Bonds〜最強勇者と最強女魔王が異世界からやってきた〜

ひがしの くも

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魔王の女心

炎龍王の瞳

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私は魔素という物が原因で、私達魔族に異常が出始めていることをジーンに話した。

「そうなのか。
その『魔素』ってやつのせいで種族全体に肉体的にも精神的にもガタがきてやがるんだな。
それなら尚更心配だろう。
早く元の世界に帰って、何か出来ることはないか探すといい。
……ん?そういえばお前がここに来た理由はそもそもなんだ?」

ハイエルフ族の話に夢中で大事なことをすっかり忘れていた。

「そうだ!私達はあなたに刀を作ってもらいたくて来たんです!」

「ほー。どんな刀が欲しいんだ?」

「魔法伝道と魔法増幅が出来るだけ高い刀を」

「魔法増幅が高い刀か。
ならばそれなりの素材が必要になってくるな」

「それなら大丈夫です!」
クリスがカバンから、ドルギアガの鱗を取り出した。

「これは?」

「神獣ドルギアガの鱗です」

「神獣の!?こいつぁたまげた!
久々にそんな良い素材みたぞ!
どこで拾ったんだ??」

私達はジーンにドルギアガとの闘いの話をした。

「なんてこった……。神獣と互角に戦ったのか!?
俺たちハイエルフは、確かに魔力は強かったが、そんな神獣に立ち向かえる程の強さはなかった。
それに、何より俺らハイエルフは肉体が弱く、接近戦には向いてないはずなんだが。
きっとさっき言ってた『魔素』ってやつが原因で、寿命は縮んでいるが、身体能力や魔力は格段に進化してるのか…?!
それにしてもそんな弱っちい武器しか持たないで神獣を……!
よし!気に入った!
俺がお前達に最高の刀を作ってやろう!」

ジーンは子供のようにはしゃいでいた。

「ちなみにその素材から2本作ってもらうことは出来ますか?」
私が聞いた。
ジークと私の分で2本なければこの先厳しい。

「あぁ。2本ならギリギリ可能だろうな。
その代わりカサを増すのに他の金属も混ぜ合わせるから、その分性能は落ちるぞ?」

「どれぐらい落ちるものなの?」

「そうだな。
この鱗だけで作れば、素材の元々の性能に、ワシの腕が加わって
1本なら
魔法伝道100%、魔法増幅87%
2本にしたら
魔法伝道75%、魔法増幅65%ってとこかな。
どうするよ?」

1振りだけの方が性能はかなり高い。
それでも私とジーク2人の戦力をアップした方が今後神獣などと出くわしても安心だろう。
いまのルクスの宝剣よりもかなり性能が高くなるし。

私達は性能が落ちても2本作ってもらうようお願いをした。

「マオさんとジークさん羨ましいな。
僕達も魔法使えるようになったから、そういう強力な武器欲しいな…」
リガンがポツリと呟いた。

確かに。このコ達も最近はかなり成長してきている。今後もどんどんと伸びていくだろう。
今のうちに武器を揃えていた方がいいかもしれない。

だけど、これ以上ドルギアガの鱗の純度を下げてしまったら、もっと性能が落ちてしまう…。

「おい。小僧。
お前のカバンが少し光ってるが何が入ってるんだ?」
ジーンがリガンの鞄を指差す。

「えっ?」
リガンはカバンをゴソゴソとあさって、光の元となっている物を取り出す。
アレフ族のリンダから貰った勇者の証である、紅い鉱石を取り出した。

「それは!!」
ジーンが目をカッと見開いた。

「一体これは何なんですか?」
リガンが聞いた。

「炎龍王の瞳と呼ばれる鉱石だ。
嘘か本当かは知らんが、大昔にいた伝説の火龍が化石化した物だと言われている。
神獣の素材程ではないが、それもかなりの上質な鉱石だ!」

「本当ですか!?
ちなみにどれぐらいの性能が…?」

「そうだな」
ジーンは炎龍王の瞳を手に取りまじまじと観察をした。

「魔法伝道65%、魔法増幅60%ってとこだな」

「凄い!!」
リガンは大喜びをした。
そんなリガンに強烈な嫉妬の視線をクリスが送っていた。
そしてリガンがその視線に気がついた。

「あっ!クリス!
ごめん。クリスの分も作ってもらわないとね。
あの戦いにはクリスも協力してくれてた訳だし。
すいません。
この素材からも2本武器を作ることは可能でしょうか?」

「あぁ。問題ないぞ。
神獣の素材はかなり繊細な物で元々の魔法増幅や伝道が高い分、純度を薄めるとかなり性能が落ちるが、それぐらいの性能の物なら、ワシの腕があれば、そこまで大幅に性能を落とさずに作れるぞ!
そうだな。
2本作っても魔法伝道、魔法増幅共に55%ぐらいのものなら作れそうだな」

クリスとリガンはやったーと声をあげてはしゃいでいた。
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