Bonds〜最強勇者と最強女魔王が異世界からやってきた〜

ひがしの くも

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龍神族との激闘

魔王vs龍神族

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目の前では、ユウナの想像を遥かに越えた次元の戦いが繰り広げられていた。

龍神族もマオたちも、スピードは目に見えないほど速いし、パワーも1撃1撃が壁や地面を豆腐のように簡単に壊していく、魔法も威嚇や囮で使っている軽い魔法でも、上級魔道士の全魔力をこめた威力ぐらいある。

あまりに別次元のレベルの戦い。

ユウナはこの龍神族との戦いには自分は役に立てないことを痛感していた。

刺青の男はサムライのトシキと戦っていて、女の龍神族はマオと戦っている。
ジークはションさんがまた人質に取られないようにと、私達と一緒に戦いを眺めていた。

「やっぱり龍神族ってのはすごいんだな。マオちゃんが苦戦するなんて」
ジークは緊張感のない表情で言う。
まるでマオの勝利を確信しているかのように。

マオは鞭の動きを見切れずに、何度か攻撃をくらっていた。

「きゃはははは!
さっきのションを助けた男が、あんたのこと舐めんなとか言ってたけど、全然たいしたことないじゃないの!」

「あら、そう?
ならそろそろ少しだけ私の力を見せてあげようかしら」
マオがニヤリと笑った。

「今まで本気じゃなかったっていうの?
強がりを!これでもくらいな!」
またも鞭が襲う。
がそれをマオは完璧に避け切った。

「なにっ!?」

龍神族の女はその後も鞭を振るうがマオはそれを全て紙一重で避けた。

「あんたの鞭の動きは変幻自在だからね。
鞭の動きや軌道を予測して避けようとするから、変幻自在の動きに惑わされて攻撃を受けてしまう。
だから私は鞭の軌道や動きの固定観念はすてて、向かってくるものだけを避けるように考えを変えたの」

「くっ!だがそんなに何度も避けきれるものか!?」

「ふん。もう避ける必要もないわね」

マオを襲う鞭が直前でまるで自分の意思でマオを避けているかのような動きをした。
マオはその場に立っているだけで、鞭の攻撃は外れた。

「貴様!何をした!」
女の龍神族の表情が変わった。

「さっき攻撃をくらったときに私の魔力をちょっとその鞭に忍び込ませたのよ」

「なんだって!?」

「それにしても騙されたわ。というか意外だったわ。
まさかその鞭が魔法伝道と魔法増幅の性能を持ってるなんてね
魔法伝道で風魔法を付与して、その風の力で鞭の動きを操ってたのね」

「くっ。気づいてたのか!?」

「本来、魔法伝道は鉱石や金属に宿るもので、魔法増幅は鍛冶屋の呪法で宿るもの。
一体どうやってその革の素材に魔法伝道と増幅を付与したのかしら?」

「ふん。簡単な話だ。
この革は最初から魔法伝道と魔法増幅を付与されている素材なのだからな」

「なに?!」

「この鞭は神獣ユルムンガンドの皮で出来ているの。
神獣は神から与えられし無限の魔力で動く生命体。
それ故にその身体から取れる素材には無条件で魔法伝道と増幅が付与されてるのよ!
しかも かなり高性能のね!
私のこのユルムンガンドの鞭は魔法伝道率90%、魔法増幅率80%よ!
鞭の動きは見切られても、私はこの鞭を装備しているだけで魔力が80%も増す!
そんな軟弱な剣しか持たない牝豚が龍神族である私に勝てると思っているのか!?」

龍神族の女は消えたとも思えるほどのスピードでマオの背後に回り、巨大な火球を投げつける。

マオは後ろを振り向き即座に紫の火球を放ちその炎は龍神族の女の放った火球とぶつかり、大爆発を起こした。

その爆発の煙に紛れて今度はマオが相手の背後を取り、魔力を込めた剣で斬りかかるが、敵もこれを躱し、躱し際に雷属性の矢のような魔法を放った。

マオはそれを片手で弾き飛ばし、今度はマオが闇属性の魔法を放った。

龍神族の女はすぐに魔法壁を張り、それを防ぐ。

その後も暫く一進一退の攻防がしばらく続いた。

魔法のぶつかり合う爆音が何度も響き渡る。

「くそっ!なんでそんな武器しか持ってない牝豚がユルムンガンドの鞭を持っている龍神族の私と互角なんだ!!」

「簡単な話よ。
元々の魔力が私の方が強いのよ」

「私は龍神族だぞ!
私より魔力の強い者なんているわけがないんだ!」

龍神族の女は持っている魔力を全て手元に集中させた。
その強大な魔力からはバチバチと電光が走っている。

「喰らいな!私の雷の極大魔法を!
フルゴラビッア!!」

龍神族の女は魔法の名を叫びながら その魔力を解放した。
目が眩むほどの閃光を発した超速のビームがマオに襲いかかる。

「ダークマター」
マオも相手が魔力を溜めている間に、同様に魔力を溜めていた。
マオも強大な闇のビームを放ち、2つの魔法は激しくぶつかり合った。

「私のフルゴラビッアが押されているだと!!」
龍神族の女は更に両手に魔力を込める。
が、それでもマオのダークマターの威力が優っている。

ダークマターは相手の極大魔法を飲み込んでいき、龍神族の女に直撃した。
「ぐわぁーーーっ」
巨大な爆発が巻き起こった。
 
凄い。
あの龍神族を…倒した?
しかし、ダークマターの爆発の粉塵が消えると、そこにはボロボロになった龍神族の女の姿があった。

「ほぅ。私のダークマターを受けて消滅しないとは。流石だな」

龍神族はドラゴンのような強靭な肉体を持っていると聞いたが、まさか極大魔法まで耐えれるなんて…。
とはいえ、もうあの女の体はとても戦えるような状態ではない。

「くっ……。牝豚の分際で!
神に等しき私達に逆らうなんて…」

「ふん。
牝豚、牝豚ってうるさいんだよ!!
あんたが本当の牝豚になってごらんなさい!!」

マオが龍神族の女に光の球体の魔法をぶつけた。

「こ……これは、強制変身魔法!!
だが、こんなものは効かんぞ!!
弱体化魔法や、相手を変身させる魔法は相手との魔力差がかなりなければ効力を発揮しない!!
あんたと私にはそこまでの魔力差はないはず!」

「そうね。このままじゃ効かないかもね」
マオはそう言うと、自分の服の胸元に手を突っ込み、そこから緑色に輝く石を取り出した。

「これは魔晶石といってね、ルクス族の魔力増幅の魔法が詰め込まれているの!
1回しか使えない物だけど、その増幅率は私の剣やあなたの鞭を上回るわ!」

そういうと緑色の石が眩く光始めた。
その光に反応するかのように、龍神族の女に掛けられた魔法の光も強くなっていく。

「これで終わりよ!」
「くっ……まさか龍神族の私が…
こんな…牝豚に……
ぐわぁーーーっ!」

龍神族に掛けられた魔法は眩い閃光を放った。
閃光の光が消えたとき、そこには1匹の15センチ程の小さな黒豚がいた。

「どう?自分が牝豚になった気分は?本当はこの石使わなくても余裕で勝てたんだけどね。あなただけはルクスの想いが込められたこの石を使って倒したかったのよ」
マオはニヤリと笑った。
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