Bonds〜最強勇者と最強女魔王が異世界からやってきた〜

ひがしの くも

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レナルーラ攻防戦

裏目

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翌日の午後、私達は領内の関所で待機をしている。
この関所はおとといに襲撃があったばかりの場所だ。

シグルド曰く、ウート族は今まで別々の場所から襲撃をしてきていたが、今回は意表をついてくる。今までと違う日数の感覚と、今まで同じ場所から襲撃してこなかったという2つの意表をついてくるはずだと。

それでも保険の為に他の場所にも兵を配置し、その中間点にも兵を置き、他の関所との情報の連携を取りやすくしていた。

そして、シグルドはこう言った。
『今までは兵を1000名程度しか派遣していなかったが、中途半端にしか対応しないから何度も攻めてくる。2度と侵略して来る気がなくなるように完膚なきまで叩き潰すために、兵を今まで以上に派遣しよう』と
その提案もあり、今回はレナルーラの総力の半分にあたる4000もの兵が待機をしていた。

私とリガンは襲撃に備え、外を眺めている。
極寒の地というだけあって、辺りは一面が雪だらけだ。
足場の悪い雪場での戦いは初めてだ。
さっきリガンと少し拳法の組手をしてみたが、雪に足を取られて踏ん張りが効かない。
しかも寒さ対策の為に、みんなかなりの厚着をしていて動きにくい。
マオさんのように、炎魔法で自分の周りだけ気温が調整できたらいいのだが、そんな繊細な魔法コントロールはまだ出来ない。

とにかく今回はこの慣れない環境で戦わなければならないらしい。

しかし、その日は待てども待てども、ウート族は襲撃をしてこなかった。
そして翌日も同じく待機をするが、その日もウート族は動かない。

これだけの兵を動かしておきながら何も起こらず、兵の中では少しずつシグルドへの不信感が囁かれ始めた。

その翌日ついにウート族は動いた。
シグルドの読みとは違い、今までと同じ日数の間隔。そして今までと同じように別の場所からの襲撃だった。
だがレナルーラが今まで以上に兵を配置していた効果か、ウート族もレナルーラもたいした被害も出さずにすぐに撤退をしていった。

「くっ!!今回までが陽動!きっと明後日にでもまた攻めてくるわ!!」

シグルドは再度意気込む。
しかし2日経ってもウート族は動かなかった。
そしてついにレナルーラの騎士達から不満が漏れ始めた。

『女に戦の何がわかるんだ?』
『所詮は部外者。いい加減な作戦立てやがって』
『勇者って言っても何も出来てないじゃないか』
そんな会話が聞こえてきた。
それでもシグルドは必死に耐え、次の作戦を考える。

そして前回の襲撃から3日目。
ウート族は思わぬ所から現れた。

「伝令!伝令!!ウート族が既に領内に入り、王宮へと向かっています!その数は約200!ウート族の全兵力だと思われます」

伝令の兵士が大声で叫びながら駆け込んできた。

「なんだって!!!?一体どうやって?」

シグルドもレナルーラの騎士達も驚きを隠せなかった。
一体何が起こっているんだ?
私達はある程度の人数を関所に残して、すぐにウート族の現れた場所に向かった。

「これは……」
ウート族の出現場所をみてシグルドは驚いた。
地中に大きな穴が空いていたのだ。

「そうか!領外から穴を掘ってきたのか!!これまではやはり陽動だったのね。レナルーラの兵を関所に集め、王宮内の護りを薄くするために!」

短期間でこれ程のトンネルを掘るとは、ウート族の怪力が成せる業だろう。
私達はすぐに王宮へと向かった。

城上町に着くと数人の怪我人が見えた。
そして王宮からは怒号が聞こえてくる。
王宮内で既に戦いが始まっているのだろう!

私達はすぐに王宮内に駆け込んだ。
そしてそこで私達はとんでもない光景を目の当たりにした。
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