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大武闘祭編
準決勝 クリスvsキラ
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クリスが目を醒ますと2回戦は全て終わっていた。
内臓はまだ軋むような痛みが残っているが、まだ戦えそうだ。
クリスは起き上がり対戦表を目にした。
私の次の相手は四天王のキラさんか。
他の対戦表にも目を移す。
リガンは順調に勝ち進んだようだ。
えっ!?
リガンの前の試合をみて驚いた。
四天王最強と言われていたジュウザさんが負けていたのだ。
ジュウザさんを倒した相手は宝燈寺のナタクという男だった。
この男は一体何者なんだ…?
リガンが選手待ち合い室に戻ってきた。
「リガンおめでとう!」
「ありがとう」
「次の相手なんだけど、このナタクっていうのは何者なんだ?
寝てて試合観てなかったんだ」
リガンの表情が曇った。
「かなり強かったよ。
ジュウザさんは四天王最強の名に恥じないぐらい強かった。
スピードもパワーも技のキレも今まで見てきた、フォンさん、キラさん、ヨウゼンさんよりも上だった。
だけどナタクは純粋にそのジュウザさんより強かったんだ」
「ナタクはこの国でヤオ老師の次に強いと言われている猛者だからな」
背後から誰かが話に割り込んできた。
振り返ると、四天王のキラさんが立っていた。
「宝燈寺は我が承黒寺とライバル的な関係にある寺でな。
門弟の数は遥かにうちの方が多いのだが、宝燈寺は突出した個の力を持っておる。
私やジュウザさんが1回戦で戦った相手も宝燈寺の武僧だったが、かなりの強敵だった。ナタクはその宝燈寺の筆頭だ」
私とリガンはゴクリと唾を飲んだ。
「だけど、その前に私とクリス殿の試合だ。
フォン、ヨウゼンと倒してきたようだが、その快進撃も私が止めてみせる。
楽しみにしているぞ」
キラさんは手を差し出してきたので、私はがっちりと握手をした。
準決勝が始まる。
会場の観客達は疲れるどころか、更に熱狂していた。
武舞台に私とキラさんが上がり構えをとると、歓声は更に大きくなった。
「今回は最初から本気でくるつもりなんですね?」
今回は最初から腕輪を外している。
ヨウゼンさんとの戦いでダメージを負いすぎた。
仮眠をとって多少は回復したものの、様子見などをしている余裕は私には残されていなかった。
試合開始の合図と共にキラとクリスは飛び出した。
キラの攻撃をクリスはひらりと躱した。
もしキラも水如全拳を使えたら…
という恐怖から、拳を受け止められなかった。
「恐怖に飲まれおったな!!
お主の攻撃は目に見えぬ程早いかもしれないな、逃げ腰の男の行動など、目で追えなくともわかるわ!!!」
キラの全力を込めた左中断蹴りがクリスの腹部にめり込んだ。
「ぐはぁっ!!」
強烈な蹴りにクリスは舞台の端まで吹き飛ばされた。
なんだこの強烈な蹴りは……。
明らかに破壊力が他の四天王のものと違う。
忘れかけていたヨウゼンから受けたダメージも
今の腹部の一撃で一気に蘇ってきた。
クリスは膝をガクガクさせながら立ち上がった。
「ちっ。今の一撃で決められなかったか…」
キラは舞台の隅にいるクリスに向かっていく。
クリスはすぐに身体能力強化を使い、キラの追撃を避け、蹴りを入れると、キラはそのまま場外まで吹っ飛んでいった。
「そこまで!!」
審判の声が響いた。
勝ったのか…?
こんなにもあっさりと?
キラが武舞台に戻ってきた。
「やっぱり強いな。あの1撃で決められなかった時点で俺の負けは決まってた」
「さっきの蹴りは何だったんですか?とてつもない威力でしたけど」
「あれは部分強化だ。
身体能力強化の魔法を片足だけに集中させたんだよ。
かなり繊細な魔力コントロールが必要になるから、激しく動き回ってる時とかにはなかなか使えなくてな。
水如全拳の幻影に怯えて、動きが読める最初の一手に全てを賭けていたんだ」
「部分強化……。
すごいです。そんな方法があったなんて!」
「試合はあっさり終わっちまったけど、いい勉強になっただろ?」
そういうとキラはクリスに背を向けて武舞台を降りていった。
「ありがとうございました!」
クリスはキラの背に向かって深くお辞儀をした。
内臓はまだ軋むような痛みが残っているが、まだ戦えそうだ。
クリスは起き上がり対戦表を目にした。
私の次の相手は四天王のキラさんか。
他の対戦表にも目を移す。
リガンは順調に勝ち進んだようだ。
えっ!?
リガンの前の試合をみて驚いた。
四天王最強と言われていたジュウザさんが負けていたのだ。
ジュウザさんを倒した相手は宝燈寺のナタクという男だった。
この男は一体何者なんだ…?
リガンが選手待ち合い室に戻ってきた。
「リガンおめでとう!」
「ありがとう」
「次の相手なんだけど、このナタクっていうのは何者なんだ?
寝てて試合観てなかったんだ」
リガンの表情が曇った。
「かなり強かったよ。
ジュウザさんは四天王最強の名に恥じないぐらい強かった。
スピードもパワーも技のキレも今まで見てきた、フォンさん、キラさん、ヨウゼンさんよりも上だった。
だけどナタクは純粋にそのジュウザさんより強かったんだ」
「ナタクはこの国でヤオ老師の次に強いと言われている猛者だからな」
背後から誰かが話に割り込んできた。
振り返ると、四天王のキラさんが立っていた。
「宝燈寺は我が承黒寺とライバル的な関係にある寺でな。
門弟の数は遥かにうちの方が多いのだが、宝燈寺は突出した個の力を持っておる。
私やジュウザさんが1回戦で戦った相手も宝燈寺の武僧だったが、かなりの強敵だった。ナタクはその宝燈寺の筆頭だ」
私とリガンはゴクリと唾を飲んだ。
「だけど、その前に私とクリス殿の試合だ。
フォン、ヨウゼンと倒してきたようだが、その快進撃も私が止めてみせる。
楽しみにしているぞ」
キラさんは手を差し出してきたので、私はがっちりと握手をした。
準決勝が始まる。
会場の観客達は疲れるどころか、更に熱狂していた。
武舞台に私とキラさんが上がり構えをとると、歓声は更に大きくなった。
「今回は最初から本気でくるつもりなんですね?」
今回は最初から腕輪を外している。
ヨウゼンさんとの戦いでダメージを負いすぎた。
仮眠をとって多少は回復したものの、様子見などをしている余裕は私には残されていなかった。
試合開始の合図と共にキラとクリスは飛び出した。
キラの攻撃をクリスはひらりと躱した。
もしキラも水如全拳を使えたら…
という恐怖から、拳を受け止められなかった。
「恐怖に飲まれおったな!!
お主の攻撃は目に見えぬ程早いかもしれないな、逃げ腰の男の行動など、目で追えなくともわかるわ!!!」
キラの全力を込めた左中断蹴りがクリスの腹部にめり込んだ。
「ぐはぁっ!!」
強烈な蹴りにクリスは舞台の端まで吹き飛ばされた。
なんだこの強烈な蹴りは……。
明らかに破壊力が他の四天王のものと違う。
忘れかけていたヨウゼンから受けたダメージも
今の腹部の一撃で一気に蘇ってきた。
クリスは膝をガクガクさせながら立ち上がった。
「ちっ。今の一撃で決められなかったか…」
キラは舞台の隅にいるクリスに向かっていく。
クリスはすぐに身体能力強化を使い、キラの追撃を避け、蹴りを入れると、キラはそのまま場外まで吹っ飛んでいった。
「そこまで!!」
審判の声が響いた。
勝ったのか…?
こんなにもあっさりと?
キラが武舞台に戻ってきた。
「やっぱり強いな。あの1撃で決められなかった時点で俺の負けは決まってた」
「さっきの蹴りは何だったんですか?とてつもない威力でしたけど」
「あれは部分強化だ。
身体能力強化の魔法を片足だけに集中させたんだよ。
かなり繊細な魔力コントロールが必要になるから、激しく動き回ってる時とかにはなかなか使えなくてな。
水如全拳の幻影に怯えて、動きが読める最初の一手に全てを賭けていたんだ」
「部分強化……。
すごいです。そんな方法があったなんて!」
「試合はあっさり終わっちまったけど、いい勉強になっただろ?」
そういうとキラはクリスに背を向けて武舞台を降りていった。
「ありがとうございました!」
クリスはキラの背に向かって深くお辞儀をした。
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