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リガンの大冒険
リカント族の勇者
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ジーク達と話をしていると、ガチャリとドアの開く音がした。
ドアの方を見るとリリーが立っていた。
「あ……あの…。決闘はどうなったのでしょうか??」
「リリー!」
僕はリリーの眼を見つめ、ニコリと笑った。
その笑顔に全てを察したリリーは僕の胸に飛び込んで……
来たと思ったけど、リリーの方が背が高いので、僕の頭は抱きついて来たリリーの胸に埋もれた。
ジークが何やらと言っていたが、幸せ過ぎて僕の耳には届いてこなかった。
その後、僕達はリリーを連れて、バンギャスと共にリンダ様の屋敷へと向かった。
屋敷へ入ると、リンダ様が大きな椅子に座っていて、その両脇にはスプラトとトリスが立っていた。
「リガンと言ったか?」
リンダ様が僕の名前を呼んだ。
「先ほどの決闘。本当に驚いたぞ。
まさかベビーリカントに我らアレフ族が負けるなど夢にも思っていなかった。
最初はそんな現実をなかなか受け入れられなかったが、ここまで努力をしたお主の気持ちを考えたら、素直にお主のことを認める気になった。
本当によく頑張ったな」
両脇にいたスプラトとトリスもニッコリと笑った。
「いやー!本当に強かった。
今まで俺たちはアレフ族に生まれたというだけで、最強だと過信し、自分を磨くことを怠ってきた。
リガンを見たら、我らももっともっと強くなれるのだと気付かされたぞ!」
バンギャスが言った。
「そう。私達アレフ族はリカント族最強という名に甘んじてきた。
その地位に満足をし、更に上を目指さなかった。
だがリガン、お主は種族など関係なく、最強のモンスターを目指し努力をしてきた。
その差が今回の結果なのだろう。
私達もリカント族最強の種族に満足せず、モンスター界最強の種族を目指そうという気になったぞ」
スプラトが言った。
こんなに誰かに褒められるのは初めての体験だった。
体中がむず痒い感じがするが、嫌ではない。
「リガン。お主をリカント族の『勇者』として末代まで語ってゆこう。
これは、その勇者の証として持って行け」
リンダはそう言うと真っ赤に光る10センチ程の鉱石をリガンへ渡した。
リカント族の勇者!
僕が……?
最弱の種族のベビーリカントで、そのベビーリカントの中でも最も弱かった僕が……リカント族の勇者?!
僕は嬉しさから、貰った鉱石を抱き締めて大声で泣いた。
「おいおい。そんな泣き虫な勇者がいるかよ…」
ジークさんが言うと
「いてもいいだろ?こんなに怠け者の勇者だっているぐらいなんだから」
すぐにマオさんが切り返した。
僕が泣き収まると、リンダ様は話を続けた。
「ブォルフの女。リリーと言ったか?
約束通り、わらわの血を分けてやろう」
リンダはナイフで自分の手の人差し指指の先端を軽く切った。
小さな小瓶に血液を数滴入れると、蓋をしてリリーに渡した。
「この血を千年草を煮詰めた液体に混ぜ合わせれば、リカントの秘薬ができあがる。
」
「ありがとうございます。しかし、千年草とは…?」
リリーが聞いた。
「その名の通り1000年の寿命を持つ草で、その強い生命力から薬草としてよく使われる草じゃ。
この山の麓に沢山生えておるから帰りに取っていくとよい。
ブォルフ族も病が治ったら、リガンを見習ってより強い種族を目指し努力をするがよい」
「はい」
リリーは満面の笑みで返事をした。
「リガンよ。お主も先ほどの戦いでかなりの負傷を負っておる。
リリーが秘薬を作った際にお主少し飲んでみるといい。
そんな傷などすぐに癒えるぞ」
「はい」
「さて用事も済んだことだし、うちらは山頂を目指して登山を再開するか」
マオさんが言う。
「もうすぐ日も暮れる、今日はこのままこの集落で休んでいったらどうじゃ?」
リンダ様がそう言ってくれたので、僕達はお言葉に甘え、その日はアレフ族の集落で休むことにした。
ドアの方を見るとリリーが立っていた。
「あ……あの…。決闘はどうなったのでしょうか??」
「リリー!」
僕はリリーの眼を見つめ、ニコリと笑った。
その笑顔に全てを察したリリーは僕の胸に飛び込んで……
来たと思ったけど、リリーの方が背が高いので、僕の頭は抱きついて来たリリーの胸に埋もれた。
ジークが何やらと言っていたが、幸せ過ぎて僕の耳には届いてこなかった。
その後、僕達はリリーを連れて、バンギャスと共にリンダ様の屋敷へと向かった。
屋敷へ入ると、リンダ様が大きな椅子に座っていて、その両脇にはスプラトとトリスが立っていた。
「リガンと言ったか?」
リンダ様が僕の名前を呼んだ。
「先ほどの決闘。本当に驚いたぞ。
まさかベビーリカントに我らアレフ族が負けるなど夢にも思っていなかった。
最初はそんな現実をなかなか受け入れられなかったが、ここまで努力をしたお主の気持ちを考えたら、素直にお主のことを認める気になった。
本当によく頑張ったな」
両脇にいたスプラトとトリスもニッコリと笑った。
「いやー!本当に強かった。
今まで俺たちはアレフ族に生まれたというだけで、最強だと過信し、自分を磨くことを怠ってきた。
リガンを見たら、我らももっともっと強くなれるのだと気付かされたぞ!」
バンギャスが言った。
「そう。私達アレフ族はリカント族最強という名に甘んじてきた。
その地位に満足をし、更に上を目指さなかった。
だがリガン、お主は種族など関係なく、最強のモンスターを目指し努力をしてきた。
その差が今回の結果なのだろう。
私達もリカント族最強の種族に満足せず、モンスター界最強の種族を目指そうという気になったぞ」
スプラトが言った。
こんなに誰かに褒められるのは初めての体験だった。
体中がむず痒い感じがするが、嫌ではない。
「リガン。お主をリカント族の『勇者』として末代まで語ってゆこう。
これは、その勇者の証として持って行け」
リンダはそう言うと真っ赤に光る10センチ程の鉱石をリガンへ渡した。
リカント族の勇者!
僕が……?
最弱の種族のベビーリカントで、そのベビーリカントの中でも最も弱かった僕が……リカント族の勇者?!
僕は嬉しさから、貰った鉱石を抱き締めて大声で泣いた。
「おいおい。そんな泣き虫な勇者がいるかよ…」
ジークさんが言うと
「いてもいいだろ?こんなに怠け者の勇者だっているぐらいなんだから」
すぐにマオさんが切り返した。
僕が泣き収まると、リンダ様は話を続けた。
「ブォルフの女。リリーと言ったか?
約束通り、わらわの血を分けてやろう」
リンダはナイフで自分の手の人差し指指の先端を軽く切った。
小さな小瓶に血液を数滴入れると、蓋をしてリリーに渡した。
「この血を千年草を煮詰めた液体に混ぜ合わせれば、リカントの秘薬ができあがる。
」
「ありがとうございます。しかし、千年草とは…?」
リリーが聞いた。
「その名の通り1000年の寿命を持つ草で、その強い生命力から薬草としてよく使われる草じゃ。
この山の麓に沢山生えておるから帰りに取っていくとよい。
ブォルフ族も病が治ったら、リガンを見習ってより強い種族を目指し努力をするがよい」
「はい」
リリーは満面の笑みで返事をした。
「リガンよ。お主も先ほどの戦いでかなりの負傷を負っておる。
リリーが秘薬を作った際にお主少し飲んでみるといい。
そんな傷などすぐに癒えるぞ」
「はい」
「さて用事も済んだことだし、うちらは山頂を目指して登山を再開するか」
マオさんが言う。
「もうすぐ日も暮れる、今日はこのままこの集落で休んでいったらどうじゃ?」
リンダ様がそう言ってくれたので、僕達はお言葉に甘え、その日はアレフ族の集落で休むことにした。
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