上 下
110 / 117
ハイエルフの里

ハイエルフの里へ

しおりを挟む
レナルーラの戦も無事に終わり、レナルーラ国内には穏やかな生活が戻った。

クリス達はレナルーラに滞在し更に古代図書館で調べ物をした。1週間ほど調べてみたが、龍神族や1200年前の大戦、ファルファーに関する大した収穫はなかった。

しかし1つだけハイエルフに関わる情報が載っている本を発見した。

その本にはハイエルフの隠れ里の位置が記されていたのだ。
私たちはそのハイエルフの隠れ里を目指すことにした。

その本によるとレナルーラから少し南下した場所にある『妖樹の森』という所にあるらしい。

5日程かけて私達は妖樹の森に着いた。
妖樹とはよく言ったもので、この森の樹木は全て曲がりくねった形をし、おどろおどろしい雰囲気を醸し出している。
私はジーン=テイラーの住んでいた樹海によく似ていると思った。

きっとジーンさんも故郷に似た場所の方が落ち着くのだろうと納得した。

妖樹の森は樹木の密集度が高く、1本1本の樹木が大きく、陽の光をほぼ遮っている。
日中だというのに森の中は薄暗い。

私達は妖樹の森を2時間程歩いた。
ずっと似たような景色ばかりで、進んでいるのか、ぐるぐる同じ場所を回っているのかさえ分からない。

ジークが弱音を吐いて地面に座り込んだその時、マオさんがある物を発見した。

「みんな、ちょっと見て」

マオさんの前には小さな石碑のようなものがあった。
しかしその石碑はかなり風化していて、よく見なければただの岩と間違えそうな物だった。

「何か文字が書いてありますね。しかしこの国の言葉ではないようです」

トワイザランの騎士団の養成学校で各国の言語やわ学んだ私にすら分からない言語で何かが書かれていた。

「これは魔族の古代文字…」
マオさんがぼそりと言った

「読めるんですか!!?」

「あぁ。『我らが血筋の者よ、ここに手をかざせ。さすれば道は開かれん』と書いてある」

「我らが血筋。ハイエルフ族ということでしょうか?」

マオさんはゆっくりとその石碑に右手を翳した。
すると石碑は眩い光を放ち、私達の目を眩ませた。

ゆっくりと目を開けると、私たちは木で作られた家屋が立ち並ぶ集落の真ん中に立っていた。

「ここは……」
私とリガンは目をぱちくりさせながら辺りを見渡した。

「集落の場所がわからないように魔力で結界が張られていたんだな。
知らずに歩いてこの結界に触れると、集落の反対側まで知らずにワープするような結界が」

ジークが説明をしてくれた。
魔法とはそんなことまで出来るのか。
つくづく便利な物だと思った。

辺りを見渡すが、やはり人影はない。
家屋は約30軒程ある。ハイエルフとは少数種族だったのだろう。

「ここが…私達の故郷……?!」
マオさんは心に刻みつけるようにじっくりと辺りを見渡した。
結界を破り、この集落に入れたことは紛れもないハイエルフ族だという証明に他ならない。

どうせ誰もいない集落なので、私達は家屋の中なども見て回った。

どこの家にも高度な魔法の本が置いてある。
集会所のような場所の地面には何の魔法かは分からないが巨大な魔法陣が描かれたりしていた。

「なぁ、マオちゃん。
これだけ高度な魔法の知識を持っていた種族だ。
何かうちらがもっと簡単に帰れる方法や、マオちゃんたち魔族の魔素の問題を解決できるようなヒントはないのか?」

ジークがマオさんに尋ねた。

「私もそう思って色々と書物を見てみたけど、今のところは…。
でもジークの言う通り何か分かるかもしれないし、暫くここに滞在してみましょう」

こうして私達は暫くこのハイエルフの集落に滞在することになった。

しかしハイエルフの書物に書かれている言語はマオさんにしか読むことはできず、私達はマオさんが調べ物をしている間、何もすることがなかった。

とりあえず私とリガンはシグルドを相手に修行をした。
ジークは民家のベッドの上でゴロゴロとして過ごした。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~

いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。 他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。 「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。 しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。 1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化! 自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働! 「転移者が世界を良くする?」 「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」 追放された少年の第2の人生が、始まる――! ※本作品は他サイト様でも掲載中です。

神の宝物庫〜すごいスキルで楽しい人生を〜

月風レイ
ファンタジー
 グロービル伯爵家に転生したカインは、転生後憧れの魔法を使おうとするも、魔法を発動することができなかった。そして、自分が魔法が使えないのであれば、剣を磨こうとしたところ、驚くべきことを告げられる。  それは、この世界では誰でも6歳にならないと、魔法が使えないということだ。この世界には神から与えられる、恩恵いわばギフトというものがかって、それをもらうことで初めて魔法やスキルを行使できるようになる。  と、カインは自分が無能なのだと思ってたところから、6歳で行う洗礼の儀でその運命が変わった。  洗礼の儀にて、この世界の邪神を除く、12神たちと出会い、12神全員の祝福をもらい、さらには恩恵として神をも凌ぐ、とてつもない能力を入手した。  カインはそのとてつもない能力をもって、周りの人々に支えられながらも、異世界ファンタジーという夢溢れる、憧れの世界を自由気ままに創意工夫しながら、楽しく過ごしていく。

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】

ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった 【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。 累計400万ポイント突破しました。 応援ありがとうございます。】 ツイッター始めました→ゼクト  @VEUu26CiB0OpjtL

大工スキルを授かった貧乏貴族の養子の四男だけど、どうやら大工スキルは伝説の全能スキルだったようです

飼猫タマ
ファンタジー
田舎貴族の四男のヨナン・グラスホッパーは、貧乏貴族の養子。義理の兄弟達は、全員戦闘系のレアスキル持ちなのに、ヨナンだけ貴族では有り得ない生産スキルの大工スキル。まあ、養子だから仕方が無いんだけど。 だがしかし、タダの生産スキルだと思ってた大工スキルは、じつは超絶物凄いスキルだったのだ。その物凄スキルで、生産しまくって超絶金持ちに。そして、婚約者も出来て幸せ絶頂の時に嵌められて、人生ドン底に。だが、ヨナンは、有り得ない逆転の一手を持っていたのだ。しかも、その有り得ない一手を、本人が全く覚えてなかったのはお約束。 勿論、ヨナンを嵌めた奴らは、全員、ザマー百裂拳で100倍返し! そんなお話です。

王宮で汚職を告発したら逆に指名手配されて殺されかけたけど、たまたま出会ったメイドロボに転生者の技術力を借りて反撃します

有賀冬馬
ファンタジー
王国貴族ヘンリー・レンは大臣と宰相の汚職を告発したが、逆に濡れ衣を着せられてしまい、追われる身になってしまう。 妻は宰相側に寝返り、ヘンリーは女性不信になってしまう。 さらに差し向けられた追手によって左腕切断、毒、呪い状態という満身創痍で、命からがら雪山に逃げ込む。 そこで力尽き、倒れたヘンリーを助けたのは、奇妙なメイド型アンドロイドだった。 そのアンドロイドは、かつて大賢者と呼ばれた転生者の技術で作られたメイドロボだったのだ。 現代知識チートと魔法の融合技術で作られた義手を与えられたヘンリーが、独立勢力となって王国の悪を蹴散らしていく!

転移した場所が【ふしぎな果実】で溢れていた件

月風レイ
ファンタジー
 普通の高校2年生の竹中春人は突如、異世界転移を果たした。    そして、異世界転移をした先は、入ることが禁断とされている場所、神の園というところだった。  そんな慣習も知りもしない、春人は神の園を生活圏として、必死に生きていく。  そこでしか成らない『ふしぎな果実』を空腹のあまり口にしてしまう。  そして、それは世界では幻と言われている祝福の果実であった。  食料がない春人はそんなことは知らず、ふしぎな果実を米のように常食として喰らう。  不思議な果実の恩恵によって、規格外に強くなっていくハルトの、異世界冒険大ファンタジー。  大修正中!今週中に修正終え更新していきます!

勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!

よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です! 僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。 つねやま  じゅんぺいと読む。 何処にでもいる普通のサラリーマン。 仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・ 突然気分が悪くなり、倒れそうになる。 周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。 何が起こったか分からないまま、気を失う。 気が付けば電車ではなく、どこかの建物。 周りにも人が倒れている。 僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。 気が付けば誰かがしゃべってる。 どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。 そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。 想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。 どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。 一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・ ですが、ここで問題が。 スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・ より良いスキルは早い者勝ち。 我も我もと群がる人々。 そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。 僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。 気が付けば2人だけになっていて・・・・ スキルも2つしか残っていない。 一つは鑑定。 もう一つは家事全般。 両方とも微妙だ・・・・ 彼女の名は才村 友郁 さいむら ゆか。 23歳。 今年社会人になりたて。 取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。

処理中です...