Bonds〜最強勇者と最強女魔王が異世界からやってきた〜

ひがしの くも

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拳法の国 ダンレン

ダンレン 承黒寺

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ダンレンはジャカンから比較的近く、船旅2日、陸路を2日でたどり着いた。
ダンレンは人口400万人程の小さな国だが、武僧の国としても有名だ。

国内に数カ所の寺があり、そこの寺では拳法を教えており、国民全員そのどれかの寺に所属をしている。
商人や一般的な仕事に就いている人達も必ずどこかしらの寺に所属をしており、休みのに日には修行に励むという、己の鍛錬に妥協を許さない厳しい国だ。

ジークじゃ絶対住めない国だろうな。

私達はダンレンの中にあるリャオトという街に着いた。
ジャカンとはまた一味違った、独特の雰囲気を持った街だった。
私達はそのまま街を1周回った。
龍神族に襲われたと聞いていたが、街には人が溢れていた。
所々壊れた家屋もあったが、みんな普通の日常生活を送っている。

私達は街の人たちに話を聞いて情報を集めた。
聞けば、2週間前に龍神族の襲撃にあったのだが、その時にこのダンレンで1番大きな寺の『承黒寺』の武僧達が龍神族を退けたのだという。

龍神族をも退けるとは。
それほどの実力を持った人達がいるのか!?
私達は龍神族が本当にマオさんの剣を持っていたのか、承黒寺の武僧達が龍神族を退ける程の猛者達なのかを調べに承黒寺へと向かった。

承黒寺はリャオトの街のハズレにあり、5000段もの階段を登った先にあるという。
私達がその階段を登っている間にも承黒寺の武僧と思われる人達が修行としてこの階段を昇り降りしていた。
さすがに修行中の人に話しかけて邪魔をするわけにもいかないので、私達は頂上のお寺を目指した。
ジークとマオさんは自分の足で階段は登らず、浮遊魔法を使ってフワフワと浮き、私とリガンのペースに合わせてくれている。
なんて便利な魔法なんだ。
私も早く浮遊魔法とか覚えたいな。

ようやく頂上に着いた。
石段を登り終えると、巨大な門があり、その門をくぐると、大きな広場になっていた。
広場では武僧達が数百人修行に励んでおり「はっ!はっ!」という掛け声があちこちから聞こえてくる。

「貴様ら何者だ!また龍神族の手先の者か!?」
武僧達が私達に気づいて修行をやめた!
私達は一瞬にして承黒寺の武僧に囲まれた。

なんか、アレフ族の時もそうだったけど、うちらってよく取り囲まれるな……

「あの!私達は龍神族の手先なんかじゃないんです!ただお話を伺いたくて来ただけなんです!」

武僧達の代表と思われる30代の男性が一歩前に出て来た。
「ふん。そんな言葉信じられるか!?
龍神族も最初はこのダンレンの地の様々な寺にスパイを送りこんでいた」

龍神族がわざわざそんなことをしたのか?
私の知る限りでは、いつも力任せのような襲撃ばかりだったのに。
それほどこのダンレンの武僧達を警戒していたということか?

「それによく見たら貴様ら、モンスターと一緒ではないか!!?」

しまった。
リガンのことだ。

「いや。あの…これは……」

「問答無用だ!!皆の者、こいつらを取り押さえろ!!」

その掛け声と同時に、武僧達が一斉に襲いかかってきた。
この寺の武僧達は武器を使わずに拳法を使うようだ。
軽やかな身のこなしで、間合いを詰められるが、私は身体能力強化魔法を使い、武僧達の攻撃をかわした。

「ジーク!マオさん!この状況どうしますか?手を出したらもう疑い晴れませんよ?」

攻撃を躱しながらマオさんとジークの方を振り返ると、既にマオさんとジークの周りには半数以上の武僧が倒れていた……。

この人達は一体何を考えてるんだ!!

「あっ!悪い!
何も考えてなかったわ!」

でしょうね!!
考えてたらこんな行動取るはずがない!
ジークだけならまだしもマオさんまで…。

ジーク達のあまりの強さに残りの武僧達は襲いかかるのを止め、後ずさりをした。

「皆の者!やめい!!!」
寺中に響き渡るような怒声が聞こえた。
その声に反応し、武装達は戦いの構えを解いた。

武僧達の奥から筋肉モリモリのデカイ老人が歩いてきた。
身長は2メートル程、見るからに60歳は超えていそうだが、腕も足も丸太の様に太く、シャツの上からでも腹筋が割れているのが分かる。
老人は白髪の長髪を束ねており、立派な白髪の顎髭も蓄えている。
すごい威圧感だ…。

「客人よ。門弟達が無礼を働いたようで申し訳ないな………ってみんなヤラれてるじゃん!!」

ジークとマオさんの周りに倒れた武僧達をみて老人は目が飛び出すほど驚いていた。

「あ!じぃさん悪いな!俺たちの方も無礼を働いちまった」
ジークがケラケラ笑った。

「小僧ども…なんてことをしてくれたのじゃ…」

「理由も聞かずにいきなり襲ってきたのはそっちの方だぞ?しかもこんな少人数に対して、それだけの大勢で取り囲んで!!
この寺はどんな教育をしてんだ!!
これは正当防衛だからな!」

「くっ……。確かに理由詳しく聞かずに襲いかかったこちらが悪い…」
ジークの屁理屈に老人は言葉を失った。

とりあえずこの場は一度収め、後ほどゆっくり話をすることになった。
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