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ハイエルフの里
グレンの企み
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小鳥達の騒々しいさえずりクリスは目を覚ました。
朝か…。
この妖樹の森は日中でも薄暗い。
日が昇ったと判断できるのはこの小鳥達の活動が始まり、さえずりが騒々しくなることだと、2日目の朝に気がついた。
マオさんは昨日で全ての家屋と書物を調べ終えたようで、今日このハイエルフの集落を後にする。
マオさんの必死の捜索も虚しく何も得ることはなかった。
それにしても昨晩、マオさんとジークはずぶ濡れになって帰ってきたけど、アレはなんだったんだろうか?
帰ってきたあとも全く口をきかなかったし。
この里で得るものが無くてイライラして喧嘩でもしたのだろうか?
クリスは色々を考えてみるが答えは出なかった。
妖樹の森を抜けて当てもなく南東に向かって3日程旅をしていると、久々に電話が鳴った。
「はい」
マオさんが電話に出る。
「お久しぶりです。
ブァルファーレのグレンです」
マオさんは電話をスピーカーにしてくれたのでうちらにもその声は聞こえた。
「久しぶりね。元気してる?」
「はい。おかげさまで私も国民も皆平和に暮らしています」
「それで、今日は一体どうしたの?」
「龍神族に関しての情報が入ってきたので、お伝えしようと」
龍神族という言葉に全員がピクリと反応した。
「ありがとう。どんな情報なの?」
「龍神族が探す宝玉は残り1個という所まできているようです」
「残り1個!」
つまり、あと1つの宝玉が見つかれば龍神族は完全に復活をする。
「はい。龍神族はかなりの人数が復活を果たしたので、残りの宝玉を探す部隊と、様々な種族を襲い配下に加えて勢力を拡大する部隊に分かれ行動をしており、既にかなりの人数が龍神族の配下にくだったと報告されています」
「どれぐらいの人数だ?」
「報告では龍神族の配下は4万人を超えたと」
「4万!!!」
その数を聞き、全員が驚いた。
「あの魔力供給で強化された兵が4万もいるとなるとかなりやっかいだな。たとえ人数で勝っていても、はっきり言って一国レベルでは太刀打ちできないぞ。」
さすがのジークも眉間に皺を寄せた。
「恐らくこれからはもっと勢力を拡大しにかかるでしょう」
「でしょうね。かつての大戦では10万を超える兵を抱えていて敗戦したこともあるし、もっと戦力を拡大していくでしょうね。」
マオさんも眉間に皺を寄せた。
「はい。そこでマオさん達に1つお願いがあるんです」
グレンが真剣な口調で話し始めた。
「なに?」
「実は私達は最後の黒き宝玉の在り処を突き止めたんです。
恐らくは龍神族がその情報を仕入れるのも時間の問題でしょう。
その宝玉を先に奪取して頂きたいのです」
「そういうことか」
ジークがフッと軽く笑った。
「俺たちを利用しようとは、流石グレンだな」
「ジーク。一体どういうことですか?」
思わず私が問いかけた。
「最後の宝玉を取りに行けば、龍神族と交戦になる可能性が高い。
そうすればマオちゃんの魔王剣を持っている四龍貴族に出くわす可能性も高い。
万が一、四龍貴族に出会わなくても、俺たちが宝玉を手に入れれば、必ず追っ手がくる。
追っ手を返り討ちにしていけば、いつかは四龍貴族にぶち当たるわけだ。
俺たちとっては一番手っ取り早く魔王剣にたどり着けるチャンス。
そして、そうやって俺たちと龍神族をぶつけ、俺たちが元の世界に帰る前に少しでも龍神族を掃除させようって魂胆だろう」
「しかも私達が元の異世界に帰る時にその宝玉を持って帰らせれば、この地でその封印が解かれることはない。
つまり龍神族の数も増えないし、配下への魔力供給もこれ以上増えない。
数万の配下がこれ以上強くならないっていうだけでも大きな置き土産ね」
マオさんが補足をした。
「さすがマオさんとジークさん。
全てを語らずともそこまで理解して頂けるとは」
電話越して顔は見えないが、グレンはきっとニヤリと笑っているのだろう。
それにしても、あんな小心者っぽかったグレンがこんなに立派な王になるとはな。
「正直めんどくさいが、それが元の世界に戻る最短の道のりっぽいな。
グレン。その話乗ってやる。最後の宝玉の在り処はどこだ?」
ジークがグレンに聞く。
「ロンギ族という種族が持っています。
1200年前の大戦では人間側の連合軍の中で最強と言われた種族です。ロンギ族は10賢者には名を連ねていないため、最後まで存在がバレなかったのでしょう」
「ロンギ族…。
そのロンギ族ってのはどこにいるんだ?」
「彼らは特定の場所に留まらない遊牧民族です。
恐らくそれも黒き宝玉の場所を特定させない為だと思いますが。
私達の得た情報では、数日前にトワロ平原にいたということです」
「どこだ?そのトワロ平原って」
「トワロ平原とはトワイザランの領地のすぐ西に広がる平原です」
クリスは地図を広げジークに説明をした。
「かなり広い平原だな。探すのに骨が折れそうだ。だけど今はこれしか手掛かりがない。
とりあえずそのトワロ平原に向かうか」
「ありがとうございます。ご武運を祈ります」
そういうとグレンは電話を切った。
私達はそのままトワロ平原に向けて出発することになった。
そのトロワ平原で想像を絶する事態が起こるとは知らずに………
朝か…。
この妖樹の森は日中でも薄暗い。
日が昇ったと判断できるのはこの小鳥達の活動が始まり、さえずりが騒々しくなることだと、2日目の朝に気がついた。
マオさんは昨日で全ての家屋と書物を調べ終えたようで、今日このハイエルフの集落を後にする。
マオさんの必死の捜索も虚しく何も得ることはなかった。
それにしても昨晩、マオさんとジークはずぶ濡れになって帰ってきたけど、アレはなんだったんだろうか?
帰ってきたあとも全く口をきかなかったし。
この里で得るものが無くてイライラして喧嘩でもしたのだろうか?
クリスは色々を考えてみるが答えは出なかった。
妖樹の森を抜けて当てもなく南東に向かって3日程旅をしていると、久々に電話が鳴った。
「はい」
マオさんが電話に出る。
「お久しぶりです。
ブァルファーレのグレンです」
マオさんは電話をスピーカーにしてくれたのでうちらにもその声は聞こえた。
「久しぶりね。元気してる?」
「はい。おかげさまで私も国民も皆平和に暮らしています」
「それで、今日は一体どうしたの?」
「龍神族に関しての情報が入ってきたので、お伝えしようと」
龍神族という言葉に全員がピクリと反応した。
「ありがとう。どんな情報なの?」
「龍神族が探す宝玉は残り1個という所まできているようです」
「残り1個!」
つまり、あと1つの宝玉が見つかれば龍神族は完全に復活をする。
「はい。龍神族はかなりの人数が復活を果たしたので、残りの宝玉を探す部隊と、様々な種族を襲い配下に加えて勢力を拡大する部隊に分かれ行動をしており、既にかなりの人数が龍神族の配下にくだったと報告されています」
「どれぐらいの人数だ?」
「報告では龍神族の配下は4万人を超えたと」
「4万!!!」
その数を聞き、全員が驚いた。
「あの魔力供給で強化された兵が4万もいるとなるとかなりやっかいだな。たとえ人数で勝っていても、はっきり言って一国レベルでは太刀打ちできないぞ。」
さすがのジークも眉間に皺を寄せた。
「恐らくこれからはもっと勢力を拡大しにかかるでしょう」
「でしょうね。かつての大戦では10万を超える兵を抱えていて敗戦したこともあるし、もっと戦力を拡大していくでしょうね。」
マオさんも眉間に皺を寄せた。
「はい。そこでマオさん達に1つお願いがあるんです」
グレンが真剣な口調で話し始めた。
「なに?」
「実は私達は最後の黒き宝玉の在り処を突き止めたんです。
恐らくは龍神族がその情報を仕入れるのも時間の問題でしょう。
その宝玉を先に奪取して頂きたいのです」
「そういうことか」
ジークがフッと軽く笑った。
「俺たちを利用しようとは、流石グレンだな」
「ジーク。一体どういうことですか?」
思わず私が問いかけた。
「最後の宝玉を取りに行けば、龍神族と交戦になる可能性が高い。
そうすればマオちゃんの魔王剣を持っている四龍貴族に出くわす可能性も高い。
万が一、四龍貴族に出会わなくても、俺たちが宝玉を手に入れれば、必ず追っ手がくる。
追っ手を返り討ちにしていけば、いつかは四龍貴族にぶち当たるわけだ。
俺たちとっては一番手っ取り早く魔王剣にたどり着けるチャンス。
そして、そうやって俺たちと龍神族をぶつけ、俺たちが元の世界に帰る前に少しでも龍神族を掃除させようって魂胆だろう」
「しかも私達が元の異世界に帰る時にその宝玉を持って帰らせれば、この地でその封印が解かれることはない。
つまり龍神族の数も増えないし、配下への魔力供給もこれ以上増えない。
数万の配下がこれ以上強くならないっていうだけでも大きな置き土産ね」
マオさんが補足をした。
「さすがマオさんとジークさん。
全てを語らずともそこまで理解して頂けるとは」
電話越して顔は見えないが、グレンはきっとニヤリと笑っているのだろう。
それにしても、あんな小心者っぽかったグレンがこんなに立派な王になるとはな。
「正直めんどくさいが、それが元の世界に戻る最短の道のりっぽいな。
グレン。その話乗ってやる。最後の宝玉の在り処はどこだ?」
ジークがグレンに聞く。
「ロンギ族という種族が持っています。
1200年前の大戦では人間側の連合軍の中で最強と言われた種族です。ロンギ族は10賢者には名を連ねていないため、最後まで存在がバレなかったのでしょう」
「ロンギ族…。
そのロンギ族ってのはどこにいるんだ?」
「彼らは特定の場所に留まらない遊牧民族です。
恐らくそれも黒き宝玉の場所を特定させない為だと思いますが。
私達の得た情報では、数日前にトワロ平原にいたということです」
「どこだ?そのトワロ平原って」
「トワロ平原とはトワイザランの領地のすぐ西に広がる平原です」
クリスは地図を広げジークに説明をした。
「かなり広い平原だな。探すのに骨が折れそうだ。だけど今はこれしか手掛かりがない。
とりあえずそのトワロ平原に向かうか」
「ありがとうございます。ご武運を祈ります」
そういうとグレンは電話を切った。
私達はそのままトワロ平原に向けて出発することになった。
そのトロワ平原で想像を絶する事態が起こるとは知らずに………
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