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もう1人の勇者?!
勇者シグルド登場
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ダンレンを出てからも、私とリガンは毎日のように拳法の修行を続けた。
剣、体術、魔法、全てのバランスが取れてこそ本当の強さが手に入るのだと思ったからだ。
ダンレンを旅立ち3週間が経った。
あまり急いでいないことと、徒歩での移動ということもあり、のんびり、ゆっくりと私達は旅をしていた。
4人は森の中の道を歩いていた。
この森を抜ければ小さな街がある。
今日はそこまで移動してその街で泊まる予定だった。
しばらく森の中を歩いていると遠くから女性の叫び声が聞こえてきた。
私達はすぐにその場に駆けつけた。
するとそこには多くの野盗らしき者達に囲まれた馬車が見えた。
馬車は大きな荷物を積んでいる。
恐らくはあの荷物を野盗達に狙われたのだろう。
野盗の数は約30人か。
ただの野盗であれば私とリガンだけで楽勝だろう。
「ジーク、マオさん、ここは私とリガンで行きます」
「おぉ!頑張ってくれ!
俺はここで応援してるからな」
ジークはにっこりとした笑顔で答えた。
私は水鏡を抜き、リガンと共に野盗の群れに向かった。
その時。
「おぉーーりゃぁーーー!!」
野盗達の頭上から1人の女性が降ってきた。
その謎の女性は身の丈ほどもある長剣を抜き、野盗を蹴散らしてゆく。
その女性はとても強く、1人でも野盗を倒してしまいそうな勢いだったが、私とリガンも一応加勢に入った。
「なんだお前らは?」
「私達もたまたま通りかかったんです。
微力ながら加勢しますよ。隣のこいつもモンスターですが、悪い奴じゃありませんので!」
「おぉ!助かるぞ!」
私達はあっという間にあっさりと野盗達を片付けた。
馬車の一行は私達に礼を言い、謝礼をくれようとしたが、私達は断った。
謎の女性も困っている人を助けるのは当然と謝礼を受け取らなかった。
ジークとマオさんも合流した所で、謎の女性が話し始めた。
「いやーー!助かった!協力感謝するぞ!」
「いえいえ。当然のことをしたまでです。
ちなみにあなたはかなり強いですが、一体何者なんですか?」
「あたしか?あたしは聖剣『グリム』に選ばれし勇者、シグルドだ!」
「勇者!!!」
私達4人は大きな声を出して驚いた。
「おぉ!凄い驚き方だな!
そんなに伝説の勇者に出会えたことが感激かな?!それとも勇者が女で驚いているのか?」
別の世界とはいえ、ジークも勇者とは言い出しにくいかった。
「え!まぁ。初めて会ったもので驚いてしまって。その聖剣グリムって何なんですか?」
マオさんがシグルドに聞いた。
「おぉ!よく聞いてくれました。
これは1200年前の大戦で大戦士ムーアが使っていた剣です。
あたしはそのムーアの子孫なんです」
「大戦士ムーア!?」
私とリガンが更に驚いた。
「2人は大戦士ムーアを知っているのか?」
ジークが尋ねた。
私達は4人で小さな円を作り、シグルドに聞こえないように会話を始めた。
「大戦士ムーアは1200年前の大戦の英雄です。10人の賢者が封印魔法を発動する時間を稼ぐために龍神族を抑えたと」
「でも龍神族に聞いた話だと、それってファルファーがやったことじゃないの?ってことはそのムーアとファルファーは同一人物ってこと?」
マオさんが尋ねる。
「いえ。ファルファーとムーアは別人物のはずです」
「一体何がどうなってるの…?」
「わかりません。でも私達も詳しくわからない以上は、変に1200年前の大戦のことは話さない方がいいでしょう。それに勇者というのも1人じゃなきゃいけないなんて決まりもないわけですし、とりあえずこの場は普通に話しましょう」
「そうね」
私達は作っていた円を解き、シグルドと話を再開する。
「シグルドさんは一体何の旅をしているんですか?」
「ははは。勇者が旅をする目的は1つ。世の中の平和の為です!今は復活した龍神族を倒しす為に旅をしているの」
「さすがは勇者ですね!立派な目的ですわ」
マオさんはそう答えながらジークに白い目を向けた。
「あなた達は?」
マオさんは、自分達が勇者と魔王ということ、ハイエルフとファルファーの末裔ということを隠しながら、私達の旅の目的を話した。
異世界から転移をしてきたこと。
元の世界に戻る為には龍神族を捜さなければならないことを。
「そうだったんですか!
それならあたし達の目標は一緒です!
良かったら一緒に旅をしませんか?
やはり勇者としてはパーティを組まないと始まりませんし!」
シグルドはかなり強引な性格のようだ。
私達はシグルドの申し出を断りきれず、とりあえず次の街まで一緒に目指すこととなった。
剣、体術、魔法、全てのバランスが取れてこそ本当の強さが手に入るのだと思ったからだ。
ダンレンを旅立ち3週間が経った。
あまり急いでいないことと、徒歩での移動ということもあり、のんびり、ゆっくりと私達は旅をしていた。
4人は森の中の道を歩いていた。
この森を抜ければ小さな街がある。
今日はそこまで移動してその街で泊まる予定だった。
しばらく森の中を歩いていると遠くから女性の叫び声が聞こえてきた。
私達はすぐにその場に駆けつけた。
するとそこには多くの野盗らしき者達に囲まれた馬車が見えた。
馬車は大きな荷物を積んでいる。
恐らくはあの荷物を野盗達に狙われたのだろう。
野盗の数は約30人か。
ただの野盗であれば私とリガンだけで楽勝だろう。
「ジーク、マオさん、ここは私とリガンで行きます」
「おぉ!頑張ってくれ!
俺はここで応援してるからな」
ジークはにっこりとした笑顔で答えた。
私は水鏡を抜き、リガンと共に野盗の群れに向かった。
その時。
「おぉーーりゃぁーーー!!」
野盗達の頭上から1人の女性が降ってきた。
その謎の女性は身の丈ほどもある長剣を抜き、野盗を蹴散らしてゆく。
その女性はとても強く、1人でも野盗を倒してしまいそうな勢いだったが、私とリガンも一応加勢に入った。
「なんだお前らは?」
「私達もたまたま通りかかったんです。
微力ながら加勢しますよ。隣のこいつもモンスターですが、悪い奴じゃありませんので!」
「おぉ!助かるぞ!」
私達はあっという間にあっさりと野盗達を片付けた。
馬車の一行は私達に礼を言い、謝礼をくれようとしたが、私達は断った。
謎の女性も困っている人を助けるのは当然と謝礼を受け取らなかった。
ジークとマオさんも合流した所で、謎の女性が話し始めた。
「いやーー!助かった!協力感謝するぞ!」
「いえいえ。当然のことをしたまでです。
ちなみにあなたはかなり強いですが、一体何者なんですか?」
「あたしか?あたしは聖剣『グリム』に選ばれし勇者、シグルドだ!」
「勇者!!!」
私達4人は大きな声を出して驚いた。
「おぉ!凄い驚き方だな!
そんなに伝説の勇者に出会えたことが感激かな?!それとも勇者が女で驚いているのか?」
別の世界とはいえ、ジークも勇者とは言い出しにくいかった。
「え!まぁ。初めて会ったもので驚いてしまって。その聖剣グリムって何なんですか?」
マオさんがシグルドに聞いた。
「おぉ!よく聞いてくれました。
これは1200年前の大戦で大戦士ムーアが使っていた剣です。
あたしはそのムーアの子孫なんです」
「大戦士ムーア!?」
私とリガンが更に驚いた。
「2人は大戦士ムーアを知っているのか?」
ジークが尋ねた。
私達は4人で小さな円を作り、シグルドに聞こえないように会話を始めた。
「大戦士ムーアは1200年前の大戦の英雄です。10人の賢者が封印魔法を発動する時間を稼ぐために龍神族を抑えたと」
「でも龍神族に聞いた話だと、それってファルファーがやったことじゃないの?ってことはそのムーアとファルファーは同一人物ってこと?」
マオさんが尋ねる。
「いえ。ファルファーとムーアは別人物のはずです」
「一体何がどうなってるの…?」
「わかりません。でも私達も詳しくわからない以上は、変に1200年前の大戦のことは話さない方がいいでしょう。それに勇者というのも1人じゃなきゃいけないなんて決まりもないわけですし、とりあえずこの場は普通に話しましょう」
「そうね」
私達は作っていた円を解き、シグルドと話を再開する。
「シグルドさんは一体何の旅をしているんですか?」
「ははは。勇者が旅をする目的は1つ。世の中の平和の為です!今は復活した龍神族を倒しす為に旅をしているの」
「さすがは勇者ですね!立派な目的ですわ」
マオさんはそう答えながらジークに白い目を向けた。
「あなた達は?」
マオさんは、自分達が勇者と魔王ということ、ハイエルフとファルファーの末裔ということを隠しながら、私達の旅の目的を話した。
異世界から転移をしてきたこと。
元の世界に戻る為には龍神族を捜さなければならないことを。
「そうだったんですか!
それならあたし達の目標は一緒です!
良かったら一緒に旅をしませんか?
やはり勇者としてはパーティを組まないと始まりませんし!」
シグルドはかなり強引な性格のようだ。
私達はシグルドの申し出を断りきれず、とりあえず次の街まで一緒に目指すこととなった。
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