Bonds〜最強勇者と最強女魔王が異世界からやってきた〜

ひがしの くも

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新たなる旅立ち

聖剣と魔剣の真実

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ルクスの洞窟を旅立って2日が経った。
私達は東の島国『ジャカン』という国に向かって旅をしていた。

ジャカンまでは馬車で陸路12日
その後に船で2日程で着く。

私達はルクスの村の近くの町で、馬車をチャーターして、馬車の旅をしていた。
もちろん、私のお金で…。

この旅の中でも私とリガンの修行は続いた。馬車に乗ってる間はひらすら景色を眺めぼーっとして、夜は夕食前にリガンとマオさんと30分程の実戦練習をしていた。

その日の夜、私達が修行をしていると近くの岩場から大きな爆発音が聞こえてきた。

私達がそこに駆けつけると、ジークがそこに立っていて、ジークの周りには粉々になった石が大量に転がっていた。

「ジークさん!これは?」

「あぁ。パル達からもらった剣の試し斬りをしてたんだ。
思った以上に良い剣だ。さすがはルクス族の宝剣といったところかな」

「そんなに凄い切れ味なんですか?」

「剣の切れ味自体はトワイザランで貰ってきた剣とそこまで変わりはないさ」

「じゃあ一体何が違うんですか?」

「んー。めんどくさいからマオちゃん説明してあげて」

「…ったく。そうやってすぐに私に押し付ける。
いいわ。
私達みたいに魔法を使って戦う者にとって、武器はただ斬ったり叩いたりする道具じゃないの。
武器にはそれぞれ、『魔法伝道率』と『魔法増幅率』というものがあるの。
魔法伝道率が高ければ高いほど、術者の魔法がより高いレベルで武器に伝わり、攻撃力が増す。
魔法増幅率が高いと、魔法を使う際に武器がアシストをしてくれて、魔法の威力を増幅してくれたり、無駄な魔力を使わずに強力な魔法を使えたり、強力な魔法は更に強化されたりするの。
パルにもらった魔晶石と同じ役割ね」

「そんな役割が…!
そうか!だからジークさんとマオさんはいつも、自分の使ってた武器があればって言ってたんですね!?」

「そう。私の持っていた魔王剣とジークの覇王剣は『魔法伝道率』『魔法増幅率』共に100%を誇る最強の武器だったからね。
武器には最大限に魔力を伝えられて、身に付けているだけで私達の魔力自体も2倍に増幅してくれてた。
このルクスの宝剣は『魔法伝道率』40%『魔法増幅率』30%ってところかしらね。
私達の剣は例外的に強かったけど、このルクスの宝剣もかなり高い性能よ!
名工と呼ばれる鍛冶屋でも増幅率は20%前後の付与がほとんどだからね」

武器にそんな用途があったなんて、知りもしなかった。

「その魔法伝道率と魔法増幅率はどうやって決まるんですか?」
リガンが質問した。

「魔法伝道率は鍛冶屋の腕にもよるけど、武器の素材が大きく関わっているわね。だから普通の鍛冶屋が武器を作っても、素材の本来持っている力で付与されることがある。
でも魔法増幅率は、鍛冶屋が武器の精製時の叩きあげる時に特殊な呪法を武器に練り込むの。
これが出来る人は本当に一握りの鍛冶屋だけでしょうね」

なんて深い世界なんだ。

「魔力増幅率が付与された武具は魔法を使えない人が持つと、無理に持ち主から魔力を吸い取ろうとして、かえって持ち主の体力や生命力を奪ってしまう。
故に世間では『魔剣』もしくは一部の選ばれた者にしか使えない『聖剣』と呼ばれることが多いわね」

今までに書物などで様々な魔剣や聖剣の伝説を読んだことがあるが、そんな事実が隠されていたなんて。

「とにかく、この宝剣のおかげで私とジークは今まで以上の力が発揮できるようになるのは間違いないわね」

…今まで以上…。
今までですら伝説の神獣レヴィーア以外は軽くあしらってきたのに。
これ以上強くなってどうするんだ…。
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