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承黒寺の乱
強さを求めて
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これは一体…。
クリスは困惑していた。
大会が終わり、少し休憩をした後に武僧を連れて承黒寺に戻ってきた。
長い階段を登り終えて、入り口を潜ったら、そこには何百人という人が倒れており、ジークとマオさんがヤオ老師に刀を向けていた。
「ヤオ老師!……これは一体…?」
四天王のリーダーとも言えるジュウザが叫ぶとヤオ老師とジーク達の動きが止まった。
「くっ……こ…これは…」
「おいおい、今更言い訳なんか考えないで、素直に言ったらどうなんだ?
自分は龍神族の配下に加わってて、大会で国中の武僧が戦い、傷付いた所を狙って国を乗っ取ろうとしてたってな」
なんだって!
ヤオ老師が龍神族の手下に!?
ジークその言葉に武僧達は全員氷ついたかのように固まった。
「ヤオ老師……今のジークさんの言葉は誠なのですか?」
四天王のヨウゼンが口を開いた。
「ぶははははは。
ヨウゼンよ。この状況を見れば一目瞭然だろう。その小僧の言う通りじゃ」
「ろうし……」
武僧達はただ立ち竦んでいた。
「ぶはははは。
お主らも今からでもワシと共に龍神族の配下にならんか?
力を分けてもらえて、素晴らしい力が手に入るぞ!
何年、何十年との修行の成果が一瞬で手に入るのじゃ」
「老師…。私達はあなたを心から尊敬していた。それなのに何故力に溺れてしまったのですか?!」
ヨウゼンは俯きながら言った。
「ヨウゼンよ。ワシは幼き頃から武を極めんと修練を続けてきた。最強を目指し武と向き合ってきた。
しかしの、ある年齢を過ぎた頃から体は衰え、どんなに修練を積んでもワシの武は弱くなる一方だった。
これ以上強くなれない自分にワシは心底がっかりした。
だけどな、力を手に入れる方法が見つかったのじゃ。
久々に歓喜に打ち震えたよ。
ヨウゼンはまだ若いからわからぬだろうが、お主も老いればわかる」
「そんなの分かりたくもないです。
あなたは肉体の衰えはあったかもしれないが、それでも技術を磨くことで全盛期以上の強さを持っていた。
浮雲や水如全拳、様々な技を編み出してきたのに」
「あぁ。本当に色んな技を編み出した。
しかし心の中にあるのは、もしこの技を全盛期の肉体、強さで使えたら、自分はどれだけ強いのか?
そんな興味ばかりが湧いてきての…」
「あなたは『強さ』というものに呪われてしまったのですね…」
「そうじゃ。わしが目指すは最強のみ。
どんな手段を使おうとも、その目的のためなら、例え生まれ育った土地であろうが、一緒に苦楽を共にした弟子達であろうが容赦はせぬ!」
ヤオはギラリと武僧達を睨んだ。
ヤオ老師の眼光に、武僧達は地に掴まれたように動けなくなっていた。
「おいおいじいさんよ。」
そこにジークが話に割って入った。
「武を志すのも、最強を目指すために手段を選ばないのも構わない。
だけどお前はその力を使って、この国を支配しようとしている。
国の支配なんか最強への道に必要なことなのか?」
「あぁ。必要じゃ。
この国を堕とし制圧することが、龍神族がワシに力を分け与える条件じゃったからの」
「とことん腐りきったな。
俺が引導渡してやるよ。かかってきな!
承黒寺の武僧もクリス、リガンも手を出すなよ。お前らじゃ相手にならん。足手まといになるだけだからな」
ジークのその言葉に武僧達は怒りを露わにし参戦しようとしていたが、ジークとマオの戦いぶりと手下達の強さを目の当たりにした次の瞬間、武僧達はジークの言った意味を理解し、その場に留まった。
龍神族の手下達は何故か、以前私達が戦った者達よりもかなり強い。
それでも四天王や私であれば倒すことは出来そうだが、ジークとマオさんは鬼神の如き強さで、敵を倒してく。
というより台風のように吹き飛ばしている。
うちらがあの中に入って行っても邪魔になるだけだとすぐに理解が出来た。
クリスは困惑していた。
大会が終わり、少し休憩をした後に武僧を連れて承黒寺に戻ってきた。
長い階段を登り終えて、入り口を潜ったら、そこには何百人という人が倒れており、ジークとマオさんがヤオ老師に刀を向けていた。
「ヤオ老師!……これは一体…?」
四天王のリーダーとも言えるジュウザが叫ぶとヤオ老師とジーク達の動きが止まった。
「くっ……こ…これは…」
「おいおい、今更言い訳なんか考えないで、素直に言ったらどうなんだ?
自分は龍神族の配下に加わってて、大会で国中の武僧が戦い、傷付いた所を狙って国を乗っ取ろうとしてたってな」
なんだって!
ヤオ老師が龍神族の手下に!?
ジークその言葉に武僧達は全員氷ついたかのように固まった。
「ヤオ老師……今のジークさんの言葉は誠なのですか?」
四天王のヨウゼンが口を開いた。
「ぶははははは。
ヨウゼンよ。この状況を見れば一目瞭然だろう。その小僧の言う通りじゃ」
「ろうし……」
武僧達はただ立ち竦んでいた。
「ぶはははは。
お主らも今からでもワシと共に龍神族の配下にならんか?
力を分けてもらえて、素晴らしい力が手に入るぞ!
何年、何十年との修行の成果が一瞬で手に入るのじゃ」
「老師…。私達はあなたを心から尊敬していた。それなのに何故力に溺れてしまったのですか?!」
ヨウゼンは俯きながら言った。
「ヨウゼンよ。ワシは幼き頃から武を極めんと修練を続けてきた。最強を目指し武と向き合ってきた。
しかしの、ある年齢を過ぎた頃から体は衰え、どんなに修練を積んでもワシの武は弱くなる一方だった。
これ以上強くなれない自分にワシは心底がっかりした。
だけどな、力を手に入れる方法が見つかったのじゃ。
久々に歓喜に打ち震えたよ。
ヨウゼンはまだ若いからわからぬだろうが、お主も老いればわかる」
「そんなの分かりたくもないです。
あなたは肉体の衰えはあったかもしれないが、それでも技術を磨くことで全盛期以上の強さを持っていた。
浮雲や水如全拳、様々な技を編み出してきたのに」
「あぁ。本当に色んな技を編み出した。
しかし心の中にあるのは、もしこの技を全盛期の肉体、強さで使えたら、自分はどれだけ強いのか?
そんな興味ばかりが湧いてきての…」
「あなたは『強さ』というものに呪われてしまったのですね…」
「そうじゃ。わしが目指すは最強のみ。
どんな手段を使おうとも、その目的のためなら、例え生まれ育った土地であろうが、一緒に苦楽を共にした弟子達であろうが容赦はせぬ!」
ヤオはギラリと武僧達を睨んだ。
ヤオ老師の眼光に、武僧達は地に掴まれたように動けなくなっていた。
「おいおいじいさんよ。」
そこにジークが話に割って入った。
「武を志すのも、最強を目指すために手段を選ばないのも構わない。
だけどお前はその力を使って、この国を支配しようとしている。
国の支配なんか最強への道に必要なことなのか?」
「あぁ。必要じゃ。
この国を堕とし制圧することが、龍神族がワシに力を分け与える条件じゃったからの」
「とことん腐りきったな。
俺が引導渡してやるよ。かかってきな!
承黒寺の武僧もクリス、リガンも手を出すなよ。お前らじゃ相手にならん。足手まといになるだけだからな」
ジークのその言葉に武僧達は怒りを露わにし参戦しようとしていたが、ジークとマオの戦いぶりと手下達の強さを目の当たりにした次の瞬間、武僧達はジークの言った意味を理解し、その場に留まった。
龍神族の手下達は何故か、以前私達が戦った者達よりもかなり強い。
それでも四天王や私であれば倒すことは出来そうだが、ジークとマオさんは鬼神の如き強さで、敵を倒してく。
というより台風のように吹き飛ばしている。
うちらがあの中に入って行っても邪魔になるだけだとすぐに理解が出来た。
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