したカインは、転生後憧れの魔法を使おうとするも、魔法を発動することができなかった。そして、自分が魔法が使えないのであれば、剣を磨こうとしたところ、驚くべきことを告げられる。  それは、この世界では誰でも6歳にならないと、魔法が使えないということだ。この世界には神から与えられる、恩恵いわばギフトというものがかって、それをもらうことで初めて魔法やスキルを行使できるようになる。  と、カインは自分が無能なのだと思ってたところから、6歳で行う洗礼の儀でその運命が変わった。  洗礼の儀にて、この世界の邪神を除く、12神たちと出会い、12神全員の祝福をもらい、さらには恩恵として神をも凌ぐ、とてつもない能力を入手した。  カインはそのとてつもない能力をもって、周りの人々に支えられながらも、異世界ファンタジーという夢溢れる、憧れの世界を自由気ままに創意工夫しながら、楽しく過ごしていく。

成長チートと全能神

ハーフ
ファンタジー
居眠り運転の車から20人の命を救った主人公,神代弘樹は実は全能神と魂が一緒だった。人々の命を救った彼は全能神の弟の全智神に成長チートをもらって伯爵の3男として転生する。成長チートと努力と知識と加護で最速で進化し無双する。 戦い、商業、政治、全てで彼は無双する!! ____________________________ 質問、誤字脱字など感想で教えてくださると嬉しいです。

凡人がおまけ召喚されてしまった件

根鳥 泰造
ファンタジー
 勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。  仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。  それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。  異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。  最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。  だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。  祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。

お願いだから俺に構わないで下さい

大味貞世氏
ファンタジー
高校2年の9月。 17歳の誕生日に甲殻類アレルギーショックで死去してしまった燻木智哉。 高校1年から始まったハブりイジメが原因で自室に引き籠もるようになっていた彼は。 本来の明るい楽観的な性格を失い、自棄から自滅願望が芽生え。 折角貰った転生のチャンスを不意に捨て去り、転生ではなく自滅を望んだ。 それは出来ないと天使は言い、人間以外の道を示した。 これは転生後の彼の魂が辿る再生の物語。 有り触れた異世界で迎えた新たな第一歩。その姿は一匹の…

隣国から有能なやつが次から次へと追放されてくるせいで気づいたらうちの国が大国になっていた件

さそり
ファンタジー
カーマ王国の王太子であるアルス・カーマインは父親である王が亡くなったため、大して興味のない玉座に就くことになる。 これまでと変わらず、ただ国が存続することだけを願うアルスだったが、なぜか周辺国から次々と有能な人材がやってきてしまう。 その結果、カーマ王国はアルスの意思に反して、大国への道を歩んでいくことになる。

魔王が間違って召喚された俺で大丈夫だろうか

藤丸セブン
ファンタジー
万引きを犯した高校生黒瀬悠馬が異世界の魔王となり、仲間と共に悪の勇者を倒していく異世界バトルコメディ!

処理中です...