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神獣ドルギアガとの闘い
再びジャカンへ
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ジャカンに着いた頃には2ヶ月弱が経っていた。
私とリガンはもちろんその間も修業は怠らなかった。
今までの修業に加え、マオさんから様々な魔法の知識も教えてもらうようになっていた。
以前はあんなに嫌だった『ぼーっとする修業』も、理由を知った今ではなんの苦痛もなかった。
私達は以前よりも自然と会話をするような気持ちでぼーっとするようになった。
ジャカンに着いて僕たちはすぐに、タテハマのM&Sの本社に向かった。
研究室に行くとユウナさんが、異世界転移の装置を数人の技術者と作っている最中だった。
「久しぶりね!
大型の魔晶石は見つかったの?」
私達に気づくとユウナさんは作業を止め、私達の所に来た。
「はい!なんとか」
私は鞄から魔晶石を取り出して、ドルギアガのことを説明しながらユウナさんに渡した。
「驚いた………。
あんたら神獣ともまともに戦えるの?」
ユウナさんは目をぱちくりさせた。
「まぁ、いまの力と装備じゃ逃げるのがやっとだな。自分達の世界にいた頃の実力と武器があれば、なんとか勝てそうなんだけどな。
そうだ!武器といえば、俺たち刀を作ってくれる鍛冶屋を探してるんだけど、ユウナは心当たりないか?」
「んー。刀とかアナログな武器は私の専門外だからね。聖天衆のトシキなら知ってるんじゃないかしら?」
「確かにそうだな!
じゃあうちらはトシキの所に行ってくるわ」
私たちは魔晶石をユウナに渡し、東都の聖天衆の道場へと移動した。
聖天衆は相変わらず厳しい修業をこなしていた。
私達が最初に訪れたときから、数ヶ月経っているが、みんなとても成長している。
スピード、パワーも以前とは段違いだ。
トワイザランもそうだったが、1度本当のピンチを味わうと、みんな修行への向き合い方が変わるのだろう。
「みなさんお久しぶりじゃないですか!」
私達を見つけてトシキさんは満面の笑みで出迎えてくれた。
他の聖天衆達は姉御、姉御と言いながらマオさんに群がっている。
私達はトシキに刀を作ってくれる良い鍛冶屋がいないかを尋ねた。
「それほどの素材、しかもジークさんとマオさんが使うなら、その辺の刀匠では難しいでしょうね。
たしか、武事山【ぶじさん】というジャカン最大の山の麓に広がる樹海に、幻の刀匠がいるという噂を聞いたことがあります。
きっと彼ならとてつもない刀を作れると思いますよ!」
「幻の刀匠?」
「はい。実物にお会いしたことある人は殆どいないんです。
しかしこの国にある最高峰の妖刀は全て彼が手がけた物なんです。
私の刀『幻狼』
これも彼の作品です。」
トシキさんは自慢気に刀を抜き、ジークとマオさんに見せた。
「トシキはその刀匠に会ったことあるのか?」
「残念ながら私もありません。
しかし名前だけならわかります。
彼の名は『平 仁』【たいら じん】」
「トシキが勧めるなら間違いなさそうだな。
明日にでもその武事山の樹海に向かおう」
ジークが言った。
「よろしければ私も同行させてもらえませんか?少しの間でもジークさんやマオさんから学びたいこともありますし」
トシキが申し出た。
「あぁ。構わないぞ!
もしモンスターとかに襲われてもマオちゃんとトシキがいれば楽できるし」
「ありがとうございます。
では明日の昼前にどこかで待ち合わせしましょう。
それよりジークさん……。久々に私とお手合わせ願えませんか?
私がどの程度強くなったのか知りたいので」
「あぁ。いいぞ」
めんどくさがりのジークが珍しく快諾した。
きっとジークはトシキさんの人柄を気に入っているのだろう。
こうしてジークとトシキさんは再び道場で試合を始めた。
以前と同じく、真剣を使った勝負を。
トシキさんの動きは前に会った時と明らかに違った。
剣術、居合だけに頼らず、体術や中距離魔法も使えるようになっていた。
魔法などで撹乱をして隙を見ては居合で勝負をかける。
クリスは自身に身体能力強化魔法を使い、動体視力を限界まで高めた。
以前は音しか聞こえなかったトシキさんの居合。
それが今ではほんの一瞬だけだが、手の動きが見えた。私は身体能力強化魔法の凄さを改めて実感した。
トシキさんはかなり強くなっていたが、それでもジークの方が実力は優っており、結局は一太刀も浴びることなく、楽々とトシキさんに勝利した。
「ジークさん。さすがですね。まだまだ歯が立たないや」
「トシキもこの短期間でここまで成長するなんて大したもんだよ。
居合避けるのもしんどくなってきたから、次は木刀で頼むな。
修行で真っ二つにされたくないし」
「最高の誉め言葉ですね」
その後2人は剣を木刀に持ち替えて修業を再開した。
私とリガンはもちろんその間も修業は怠らなかった。
今までの修業に加え、マオさんから様々な魔法の知識も教えてもらうようになっていた。
以前はあんなに嫌だった『ぼーっとする修業』も、理由を知った今ではなんの苦痛もなかった。
私達は以前よりも自然と会話をするような気持ちでぼーっとするようになった。
ジャカンに着いて僕たちはすぐに、タテハマのM&Sの本社に向かった。
研究室に行くとユウナさんが、異世界転移の装置を数人の技術者と作っている最中だった。
「久しぶりね!
大型の魔晶石は見つかったの?」
私達に気づくとユウナさんは作業を止め、私達の所に来た。
「はい!なんとか」
私は鞄から魔晶石を取り出して、ドルギアガのことを説明しながらユウナさんに渡した。
「驚いた………。
あんたら神獣ともまともに戦えるの?」
ユウナさんは目をぱちくりさせた。
「まぁ、いまの力と装備じゃ逃げるのがやっとだな。自分達の世界にいた頃の実力と武器があれば、なんとか勝てそうなんだけどな。
そうだ!武器といえば、俺たち刀を作ってくれる鍛冶屋を探してるんだけど、ユウナは心当たりないか?」
「んー。刀とかアナログな武器は私の専門外だからね。聖天衆のトシキなら知ってるんじゃないかしら?」
「確かにそうだな!
じゃあうちらはトシキの所に行ってくるわ」
私たちは魔晶石をユウナに渡し、東都の聖天衆の道場へと移動した。
聖天衆は相変わらず厳しい修業をこなしていた。
私達が最初に訪れたときから、数ヶ月経っているが、みんなとても成長している。
スピード、パワーも以前とは段違いだ。
トワイザランもそうだったが、1度本当のピンチを味わうと、みんな修行への向き合い方が変わるのだろう。
「みなさんお久しぶりじゃないですか!」
私達を見つけてトシキさんは満面の笑みで出迎えてくれた。
他の聖天衆達は姉御、姉御と言いながらマオさんに群がっている。
私達はトシキに刀を作ってくれる良い鍛冶屋がいないかを尋ねた。
「それほどの素材、しかもジークさんとマオさんが使うなら、その辺の刀匠では難しいでしょうね。
たしか、武事山【ぶじさん】というジャカン最大の山の麓に広がる樹海に、幻の刀匠がいるという噂を聞いたことがあります。
きっと彼ならとてつもない刀を作れると思いますよ!」
「幻の刀匠?」
「はい。実物にお会いしたことある人は殆どいないんです。
しかしこの国にある最高峰の妖刀は全て彼が手がけた物なんです。
私の刀『幻狼』
これも彼の作品です。」
トシキさんは自慢気に刀を抜き、ジークとマオさんに見せた。
「トシキはその刀匠に会ったことあるのか?」
「残念ながら私もありません。
しかし名前だけならわかります。
彼の名は『平 仁』【たいら じん】」
「トシキが勧めるなら間違いなさそうだな。
明日にでもその武事山の樹海に向かおう」
ジークが言った。
「よろしければ私も同行させてもらえませんか?少しの間でもジークさんやマオさんから学びたいこともありますし」
トシキが申し出た。
「あぁ。構わないぞ!
もしモンスターとかに襲われてもマオちゃんとトシキがいれば楽できるし」
「ありがとうございます。
では明日の昼前にどこかで待ち合わせしましょう。
それよりジークさん……。久々に私とお手合わせ願えませんか?
私がどの程度強くなったのか知りたいので」
「あぁ。いいぞ」
めんどくさがりのジークが珍しく快諾した。
きっとジークはトシキさんの人柄を気に入っているのだろう。
こうしてジークとトシキさんは再び道場で試合を始めた。
以前と同じく、真剣を使った勝負を。
トシキさんの動きは前に会った時と明らかに違った。
剣術、居合だけに頼らず、体術や中距離魔法も使えるようになっていた。
魔法などで撹乱をして隙を見ては居合で勝負をかける。
クリスは自身に身体能力強化魔法を使い、動体視力を限界まで高めた。
以前は音しか聞こえなかったトシキさんの居合。
それが今ではほんの一瞬だけだが、手の動きが見えた。私は身体能力強化魔法の凄さを改めて実感した。
トシキさんはかなり強くなっていたが、それでもジークの方が実力は優っており、結局は一太刀も浴びることなく、楽々とトシキさんに勝利した。
「ジークさん。さすがですね。まだまだ歯が立たないや」
「トシキもこの短期間でここまで成長するなんて大したもんだよ。
居合避けるのもしんどくなってきたから、次は木刀で頼むな。
修行で真っ二つにされたくないし」
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