Bonds〜最強勇者と最強女魔王が異世界からやってきた〜

ひがしの くも

文字の大きさ
上 下
34 / 117
新たなる旅立ち

マオさんとの修行

しおりを挟む
ジャカンへの旅は船旅へ入り、明後日の昼にはジャカンに到着する。

相変わらず修行は毎日続いている。
魔法を喰らう修行が始まってからというもの、毎日ボロボロになっている。

唯一体を動かしたマオさんとの実戦修行は私とリガンにとって唯一の楽しみとなっていた。

とはいえ、マオさんも攻撃はしてくるのだが…。

リガンが連続で突きをくりだし、マオさんの気を引きつけ、私がその死角を突きを背後から斬りかかる。

がマオさんは紙一重でそれを躱す。

くっ!
これを躱すか!

渾身の一撃を躱された動揺もあり、マオさんが蹴りを繰り出したのに反応が一瞬遅れ、回避が間に合わない。

「ぐはっ」

しまった。
避けられたからって何を動揺してるんだ、常に戦いの間は集中しないと。
マオさんの蹴りの威力は凄まじく、私はその場にうずくまった。

結局今日もうちらの攻撃はかすることもなかった。
この修行の中で私とリガンはマオさんに触れたことがない。

私達がどれだけの策を練ろうと、どんな攻撃を仕掛けようとも、剣や腕で受け止めるまでもなく、すべて躱してしまう。

どうしたら、うちらの攻撃は当たるんだ……。
私は思い悩んでいた。
これまでにリガンと様々なコンビネーションを考え試してきたが、どれも通用しなかった。

茶化されるかもしれないけど、ジークに相談してみようかな。

夕食の後に私はジークを探した。
甲板に出ると、ジークはベンチに座って、暗くなった海を眺めている。
隣にはマオさんが座っていた。

さすがにマオさんと戦うアドバイスをマオさんの前で貰うわけにはいかないな。
諦めて踵を返そうとすると、2人の会話が聞こえてきた。

「それにしてもマオちゃんは、本当に教えるのが上手いね」

「私は何もしていないぞ。
ただ暇つぶしにあの2人を小突いてるだけだ」

「とかいってさ、いつもあの2人のギリギリを攻めてるじゃん。
攻撃が当たりそうでギリギリ当たらない。
避けられそうでギリギリ避けられない。
ギリギリだからこそ悔しくて、次の攻撃をどうしたら当てられるのか、次はどうしたら避けられるのかを考える。
あの2人の成長が早いのはマオちゃんのおかげだね。
まぁ、2人が強くなっていった分に合わせてマオちゃんも力を調整してるから、2人とも自分が強くなってることに気づいてないだろうけどね」

「ふん。
そういうお前の修行こそ。
あんな腕輪まで着けさせて」

「あら!!
やっぱり気付いてた?」

「あの腕輪と修行内容を見てればよくわかる。よく考えられた修行だ」

「あぁ。あの修行の本当の意味を知った時、あの2人は一気に強くなる。
あの2人は素直だから、これからもどんどん伸びるだろうな。
もし俺たちが元の世界に戻ることになってもきっと大丈夫だろう」


そんな風に思ってくれてたなんて。
…ジークに今回のことを相談するのはやめよう。
きっと自分たちで考え成長していくことに意味があるんだ。

私は踵を返して船内へと戻っていった。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~

いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。 他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。 「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。 しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。 1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化! 自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働! 「転移者が世界を良くする?」 「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」 追放された少年の第2の人生が、始まる――! ※本作品は他サイト様でも掲載中です。

転移した場所が【ふしぎな果実】で溢れていた件

月風レイ
ファンタジー
 普通の高校2年生の竹中春人は突如、異世界転移を果たした。    そして、異世界転移をした先は、入ることが禁断とされている場所、神の園というところだった。  そんな慣習も知りもしない、春人は神の園を生活圏として、必死に生きていく。  そこでしか成らない『ふしぎな果実』を空腹のあまり口にしてしまう。  そして、それは世界では幻と言われている祝福の果実であった。  食料がない春人はそんなことは知らず、ふしぎな果実を米のように常食として喰らう。  不思議な果実の恩恵によって、規格外に強くなっていくハルトの、異世界冒険大ファンタジー。  大修正中!今週中に修正終え更新していきます!

神の宝物庫〜すごいスキルで楽しい人生を〜

月風レイ
ファンタジー
 グロービル伯爵家に転生したカインは、転生後憧れの魔法を使おうとするも、魔法を発動することができなかった。そして、自分が魔法が使えないのであれば、剣を磨こうとしたところ、驚くべきことを告げられる。  それは、この世界では誰でも6歳にならないと、魔法が使えないということだ。この世界には神から与えられる、恩恵いわばギフトというものがかって、それをもらうことで初めて魔法やスキルを行使できるようになる。  と、カインは自分が無能なのだと思ってたところから、6歳で行う洗礼の儀でその運命が変わった。  洗礼の儀にて、この世界の邪神を除く、12神たちと出会い、12神全員の祝福をもらい、さらには恩恵として神をも凌ぐ、とてつもない能力を入手した。  カインはそのとてつもない能力をもって、周りの人々に支えられながらも、異世界ファンタジーという夢溢れる、憧れの世界を自由気ままに創意工夫しながら、楽しく過ごしていく。

成長チートと全能神

ハーフ
ファンタジー
居眠り運転の車から20人の命を救った主人公,神代弘樹は実は全能神と魂が一緒だった。人々の命を救った彼は全能神の弟の全智神に成長チートをもらって伯爵の3男として転生する。成長チートと努力と知識と加護で最速で進化し無双する。 戦い、商業、政治、全てで彼は無双する!! ____________________________ 質問、誤字脱字など感想で教えてくださると嬉しいです。

凡人がおまけ召喚されてしまった件

根鳥 泰造
ファンタジー
 勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。  仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。  それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。  異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。  最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。  だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。  祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。

お願いだから俺に構わないで下さい

大味貞世氏
ファンタジー
高校2年の9月。 17歳の誕生日に甲殻類アレルギーショックで死去してしまった燻木智哉。 高校1年から始まったハブりイジメが原因で自室に引き籠もるようになっていた彼は。 本来の明るい楽観的な性格を失い、自棄から自滅願望が芽生え。 折角貰った転生のチャンスを不意に捨て去り、転生ではなく自滅を望んだ。 それは出来ないと天使は言い、人間以外の道を示した。 これは転生後の彼の魂が辿る再生の物語。 有り触れた異世界で迎えた新たな第一歩。その姿は一匹の…

チートがちと強すぎるが、異世界を満喫できればそれでいい

616號
ファンタジー
 不慮の事故に遭い異世界に転移した主人公アキトは、強さや魔法を思い通り設定できるチートを手に入れた。ダンジョンや迷宮などが数多く存在し、それに加えて異世界からの侵略も日常的にある世界でチートすぎる魔法を次々と編み出して、自由にそして気ままに生きていく冒険物語。

王宮で汚職を告発したら逆に指名手配されて殺されかけたけど、たまたま出会ったメイドロボに転生者の技術力を借りて反撃します

有賀冬馬
ファンタジー
王国貴族ヘンリー・レンは大臣と宰相の汚職を告発したが、逆に濡れ衣を着せられてしまい、追われる身になってしまう。 妻は宰相側に寝返り、ヘンリーは女性不信になってしまう。 さらに差し向けられた追手によって左腕切断、毒、呪い状態という満身創痍で、命からがら雪山に逃げ込む。 そこで力尽き、倒れたヘンリーを助けたのは、奇妙なメイド型アンドロイドだった。 そのアンドロイドは、かつて大賢者と呼ばれた転生者の技術で作られたメイドロボだったのだ。 現代知識チートと魔法の融合技術で作られた義手を与えられたヘンリーが、独立勢力となって王国の悪を蹴散らしていく!

処理中です...